「複比例」とは

 複数の比例・反比例を組み合わせた関係を総称して「複比例」といいます。
 例えば、3つの数量△、○、□について、
  • ○の値を固定し、△の値が2倍、3倍、…になれば、それに対応して□の値も2倍、3倍、…になる
とともに
  • △の値を固定し、○の値が2倍、3倍、…になれば、それに対応して□の値も2倍、3倍、…になる
とき、「□は△と○に複比例する」と言うことができます。
 比例の式は,y=ax(小学校では例えばy=k×x)となるのに対して、複比例の式は例えばz=axyと表せます。その定数a(複比例定数)を1とした、z=xyという式は、xとyという2つの異なる量をもとに,新たな次元の量を導出するための基本式となります.

学校の学習

 小学校では,数量関係のゴールの一つが「比例」ということもあって,複比例まで教えることは皆無です.長方形の面積は、複比例の一種と見ることができます。
 高校の化学で,理想気体の状態方程式PV=nRTを導く際に,「気体の圧力Pは、体積Vに反比例し、絶対温度Tに比例する」という性質(ボイル=シャルルの法則)を使用します。ここに複比例の関係が見られます。

文献

 文献:中島1968a文献:中島1968b文献:銀林1975b文献:森2009(「次元を異にする3種の乗法」)、文献:Vergnaud 1983など、数学や数学教育に携わる様々な人が、乗法の意味や構造に関連づけて、複比例を取り上げています。

外部リンク

最終更新:2013年08月21日 06:30