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「XXX-XXXX - Tentacle organisms (触手生物)」
 Object Class: Keter
説明:
 XXX-XXXXの見た目は丸顔で何本もの触手を持つ、タコに近い生物です。基本的にアカデミックドレスを着用し、三日月の刺繍された巨大なネクタイをしているのが特徴です。
 一見すると無害な生物ですが、月面の七割を破壊した張本人であり、20XX年4月より数えて一年後には地球を破壊すると宣言しています。XXX-XXXXはマッハ20もの超高速で移動を行い、専用の物質で作られた武器でなければ彼に一切の傷を与えることは出来ません。
 XXX-XXXXを殺害するためにこれまで幾百もの暗殺者が送り込まれましたが、その全てが軽くいなされたどころか、XXX-XXXXにより「手入れ」を施される事態に陥りました。
 XXX-XXXXは現在収容を拒否し、日本の椚ヶ丘中学校なる場所で教鞭を執っています。
 彼はどういうわけか件の学校で「落ちこぼれ」と呼ばれている30人の生徒達の手で殺されることを望んでいるらしく、その意図は誰にも読めていないのが現状です。

補足情報 #XXX
 XXX-XXXXは人間の女性、それもバストDカップ以上の乳房を見ると興奮するらしいとの調査報告があります。
 また女性に扮装してスイーツバイキングに並ぶなどの奇行に及ぶ姿も確認されており、これらを弱点として利用することも可能かと推測されています。


                                .


 椚ヶ丘学園理事長――浅野學峯という男がいる。
 いつでも頂点の高みから見下ろして、究極の教育を追求し続ける怪物のような男だ。
 學峯に逆らった者は誰であれ、相応の目に遭わされた。
 ある者はたっぷりと「教育」され、ある者は身分を失い、ある者は見せしめとして底辺の烙印を押された。
 学園の中で、浅野學峯に逆らえる人間は存在しない。
 そう――奴の息子の僕でさえも。学校という枠組みの中では、奴に反旗を翻すことは出来ないのだ。


 自分の父親を異常だと思うようになったのは、いつからだったろうか。
 詳しい時期は覚えていないが、物心ついた時には既に、父の心が理解できなくなっていた筈だ。
 自分で言うのも何だが、僕の父親は才人だ。学問、武術、経営術、話術――全て常人とは桁が五つは違う。
 徹底した合理主義に基づいて、創立僅か十年で自分の学校を全国指折りの優秀校に変えた敏腕。
 誰であろうと蹴落とし、勝利することを第一に据える奴の英才教育を、実息の僕も例外なく受けてきた。


 その結果、僕は強くなった。
 生徒会長の座に満場一致で押し上げられ、勉強においても並ぶ者はいない。
 スクールカーストの高みを独走しながら中等部を卒業し、高等部に移行しても変わることなく。
 逆に言えばそれは永遠に代わり映えのしない、父を支配し返す途方もない目標を追い求め続けるということ。
 線路の上を歩み続けるような、行き先の分かりきった毎日――それがある日突然、雲行きを変えた。

 見せしめの大義の下に侮蔑と差別を延々繰り返してきた、遥か格下の最底辺(エンド)によって。
 五英傑の最強伝説は破られ、万全の準備を期した体育祭でも敗北を喫した。
 今や本校舎にも彼らE組へ肩入れをする生徒が出ている始末。
 こんなことは僕にも、そして父にも理解不能な事態だった。

 何かが変わり始めている。
 絶対に変わることのない筈だった何かが、誰にも予測できない方向に転がってゆこうとしている。
 誰もがそれを理解し、理解した上で目を逸らしている。
 僕も、友も、統べるべき下々の生徒達も――きっとあの学校に携わる誰もが。
 深すぎて底も見えない谷底で彷徨っていた小動物たちに芽生えた牙に怯えている。
 いつか自分達を食い殺すのではないかと、半ば本能的な恐怖をさえ抱いて。


「……これも、その変化の一過程か?」

 苦笑交じりに呟く口の中は、血の味で満ちており。
 目の前には、無惨に崩れ、そこら中にクレーター状の破壊痕が残された景色が広がっている。
 つい数分前まで帰り道を共にしていたクラスメイトの『残骸』も、追加だ。
 その真ん中で、両の目をぎらぎらと赤く輝かせ、六本の腕にそれぞれ大斧を持った化物が雄叫びをあげていた。
 見てくれ通り、ただの不審者や異常者とは訳が違う。体の構造そのものも、それから繰り出される出力も、何もかもが人間とは次元違い。格闘技の応用も、まったく焼け石に水。
 足技は軽々止められ。授業で習った柔術を実践しようと試みたが、それも無駄。
 結果がこれだ。この様だ。助けようと思ったクラスメイトは惨殺、僕も肋骨の何本かは確実にやられている。


