ゴブリン。
この単語を聞いて諸兄らはどんなイメージを抱くだろうか?
子ども程の背丈で膂力も知能もあまり高くない、洞穴やダンジョンに潜み群れで人を襲うモンスター。
強さや人類に対して有効的かどうかは大きく差異がある場合もあるが、一般的に共通するイメージとしてはそれらは幻想譚の世界の出身と言う事だろう。
だが魔都、東京に限って言えばその限りでない。
最近、こんな都市伝説がまことしやかに語られつつある。
曰く、床下、天井裏で小人を見た。
曰く、下水道に入った水道局の人間がそれきり帰って来なかった。
曰く、路地裏で鬼に襲われた。
――――その都市伝説との関係は定かではないが、行方不明者の数は増加傾向にあった。
◆
「はぁっはあっはっはぁ!!」
俺、松野家長男松野おそ松は走っていた。
何の為かって?決まっている、逃げているのだ。
逃げていると言っても借金取りやパチンコ警察ではない。
前者はまだ話が通じるだけましだろう。
後者も最近は負けっぱなしのためあり得ない。
「も、もっと早く走るザンス!」
「偉そうに言うな!テメェのせいだろうが!」
隣のクソ出っ歯を睨みながら後ろを確認する。
今日もいつも通り六つ子皆でチビ太のおでんを喰いに行った帰りの事だった。
俺たちはイヤミに絡まれた。
コイツは今巷で噂のUMAを捕まえて賞金を手に入れると意気込んでいた。
その上で分け前をやるから手伝えと言ってきたのだ。
しかも、もう出会った公園の藪まで追い詰めたからあと一歩だと言う。
まぁ、此方にはサンタも捕獲したことのある十四松も居るし、何より六人だ。
ここは快諾しておいて、後でイヤミを袋叩きにして賞金は全額俺達が貰えばいいと示し合わせると、全員で藪を取り囲んだのだ。
ガサガサと藪が揺れ、賞金を度外視しても未知との遭遇に年甲斐もなく高揚した。
が、
「何かさー………多くない?」
あの十四松が冷や汗を掻きながら後ずさる。
無理もない、藪から覗く眼、眼、眼。
その数は優に100は超えていた。
――――誘い込まれたのはこっちじゃねぇか!?
「テメェざけんなイヤミ!!あんなにいるとか聞いてねぇぞ!!!」
「知らんザンス!き、きっとあの藪の中に巣があったんでちょーよ!」
「死ね!歯槽膿漏になって死ねェェぇええ!!」
しかし、こうやっていがみあっていても仕方ない。このままではイヤミと心中だ。
走りながら何とか生き残る方法を模索する。
こうなると六つ子散り散りに逃げたのは失敗だった。
結果的に不良債権であるクソ出っ歯を押し付けられ、頼みの綱である十四松とも離れてしまった。
クソッ!こう言うのはカラ松の役回りだろうが!
「GOUUUUUUUUU!!」
「GUIAAAAAAAAAAAA!!」
「JOUJIJOUJI」
「HURGUUUUUUUUU!!!」
後ろから響く猿叫に身を竦ませる。
ヤバい、このままじゃヤバい。
ここはやはり―――――、
「じゃあなイヤミ!!」
別れの言葉を告げて思い切り隣で走るイヤミの足を掃った。
ニートとホームレス、体力の差が如実に表れた瞬間である。
「あっちょ、待つザンス。この悪魔の長男めぇぇえ!!っちょま、た、助けるざんす、イヤミの命は一つしかないざんす!シェ、シェェエエエェエエー!!」
先ほどは後悔したが、こうなると一緒に逃げていたのが兄弟でなくて良かったと心から思う。
これがトト子ちゃんなら、他の兄弟を蹴落としてでも共に生き残り、デートの約束を取り付けるのだが…。
兎に角、イヤミなら生贄に捧げても心が痛まない。
と言うか自業自得だ。
背後から聞こえるイヤミの断末魔を朝ごはんまでは忘れないでおこうと心に誓い、走り続ける。
背後の圧迫感は消えていない。まだ追われている。
だが、問題ない。
セーフティーゾーンはもう目と鼻の先だ。
この不景気に東京都心のど真ん中に聳え立つタワー。
そう、我らが大富豪ミスターフラッグこと鉈坊が建てたビルディングだ。
後ろのUMA達は上手く大通りに行かせない様に誘導している様だが甘い。
あそこまで逃げ切れば、後はフラッグコーポレーションの人たちが何とかしてくれる。
これがホラー映画ならここで運悪く蹴躓いてしまう所だが―――幸運にもそうはならなかった。
夢中でタワーのインターホンに飛びつく。
タワーのハイテクさを証明するかのように守衛一人としていなかったが、気にしてる暇はない。
ここで問題が一つあるからだ。
さっき公園で時間を確認したらもう12時を回っていた。
つまり、ハタ坊が起きているか………!
