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夜神総一郎は、捜査一課の刑事である。
現在、都内で発生した大量殺人事件により警察は多忙を極めている。
だが大規模な捜査にもかかわらず、事件は解決の糸口すら見えていなかった。
総一郎は、その理由を知っていた。知ってしまっていた。
警察には、この事件は解決できない。なぜなら、彼らは皆ただの舞台装置なのだから。


◇ ◇ ◇


「ただいま」

総一郎が自宅に戻ったのは、すでに日付が変わった深夜だった。
居間に足を踏み入れると、そこには真剣な面持ちでテレビのニュース番組を観る息子の姿があった。

「おかえり、父さん。相変わらず大変そうだね」

父の姿を確認した息子は、笑顔で話しかけてくる。

「まあな。母さんと粧裕はもう寝たのか」
「うん。さすがに時間が時間だからね」
「お前もなるべく早く寝た方がいい。若いといっても、睡眠は大切だ」
「これが終わったら寝るよ。父さんも帰ってきたし」

ニュースは、件の大量殺人について報じている。
とはいえ捜査が進展していない以上、その内容も当たり障りのないものばかりだ。

「その事件が気になるか」
「当たり前じゃないか。父さんが捜査してる事件なんだから。
 警察官も殺されてるっていうし、心配だよ。
 こんな非現実的な事件が起きるなんて、世の中はどうなっちゃったんだろうね」
「…………」

お前はもっと多くの人間を殺してしまっただろう。
その言葉を、総一郎は飲み込んだ。
言ってもどうしようもないことだ。
目の前の息子は、本物をもとに作られたコピーに過ぎないのだから。


◇ ◇ ◇


総一郎に用意された環境は、彼にとってほぼ理想通りのものだった。
妻は死んでおらず、そのため息子との間に確執もできていない。
むろん、息子は大量殺人者などになってはいない。
できることなら、このまま第2の人生を謳歌したい。
仮に聖杯を手にすることができれば、実際にそうすることも可能であろう。
だが総一郎は、その考えを否定した。
超常の力に頼り、他者を踏みにじって自分の願いを叶える。
それはデスノートを使い、犯罪者たちを粛正していった息子の所業と何ら変わりないではないか。
息子と同じ過ちを、父である自分が犯すわけにはいかない。
ゆえに彼は、聖杯戦争に抗う道を選んだ。


「セイバー、いるか」

息子も自室に戻り、一人きりになった居間で総一郎は呟いた。
すると間髪を入れず、霊体化を解いた彼のサーヴァントが傍らに出現する。

「ああ、ここにいる」

総一郎が召喚したサーヴァントは上半身がほぼ裸に近く、その鍛え上げられた肉体を惜しげも無く晒していた。
だがそんな野性的な格好とは裏腹に、顔には隠しきれぬ気品がにじみ出ていた。
本人は単なる異界の戦士に過ぎないと言っていたが、何か隠している素性があるのだろうと総一郎は考えている。

「犯人を見つけるのには、まだ時間がかかると思うか」

ここでいう犯人とは、もちろん大量殺人の下手人のことだ。
警察官としても聖杯戦争に抗う者としても、総一郎はこのような蛮行を見過ごすわけにはいかなかった。
ゆえにセイバーの力も借り、個人的な捜索も行っていたのだ。

「判断に困るところだな……。我々だけで犯人を捜すとなれば、まだまだかかるだろう。
 この東京という街は、聖杯戦争の舞台としてはいささか広すぎる」
「曖昧な答だな」
「問題は、他の聖杯戦争の参加者がどう動いているかだ。
 義憤に駆られ、我々のように犯人を捜す者もいるだろう。
 犯人を恐れ、関わらないようにする者もいるだろう。
 そしてこれを隠れ蓑として利用し、自らも凶行に走る者もいるだろう」
「それぞれがどれほどの割合でいるか、見当がつかないということか」
「そういうことだ。役に立つことが言えなくてすまないな」
「いや、かまわないさ」

うなだれるセイバーを、総一郎は微笑と共にねぎらう。
そもそもセイバーは戦闘に特化した英霊であり、このような情報収集には向いていない。
それでも懸命に付き合ってくれているのだから、それだけで感謝しなければならないというものだ。

「あなたには本当に感謝している。ここまで熱心に協力してもらえているんだからな」
「感謝など必要ない。マスターの命令に従うのは、サーヴァントとして当然のことだ」
「いや、それだけではないだろう。あなたが義務感だけで、ここまで力を入れて私に協力してくれているとは思えない。
 差し支えなければ、どうしてこんなにも私に力を貸してくれるのか聞かせてもらえないだろうか」

総一郎との問いに、セイバーはわずかな間沈黙する。
だがすぐに、答を語り出した。

「簡潔に言うならば共感、だろうか」
「共感?」
「初めて会った時、マスターはこう言った。自分は息子を救えなかったと。
 私も似たようなものだ。息子の命こそ救うことはできたが、その後あいつは長く苦しい道のりを歩むことになってしまった。
 幸い、あいつは苦難を乗り越えて幸せをつかんでくれたが……」
「そうか……。それは何よりだ」

