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【二日目】


「ふぅむ……あのサーヴァントめ、予想以上に暴れ回りよったのう」


東京都は江東区、国博物館。
時は、朝日が昇り始めるよりも少し前。
その館長室において、館長―――その役割を与えられた人物―――は深くため息をついていた。
事態が、彼の想像していた以上の状況を迎えているが故に。
成功といえば成功であり、失敗といえば失敗……メリットもデメリットも双方抱えてしまった、そういう状況であった。


「ククク……まあ物は考えようだぜ、マスター?
 この状況も、最悪ってほどじゃない……なら、開き直っちまった方が楽だ」


その傍らに立つは、邪悪な笑みを浮かべた白髪の少年。
十代半ばから後半程度の外見だが、その身から発せられているオーラはあまりにも年不相応に邪悪だ。
いや……そもそも年齢云々以前の問題として、彼が放つ邪気は人間の出せるそれではないレベルに合った。
禍々しくて凶悪且つ苛烈……相対すれば、如何に邪悪なものかがはっきりと感じ取れるだろう。
そんな少年こそが、この館長に宛てがわれたサーヴァント―――キャスターである。


「実際、あんたの策は間違っちゃいねぇんだ。
 リスクの高さは確かに馬鹿にならねぇが、見返りも大きいんだからよ」


キャスターのクラスにおいて定石とされるは、陣地作成スキルを用いての籠城戦にある。
陣地は時が経てば経つほど強固になり、完璧なものになれば例え対魔術スキルを持つサーヴァントとて突破は容易ではなくなる。
故にこの主従も、召喚直後にはそのセオリー通りに動こうとすぐさま方針を定めた。

しかし……それに当たり、彼等はすぐに大きな問題にぶち当たった。
それは陣地を作る場所だ。
マスターに与えられた役割が博物館の館長である以上、日中の殆どはそこで過ごす事になる。
また夜間にも、絶えず窃盗防止に警備員が回っている。
よって、博物館を陣地とするのは自然な流れだったのだが……
下調べとして施設内を見て回っている最中に、彼等はある恐るべき存在に気がついてしまった。
なんてことない展示品の中に一つ、異様なものが混ざっていたのだ。


―――――3m立方の黒い変成岩。


その一面にだけ小さな扉が付けられており、その周囲には多量の錠前が円を描くように取り付けられていた。
一見すればただの前衛芸術でしかないそれは、彼等から見て余りにもおぞましい代物であった。
二人はその岩からとてつもない神秘性を、凄まじき邪悪な力を感じ取れたのだ。
そして、更にキャスターはその扉の内に潜むモノ―――サーヴァントの存在も察していた。
内部には、恐るべき力を秘めた怪物と呼べるモノが封じられていると感じ取ったのである。

そう……よりにもよって彼等は、バーサーカーの宝具にして根源―――『SCP-076-1』が展示されている博物館に、その身を置かれたのだ。

当然ながら、二人はこれを如何にすべきかと頭を悩ませた。
すぐに思い立ったのは、博物館の外に運び出し放逐するという手であった。
安全を考えればそれが一番いい方法なのは言うまでもない。
しかし、もしも内部に潜むサーヴァントがそれに気づいたとしたら、確実にその牙は自分達に向けられる。
それ以前に、これを動かすこと事態がそもそも危険なのではないかという可能性もあった。
これだけの魔力を秘めている、厳重な封印処置を施された道具だ。
迂闊に動かして封印が解かれることになろうものならば、どんな事になるかわかったもんじゃない。

よって、彼等はその逆―――この岩を敢えてこのまま置き、活用しようと考えたのだ。
内部に潜むサーヴァントを野放しにし、挙句側に置くというのはかなり危険だが、その分見返りもある。
そのまま、陣地の防衛力としてこのサーヴァントを利用できるのだ。
同時に、その存在感が強い程に陣地を隠すカモフラージュとしても使える。
そして何より……この岩に対しての防御という意味でも、この博物館を陣地とする事は間違っていない。
館長としての役割を演じなければならない以上、常にこの危険物が側にあるのだ。
もしもの時に防御策がなければ、あっという間に終わる……博物館の陣地化は、そういう意味でも必須だった。
獅子身中の虫を敢えてゆく、ハイリスクハイリターンの戦法だ。
かくして、二人は予定通りに籠城を選んだわけだが……