寝ていた場合の事を必死に考えないようにしながら祈りをこめて呼び出しボタンをプッシュした。
「お~どうしたジョ?」
起きてたああああああああああああああああ!!
「ハ、ハタ坊…ちょ「聞いてほしいんだジョー今現政権の腐敗の証拠を掴んだんジョー」
えぇっ!!でも、今はそんな場合じゃない。
「それで~明日総理がハタ坊のとこに来るんだジョーハタ刺して友達になるジョー」
ハタ坊だめええええええ!!
「と、とにかくここ開けてハタ坊、いや、ミスターフラッグ!!」
ハタ坊は夜更かしで興奮しているのか、此方の話をあまり聞いていない。
しかし、何としても開けてもらう必要がある。
総理の頭とケツ、そして俺の命のために!
「GORUUUUUU!!」
背後を見ればあの子鬼UMA―ゴブリンがもう20メートル程の所まで迫っていた。
その手には思い思いの武器を持っており、中にはどこから手に入れたのか拳銃まで持っている奴までいやがる!
最早猶予は一刻も無い。
「ハタ坊!ハタ坊!お願いだからここ開けて!!」
「いいじょ~入ったら部屋にあるボタンを押すジョー」
ハタ坊から了承の言葉が出ると同時にガガガガと音を立ててガラスの扉が開く。
きっと強化ガラスだろう。
ハタ坊がちゃんと人の話を聞いてくれる奴だったことを神に感謝しながらホールに転がり込んだ。
後はあのバズーカ持ってる社員さん達がやっつけてくれる、もう安心だ。
「ふぅー、そういや、あいつら大丈夫かなぁ」
イヤミのバカのお蔭で大半の子鬼たちはこちらに追ってきたがそれが全部とは限らない。
先ほどまでは自分の命が危なかったために気を回す余裕が無かったが、今は少し心配になる
「まぁ、五人の悪魔が子鬼には負けないでしょ~」
ゴキブリ並の生命力どころか、ゴキブリそのものの様な兄弟だ。
心配はすぐに消え去り、危機からの解放感から大きく伸びをする。
涼やかで爽やかな風が頬を撫でた。
しん、とした静寂がホールを包んでいる。
12時を回っているのだから当然だが、人の気配は感じられない。
前を見ると、ハタ坊が言っていたボタンが見えた。
これを押せば、コーポレーションの人がやってくるのだろう。
「や~助かった助かった。このまま今日は「「GUIAA」」ハタ坊のとこに泊まっていこっかな~」
……ギュア?
そういえば、何で風が吹いた?
ナンデ、ドアが閉まった音がしない?
ぎぎぎぎとブリキの様な音を立てて振り向く。
「GOR?」
えぇえぇえええ!!!何で入って来てんのおおおおおおおおお!!!
いやまて、落ち着け!
「へん!来るなら来い!このボタン押したら全て終わり、
バズーカ担いだ人たちがやって来てテメェら全員皆殺しだ!!」
その言葉を理解したのか急に居直った俺に恐れをなしたのか、子鬼どもが後ずさる。
だが後悔してももう遅い。
「ハッハー!ジ・エンド」
一片の容赦もなくボタンを押した。
…
……
………
『この部屋は一秒後に自爆します』
え、ちょっと。
「ハ、ハタ坊。これどう言う事、ハタ坊!ハタ坊!!ハタぼ――――!!」
緊急コールを聞いても、聞けるだけだ。逃れることはできない。
逃れるための扉の前には浮き足立っているとはいえ子鬼たちが塞いでいるし、
何時の間にかガラスの扉も固く閉じている。
社員の人たちが来る気配もないし、一秒では他の出口にも間に合わない。
嗚呼、戻れない、帰れない。
最強無欠のぽぽん搭載、人類最後のギミック君に。
よろしくおあがりおそ松さーん!