「やれやれ……」

 ずしりずしりと地響きを伴って歩み来る『それ』を見ると、ついそんな声が漏れてしまう。
 流石にこればかりはどうしようもない。
 相手は正真正銘、本物の超生物だ。
 文武両道、稀代の天才。人が僕をどう呼ぼうと、人間で太刀打ち出来る相手の次元を明らかに過ぎている。



 大斧が、ゆっくりと鎌首を擡げた。
 これまでの人生に後悔があるかと言われれば、正直なところ、それほどでもない。
 何をしても常に一位だった。
 誰だろうと、僕に逆らえる者などいなかった。
 十数年間ぶんの人生に通知票で評価を与えるなら――評価は間違いなく、『10』。

「いや……」

 違う。
 走馬灯になってくれるほど上等な思い出なんてものはない。
 友人は居たが、熱を込めて語れるほどに心血を注いだ親友は居なかった。
 家族との絆など、言わずもがな。
 最後まで自分は、あの化物を理解することも、超えることも出来なかったのだから。

「『9』……だな――」

 振り下ろされる断頭台の刃。
 支配し、守るべき生徒たちをゴミのように殺したそれが、ゆっくりと落ちてくる。
 死ぬ。
 殺される。
 最後の最後に、父という存在を超えられなかった――あれだけ口癖のように言っていた、将来支配してやるという野望すらも果たせず、何もかもあの男に負け、手のひらで踊らされたままの劣化コピーとして。

 浅野学秀は、ここで――



「いいえ、『8』ですねぇ」



 殺される――その筈の未来を、変える黄色い触手が伸びた。




 その生物を形容することは、どうも出来そうになかった。
 人間よりも大きな体長で、教師風の服装に身を包んだ黄色い体表面の『何か』。
 人間の手足の数倍には達するだろう数の、異形の触手。
 強いて言うなら、放射能か何かで異常成長を遂げたタコ――だろうか?
 いかにも間抜けそうな面をしていながら、どこか不思議な安心感がその背中にはある。

「浅野学秀くん、君は確かに優秀です。
 しかし、たかだか十数年で終わってしまう人生で『9』とは、幾ら何でも評定が甘すぎますねぇ」

 赤く光る目の大男が、六本の斧を代わる代わるに振り回して。
 割って入った正体不明の触手生物を細切れに変えようと、目にも留まらぬ速さの連撃を叩き込む。
 武器を持って戦いに走ったクラスメイトは、腕三本を使った連撃で肉片に変えられた。
 手数は単純計算で、あの二倍だ。死ぬ。確実に、この触手生物は殺される。
 何故こいつが自分の名前を知っていたのか――そんなことを考える間もなく、事態は更なる急転を迎える。

「ヌルフフフ、蚊が止まってしまうような攻撃ですねぇ」
「■■■……?!」
「あまりにも遅いので――」

 振るわれた筈の、六本斧。
 その全てが、あの至近距離であったのに、触手の一本すら切り落とせていない。
 何が起こったのか、僕にはそれを理解することさえ出来ずにいた。
 ただひとつ、確かに見取ることが出来たのは。

「先生、少々お手入れをさせていただきました。
 貴方の斧捌きは見事ですが、そう錆びた刃では切れ味が鈍る。
 斧とは断ち割るもの。打撃の威力に加えて、切断という概念も重要となる扱い以上に手入れの難しい武器です。
 それほどまでに錆び付いてしまっていては、本来の威力など到底出せませんよ」
「■……■■■■■――――!!」

 化物が持っていた斧の一本一本が、錆の一つも残らず綺麗な鏡面に磨き上げられていた。
 おまけに刃にあった刃毀れも、あの一瞬でどこからか調達してきたらしい工具できっちりと修繕されて。
 あれだけ恐ろしかった化物の大斧は――正直なところ。
 あまりにも綺麗になりすぎて、あの時の恐ろしさ、悍ましさを完全に失ってしまっていた。

「■■■■■■■■ゥゥゥゥゥ――――!!!」

 殺意に満ちた声。
 正直、無理も無いだろうと思う。
 彼奴にしてみれば、殺すべきターゲットにおちょくられているようなものだ。
 しかしそれでも、この生物には一発も当たらない。
 全部避けている。受け流しすらしない。ほんとうの意味で、一発も当たっていない。