「うむ、分かっておる。
 ただ……思った以上の化け物が出てきたものと、そう思っただけじゃよ」


その夜、彼等は出てきたサーヴァントが予想以上に危険な相手であった事を知った。
切っ掛けは閉館間際、キャスターが博物館内に強力な魔力の反応を察知したことにあった。
何の前触れもなく、いきなり『岩』から発せられていた魔力が膨れ上がったのだ。
すぐさま彼等は使い魔を飛ばし、現場の状況を確認したところ……そこでは、惨劇が起きていた。
警備に当たっていたスタッフ二名が、見るも無残な姿で骸を晒していた。
そしてその中央に、一人……全身に刺青を施した長身の男が、憤怒の表情で佇んでいたのだ。
彼等は即座に理解した……この刺青の男こそが、岩の中から現れた怪物であると。
幸運にも―――或いは、わかっていながらも敢えて見逃されたのか―――怪物は、使い魔に気づくことなく博物館の外へと出て行った。
博物館の内部に隠されたキャスター達が潜む本陣にも、彼は足を踏み入れなかったのだ。
いざとなればキャスターは自身の宝具でこの怪物を迎撃する気でいたが、しかし怪物の強さを考えれば自身も確実に傷を負っていただろう。
そういう意味では、この展開はありがたいのだが……


「あのサーヴァントのマスターは特定できたか、キャスター?」
「断言はできねぇが、怪しい奴はいたぜ。
 閉館間際に、あの岩の前で騒いでいた外国人観光客がいた……監視カメラに憑依させといたパラサイト・マインドで確認済みだ。
 タイミングからしてこいつがマスターの可能性が高いんだが、すぐに外へ出ちまったからな……身元の確認は出来てない」
「ふむ……そいつがマスターであるならば、アレの制御すら出来ぬ未熟者と言うことか。
 ならば今は、敢えて泳がすのも手かもしれぬのう」


翌日になり、新たな問題が浮上した。
脱走を果たしたサーヴァント―――恐らくはバーサーカー―――が、街中で大量虐殺を行ったのだ。
警察やマスコミはこぞってその話を取り扱っており、注目の的になっている。
この博物館にも、後ほど警察関係者が事情聴取にやってくる予定になっている……つまり。


「あのバーサーカーらしきサーヴァントのおかげで、他の主従もここに集まるじゃろう。
 情報を得られる大きなチャンスには違いあるまいが、果たして気付かれるかどうか……そこが問題じゃな」


この博物館は、バーサーカーの凶行を知った主従が大勢集まる事になった。
『岩』の存在を怪しみやって来る者が現れることは想定してはいたが、思っていた以上に展開が早い。
バーサーカーが予想を超えて暴れまわってくれたせいで、早くにも彼等は他の参加者と接触させられる可能性が出てきたのだ。
そうなると、自分達主従の存在に気づく者が現れる事もありうる。
出来る限り手筈が整うまでは、仮初の人間達と同じように振舞いたいものだが……


「博物館自体は、事件を名目に今日一杯は閉館にしておいた。
 警察からもそういう旨の連絡があったのでのう……明日以降からは、現場区域への立ち入りを禁止して再開する。
 全く人が来ないというのも、お前の宝具の性質上問題じゃ」


