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ここは都内の、とある高校。
すでに授業は終わり、部活動のない生徒達は次々と帰路についている。
職員室へ向かうその男の向こうからも、二人の女子生徒が小走りでやってきた。

「さようなら、増田先生!」
「間違えるなと言っているだろう。私は増田ではない、マスタングだ!」
「だって先生、髪黒いし顔も日本人っぽいんだもん。本当にイギリス人なの?」

(いや、そのイギリスという国も行ったことはないのだがな……)

喉元まで出かかった言葉を、マスタングはかろうじて飲み込んだ。


◆ ◆ ◆


ロイ・マスタングは、アメストリス軍の軍人である。
しかしこの東京で彼に与えられたロールは、本職とはまったく関係ない高校の英語教師というものだった。
そんな適当な配置をした聖杯に苛立ちを覚えつつ、マスタングはこの世界での自宅に帰宅する。
彼にあてがわれた自宅はそれなりに住みやすいアパートであったが、元の世界の住宅環境と比べれば明らかにランクが落ちていた。
それもまた、マスタングのストレス源になっている。

「やーやー、今日も一日お疲れさん」

部屋に入るやいなや、霊体化を解いたサーヴァントが気の抜けた声で話しかけてくる。
マスタングのサーヴァントは、少々変わった風貌をしていた。
顔の下半分はマスクで覆われ、さらに斜めにかけられた額当てが眼帯代わりとなって左目を隠している。
顔のパーツで露出しているのは、右目だけ。
その右目は眠たげであり、まるで強そうには見えない。
だがマスタングはすでに、自らのサーヴァントがどれほどの強者か知っていた。


マスタングはこれまでに一度、他の参加者との戦闘を経験している。
その際にサーヴァントが見せた戦い振りは、まさに変幻自在と呼ぶにふさわしいものであった。
そして最後は、電撃を纏った腕で敵サーヴァントを突き殺した。
その光景を見たマスタングは、槍を持たぬ彼がランサーとして召喚された理由を悟ったのであった。


「いやまったく、慣れない教職の仕事は疲れるよ。いっそ君が代わってくれないかな、ランサー。
 たしか君は、他人に化ける術も使えるのだろう?」
「あー、無理無理。俺も昔は先生って呼ばれてたけど、実際には現場の指導者だったから。
 座学は専門外なんだよねえ」

マスタングの軽口に対し、ランサーは気の抜けた声のまま手を振ってキッパリと拒絶する。

「専門外なのは私も同じなのだがな……。それなら街中を見て回るなりして、他の参加者の情報でも集めてきたらどうなんだ。
 君のような人種……えーと、そう、忍者は、そういう影で動く仕事が得意なのだろう?
 それなのに一日中私の後ろに張り付いていては、宝の持ち腐れではないか」
「いやいや、要人の護衛も忍者の仕事の一つだから。
 いくら情報を集めても、俺のいないうちにマスターがやられちゃったら意味ないでしょ。
 いざとなったら令呪で呼ぶって手段もあるけど、回数が限られてる以上温存しておきたいしねえ」

ランサーの言葉に、マスタングの口からは溜息が漏れる。
顔を合わせて以来、戦闘中を除いてはずっとこんな感じだ。
マスタングが何か言っても、ランサーはのらりくらりとした態度でそれを却下してしまう。

「ランサー、君は本当にやる気があるのか? 協力して欲しいといってきたのはそっちだろう!」

初めて姿を現した時、ランサーはマスタングに言った。
この聖杯戦争は、正しい形で行われていない。
その異常性を確かめるために、力を貸して欲しいと。
マスタングは少し考えたが、結局その頼みを引き受けた。
どんな願いでも叶えるという聖杯に、魅力を感じないわけではない。
だが命をかけた戦いに本人の意思を無視して参加させるような輩のいいなりになるのは、彼の性分に合わなかった。
そして二人は、この戦いの闇を暴くことを誓い合った。そのはずだった。

「たしかに私の安全も大事だ。だがこうしてただ日常を過ごすだけで、君の目的は果たせるのか?
 こちらから動かなければ、なにも変わらないではないか!」
「あー、マスター。ちょっと勘違いしてないか?」
「む?」

意味深なランサーの発言に、マスタングは語気を緩める。

「俺自身が動かないからといって、何もしてないとは限らないんだよね」
「どういうことだ?」
「こういうことだよ」

ランサーが、パチンと指を鳴らす。すると部屋の外から、壁をすり抜けて大小様々な犬が侵入してきた。

「これは……?」
「俺の忍犬だ。サーヴァントの様式に合わせて言うなら、使い魔ってところか。
 こいつらが俺の代わりに、街を回って情報収集してくれるわけ」
「なるほどな……。見当外れの批判をしたことはわびよう、ランサー。だが……」

