涼宮ハルヒの一言
「ただの人間には興味ありません。この中に、宇宙人、未来人、超能力者が居たら、私の所へ来なさい。以上!」
俺はあの100%純粋変人(あれ、矛盾してるな)が発する夢遊病患者が言いそうな台詞を思い出していた。
もしこの台詞が妖怪とかだったら長門や朝比奈さん、古泉は全く違う物になっていたかもしれない、って事だな。
うん、意味が分からないか。
例えばだな、この台詞の『宇宙人』『未来人』『超能力者』という単語が、
『妖怪』『魔女っ子』『幽霊』とかなら、
あの三人はこの意味不明なアビリティ(とは少し違うと思うが)を身に付けている事となる。
だとすれば、今の生活はどうなっていたんだろう。
俺は、妙な好奇心に狩られて、
コンピ研から頂いた(ま、勝負に勝ったから正当だな)ノートパソコンでワードソフトを開いて、
「ハルヒの一言で今の生活がどう変わるのか考える」という無駄に長いテーマで考えてみた。
で、考え付いたのがこれである。
【長門が『宇宙人』ではなく『メイド』だったら】
え?何故メイドかって?
いやいや、待て待て。そんな軽蔑の目で俺を見るんじゃない。
ポリスマンもいらんぞ。
いやな、俺だって普通の男子高校生だぞ?朝比奈さんのメイド姿が飽きたわけではない。
長門だぞ?(谷口による)Aマイナーの長門だぞ?いや、関係ないか。
どちらにせよ、あの年中営業しない無表情の顔で、メイド服とか着られたら普通に卒倒とかしないか?
待てっつーの。ドクターもしていらねーっつーの。
無口キャラがメイド服だなんて、そそられるだろ?俺じゃなくても。
大体、普通の高校にメイドさんはいないのだから、宇宙人くらい珍しいものだと俺は思うんだ。
そんな訳で(どういうわけだとかいうツッコミはいらんぞ)、もし長門がメイドだったらという事で、
今の生活がどう変わるのか考えてみたい。
この話は、憂鬱な学校の授業が終わり、放課後の文芸部室の事、という設定である。
「・・・・」
俺が午後の授業での憂鬱な睡魔との戦いに打ち勝ち、ようやく部室へ来た所で、
長門と二人きりでまた睡魔と戦わなければならないのかとまた憂鬱になって机にかじりついている所へ、
「・・・・」
音も立てずに長門が俺の隣へと立っていた。
朝比奈さんが着ているメイド服を着ている長門である。
朝比奈さんが着ると天使と見間違えそうなくらいに見栄えがするものだが、
長門が着てもこれまた馬子にも衣装という言葉は秀逸な言葉だなぁとか心の中から褒め言葉と賞賛の拍手の大喝采を飛ばしつつ、
その神々しさに唖然となる俺だった。俺ってこんなに器用だったのか。
「・・・・どうぞ」
その言葉で我に返った俺は、長門が手に持っているものに気づいた。
お盆に一つ、ティーカップが乗っている。湯気をモクモクと立てているカップ、
その中に入っている黒い液体は、淹れたてコーラ・・・じゃなくて淹れたてコーヒーである。
「あ、ありがとう」
俺は、長門が差し出すティーカップを受け取った。
早速一口。
「お・・・」
絶妙な苦味が、俺の最大の敵である睡魔を一気に吹き飛ばしてしまった・・・。
それにしたって美味い。
「おいしい?」
久々に聞く疑問文である。
「ああ、美味いぜ」
ここで「不味い」とか言うほど俺は天邪鬼ではない。
「そう」
長門は無表情なままなのだが、表情のどこかに安堵したかのような感情を感じた。
うーむ、SOS団の特権か。長門がメイドになってご奉仕するだなんて、
ありえんことだろうな。天変地異でも起こりそうな位の奇跡かもしれん。
「・・・」
俺がくだらない事を考えている間に、長門は黙々と(当然だが)掃除に取り掛かった。
ちょこまかと周りと綺麗にしていく長門を見るのも、またオツなものである。
っと、ここまで書いて考えてみた。
ただの俺の願望じゃねーか。
そして、最初の説明は何だ。何が普通に卒倒だよ。
もしかして、俺は誰かに操られたのか。ハルヒか。
なんて言い訳しても意味が無い。俺は誰かに見られる前に書いた文を削除し―――
「これがあなたの願望?」
「あああああ!」
俺はノートパソコンをアメフト選手がボールを死守する時のようにイスから転がり落ち、
電源を即座に切った。強制終了だ、悪いか!