【松野おそ松@おそ松さん 死亡】
◆
「これでやっつけたジョ~」
頭に旗を刺した坊やが隣に佇む者に語りかける。
その者の姿は一言で言うのならば、異様だった。
ボロボロの安っぽい鎧に、滑稽な程中途半端な長さの剣。傷だらけの盾。
そんな不気味な全身甲冑はコクリと頷く。
「やったジョーウレシイジョウレシイジョウレシイジョ…」
頭に刺したハタに奇妙な紋様が刻まれた大企業の社長がまた街の平和を守護った事に喜び勇んでいるのを見ながら甲冑は先程の戦法を振り返る。
自身の魔力で再現された火の秘薬を部屋の地下にばら撒いて置いて火打ち石で爆破。
この建物の堅牢さならば、周囲に被害が出ず手早くて実に良い。
本来の彼ならば巻き添えを出す事を厭うが、その理性は、狂化によって喪っている。
故に、彼は人助けなどしない。
彼は世界を救わない。
ゴブリン
“子鬼”を殺すだけだ。
他のサーヴァントを蹴落とし、聖杯を獲るのもゴブリンをこの世から消し去るためでしかない。
だが、彼あるところに子鬼あり、子鬼あるところに彼あり。
斬っても斬れぬ宿命じみた因縁に魅かれてか、この世界ににも子鬼は出る。
それは彼にとって、聖杯戦争を戦いつつ、ゴブリンとも戦うと言う事に他ならない。
だが、問題は、無い。少なくとも、ゴブリンの方は。
そう彼は狂戦士である以前に―――――
「ゴブリンは、鏖殺しだ」
ゴブリンスレイヤー
―――――『子鬼を殺す者』なのだ。
【クラス】バーサーカー
【真名】ゴブリンスレイヤー@ゴブリンスレイヤー
【属性】中立・中庸
【ステータス】
筋力B- 耐久C 敏捷B- 魔力E 幸運E(EX) 宝具EX
【クラススキル】
狂化:B
全パラメーターを1ランクアップさせる代わりに言語能力及び理性の大半は失われている。
ただし、ゴブリンを殺す時に必要な場合に限り、意思疎通ができる。
【固有スキル】
鏖殺者:A
ゴブリンに対する尽きる事のない憎しみ。
同ランクまでの精神干渉をシャットアウトする。
心眼(偽):B
数々の戦場を経験して手に入れた直感・第六感による危険回避。
視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。
狂化によって理性を奪われても本能に近いこのスキルは有効に働く。
鬼殺し:A
生前数えきれない子鬼、そして本来なら彼の遥か格上の存在だったオーガを屠った逸話から発生したスキル。
ゴブリンが居る戦場、または鬼に関わる者が相手の時、彼のパロメーターはワンランクアップし、Bランク相当の気配遮断のスキルが付与される。
【宝具】
『祈り持たぬ者(ゴブリン)』
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:1~20 最大捕捉:100人
彼の終生の怨敵であるゴブリンを東京にランダムかつ無限に“発生”させる宝具。
筋力:D- 耐久:D- 敏捷:D- 魔力:E 幸運:Eのステータスと単独行動Aのスキル持つゴブリンが
一度の発生毎に20匹から生み出され、NPCから奪い神秘を付与された武器を使って、
人やサーヴァント、生み出したバーサーカーにすら襲いかかる。
彼らは下水道や路地裏などに潜み、NPCなどを攫ってどんどん増えていく。
一度この宝具が発動してしまうと、霊脈から直接魔力を奪ってゴブリン達は発生するため、バーサーカーが敗退したとしてもゴブリンは東京に現れ続ける。
また、襲撃を受けた際、生き残ったゴブリンは渡りとなり、一回り大きいホブや魔術を扱うシャーマン、対軍を指揮できるロードやチャンピオンに成長する。
『転移巻物(ゲートスクロール)』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
非常に貴重な失われし古代魔法<<転移>>の魔法が記されている巻物。バーサーカーの物は海底に繋がっている。
主に水攻めに使用されるが、個人に向けて使用した場合、全てのパロメーターにおいて遥か格上だったオーガを切り伏せた逸話から、対象の耐久値を無視して叩き斬ることが出来る。
本来ならば使い捨てだが、彼の宝具となったことで魔力補給できれば何度でも使うことが出来る。
『彼はけっして神々にサイコロを振らせようとしませんでした』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:-
―――彼は常に策を練り、考え、行動し、鍛え、機転を利かせ、徹底的でした。
相手サーヴァントの宝具やスキルを解析し、対策を考えていた場合、宝具やスキルの効果、幸運値や因果律を無視してその対策を成功させる宝具。
だが逆に対策をまったく立てていない状態で幸運に関わる事象が発生した場合、バーサーカーは確実にファンブルを発生させる。
彼にとって、サイコロに運命を託した時点で負けなのだ。
今回はバーサーカーのクラスの召喚であり、まず相手サーヴァントについての対策を考えるのが非常に困難なため実質使用不能である。
【人物背景】
その冒険者は平凡な若者でした。
どの神々も彼の事は好きでしたが、だからと言って特別な期待もしていませんでした。
彼が世界を救うことは無いでしょう。
彼が何かを変えることは無いでしょう。
彼はどこにでもいる駒の一つに過ぎないのですから。
【サーヴァントとしての願い】
ゴブリンの殲滅。
【マスター】
ハタ坊@おそ松さん
【マスターとしての願い】
もっと出番が欲しいジョー
【能力・技能】
ハタを刺すジョー。サーヴァントでも逃がさないジョー。
刺された人は皆社員になるジョー。
【人物背景】
情報商材を扱う会社の社長だジョー。大金持ちだジョー。
アメリカ大統領とも友達だジョー。総理とも今度友達になるジョー。
聖杯戦争の事は知らないジョー。
【方針】
東京はハタ坊が守るジョー。皆社員になるジョー。
※おそ松は生きてます。多分
候補作投下順
最終更新:2016年03月03日 23:00