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【第二十三話(裏√);タタカイ】


かがみ「つかさ…。」

つかさ「おねーちゃん。こなちゃん。」

こなた「…」

つかさがバッグを開ける。
中から刀と鉈を取り出す。

つかさ「はい、おねえちゃんの居合刀。」

かがみ「ありがと。」

つかさ「こなちゃんは素手でいいんだよね?」

こなた「うん。」

つかさは鉈を取り出し、右手に持った。


かがみ「…つかさ…つかさは本当に男が好き?」

つかさ「うん。おねえちゃんこそ。」

かがみ「当たり前よ。私は男が好き。…つかさを犠牲にしても平気なくらい。」

つかさとかがみが、こなたを見る。

こなた「何て言うかさー…私は男の事、つかさやかがみんと出会う前から好きだったんだよ?」


かがみ「…キマリね。」

遠雷と共に雨が降り出した。

つかさが鉈を水平に持った。

つかさ「…おねーちゃん…なんでお姉ちゃんが仕切ってるの?男君は…私の彼氏だよ?何で私の邪魔するの?!」

かがみ「彼氏?………もう違うでしょ?」

つかさ「……違くない…」

つかさ「違くない!違くない!違くない!違くない!違くない!違くない!!!」

つかさ「ああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

つかさは鉈を振り上げ、かがみに切りかかった。

鉈の刃はかがみの左肩をめがけて振り下ろされる。

刃がかがみの髪にふれる瞬間、かがみが半歩踏み込んで居合刀を抜いた。

つかさ「あれ…?」

つかさは右首筋に熱いものを感じた。

真っ赤なしぶきが、かがみの制服を染める。

つかさは景色が滲むのを感じた。

つかさ「…いや……どうして…?男くんといっしょにいたい…だけなのに……おねぇちゃん………」

つかさの体は、かがみに抱きつくように崩れ落ちた。


かがみは、妹のしぶきに染められ、制服は赤くなってもなお、表情を変えない。

つかさの血を、梅雨の雨が流して行く。

遠くから聞こえる雷を感じるように、かがみは鉛色の空を見つめていた。

自分によりかかる妹を地面に寝かせると、かがみはゆっくりとこなたを見た。


かがみ「こなた…」

そう呟くとかがみは、リボンを解いて横たわるつかさに乗せた。
かがみの目の色はまるで、見上げていた空の色が映り込んでしまったかの様だった。

かがみがゆっくりと、こなたに近付いていく…。



男「開けてくれ!!!!頼む!!!つかさぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

俺は必死にドアをたたき続けた。
手のひらは内出血し、何枚か爪が剥がれていたが、俺はその痛みさえも忘れてドアを開けようとした。

みゆき「男さん!!!」

みゆきさんが息を切らしながら、階段を上ってきた。

男「!!早く!!鍵を!!!」

みゆきさんは汗でびっしょりになりながら、鍵を鍵穴に差し込んだ。

ドアノブが回ったとき、最初に飛び出したのは、ノブを回したみゆきさんだった。

みゆきさんが走り出す。
俺も続けて、雨に濡れた屋上に出る。

雨と落雷の中、向き合うこなたとかがみ。
ふと見ると、かがみの後方には赤い水たまりがあった。
水溜りの中心には…ついさっきまで顔を合わせていた、つかさが居た。

男「………う……ウソだろ……?」
男「つ………つかさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」

かがみの持つ刀に付いた、血と雨の混じった赤い液体が、目を閉じたつかさが、もう二度と目を開けないだろう事を告げていた。

俺は血だまりの中のつかさを見て、その場に立ち尽くし、動けなくなった。

