請 求 の 原 因
第1 当事者
1 原告は平成12年11月まで㈱月刊タイムス社に在籍して、月刊誌『月刊タイムス』の編集に従事していた。同社退職後、他の出版社勤務を経て平成15年1月以降、フリーのライターとして雑誌等に寄稿している者である。
2 被告矢野穂積(以下、「被告矢野」という)は現職の東村山市議会議員であり、インターネット「東村山市民新聞」の発行人である。
3 被告朝木直子(以下、「被告朝木」という)は現職の東村山市議会議員であり、インターネット「東村山市民新聞」の編集人である。
第2 不法行為
1 被告らは平成19年9月28日、インターネット「東村山市民新聞」の
トップページにおいて、〈
★9月26日東京高裁判決で、矢野議員、乙骨氏が創価本部に逆転勝訴! 法廷では、また姿を見せた柳原、字留嶋ら創価御用ライターが、創価学会全面敗訴判決に茫然自失。〉
と記載した(甲1=以下、上記記載を「本件記事1」という)。
2 被告らは平成19年10月3日、インターネット「東村山市民新聞」の〈
暴漢が朝木直子議員宅を襲う事件が発生!-その後の経過一〉と題する記事において、〈
また名誉毀損記事を掲載、悪質「創価御用ライター」らを提訴!〉との見出しのもと、原告について、〈
創価学会御用ライターの宇留嶋〉と記載した(甲2=以下、上記記載を「本件記事2」という)。
3 被告らは平成19年10月8日、インターネット「東村山市民新聞」の〈
佐藤・薄井「市議」特集のページ〉の〈
保育所園児らに差別と不公平を持ち込んだのは誰?〉と題する記事欄外において、〈
※字留嶋瑞郎という創価御用ライターが、佐藤「市議」の前回市議選の推薦人です。〉と記載した(甲3=以下、上記記載を「本件記事3」という)。
4 さらに被告らは平成19年10月31日、インターネット「東村山市民新聞」の〈
「創価御用ライター」問題のページ〉において、〈
★提訴された「創価御用ライター、初回弁論欠席。」〉 とのタイトルの記事を掲載した(甲4=以下、上記記事を「本件記事4」という)。本件記事2、3は提訴の日現在も継続して掲示されている(なお、本件記事1、4については平成20年3月14日以降、それぞれ「創価擁護ライター」、「創価擁護記事ライター」に変更されているが、その意味するところはなんら変わらない)。
〔引用者注/記事4の見出しは
2008年10月11日付更新で変更されている。〕
5 これらの記載はいずれも、原告が「創価学会の御用ライター」であると決めつけ、その事実を摘示するものである。
6 広辞苑によれば、「○○の御用ライター(あるいは御用記者)」とは「御用新聞の記者」のことであり、「御用新聞」とは「時の政府などの保護を受け、その政策を擁護する新聞」とされており、また一般にも、「御用記者」とは不偏不党、中立・公平であるべきジャーナリズムの倫理に反して「報道の名の下にプロパガンダや情報操作をすることによって特定勢力を支援するような記事を書く者」「中立性を欠いて一定勢力を利するような記事を書く者」という意味で広く一般に理解され、浸透している。
7 したがって、本件記事1~4を、読んだ一般読者は「創価学会御用ライター」について「創価学会擁護を旨とする中立性・公平性を欠いたライター」のことであると容易に理解し、原告がそのような偏向的ライターであると認識するものである。
8 しかし、原告はこれまで十分な取材と客観的根拠に基づいた記事を執筆してきたものであり、創価学会擁護を目的とした偏向記事を執筆したことは一度もなく、「創価学会御用ライター」であるという事実はいっさい存在しない。
9 よって本件記事1~4は、原告の社会的評価を著しく低下させるものである。
第3 被告らの責任
1 被告矢野は、インターネット「東村山市民新聞」の発行人として(甲5)、不法行為に基づき原告が被った損害を賠償すべき責任がある。
2 被告朝木は、インターネット「東村山市民新聞」の編集人として(甲5)、不法行為に基づき原告が被った損害を賠償すべき責任がある。
第4 原告の損害
1 本件記事1~4はまったくの事実無根であり、「創価学会御用ライター」と決めつけられたことによって原告の社会的信用は著しく低下させられたのみならず、原告の今後の取材範囲が著しく狭められる恐れを生じさせたものである。
本件記事1~4によって原告が被った損害を金銭に換算すれば金120万円を下らない。
2 また、本件記事1~4によって低下させられた原告の社会的信用を回復させるには、インターネット「東村山市民新聞」のトップページにおいて別紙1記載の謝罪広告を別紙2の条件で一定期間掲示させる必要がある。
第5 結語
よって原告は被告らに対し、民法第709条、同723条に基づき、請求の趣旨第1項の金員及び平成19年1 0月31日から支払い済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払いを求めるとともに、請求の趣旨第2項の謝罪広告の掲載を求めるものである。