しみじみと呟きながら、総一郎は元の世界の息子に思いをはせる。
部下たちには自分が死んだ場合、息子が犯人であるものとして捜査を進めろと言い残してきた。
遅かれ早かれ、息子は追い詰められるだろう。
法に裁かれるか、命を落とすことになるかはわからない。
どちらにしろ、もはや息子の幸せな未来などはあり得ない。

「さて……そろそろ寝るとしよう。また明日よろしく頼む、セイバー」
「ああ、任せてくれ」

セイバーが再び霊体化したのを確認すると、総一郎は寝室に向かって歩き出す。

(やはり私は、ダメな父親だ……。息子を救えるかもしれないチャンスを、自分から放棄するんだからな。
 だがやはり、多くの他者を犠牲にしてまでつかむ幸せなど間違っている……。
 どうせ一度失ったこの命、聖杯戦争とやらで出る犠牲を一人でも減らすことに使わせてもらおう。
 それがお前を救えなかった私にできる、せめてもの罪滅ぼしだ、月……)

彼が胸に抱く複雑な感情を知る者は、誰もいなかった。





【クラス】セイバー
【真名】パパス
【出典】ドラゴンクエストV 天空の花嫁
【属性】中立・善

【パラメーター】筋力:B 耐久:A 敏捷:E 魔力:D 幸運:E 宝具:C

【クラススキル】
対魔力:B
魔術に対する抵抗力。
魔術詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法などを以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:C
乗り物を乗りこなす能力。
野獣ランクの生物は乗りこなせない。

【保有スキル】
回復魔法:D+
傷を癒やす魔法を使える。
低ランクの魔法しか使えないセイバーだが、なぜかその回復効果は常人より高い。

連続攻撃:A
一呼吸で2回の攻撃を放つことができる。

カリスマ:A
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘に置いて自軍の能力を向上させる稀有な才能。
Aランクともなれば人として最高位のカリスマ性。

無窮の武練:B
ひとつの時代で無双を誇るまでに到達した武芸の手練。
心技体の完全な合一により、いかなる精神的制約の影響下にあっても十全の戦闘能力を発揮できる。

勇猛:B
威圧、混乱、幻惑といった精神干渉を無効化する。また、格闘ダメージを向上させる。


【宝具】
『パパスはただジッとたえている(ストロング・ファーザー)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1-50 最大捕捉:50人
息子を守るために、魔物になぶり殺しにされたという逸話と、彼の人間性が結びついて生まれた宝具。
発動中は効果範囲内にいるセイバーの味方は決して敵の攻撃に当たらず、セイバーが全ての攻撃を肩代わりする。
広範囲攻撃であろうとも、攻撃範囲が収縮しセイバーだけを攻撃することになる。
その名が示すとおりこの宝具の発動中、セイバーはただ耐えるだけでありこちらからの攻撃は行えない。

【weapon】
○パパスの剣
セイバーの愛剣。
特殊能力の類はなく、特別に切れ味がいいわけでもない。
それでも彼にとっては、かけがえのない武器である。

【人物背景】
グランバニアの国王。
魔王に連れ去られた妻を救うために、身分を捨て息子と共に一介の旅人として世界を回る。
だがその目的を達成することはかなわず、息子を人質に取った卑劣な魔物によりその身を焼き尽くされてしまった。

【サーヴァントとしての願い】
一人の父親として、マスターを助ける。

【基本戦術、方針、運用法】
近づいて剣で斬る、シンプルなセイバー。
しかし、シンプルすぎて搦め手がまったく使えない。
飛び道具がなく敏捷も低いため、アーチャーやキャスターに遠距離から攻められるとどうしようもない。
スキルや宝具は集団戦向けなので、同盟を組んで弱点をカバーしてもらうのが良策だろう。



【マスター】夜神総一郎
【出典】デスノート(テレビドラマ版)

【マスターとしての願い】
聖杯戦争の犠牲者を、一人でも減らす(NPC含む)

【weapon】
警官としての職務中は、拳銃を所持。

【能力・技能】
あまり武闘派ではないが、警察官である以上ある程度の戦闘力は持っているものと思われる。

【人物背景】
大量殺人犯「キラ」を追う捜査本部の部長。
かつて家庭より仕事を選んだため妻の死に目に会えず、それが原因で息子・月との間に溝ができていた。
月がキラの正体と疑われても息子の無実を信じ続けていたが、やがて真実にたどり着いてしまう。
息子を誤った道に進ませてしまったけじめをつけるため彼はデスノートに自分の名前を書いてから焼却しようとするが、
月の必死の抵抗により燃やすことができずに死んでしまった。
彼の死は月の精神を決定的に破壊してしまうが、月を止めたのも彼が遺志を託した部下たちだった。

今回は死亡後からの参加。

【方針】
当面の目標としては、大量殺人犯を止める。



候補作投下順



最終更新:2016年03月03日 13:26