表向きの人払いとして、博物館は今日一日閉館にしてある。
警察関係者や勤務している者達を除けば、来客はこれでないだろう。
とは言えいつまでもそうしている訳にもいかず、明日以降からは現場保存に問題がない区域のみを開放する形で開館はする予定だ。
経営上の問題……などということでは全くなく、キャスターの能力を活かすためだ。
彼の力を最大限に発揮・強化させるには、生贄が必要なのだ……その為の人を集める必要がどうしてもある。
その為にも、人が自然と集まる人気の博物館というスポットを閉館させ続けるわけにはいかなかった。
表向きには経営上の問題と言うことで……そして裏では、徐々に徐々に人の命を奪い亡霊へと変換するために。
現に、あのバーサーカーの凶行のおかげで見事に隠れているが……既に数名ほどキャスターの手にかかり、この図書館への来客者が還らぬ者と化している。


「マスター、場合によっちゃ宝具を使わせてもらうぜ……幸いな事に、あのサーヴァントのおかげで十分すぎるぐらいにパワーが増しているからな。
 多数のサーヴァントが相手になったとしても、まあ問題ないぐらいだ……」
「必要とあれば構わん。
 じゃが、出来る限り姿は隠せ……精霊超獣を使うならば、本体であるお前は隠れておくことじゃ」


無論、その過程で戦闘が起こることも考慮に入れている。
これは本当に偶然だったが……彼の宝具『精霊超獣』は、あのバーサーカーのおかげで強化をされているのだ。
彼が警備員の殺害を皮切りに行ったこの江東区を中心とした虐殺行為は、多くの怨霊・亡霊を生み出した。
無念のままに命を奪われた嘆きの魂が、この地区に満たされたのだ。
そして……キャスターは宝具『千年輪』の効力で、亡霊を精霊超獣の新たな力として吸収させることができる。
バーサーカーの殺戮で生み出された魂を全て、キャスターは己が宝具の強化の為に取り込んでいるのだ。
おかげで、精霊超獣の力は当初より大幅に強化されている。
複数のサーヴァントを相手でも互角に戦えるだけの自信が、今やキャスターにはあったのだ。
更に、もしここで一体でもサーヴァントを倒すことに成功したならば、なお精霊超獣は力を増す。
倒した相手の能力を奪い強化するという性質があるが故に。


「マスター、あんたも『本体』をどっかに移しときな。
 来客の相手をするんなら、安全策を打つべきだぜ」
「カカ……言われるまでもないわい」


そして。
マスター―――間桐臓硯も、既に一つの策を打っていた。
彼は魔術により、己が肉体を無数の蟲へと置き換えることで数百年を生き延びてきた存在である。
例えその身体は欠損したとしても、彼本体の魂を収めた核となる蟲を破壊されない限りは何度でも再生可能だ。
よって、その本体を肉体から切り離しておけば、安全に事を運ぶことができる。
一応再生には他者の血肉を吸収する必要があるが、そこはキャスターの宝具の強化と同じだ。
来客の多いこの博物館を利用すればいくらでも手に入れることは容易だろう。


「さあ……楽しいゲームの幕開けだぜ……!」



他に魂を移し替える事で現代まで生きながらえてきた邪悪な怪物二人。

彼等は今、この聖杯戦争においてその目的を果たすべく動き出した。

決して制御できぬ狂戦士を陣地に置くという大博打を抱えたまま……敢えて、その凶暴さを利用するという形で。


それが果たして、如何なる地獄をこの地に生み出すか……





【クラス】
 キャスター

【真名】
 バクラ@遊☆戯☆王

【属性】
 混沌・悪

【ステータス】
筋力:E 耐久:D 敏捷:E 魔力:A 幸運:B 宝具:EX

【クラススキル】
陣地作成:B
 魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
 キャスターは『闇のゲーム』を執り行う舞台として、自らの記憶を模した異空間『闇のRPG』を作成することが出来る。

道具作成:B+
 魔力を帯びた器具を作成可能。
 キャスターは人の『魂』を人形やカードへと移し替える事で、擬似的な生命体を生み出す力を持つ。

気配遮断:D
 サーヴァントとしての気配を絶つ。
 完全に気配を断てばほぼ発見は不可能となるが、攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。
 バクラは生前盗賊王として君臨していた逸話からアサシンとしての適性があり、
 二重召喚スキルを持つ為に、このスキルを低ランクながらも所有している。