「理性が消失しているという欠点はありますが、しかし見事な腕です。
 理性さえ残されていたなら、きっとさぞかし見事な戦士だったのでしょうねぇ――しかし」

 触手生物が、動く。
 マッハ一桁の次元など飛び越えた触手が、誰にも反応できない超速で振るわれる。
 六本の斧のその全てを敵の腕から奪い取り、それらを四方八方、全くの別方向へと投擲。
 マッハの速度で投擲された斧は亜音速の速度で建物を、柵を突き破り、見えなくなった。
 あれでは取り戻しに向かうにも時間が掛かる。
 そしてそんな大きな隙さえ見逃してしまうほど――

「貴方は全く無関係の、未来ある中学生を殺した。
 如何なる願いがあろうとも、その時点で英雄、英霊としては落第点だ」

 マッハの世界は、遅くない。

「――――■ッ……」

 振るわれた触手の一閃が、斧使いの化物を視界の彼方まで吹き飛ばしていった。
 これまでのやり取りは、時間に直せば僅か十秒ほどの間に行われたものだ。
 あの忌まわしい化物は、果たしてどこまで足りない脳味噌で事態を認識できたのだろうか。
 ……きっと、良くて半分だろう。
 事を終えた触手生物は、遠くを見据えるように目を凝らして、自分が敵を吹き飛ばした方向を向き、言う。

「今のは大ホームランでしたねぇ。霊核破壊とまでは行っていないと思うのですが……」
「…………あんたは」

 誰だ、とは続かなかった。
 続く前に、触手生物が振り返る。
 間抜けな顔と見る者の毒気を抜くような色彩。
 それは、紛れもなく確実に――僕のこれまでの人生には、影も形も見せないような姿をしていた。

「ライダーのサーヴァント」
「ライダー……? サーヴァント……? 何を言っている。あんた、さっきの化物について何か知っているのか?」
「やや、これは失礼。失念していました。君はまだ聖杯戦争については、ずぶの素人もいいところなのでしたね」
「やけに腹立つ言い回しだな……」

 とはいえ、今の発言は見逃せない。
 今、この触手生物は「聖杯戦争」なる耳慣れないワードを口にした。
 聖杯。今日び中学生、下手をすれば小学生でもゲームや漫画を通じて知っているような単語だ。
 キリスト教の伝承を中心に様々な形で語り継がれる、奇跡の盃。
 神の子を貫いた槍やその血を吸った聖骸布に並ぶ知名度を誇る聖遺物。
 ……無論、実在の可能性など毛ほども信じてはいないが。

「さて、聖杯戦争については後々語るとして。
 ……そうですね。私のことは――」

 ニヤリと、黄色い顔で笑って。
 触手生物――いや。

「『殺せんせー』と、そうお呼びください。
 短い間ですが、私は君のしもべであり、教師となる者です」

 『殺せんせー』は、そんなことを言ってのけた。


 それから、僕は知る。
 この地で起こる聖杯をめぐる戦争を。
 願いを叶えるという触れ込みに、しかし僕は惹かれなかった。
 願いとは自分の力で叶えてこそのものだ、だとか、そういう気障な台詞を吐くつもりは毛頭ない。
 ただひとつ、たったひとつのシンプルな答えだけが、僕の聖杯を求めない理由。


「この僕が――聖杯などという与太話に縋らなければ叶えられない願いだと? 笑わせる」


 この浅野学秀に不可能はない。
 命さえあれば、父すら必ず追い越して、抱いた願いなど全て叶えられる。
 ならばこんな障害物は、とっとと飛び越えてしまうに限るというものだ。
 聖杯戦争からの脱出。勉強ではどうにもならない初めての課題に、この日僕は向き合うことになった。




 マッハ20の超生物。
 月の破壊者。
 壊すしか能のないモンスター。
 様々な名で呼ばれたライダーのサーヴァントは、ひとり心中にて述懐する。
 彼が、どうして浅野学秀の名を知っていたのか。
 その答えは、単純だ。
 学秀が感じていた、変化の波。
 それを引き起こすに至った影の立役者こそ、このサーヴァント。
 ライダーはいつだとて学秀の近くに居た。同じ街で、教鞭を執っていた。

「浅野学秀――まさか君を教えることになるとは思いませんでした」

 ――以前は敵として。
 ――今度は、教え子として。
 英霊の座から呼び出された超生物は、ヌルフフフと笑う。

「君を死なせてしまっては、君のお父さんに何をされるか分かったものではありませんからねぇ。
 きっちり教え抜いて、君を元いた場所へ送り届けてあげましょう。
 君は天才だ。世に出れば、必ず大人物になる。決して、こんな場所で失われていい命ではありません」

