…何でも逃げてちゃだめだ。明日、こなたに言おう。
つーか、それだけの事なのに俺は何を躊躇ってるんだ。
何だか親父の事で色々あって逃げ腰になってたけど、テストも終わった事だし週末はつかさと遊びに行くんだ。
気分転換もかねて、こなたとの変なわだかまりも無くしておこう。
また昔みたいに遊べるようになるかもしれない…腹を割って話せるようになるかもしれない…。
そう思うと何だか心が落ち着いて、すうっと眠りに入った。
男「…どうだ?温まってきたか?」
こなた「うん。でも何だか男の手が冷たいなー私の手もだけど。」
男「うん、そうだな。ずっと雨の中にいたからな。」
こなた「…男の冷たい手が今私の胸に触れた件…。だいぶエロゲの知識がついたみたいだね。」
男「そんな事ねーよ!!第一お前胸とか、小学校並じゃねーか!!」
こなた「むぅ…ひんぬーをバカにしたなー!ひんぬーはステータスだよ!」
男「…はいはい、そうですね。」
こなた「なーおとこー…お腹すいた。」
男「しょーがねーな…何がいいんだ?またカレーか?」
こなた「うむ。いやー男が料理出来る人で助かるなー」
男「お前だって結構得意だろ。今度はお前が作ってよ。」
こなた「……一緒に住むようになったらさ、料理は分担だね。」
男「うん…そうだな…。」
こなた「おとこぉ…」
こなたが頭を後ろに倒し俺にもたれ掛かる。
俺は少し恥ずかしくなって、そっぽを向いた。
男「そろそろ上がろうぜ。のぼせちゃうからさ。」
こなた「男もツンデレかぁー。」
朝。目が覚めた。
男『…なんつー夢だ…』
電車に乗る。
次の駅でみんなが乗ってきた。
かがみ「おはよ。」
つかさ「おはよー!」
こなた「おーす、おとこ!」
男「…おはよ、みんな。」
『…こなたをまっすぐ見れない…』
つかさ「…どうしたの、男君?元気ないよ?」
かがみ「ホントね…寝不足?」
こなた「男は私より先に落ちたのに…さてはギャルゲに移行したな!」
男「アホ!すぐに寝たわ!てか俺より遅くまで起きてて何でそんな元気なんだ!」
こなた「私はこの後三時間ほど寝られるからいーのだよ。」
かがみ「あんたねぇ…テスト終わったからって気抜きすぎよ!」
こなた「いやー遊べるうちに遊んどかないとさー今が一番遊べるときだよ?」
かがみ「あんたは一生そう言ってそうだわ…。」
つかさ「…」
男「…つかさこそ元気ないな?どうかしたの?」
つかさ「あっ…何でもないよー!」
つかさ『…男君…やっぱりこなちゃんと仲良いなぁ…』
なんだかんだで教室に着いた。
午前中の授業。
ぼーっと黒板を見ていると、今朝の夢がよみがえる。
こなた『…おとこぉ…』
俺は頭を大きく横に振った。
『ダメだダメだダメだ!!俺は授業中何考えてるんだ!!!!』
隣の席の白石が話しかけてきた。
白石「…おい、大丈夫か?男…。」
男「ああ…俺は至って正常だ。」
黒井先生「…じゃあこれはそこの雑談ブラザーズに答えてもらおかー!…うーん、じゃあ白石!答えやー。」
白石「そっ…そんなぁ……」
午前中の授業が終わった。
授業後、黒井先生が話しかけてきた。
黒井先生「おーい男、放課後、職員室に来ーや?」
男「えっ…分かりました…。」
『うわ…怒られんのかな…』
昼休み。
いつものみんなでご飯を食べる。
みゆき「そういえば男さん、今日は随分と眠そうですね?大丈夫ですか?」
こなた「あーみゆきさんそれはねー…」
男「だまらっしゃい。」
つかさ「……。」
かがみ「……。」
みゆき「??」
放課後、黒井先生に言われたとおり職員室へ行った。
男「失礼します。」
黒井先生「おーこっちやー。」
俺は黒井先生の机に向かう。
男「えーっと…何でしょう?」
黒井先生「…緊張せんでええでー。別に説教する訳じゃないからなー。」