動けない俺とは対照的に、雨とも涙ともわからない水でメガネを濡らしながら、みゆきさんが走り出し、かがみの前に立塞がる。

みゆき「かがみさん!!こなたさん!!」

かがみ「みゆき…何してんの?」

みゆき「…ダメです。」

かがみ「…みゆきは関係ないでしょ?」

みゆき「もう…やめましょう。」

かがみ「どいてよ。」

みゆき「どきません。」

かがみ「どきなさいよ!!こなた殺せないじゃない!!!」

かがみは叫ぶと共に、また、刀を抜いた。
みゆきさんの服が破け、上に着ていたセーターがゆっくり赤く染まっていく。
みゆきさんはその場に膝をついた。

俺はみゆきさんが床に倒れこむのと同時に、走り出した。

男「みゆきさん!!」

みゆきさんに駆け寄り上半身を抱き起こす。
みゆきさんは苦しそうに息をしながら俺を見上げた。

みゆき「…ゴホッ!ゴホッ!…おとこ…さん…ゴホッ!」

おとこ「みゆきさん!!しっかりしてくれ!!今救急車を呼ぶから!!!」

みゆき「私は…もうダメです…ゴホッ!…それよりかがみさんを…止めてください。」

おとこ「ダメだ!!もうこれ以上…死んじゃダメだ!!!」

みゆき「いいんです…私は…いいんです…。きっと…罰です…。早く…こなたさんを……」

みゆき「…………」

男「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」



気がつくと、かがみはもうこなたとの距離を詰めていた。
あと一歩踏み込めば、刀の先がこなたに届く。

俺が走って行くより、かがみが一歩踏み出す方が早いだろう。
男「かがみ!!やめろォォォォォォ!!!!」

俺が叫ぶのと同時にかがみがまた、左足を踏み込んで刀を抜いた。

俺は目をつぶることも出来ずに、ただ目を見開いて一部始終を見ていた。

かがみが左足を踏み込んだ瞬間、こなたの左半身が前に出た。
かがみの刀の軌道はこなたの右腕を通過した。
つぎの瞬間、こなたは左腕でかがみの右手をつかみ、刀ごとかがみの左胸へ押し返した。

かがみ「ウソ…だ………男…私……」

俺は何も言えなかった。
まばたきも出来なかった。
ただその場に立ち尽くした。

かがみが崩れ落ちたのを見計らい、こなたがこちらに近付いてきた。

こなた「男…」

こなた「私…勝ったよ…。」

男「こなた…お前…右腕…」

こなた「さすがかがみんだね。無傷では勝てなかった。」

男「勝てなかったって…お前…みんなは………。」

こなた「みんなでさー決めたんだ。真剣勝負で勝った人が男と一緒になるって。」

そこまで言うと、こなたは俺にもたれかかってきた。
右腕のあったところから、おびただしい血が流れ落ちる。

こなた「ねーおとこぉ…私を選んでくれるよね…?」
こなた「ずっと…好きだったんだよ?」
こなた「………なんだか寒いなー……」
こなた「おとこぉ………あっためてぇ………」
こなた「…………」

男「…こなた?」
男「おい…こ…こんな雨の中で寝てたら風邪ひくぞ?」
男「…は…早く帰ろうぜ…?」
男「みんな…一緒にさ…」










【第二十四話(裏√);オフロ】


…雨が強い。
辺りにはとっくに夕闇が降りていて、屋上から見える夜の街の明かりは、雨に濡れてどこか幻想的だった。

白石「おっ…!男じゃないか。どうしたんだ?傘もささずに。」

男「…ああ白石…傘忘れちゃってさ…。家帰ったら風呂飛び込むつもりだから…。」

白石「そ…そうか…?」
白石「あ…そう言えばさ、俺がバイトでアシスタントしてる番組で今度うちの学校の女の子紹介しようかって案が出てるんだけどさ、お前、泉と仲良かったよな?番組に出演…と言っても写真だけだけど、交渉してくんないかな?俺泉とはあんま喋んないし。」

