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東京某所、暴力団事務所。
そこに、黒服の男たちと対峙する一人の女性がいた。
眼鏡と三つ編みに束ねた赤髪が特徴的なその女性は、なかなかの美女と言えた。
しかしその目に宿る凶悪な光が、彼女が堅気の人間でないことを示していた。

「お約束のものです」

暴力団員の一人が、女に向かってそれなりの厚みを持った封筒を差し出す。
その中に入っていた一万円札の枚数を確認すると、女はうなずいて封筒を懐にしまい込んだ。

「これからも警察の情報提供お願いしますよ、姐さん」
「ああ」

鮫のように笑う女の名は、マリア・ヴィスコンティ。
この世界での立場は、警視庁の刑事であった。


◆ ◆ ◆


(しかし、ぬるい街ねえ。まあ大阪がひどかったのであって、こっちが標準に近いんだろうけど……)

家までの道を歩きながら、マリアは物憂げに溜息をつく。

彼女のいた世界では、大阪は世界屈指の犯罪都市となっていた。
そしてそんな街で警官をやっていた彼女も、市民の安全のために働く善良な奉仕者などではなかった。
何せ警察が犯罪組織を示す「盟約」の一角として数えられているのだから、そこに所属する者たちの人格も推して知るべしだ。

(大量殺人なんぞ起きてるご時世なのに、捜査に当たらせる警官の武器が拳銃一丁とは……。
 ショットガンどころか、RPGが支給されてもいいくらいなのに)

元の世界ではショットガンの使い手として名を馳せていたマリアだったが、この世界で使えるのは警察官として支給された拳銃のみだ。
ついでに公務員であることのつじつま合わせとして、日本国籍のハーフということになっている。
別に血筋に誇りを持つような人間ではないマリアだが、この件については自分のアイデンティティーをいじられたようで少しむっとしている。

(堂々と風俗行くこともできないし、私にとっちゃ本当に住みにくい街だわ……。
 早く懐かしきゴミ溜めに帰りたいねえ……)

もう一度溜息を漏らしつつ、マリアは家路を急いだ。


◆ ◆ ◆


マリアの家は、20代の公務員にはあまり似つかわしくないそこそこ高級なマンションだ。
むろん正規の給料だけではなく、後ろめたい方法で稼いだ金で購入したということになっている。

自宅に戻り部屋着に着替えたマリアは、真っ先にDVDをプレーヤーにセットする。
帰宅時に寄ったレンタル店で借りてきた、映画のDVDだ。
大阪は映画産業が非常に盛んであるため、大半の大阪人は映画好きである。
マリアもそれほど熱狂的な映画フリークというわけではないが、この世界の基準に当てはめれば平均以上の映画好きだ。
異世界で作られた未知の映画を観られるというのは、彼女にとってこの世界で暮らす数少ないメリットの一つであった。
今日借りてきたのは、剣と魔法の世界が舞台の冒険ファンタジーものだ。
マリアは夕食の中華まんとビールを交互に口に運びながら、真剣なまなざしで画面を見つめる。

「まったく、のんきなものだな。聖杯戦争のまっただ中だというのに……」

ふいに、部屋の中にもう一つの人影が現れた。
アフロ寸前のもじゃもじゃ頭と、薄い眉毛が特徴の貧弱そうな男だ。
彼こそが聖杯戦争でマリアと組む、ライダーのサーヴァントである。

数日前、ぬるい日常に違和感を抱いた結果として記憶を取り戻したマリアの前に現れたのが、この男だった。
マリアは彼から自分が異世界に連れて来られたこと、そして聖杯戦争の詳細について教えられた。
荒唐無稽な話ではあったが、そういう話に慣れていたマリアは割とあっさりと受け入れた。
何せ太陽の塔が動き出して怪獣王と戦う街・大阪の住人である。
他にも120メートルの巨人が大阪ドームを占拠しただとか、軍艦島に七福神の乗った宝船が現れただとか、荒唐無稽な話には事欠かない地域だ。
それらに比べれば、まあ異世界召喚程度はまだ受け入れられる話であろう。

「別にいいじゃない。戦争って言ったって、戦う相手が見つからないんじゃどうしようもないでしょ。
 戦わない時は、ちゃんと日常生活を楽しんでおかないと」
「甘いわ!」

ライダーの言葉をまったく意に介さないマリアだったが、ライダーの方も引かない。

「この前も言ったが、聖杯戦争には奇襲からの暗殺を得意とするアサシンというクラスがあるのだ!
 それ以外のクラスであっても、奇襲を仕掛けてくる可能性は充分にある!
 油断していれば、寝首をかかれることに……」
「ああもう、うるさい!」