【保有スキル】
二重召喚:B
 ダブルサモン。
 二つのクラス別スキルを保有することができる、極めて希少なスキル。
 バクラはこのスキルにより、キャスターとアサシンの特性を併せ持つ。

心眼(偽) :B
 直感・第六感による危険回避。
 虫の知らせとも言われる、天性の才能による危険予知。
 視覚妨害による補正への耐性も併せ持つ。
 キャスターは生前、何度も窮地に陥っているにも関わらずその危機を予見し策で乗り切っている。

エンチャント:A
 他者や他者の持つ大切な物品に、強力な機能を付与する。
 基本的にはマスターを戦わせるための強化能力。
 キャスターは『ゲーム』と称することの出来る道具ならば全て、宝具相当の神秘性を付与する事ができる。
 例えばデュエルモンスターズのカードにスキル効果を付与すれば、
 カードに描かれたモンスターや効果を現実のものとして出現させる事すらも可能になる。

神性:A
 神霊適性を持つかどうか。
 キャスターは邪神ゾーク・ネクロファデスの分身であるため、極めて高い適性を持っている。

【宝具】
『千年輪(ミレニアム・リング)』
 ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:- 最大捕捉:100
 キャスターの象徴にして、その魂が封じ込められた彼そのものとも言える宝具。
 その中には強力な邪神の力が秘められており、Aランク相当の宝具でなければ破壊は不可能である。
 現在より三千年前の古代エジプトにおいて生み出された七つの『千年アイテム』の一つであり、五本の円錐飾りがついた金色のリングの中央に三角形のオブジェクトが組み込まれている。
 通称は『千年リング』であり、大抵の者にはこちらの名で呼ばれることが多い。 
 キャスターはこのリングの所有者として『闇のゲーム』と呼ばれる罪人を裁く力を手にしているが、本来とは違う邪悪に歪んだ目的で使用されている。
 千年アイテムは自らの意思で所持者を選ぶとされており、選ばれなかった者は体の内側から焼かれ、炎を吐き出しながら絶命してしまうとされている。
 その成り立ちは、古代エジプトの王アクナムカノンが隣国の軍隊に攻め込まれ絶望の危機に瀕した国を救うため、弟の大神官アクナディンに命じ作らせたアイテム。
 しかしこの時、アクナディンは千年アイテムの力を高めるべく秘密裏にクル・エルナ村の住民を冥府への生贄として捧げ、黄金と一緒に溶かして製作したとされている。
 その為に強い闇の力を持ち、人間の心に宿る魔物や精霊を呼び出し操るための力として使われた。
 そして同時に、千年アイテムは冥界の扉を開くための鍵ともされており、全ての千年アイテムをクル・エルナ村に眠る石版に嵌めた時には封印された闇の力を手にする事が出来る。
 特に千年輪はその中でも強力な力を秘めており、死して尚現世を彷徨う『怨念』を吸収して己が力に変える力がある他、
 最大の特徴として『闇のゲーム』により他者の肉体から魂を奪い、人形やカードといった無機物へと魂を移し変える『パラサイト・マインド』がある。
 このパラサイト・マインドはキャスター自身を対象とすることも出来、自らの魂の一部分を分割して他者の持ち物へと憑依させる事が可能。
 そうする事で他者の情報を探りあてたり、サイコロに憑依させれば思うがままの出目を出せるなど扱い方の幅は広い。
 もしも死したサーヴァントの魂が千年輪によって吸収された場合、その魂は聖杯へと還らず千年輪の中に留まる形になる。