納得したかに思えたマスタングであったが、すぐに眉間にしわを寄せ、ランサーに顔を近づける。

「なぜそんな大事なことを、もっと早く言わなかったんだ?」
「まあ……驚かそうかなあと思って」
「そんな茶目っ気はいらん!!」

至近距離での怒号に、さすがのランサーも目を白黒させるのであった。


◆ ◆ ◆


一見噛み合わないこの二人だが、実は共通点も多い。

たとえば、共にかけがえのない親友に先立たれている。
たとえば、共に力はあっても未熟な若き英雄を支えて戦っている。
そして共に、「火」に強い関わりを持っている。

二人が力を合わせれば、あるいは本当に聖杯戦争の真実にたどり着けるかもしれない。





【クラス】ランサー
【真名】はたけカカシ
【出典】NARUTO
【属性】中立・善

【パラメーター】筋力:C 耐久:D 敏捷:A 魔力:C 幸運:E 宝具:B

【クラススキル】
対魔力:C
魔術に対する抵抗力。
魔術詠唱が二節以下のものを無効化する。大魔術・儀礼呪法など、大掛かりな魔術は防げない。

【保有スキル】
忍術:A
体内で練り上げた「チャクラ」と呼ばれるエネルギーにより、様々な現象を起こす術。
ランサーは他者の忍術をコピーすることで、多種多様な忍術を修得している。

カリスマ:C
軍団の指揮能力、カリスマ性の高さを示す能力。団体戦闘において自軍の能力を向上させる稀有な才能。
生前一国の君主に近い地位に就いていたランサーであるが、
今回はその地位に就く前の状態をベースに現界しているためあまりランクは高くない。

単独行動:C
マスター不在・魔力供給なしでも長時間現界していられる能力。
Cランクならばマスターを失っても、1日は現界可能。

病弱(偽):D
ランサーは病気に冒されていたわけではないが、写輪眼の副作用により激しい戦いの後は寝込んでしまうことが多かった。
それによる印象が「無辜の怪物」に近い形で発現してしまった、バッドスキル。
一定以上体力を消耗した場合、自然回復のスピードが大幅に低下してしまう。

【宝具】
『コピー忍者』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:視界内 最大捕捉:1人
写輪眼により1000以上の術をコピーしてきたという逸話が宝具となったもの。
宝具に昇華されたことにより、忍術のみならずあらゆる技を見ただけでコピーできる。
ただし血継限界のように、特殊な血筋や肉体構造を持つ者でなければ使えない技はコピーできない。
また魔術などランサーがいた世界にない系統の術はその仕組みを理解していなければコピーできないため、実質的にはコピーできる技はかなり制限される。

『雷切』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1-3 最大捕捉:2人
ランサーが生み出したオリジナルの忍術。別名「千鳥」。
雷を斬ったという逸話から、この名で呼ばれるようになった。
その実態は、電撃を纏った腕による高速の突きである。

『万華鏡写輪眼』
ランク:B- 種別:対人宝具 レンジ:― 最大捕捉:―
写輪眼と言われるうちは一族の特異体質。その発展系。
同ランクの幻術、千里眼のスキルを保有しており、幻術は同ランクの対魔力や精神干渉系のスキルで抵抗。
または、ランサー本人から解除して貰うなどしなければならない。
他の魔眼、及び幻惑効果から逃れる効果も含まれている。魔術的な隠蔽は、この眼では意味を成さない。
ランサーはうちは一族ではないが、うちはオビトの眼球を移植されたため左目にのみ写輪眼を宿す。
しかしうちはの血を引かぬ体で強引に使用しているため、使用時の消耗が通常よりはるかに大きくなってしまっている。

【weapon】
手裏剣などの忍具一式

【人物背景】
木ノ葉隠れの里の長・六代目火影を務めた忍者。
天賦の才と友から受け継いだ写輪眼により数々の功績を収め、
他国の忍者からは「写輪眼のカカシ」「コピー忍者」と呼ばれ恐れられた。
七代目火影・うずまきナルトとその盟友・うちはサスケ、春野サクラを育てた教官であるということでも有名。
今回は戦闘力の全盛期ということで、忍界大戦時の肉体をベースに現界している。

【サーヴァントとしての願い】
この聖杯戦争の真実を暴く。

【基本戦術、方針、運用法】
ランサーではあるが、運用法はアサシンに近い。
高い敏捷と忍術で相手を翻弄し、雷切で確実に仕留めるのが理想のパターン。
スタミナに不安を抱えるので、長期戦は避けたい。



【マスター】ロイ・マスタング
【出典】鋼の錬金術師

【マスターとしての願い】
ランサーに協力する。その後は元の世界に帰還したい。

【weapon】
○発火布の手袋
特殊な布に錬成陣が書かれた手袋。
強くこすると火花を発し、マスタングの錬金術の基点となる。
濡れたり錬成陣の部分が破れたりすると使い物にならなくなるが、スペアも所持している。

【能力・技能】
○錬金術
火炎を操る錬金術を得意とする。
また今回は真理を見た後から参加しているため、両手を合わせての錬成も可能。

○軍人としての技術
射撃や格闘術を習得している。
ただし戦闘の基盤は錬金術であるため、積極的に使うことはあまりない。

【人物背景】
アメストリス軍大佐兼国家錬金術師。二つ名は「焔(ほのお)の錬金術師」。
大総統の座を狙う野心家だが、その真意は軍事国家であるアメストリスの変革にある。
エドワードを国家錬金術師に勧誘した張本人であり、やがて彼と共に軍の影に潜む巨悪と戦うことになる。
今回はホムンクルスたちとの戦いが終結した後からの参加。失明した両目は治療を終えている。

【方針】
聖杯戦争について調査する。



候補作投下順



最終更新:2016年03月03日 23:42