男「あっ…そうですか。」
そう言うと黒井先生は少し目を閉じて息を吐いた。
黒井先生「あのなー…お父さんの事、残念やったな。」
男「…その事ですか。俺なら大丈夫ですよ。」
黒井先生「…辛いこととか困ったことあったら言いや…な?」
男「…はい。ありがとうございます。…先生ってなんだかうちの死んだ母に似てますね。」
俺はくすっと笑った。
黒井先生「そっ…そうかー?!」
男「ええ。お節介なくらい人の事心配してくれるんですよ、母も。」
黒井先生「…悪かったなーお節介で。」
男「いえ!ありがとうって言いたかったんです。」
黒井先生「…はー…男のが一枚上手やなー教師としての自信なくすわー…」
一人で帰ろうとして、校門を出ると、つかさ、こなた、かがみ、そしてみゆきさんが俺を待っていた。
男「みんな…!」
つかさ「男くーん!お疲れ様っ!」
男「どうしたの?待っててくれたんだ?」
かがみ「まぁね。男一人置いて帰るのもかわいそうだからね。」
こなた「で、せんせーにはどんな説教されたんだい?」
男「あー…授業中寝るなってさ。」
俺は父のことはあえて伏せた。
男「てか何で明らかに寝まくってるこなたが怒られないんだ!」
こなた「いやー私の前のみゆきさんが姿勢良いから、うまい具合に死角になってるんだよねー!みゆきさん、いつもお世話になってます!」
みゆき「えっ?えっ?…あの…ど…どういたしまして…?」
その日はみんなでゲマズに寄ってから帰った。
柊家の前でつかさ、かがみと別れる。
つかさ・かがみ「また明日ー」
こなたと短い距離を一緒に歩く。
男「…なぁこなた…」
こなた「ん?何だーおとこ?」
男「あのさ…」
『…おとこぉ…』
男「…何でもない。」
こなた「…?」
今日は無理です…言うのは明日にします…。
次の日の放課後。
やっとの思いで俺はこなたに言う決心がついた。
みんなと別れた後、俺はケータイを取り出しこなたにメールを打つ。
【to】
泉こなた
【タイトル】
突然なんだけどさ
【本文】
今からちょっと会わない?消化したゲーム返すから。
…返信はなかなか来なかった。
夕方の五時過ぎ、やっと返信が来た。
【from】
泉こなた
【タイトル】
遅れてすまぬ
【本文】
ケータイを携帯してなかったよ。
で、今から行っても迷惑ではないかい?
【to】
泉こなた
【タイトル】
Re:遅れてすまぬ
【本文】
大丈夫だよ。じゃあ家で待ってるから。
【from】
泉こなた
【タイトル】
Re:Re:遅れてすまぬ
【本文】
おK!
あーこれでもう言うしかなくなったな…。
ピンポーン
こなた「おじゃましまーす。」
男「おーわざわざ悪いね。」
こなた「では早速、男の成果を見せてもらおうか。ニヤリ」
そう言うとこなたは俺の部屋のパソコンをチェックし始めた。
…
こなた「ほうほう…約半分を消化したみたいだね。」
男「まあな。」
こなた「じゃあ新たに持ってきたのを足すと、始めより多くなる訳か。」
男「なん…だと…?」
そう言うこなたの鞄からさらに大量のギャルゲが溢れ出した。
男「…俺を連日寝不足にする気か!!」
こなた「するかしないかは、男の自由です。しなかった場合は楽しい罰ゲームが待っています。」
男「………どんな?」
こなた「ロシアンおはぎ。」
男「殺す気か。」
ゲーム談義はひと段落ついて二人でお茶を飲みながらだべる。
男「…なあ、こなた。」
こなた「ん?」
男「お前ってさ、昔からそんなゲーム好きなのか?」
こなた「……まーね。お父さんの影響かなー。」
男「まー確かにあの人、大人のくせにゲームとかアニメとか大好きだよな。」
こなた「………。」
男「……こなた??」
こなた「なぜ知っている?」
男「えぶはぁぁっ!!」
俺は飲んでたお茶を吹きだした。
アホか俺はーー!