『精霊超獣(ディアバウンド)』
 ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1~100 最大捕捉:100
 キャスターの魂に宿る精霊獣であり、言わば心象風景を魔獣の形として具現化させた宝具。
 存在そのものが固有結界にして宝具であり、彼の心とも言える。
 翼の生えた人型の上半身に、大蛇の形を成した下半身が合わさった異形の魔獣。
 その力はキャスターの持つ憎悪に比例してより強大となる為、千年輪によって吸収した亡霊の憎悪を与える事で更なる進化を望める。
 精霊超獣には様々な特殊能力が備わっており、戦闘においてはそれを用いて優位に戦況を運ぶ。
 まず一つ目の能力が自由に壁や石版の中を透過できる『壁抜け』であり、霊体化とは異なり実態を持ったままに物質を通過することが出来る。
 また同様に姿を隠蔽させる二つ目の能力として、暗闇の中において己が身を周囲の闇と同化させ姿を隠す『闇迷彩』の能力がある。
 これは気配遮断スキルとは異なり気配までは完全に消し去ることが出来ず、また光のある場所では当然ながら使用することが出来ない。
 そしてこの宝具の最大の特徴が『倒した相手の能力を奪い己がものにする』というもの。
 精霊超獣がサーヴァントの撃破に成功して現界不可能なまでに致命的な傷を負わせた時、そのサーヴァントが保有するスキル或いは宝具を精霊超獣のものにする事が出来る。
 ただし奪った力の中には、精霊長獣及びキャスターとの相性の問題で使用できないケースも想定しえる。
 その為、精霊長獣は敵の主従を倒す事でサーヴァントの力を得られ、また千年輪で死した相手の怨念を吸収し力を増せるという図式が成り立っており、
 戦い勝利を重ねれば重ねるほどにその力は強大に膨れ上がってゆく。
 精霊超獣はキャスターの魂と繋がっている為、受けたダメージは全てキャスターへとフィードバックされる。
 ただし破壊されたとしても、キャスターの魔力があれば再召喚が可能である。

『螺旋波動(デス・スパイラル)』
 ランク:A 種別:対軍宝具 レンジ:1~200 最大捕捉:1000
 精霊超獣が持つ膨大な魔力を、螺旋に渦巻く波動に変換して精霊超獣の周囲に巻き起こす。
 これにより敵の放つ攻撃や能力を弾き飛ばす防御を行うことが可能。
 そして、収束して敵へと放つ事で極めて高い威力を秘めた飛び道具とする事が出来る。

【weapon】
『記憶戦争・闇のRPG』
 キャスターが自らの封じられた古代エジプトの世界を再現して作り上げる陣地。
 博物館に人知れず増設された隠し部屋の中に広がる、一種の異空間である。
 この世界は『闇のゲーム』の舞台である為にキャスターが持つ闇の力は強く活性化され、常人には精神的負荷がかかる。
 そして最大の特徴として、この世界ではサーヴァントが負ったダメージがマスターへとフィードバックされる仕組みになっている。
 キャスターが最大限に自身の力を発揮できる様整えるには、大凡で三日程の作成日時を要する。
 並大抵ではない敵が踏み込んできた場合には、マスター共々この世界で敵を待ち受けることになる。