「・・・?」
長門は凝視しないと分からないくらいに顔を横に傾け、「どうして逃げるの?」といった表情でこちらを見ていた。
畜生、なんてこった。よりによって本人に見られるとは・・・!
「・・長門が『宇宙人』ではなく『メイド』だったら。え?何故メイドかって?
いやいや、待て待て。そんな軽蔑の目で―――」
「うああああ!なっ、長門!復唱しなくていいからーーーっ!」
鏡なんか見てなかったんだが、多分この時の俺の顔は耳まで真っ赤になってたに違いない。
「長門が『宇宙人』ではなく『メイド』だったら。え?何故メイドか―――」
「なっ、長門っ!長門っ!落ち着け!」
なーんて、俺が言える台詞でない事ぐらいもう一億年くらい前から分かっていたと言うか、
そんな事言ってる俺は大丈夫なのかとかまぁいいつつ、落ち着け落ち着けと呪文のように唱え続けつつも、
ああもうなんだか自分がめんどくせーだの何だのと意味の分からない事を言ってる自分の意味の定義がああもう何がなんだか。
とにかく、5分くらいごたごたがあってだな・・・
「・・・怒ってるのか・・(ハァ)・・長門・・・(ハァ)」
俺なんか息切れしてるぜ!畜生・・・
長門が無口なのはいつもの事なのだが、俺が返答を求めても全く喋らないというのは、
何だか怖いじゃないか。いやいや、俺が長門と良い関係が築けているとかそういった事じゃなく。
「・・言ってくれれば・・」
突如、長門は口を開いた。
「言ってくれれば、良かった」
「へ?」
「メイドさんがいいなら・・・メイドさんがいいと」
あんぐり。無論、今の俺の動作の擬音である。
口を開けてポカンとするしかない俺に、長門は追い討ちのように喋り続ける。
「朝比奈みくるのようなプロポーションなど不必要」
「へ??」
「朝比奈みくるのプロポーションは、運動等にとても不向き。
現に本人も運動オンチ。それでもあなたのような男性は何故か魅かれる。
これは、この青い星での永遠の謎。私には有機生命体の『魅力』という概念が理解不能」
…感情的に言わせてもらうぞ。
なんだこれ。宇宙人の嫉妬・・・って奴なのか?
いやいや、長門も可愛いだろ。普通に。いや、そりゃあスレンダー体型なのを気にしたりするのも分かるが、
そういうのにも需要というのが―――
いや、やめておこう。これ以上言うのは。これ以上俺の品位を下げるわけにはいかんからな・・・
「――で、長門。こういう言い方もなんだが、お前は俺に何を言いたいんだ」
「ここ」
「は?」
一瞬。ちょっとまばたきしただけだった。いつの間にか長門の住むマンションの部屋へと、
ご丁寧に下足の状態で招き入れられていた。
「・・・長門?」
長門の宇宙的パワーの使い方の間違いに驚く前に、
なんじゃこりゃ・・・なんで俺は部屋に呼ばれたのか・・・
隣の部屋の襖が開き、
「あなたにご奉仕する」
出てきた長門は・・・見事なメイド服を着ていた。
朝比奈さんが着ているのとは違うもので・・・
えー、なんと言うべきか。これがいわゆる『ゴスロリ』と言う奴なのか・・・
長門は真っ黒なメイド服でミニスカという目のやり場に困る格好をしていた。
一言で言おう。長門、どうしちまったんだ?
「どうもしていない。ただ、朝比奈みくるに対する批評と、私に対する批評に温度差があった。神々しいって何」
「い、いやな長門。それは褒め言葉で・・・」
「大仏みたい」
「ええ?いやいや長門」
「地球の言葉は難しい。でも、今の私の状態を表せる言葉は一つだけだと思う」
「え、それは―――」
「かわいい、でしょ?」
…気づいた。夢だな。うん、そうだそうだ。
いくらなんでも長門がそんな事を言うなんてありえねーよな。うん。
さて、そろそろ妹の目覚ましキックでも来るんじゃねーかと夢の中で身構える俺が・・
「違う。夢ではない。私は真剣」
ずいっ、と長門が俺の目前に近づく。ちょっと、近い・・長門・・・?
「私と言う固体はあなたと一緒に居る事を望んでいる」
「ええ?」
…もう何が何だか。
あとがき
かなりしょうもないですw
しかも、これまだ未完なので・・・(爆
最終更新:2009年03月20日 20:28