昔の話から自然に持っていこうと思ってたのにーーー!!
こなたが訝しげな表情で俺を見ているので、咳きこむのが治まったところで俺は喋り出した。
男「…えーと…なんだその……」
男「…今までさー確信持てなかったから言わなかったんだけどさー…」
こなたは少し首をかしげて、俺をまっすぐ見ながら俺の言葉を聞いている。
男「昔さ…俺ら、近所に住んでなかったっけ…?」
…
沈黙が流れた。
…
沈黙を破ってこなたが口を開いた。
こなた「…………………おとこ…。」
男「……うん。」
こなた「…気づいてたんだ…幼馴染だって…。」
男「…こなた……じゃあやっぱり…。」
こなた「うん…。」
また少しだけ沈黙が流れた。
しかし、こなたがゆっくりとこちらに近付いてきて、空気が動いた。
…そして、ゆっくりと俺に抱きついた。
男「こっ!!…こなた!!」
俺は昨日の夢が脳裏をよぎり、こなたの匂いを感じて焦った。たぶん顔は真っ赤だっただろう。
しかしこなたの思いはそんな俺のものとは違い、あの頃のままで純粋だったんだと感じた。
こなた「男…ただいま…。」
男「………こなた…………おかえり……。」
こなた「うん……。」
こなたは俺の胸に顔をうずめていた。
…しばらく俺達は抱き合っていた。
抱き合った体勢のまま、こなたが顔を俺の方に向けた。
こなたの息遣いを感じる…。
こなたの目は、少し腫れぼったい。
俺は無意識にこなたの長い髪をなでていた。
こなた「…おとこぉ……。」
男「…うん。」
こなた「…わたしもさ…気づいてはいたんだ…。」
男「うん。」
こなた「でもね…私からは言わないって決めてた…。」
男「…なんで?」
こなた「何も言わず引っ越したから、怒ってるのかと思ってた。」
男「そんなこと無いよ。…ただ言い出す勇気が無かったんだ。」
こなた「…うん、私もそうだったのかもしれない…。」
男「…あ。」
こなた「何?」
男「こなたに言わなきゃいけない事があったんだった。」
こなた「…うん、何?」
男「こなた……昔、俺と一緒に居てくれてありがとう…。」
こなた「…え?」
男「こなたは知らないかもしれないけど、俺昔いじめられてた。でもお前だけはいっつも同じように俺と接してくれて…それが俺の支えになってた…。俺…お前が居なかったら…」
こなた「おとこ…。」
男「うん…。」
こなた「男がいじめられてたとか、カンケーないよ。私にとっては…男はずっと大切な友達だよ。」
男「うん…。」
こなたの髪の毛に、少しだけ水滴が落ちた。
こなた「なあ、男…。」
男「うん。」
こなた「私も…男に言わなきゃいけない事あったんだ。」
男「うん。」
こなた「おとこ…笑わない?」
男「…何を?」
こなた「…これから言う事。」
男「…そんなに面白い事なの?」
こなた「…ある意味では…。」
男「じゃあ、笑わないように努力するよ。」
こなた「………」
男「………」
こなた「…おとこ…。」
男「うん。」
こなた「私…男の事………好きだった………ずっと…。」
男「へっ………?!」
こなたの口から出た言葉は、決して『笑える事』なんかじゃなかった。
…俺は…こなたの事を『女として』好きなんだろうか…?
(オートセーブしました。重要分岐③-B表。)
最終更新:2008年07月06日 13:53