【人物背景】
 千年アイテムを巡る戦いの中で暗躍していたとされる、『バクラ』の名を持つ男。
 そのモデルとされる人物は複数名存在しており、諸説ある。
 古代エジプトの時代においては、王家によって滅ぼされた盗賊村クル・エルナの唯一の生き残りであり『盗賊王』を自称する存在として語られている。
 クル・エルナを滅ぼした王家に対して強い憎悪を持ち、王家を滅ぼし世界を盗む為に邪悪な精霊獣ディアバウンドを使役して暴虐の限りを尽くしていた。
 その最中で、千年輪の前所有者である神官マハードの命を奪い千年輪を己のものとし、よりその力を高めていったのだが、
 クル・エルナの奥深くにある遺跡内で、結束した若き王と神官団に打ち倒される末路を迎えている。
 しかし、この際に彼は千年輪へと己の魂を移して魂のみの存在となり生き延びていたという説もある。
 その裏付けとして、三千年後の現代においてて千年リングの所有者となった少年『獏良了』の存在がある。
 彼が千年リングを所有する事になったのは全くの偶然だったのだが、それに伴い本来の彼とはかけ離れた邪悪な闇の人格『バクラ』が出現したのである。
 その残酷且つ苛烈な性格は盗賊王バクラの伝承に酷似しており、『バクラ』とは彼の魂が宿った存在ではないかとされていた。
 しかしその後年、彼は現世に蘇ったファラオ『アテム』との闇のゲームの最中、
 『三千年前に、大邪神ゾーク・ネクロファデスは千年輪の中に魂の一部を封印した』と告げた為、
 その正体は盗賊王バクラではなく、ゾーク・ネクロファデスの分身体ではないかという新たな説が出ている。 
 事実、アテムと初対面した際に行った闇のゲームではこのゾーク・ネクロファデスを模したとされるキャラクター『闇の支配者ゾーク』を作成しており、
 千年輪に宿る『バクラ』とゾークとには深い繋がりが見受けられる。
 クル・エルナの遺跡にゾーク・ネクロファデスが封印されていた事から、今際にゾークと盗賊王バクラとの魂が混じり合い、
 結果として今の『バクラ』が生まれたのではないかという伝承も存在しているが、今現在において『バクラ』の明確な正体は明かされていない。
 この東京の聖杯戦争では、これらの逸話を統合して成り立った英霊像としてのバクラが召還されており、厳密にはキャスターはバクラ本人ではない。

【サーヴァントとしての願い】
 聖杯の莫大な魔力を使い、現世へと完全な大邪神ゾーク・ネクロファデスとして蘇る。


【マスター】
 間桐臓硯@Fate/stay night

【マスターとしての願い】
 聖杯の力を持って第三魔法を成し、不老不死となる。
 しかし、何のために不老不死を得ろうとしていたかは既に忘却している。

【能力・技能】
 全ての魔力を導入した蟲の使役。
 相手を喰らう凶暴な攻撃用の肉食蟲『翅刃虫』や、術者との視覚共有を行い偵察等に用いる『視蟲』、
 他者に植え付けその肉を食らう事で魔術回路の補強を促す『刻印蟲』など、その種類は多岐に渡る。
 そして自らの肉体をも多数の蟲に置き換える事で、数百年に渡り延命を図っている。
 その体は欠損したとしても、他者の血肉を吸収することで何度でも再生が可能である。
 完全に臓硯を滅するには、本体の魂を収めた核となる蟲を破壊されるか、霊体へ直接ダメージを与えるしかない。
 その為にサーヴァントですら彼を完全に殺しきるのは容易ではないが、再構築の際にはそれなりの負荷はかかる。
 また、蟲の性質上から日光が苦手であり、直射を受けることを出来る限り避けている。

『冥界を統べる大邪神(ゾーク・ネクロファデス)』
 ランク:EX 種別:対界宝具 レンジ:1~1000 最大捕捉:1000
 キャスターの持つ力の根源にして、その正体。
 冥界の深くに封じられている大邪神ゾーク・ネクロファデスを現世へと降臨させる。
 この宝具が発動すると同時にキャスターはゾーク・ネクロファデスと一体化を果たし、以降は心眼(偽)と神性を除く全スキルが効果しなくなり、また他の宝具はすべて使用不可能となる。
 そして二度と元の肉体へと戻ることは出来ない。
 その巨大な肉体から繰り出される攻撃は壮絶極まりなく、単純な攻撃でさえ他のサーヴァントにとっては致命的なものにもなりかねない威力を秘めている。
 本来ならば聖杯戦争に邪神であるゾーク・ネクロファデスを呼び出すことはシステム上不可能なのだが、
 この宝具で呼び出される邪神は本来のそれよりも能力値がダウンされた擬似的な神であり、本物の神ではない。
 キャスターは生前の最終目的として、ゾーク・ネクロファデスを完全な形で復活させ現世へと降り立つ事を目標としていた。
 その最終段階として闇のゲーム内でのみゾークを部分的に復活させた逸話があり、これはそれに基づいた宝具となっている為である。
 ただし余りに強大すぎる上に発動には相当量の魔力を消費せねばならず、間桐臓硯の全魔力を使用した上で令呪の補助を用いたとしても不可能である。
 もしも無事使用するならば千年輪へと莫大な数の亡霊を蓄え魔力に変換する必要があるが、サーヴァント数騎分を吸収してもまだ足りない程である。
 しかし、その逸話から『記憶戦争・闇のRPG』内においてのみ発動に必要な魔力消費が軽減される。
 もっとも、軽減された上でも尚異常な魔力を消費する事実に変わりはない。
 キャスターはこの聖杯戦争においても完全な力を持つ邪神としての己を取り戻すべく、可能ならばこの宝具の発動を考えている。