 椚ヶ丘中学校の暗殺教室。
 特別出張編――開始。



【クラス】
ライダー

【真名】
殺せんせー@暗殺教室

【パラメーター】
筋力:B 耐久力:B 敏捷:A+++ 魔力:A+ 幸運:C 宝具:A

【属性】
秩序・中庸

【クラススキル】
対魔力:-
魔術に対する守り。
ライダーは例外的に、このスキルが殆ど機能していない。
彼を殺すことは、理論上は習いたてのごく小さな魔弾でも、使い魔を媒介した魔力攻撃でも可能。
無論、当てられればの話だが。

【保有スキル】
無辜の怪物:C
星の破壊者、人類文明の終焉を齎す超生物。
本来月を破壊したのは彼ではないが、ライダー自身がそう認めていることからその在り方が改竄された。
「星」の属性を持つサーヴァントに対して、ライダーの放つ攻撃は特攻の性能を発揮する。

超生物:A
禁断の研究の末に生み出された存在。
マッハ20での超高速移動、再生機能に脱皮機能、対先生物質を内包した武器以外から一切の悪影響を受けないなど固有の性質を複数有している。
しかしサーヴァントの格に当て嵌められたせいか、魔力を含んだ攻撃であれば何であれ、ライダーにダメージを与えることが出来るようになっている。但し、劇毒物の類は変わらず水酸化ナトリウムを除いて完全無効。

教育:A-
人を教え、育てることにかけて、ライダーは間違いなく究極の域にいる。
彼は他者の悩みや本質を見抜き、その解決策やより良い方向での活用策を見出すことに非常に長けている。
マイナス表記が付いているのは、彼が時折する教師らしからぬ行動や人間味故である。

気配遮断:A
サーヴァントとしての気配を断つ。隠密行動に適している。
完全に気配を絶てば探知能力に優れたサーヴァントでも発見することは非常に難しい。
ただし自らが攻撃態勢に移ると気配遮断のランクは大きく落ちる。
このスキルは、超生物となる前の彼の名残である。

【宝具】

『我が愛しき椚色の日々よ(アポイント・デイズ)』
ランク:E 種別:対人 レンジ:- 最大捕捉:-
彼の生徒が見つけ、時には暗殺の手段として実践してきた数々の弱点。
当然これは、ライダーにプラスの作用をもたらす宝具ではない。
しかし一年の時間を共にした愛すべき生徒たちが成長と共に見出してきた成果物が、教師たる彼にとってたからものでないわけがなかった。

『完全防御形態(パーフェクト・モラトリアム)』
ランク:A 種別:対人 レンジ:1~100 最大捕捉:100
ライダーの奥の手中の奥の手。
透明な球体の中にオレンジ色の顔のみの球体が入った「完全防御形態」へと変化することが出来る。
球体の外側は高密度に凝縮されたエネルギーの結晶体で覆われており、外部からのあらゆる干渉を受け付けない文字通りの「完全防御」を実現する。
但しこの状態の彼は全く身動きが取れず、無防備になるのを強いられてしまう。完全防御形態は24時間後に自然崩壊するため、そこで彼は肉体を膨らませ、エネルギーを吸収することで元に戻る。
また、この宝具の応用系として全身ではなく触手の一部を圧縮してエネルギーを取り出し、強力なエネルギー砲を放って攻撃することが可能。

『破壊生物・激情体(フェイク・ベルセルク)』
ランク:E 種別:対人 レンジ:- 最大捕捉:-
ライダーが真に怒りを抱いた時、彼の顔面、更に怒りが強ければ全身が黒く変色する。
この状態のライダーは筋力、耐久、敏捷、魔力のステータスが上昇し、戦闘時に更なる有利を獲得できる。

【weapon】
触手

【人物背景】
月を破壊したと謳われるマッハ20の超生物。
その正体は、かつて最強の名をほしいままにした殺し屋『死神』。
愛する者との誓いの果て、彼は弱くなることを願い、欠陥だらけの怪物に姿を変えた。


【マスター】
浅野学秀@暗殺教室

【マスターとしての願い】
聖杯戦争からの脱出

【能力・技能】
親譲りの文武両道。
特に頭脳は天才的なものがあり、知識力も応用力も中学生の領域を超越している。

【人物背景】
椚ヶ丘中学校理事長、浅野學峯の実子。
父に強い反発心を抱いており、彼を引き摺り下ろして頂点に立つことを望む。
しかし仲間思いな側面の持ち主で、次第に父へ反発心とはまた違った疑問を抱いていく。

【方針】
聖杯を手に入れることは考えていないが、敗北を享受するつもりはない。




候補作投下順



最終更新:2016年03月03日 11:32