京太郎インタビューその8
全国大会Bブロック準決勝を間近に控えた清澄高校。
二回戦で激戦を繰り広げた姫松高校だけでなく、シード校の臨海高校、瑞原はやりプロが注目する有珠山高校など、準決勝も波乱となるであろう。
SK君は次の試合、どうなると思いますか?
京太郎「清澄が絶対に勝つ! ……って言いたい所ですけど、正直分からないですね」
拮抗しててどう転ぶか分からないと?
京太郎「というか、次元が高過ぎて俺にはさっぱりって感じですね」
次元、ですか。
京太郎「部長とかは誰々にはこの牌が集まりやすいとか、この役で上がることが多いとか、こういう能力を持ってるとか当たり前に言うんですけど。和はそんなオカルトあり得ませんって言いますし、俺も懇切丁寧に説明されてもなんのこっちゃというか」
確かに超能力としか思えない打ち方をする選手は多く見受けられますからね。
京太郎「俺レベルだとテンパイ出来るだけで良く出来た方ですしね。ダブルリーチとか出した事もないっす」
宮永選手は良く嶺上開花で上がっていると思いますが?
京太郎「ええ。だからあいつもなんのこっちゃ枠ですね」
そう言えば、東京で知り合った選手達とは今でも連絡を取っているんですか?
京太郎「そうですね。頻度は個人差あるんですけど、大体全員と」
S君一人でそれ全部に応対するのは大変じゃありませんか?
京太郎「んー。まぁちょっと多いかもしれませんけど、元々空いた時間はダチと電話やらなんやらで駄弁って時間潰すタイプなんで、苦ではないですね」
リア充ですね。
京太郎「はは。これで彼女でもいたら完璧ですけどね」
いないんですか?
京太郎「出来たこともありません」
みなさん朗報です。S君は現在彼女募集中のようです。
京太郎「そういうのやめてくれませんかね!? 割と切実に!」
連絡頻度が一番高いのは誰ですか?
京太郎「やっぱ淡ですかねー。あいつ遠慮が無いですし、スマホ慣れしてるからかコメントが早い早い」
やはりドラゴ○ボールの話題ですか?
京太郎「電話では大体そうなんですけど、LINEだと他のしょーもない話が割合多めですね。お菓子送れーとか、構えー遊べーとか」
出来立ての彼女みたいですね。
京太郎「そんな甘い感じじゃ全く無いんですけどね。ナチュラルに人を傷付ける言葉も飛んてきますし」
連絡先を知った人とは直接会っていますか?
京太郎「いえ、この前誘われた一回だけです」
誘われた?
京太郎「あー……。昨日ですけど、宮守のみなさんがお礼も兼ねてということで、海に誘ってくれたんですよ」
海に、ですか。
京太郎「はい。なんでも、団体戦が終わってから個人戦までは東京で観光するという事になったらしくて。昨日は永水の人達と一緒に海にってなって、そこに俺もと」
永水というと、あの選手全員が巫女服を着ていて、シード校で清澄とも二回戦で戦った。
京太郎「その永水です」
いつの間にか宮守の方々と繋がりが出来ていたんですね。
京太郎「俺も経緯は知りませんが、何かきっかけがあったんでしょう」
男性も来る事に何か言われませんでしたか?
京太郎「いえ、事前に話は通してたみたいで、俺が誘われた時にはもうOK貰ってたみたいです」
とすると、宮守と永水の選手達と海に……。
京太郎「ええ、はい。流石に水着は無かったんで、自腹で買って行きました」
みなさんお美しいですから、水着姿は眩しかったのではないですか?
京太郎「そうですねー。目の保養になったのはいいんですが、それを見てナンパしようとするチャラい男もいましたから、追い払う為に何回も呼び出されましたよ」
もしかして彼氏のフリをして追い払ったんですか?
京太郎「あー……。そうですね。基本的にはそれで男連れと知って諦めてくれるんで。石戸さんなんかは傍に薄墨さんがいたからか「夫です」とか言ってて」
確かに身長差とか雰囲気諸々で親子に見えなくもないですね、あのお二方。
京太郎「薄墨さんはそらーまぁキレてましたね。ムキになって俺に「私の彼氏として振る舞いやがれですよー」って命令されてまして。何故か俺がしばらくそれっぽくすることに」
何回も「彼氏です」と呼び出されたということは、何人もの美少女を侍らせてる男の子と認識されていたのでは?
京太郎「周りから俺への視線が段々とキツくなってたので、多分そうかなって……」
基本的には諦めてもらえたとのことですが、諦めが悪い人もいたんてすか?
京太郎「ええ。ちょっと人数多くて、物陰に連れ込んで俺ぶちのめせば連れてけるんじゃね? って考えたのであろう乱暴者もいました」
大丈夫だったんですか?
京太郎「ええ。ハギヨシさんから護身術を学んでたお陰で」
護身術?