【人物背景】
 本名は『マキリ・ゾォルケン』というロシア系出身の魔術師。
 日本に根を下ろして以降、現在の名へと改名を行っている。
 魔道の名門であるマキリ家の当主の座に、500年前より君臨し続けている。
 冬木における聖杯戦争の『始まりの御三家』の一人であり、サーヴァントシステム及び令呪の開発を行った優れた魔術師。
 そして、魔術の力で肉体を人のものから蟲に置き換える事で数百年も延命を重ね、既に人外と成り果て生き続けてきた文字通りの「怪物」である。
 性格は狡猾さと残忍さを兼ね揃えた外道そのものであり、他者の悲哀や辛苦に愉悦を見出す破綻者。
 長い年月を生きてきただけあり、極めて高い洞察力を持ち合わせている。
 しかし、元々からこのような性格であったわけではなく、かつては自らの代でマキリが魔術師としての限界を迎えたことに抗い続け、
 その果てに第三魔法『魂の物質化』により人類という種の進化による、この世全ての悪の廃絶という『理想』を願い続けていた。
 やがてはその理想が自分の手では叶えられないと察するも、それでも蟲による延命を行い生き続けた。
 理想がいかに困難であろうとも、諦めない姿勢が後を継ぐものを育て、後世に残すものだと信じたが為に。
 だが、長い年月を経るに連れて肉体は苦痛に歪みその魂は摩耗し、遂には理想さえも忘却してしまった。
 今では、何故そこまでして不老不死を求めていたかも覚えておらず、手段と目的は完全に入れ替わり、ただの外道へと堕ちてしまった。
 第五次聖杯戦争を自らの願いを叶える本命と定めていたが、第四次聖杯戦争においては出奔した息子の雁夜の取引に応じ、
 彼を即席のマスターに仕立て上げて聖杯戦争に参加させた上で自身は一歩引いた位置から様子見をしていた。
 雁夜は結果として聖杯戦争に敗退したものの、この時に砕かれた聖杯の欠片を入手しており、
 次の第五次聖杯戦争の為にあらゆる手を尽くし暗躍をしている。

【方針】
 江東区の国際博物館を陣地に定めて籠城。
 キャスターが陣地を完全なものにするまでは極力アクションを起こすのは避ける。
 その隠れ蓑として、博物館内に置かれている『岩(SCP-076-1)』を最大限に活用する。
 内部から出現したバーサーカーと思わしきサーヴァントに関しては、牙を剥いてこようものなら相手をするが、
 そうでない限りは手を出すつもりはなく、寧ろその虐殺を利用して江東区中心の怨霊を数多く千年輪で吸収するつもりでいる。
 また、キャスターの力を強化すべく博物館の来館者を秘密裏に蟲を使役して殺害し、その亡霊を千年輪へ吸収させている。
 死骸に関しては蟲で骨の一片も残さず食い尽くし、自身の血肉とする。
 そしてキャスターが陣地を完成させ且つ十分すぎる魔力を蓄えられた時、
 最終宝具『冥界を統べる大邪神』を発動させて勝利を盤石なものとする。
 普段は安全策として核を成す本体の蟲は肉体から切り離し、『記憶の世界・闇のRPG』内に潜ませている。



候補作投下順



最終更新:2016年03月12日 21:54