男「こなたが出演…?へえ…いいよ。…こなた…喜ぶだろうな。…家帰ったら聞いてみるよ。」

白石「おー!サンキュー!!じゃあ頼んだぞー!」

男「ああ…。」

白石は歩いて行った。


男「…こなた、聞いたか?お前ラッキーちゃんねる出れるみたいだぞ?良かったな…あんまりハメ外して恥かくなよ?」

男は右手に持った大きなバッグに向かって微笑んだ。

家に着き、男は風呂にお湯を張る。

男「こなた、寒かったろ?…今風呂にお湯入れてるから。」

「…」

男「えっ?一緒に入りたいのか?…しょうがないな、今回だけだぞ。」

「…」

男「ばーか…何言ってんだよ。全くお前は…。」

男は膝をたたんだ体勢のこなたを、後ろから抱き締めるようにして、一緒に湯船につかる。

男「…どうだ?温まってきたか?」

「…」

男「うん、そうだな。ずっと雨の中に居たからな。」

「…」

男「そんな事ねーよ!!第一お前胸とか、小学生並じゃねーか!!」

「…」

男「…はいはい、そうですね。」

「…」

男「しょーがねーな…何がいいんだ?またカレーか?」

「…」

男「お前だって結構得意だろ。今度はお前が作ってよ。」

「…」

男「うん…そうだな…。」

「…」

男「そろそろ上がろうぜ。のぼせちゃうからさ。」

「…」

台所でカレーを作る男。

男「もうちょっとで出来るからなー。」

「…」

男「そんな事言ったて、しょうがないだろー。あっ明日の夜になれば一晩寝かせたことになるよ。」

「…」

男「うん…親いないんだし、泊まってけよ。」

「…」

男「こらー![禁則事項です]はしばらく禁止だろーが!!」

「…」

男「しょうがない奴だな…」

「…」


男は食卓に二人分の夕食を運ぶ。

男「うまいかー?」

「…」

男「ん?じゃあソースとかかける?」

「…」

男「へー…確かにマヨネーズは変わってるな。」

「…」

男「俺?俺は特に何も入れないけど。」

男はこなたを自分の布団に寝かせた。
強く握ったまま、開こうとしないこなたの手を見て男の脳裏にこなたの言葉が甦ってきた。
『…手、離したくない…。』
男の目に、やっと涙が溢れてきた。

男「こなた…こなたぁ…お願いだ…もう一度だけ目を開いてくれ…!!!」
男「また一緒にアキバ行ってやるよ!…これから毎週お前に付き合ってやるよ!」
男「だから…!!!」

男の涙がこなたの白い肌に落ちる。
しかし、ドラマのようにこなたが目を開ける事は無い。












【第二十五話(裏√);ゲーム】


…ヴゥン

男「…?!」

突然パソコンの電源がひとりでに入った。

男「なんだ?故障したのか??」

デスクトップが開くと、画面に見慣れないページがひとりでに開いた。

[メールがあります!]
【送信者:observer】


男「…なんだこれ?」

男はメールを開いた。

【本文:洞窟で待ってるよ。】

男「…洞窟…??」

『イタズラか?』男の頭にはまずその言葉が浮かんだが、同時にいつかのこなたの言葉が浮かんだ。

『…危険なんだよね。』
『…情報収集しよう。』
『…名前は…』
『シュレディンガーの洞窟。』

男はほぼ自動的に、オンラインゲームにログインした。
…少しでも、こなたとの思い出に浸っていたい、という気持ちと、もしかしたら行方不明の黒井先生かもしれないという思いが、男の指を動かした。

[ようこそ!makotoさん!]


ゲームの中には、黒井先生も…もちろんこなたも居なかった。

男はひたすらモンスターを倒していた。
こなたに連れられて狩りをしているうちに、男のレベルもだいぶ上がっていた。
男は、大切な物を失ったこと悲しみを、モンスターに向ける刃に変えてひたすらタイプした。

…男はふと、不思議な感覚に襲われた。
まるで、自分がそのゲームの中で実際に行動しているような感覚がする。
…モンスターの爪が、男の肩を掠める。肩に鈍い痛みが走る。
…薬草をかじる。言いようのない苦みと共に、疲れが飛んで行く。
…チョプロン村から、ひたすら北に向かって走るうちに、男は完全にゲームの中に居た。

男「…なんだこれ….hakeかよ…でも…どうでもいいや…。」

気がつくと男は、見慣れない洞窟の入り口に居た。

男「これがこなたの言ってた洞窟か…。」

洞窟の入口は、断崖の中腹に口を開いていた。
男はためらわず中に入る。
…すると不思議な事に、洞窟の内部は近未来的なコードやボタンなどが並ぶ通路になっている。
壁には何かの公式の様な数式や、物理の記号の様な文字が書かれている。

男「敵が居ないな……………………………………んっ?!!!」

男が少し歩くと、入口のあったところが、周りの壁と同じような数式の並ぶ壁に変わった。

男「なるほどな…行った奴が帰って来ないって言ってたもんな。」

男はすでに恐怖など無かった。
その後は一度も振り返らず、ただ奥へと進んだ。

15分ほど歩いただろうか…目の前に大きな扉が現れた。
扉には大きく『知性の間』と書かれていた。
扉には鍵がかかっており、ドアノブらしきものの上に『カードキー挿入口』と書かれている。

男「カードキー…?」
男はカバンを漁りながら考えた。
『俺…そんなもの持ってたかな…?』


 (オートセーブしました。『最終分岐・裏』。)

① ―――そんなもの持ってないな。
② ―――俺は『   』を手に取った。

※②を選ぶ場合は『 』に入るアイテム名を書いてください。

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最終更新:2008年11月06日 14:35