京太郎「カポエイラです」
カポエイラ。
京太郎「東京にボディガードも務めて行くなら、格闘技の一つでも身に着けた方がいいって言われまして。何がいいかと聞かれたら、じゃあカポエイラがいいと言ったんですよ」
何故カポエイラを?
京太郎「最近読んだマンガでバトゥ○キってのがあって、カッコイイなー強いなーと思って。まぁ影響受けてコッソリ動き真似してたんです」
中々マイナーな格闘技だと思いますが、教えてもらえたんですか?
京太郎「はい。ハギヨシさんって護身術として格闘技は大体修めてるとか」
護身術の域を超えていませんかそれ。
京太郎「しかもカポエイラ一つですらメストレ……道場で言う師範くらいのレベルは絶対にありましたからね……」
京太郎「まぁそんなこんなで、みんなが見てない所で応戦したんですけど、そんな人の教えもあって怪我なく撃退出来ました」
撃退ですか。
京太郎「と言っても向こうにも怪我はさせませんでしたし、ちょっとビビらせて帰らせただけなんで。喧嘩問題起こしたとか思わないでくださいね?」
分かりました。記事にする時は擁護の内容で書いておきます。
京太郎「喧嘩が起きた前提じゃないですかそれ」
そんなトラブルもあったそうですが、楽しく過ごせましたか?
京太郎「ええ。みなさん楽しくて良い人達でしたし、海でやるイベントは大体こなしてたので。スイカ割りとか、砂の城とか」
ラッキースケベとか。
京太郎「だからそういう方向に突っ走ろうとするの止めてくださいて」
起きたんですか?
京太郎「……ノーコメントで」
彼女達のナンパはS君が追い払っていたそうですが、S君は逆ナンとかされていませんでしたか?
京太郎「えー……? あったといえばあったような、無かったといえば無かったような……」
グレーな出来事があったんですか?
京太郎「えーと。年上の女性二人に「写真撮ってください」って声掛けられまして、海を背景に二人の写真を撮ったんですよ」
ナンパの常套手段の一つじゃないですか。
京太郎「やっぱそうなんですかね? それで、記念にとかで俺とも写真を撮ろうと言ってたんですが、撮る前に滝見がやってきて「……私の彼氏にちょっかいかけないでください」と言って引っ張られまして」
ヤキモチですか? ヤキモチですね?
京太郎「いえ。俺が翻弄されてたから助け舟出してくれたんだと思いますよ」
……そうですか。
巫女さん特有の神秘的体験とかありましたか?
京太郎「わざわざ聞くようなことですか? ……まぁあったといえばありましたが」
ほほう。何があったんでしょうか?
京太郎「神代さんって仲間内では姫様って呼ばれてて、なんか神様を降ろすことが出来るとかなんとか言うらしくて」
神様を降ろす?
京太郎「なんか神様に憑依される感じらしいです」
神秘的ではありますが、それは中々……。
京太郎「まぁ俺も眉唾物だと思ってたんですけどね。その神代さんは普段健気で天真爛漫って感じの人なんですけど、ある時急に人が変わったみたいに顔つきが変わっちゃいまして、あまり喋らなくなったんですよ」
変わった、と言いますが、神様憑依とか言われましても……。
京太郎「それだけならそうなんですが、その状態の神代さんと力比べした時に、ちょっと元の神代さんだと考えられないぐらいの力で押し負けてたんですよ」
力比べって、何をしたんですか?
京太郎「あー……まぁ、腕相撲的な? 俺も突然の事態でよくわからんかったので」
はぁ……。
京太郎「それで、その神代さんは駆けつけてきた他の永水の人達に連れて行かれた後、しばらくして戻ってきた時にはケロッと元に戻ってて。さっきまでにあった事は全く覚えてない様子だったんですよ」
なにそれこわい。
京太郎「あれで演技とかドッキリとかだったら大したもんですけど、それだと普段の腹芸とか全く出来なさそうな雰囲気も演技って事になるので。それだったらまだ神様憑依とかの方が信憑性あるかなって感じで」
神様憑依の方が信じられるとか相当ですよ。
京太郎「まぁそれだけ不思議な体験だったってことで。宮守のみなさんとも楽しく遊んでたんですが、その日の出来事としては永水の人達がインパクト強めだったかな、と」
成程。ちなみに連絡先交換はしたんですか?
京太郎「ええ。宮守の人達は臼沢さんだけと交換してたんですが、その時には永水のみなさんも含め全員と」
関わり合った人とは今の所みんな連絡先ゲットしてますね。
京太郎「まぁ普段住んでる所が違うから、一期一会の気持ちでってのもあるんでしょう」
そうでしょうかね……。
京太郎「俺もそんな気持ちですから、そうじゃないですかね」
では、最後に何か一言。
京太郎「この季節の海はあっという間に焼けるので、焼けたくない人は日焼け止めを持っていきましょう」
最終更新:2021年09月04日 23:25