ライダーの講釈を遮り、マリアはビールの空き缶を投げつけた。
むろんサーヴァントであるライダーはそんなものが当たったところで痛くもかゆくもないのだが、つい反射的にひるんでしまう。

「今、映画がいいところなんだよ! 集中させろ!」
「な……!」

理不尽な叱責に体を震わせるライダー。だが、あまり強い態度に出ることはできない。
何せ彼の戦闘力は、宝具なしでは一般人とほぼ等しいのだ。
修羅場慣れしているマリア相手では、脅しをかけたところで逆に圧倒される恐れがある。
だからといって、宝具を使うわけにもいかない。
彼の宝具は、生前に開発した搭乗型のロボットだ。
マンションの一室で使うには大きすぎるし、一般人相手の脅しに使うのは明らかに過剰戦力である。
そんなこんなで、ライダーはマリアに対して非常に弱い立場に置かれていた。

(くそー……。見ていろよ、愚か者め。
 聖杯を手にした暁には、世界征服のついでに貴様を下僕にしてくれるわ!)

薄い眉の間にしわを寄せながら、邪悪なる科学者……Dr.マシリトは心の中で呟いた。





【クラス】ライダー
【真名】Dr.マシリト
【出典】Dr.スランプ
【属性】混沌・悪

【パラメーター】筋力:E 耐久:C 敏捷:E 魔力:E 幸運:E 宝具:C

【クラススキル】
騎乗:A-
乗り物を乗りこなす能力。
ライダーは機械ならば完璧に乗りこなせるが、生物に対してはスキルの恩恵を受けられない。

対魔力:E
魔術に対する抵抗力。
魔術の無効化は出来ない。ダメージ数値を多少削減する。

【保有スキル】
戦闘続行:B
名称通り戦闘を続行する為の能力。
何度負けても諦めない、往生際の悪さ。

ボツ!:A
平行世界の自分と近しい存在に由来するスキル。
創作活動の経験がある相手に対し、与えるダメージが増加する。
増加率は相手がどれだけ創作に熱意を注いでいるかに比例し、職業としている者ならば数倍に達する。
芸術家系キャスターの天敵となり得るスキルである。


【宝具】
『キャラメルマン1号』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1-2 最大捕捉:1人
ライダーが開発した、最初の世界征服用ロボット。
全長数メートルの人型で、腹の中に入って操縦する。
「筋力:A」に相当するパワーを誇るが、武装はなく攻撃手段は肉弾戦のみ。

『キャラメルマン2号』
ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:1-30 最大捕捉:1人
レース用に開発された、ダチョウ型ロボット。
スピードはあるが武装はミサイル1発のみで、戦闘向きではない。

『キャラメルマン3号』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1-80 最大捕捉:3人
1号と2号の経験を踏まえ、則巻アラレ&ガジラ抹殺のために作られたロボット。
顔と自動車が融合したようなデザインで、3輪で移動。
左腕には強力なレーザー砲が装備されている。

【weapon】
いちおう天才的な頭脳。

【人物背景】
世界征服を企む、マッドサイエンティスト。
「世界最強のロボット」である則巻アラレを世界征服の最大の障害と判断し、自作のロボット「キャラメルマン」シリーズで幾度となく戦いを挑んだ。
最後は自らをキャラメルマン9号に改造してアラレに挑むも、勝利をつかむことはできずに命を散らした。
その後蘇り新たなキャラメルマンを制作したという説もあるが、真偽の程は定かではない。
前述の通り制作したキャラメルマンは9体存在するが、ライダーで召喚された現状で呼び出せるのは搭乗型の1~3号のみ。
また肉体も、サイボーグ化する前の生身の状態となっている。

なお出身世界では一介の犯罪者に過ぎないが、異世界では「悪の化身」として君臨したこともあるという。

【サーヴァントとしての願い】
世界征服。

【基本戦術、方針、運用法】
さすがに元の世界のような無茶はできないが、キャラメルマンシリーズの性能は充分に高い。
しかし本人のステータスは、耐久以外Eランクと脆弱そのもの。
奇襲に警戒し、常にキャラメルマンに乗った状態で戦闘を開始できるようにしたい。
そのため、マスターに警戒心のない現状は彼にとって本気でまずい状態である。



【マスター】マリア・ヴィスコンティ
【出典】アジアンパンクRPG サタスペ

【マスターとしての願い】
もらえるだけの金と女。

【weapon】
警察官としての職務中は、拳銃を所持。
本来の得物はショットガンだが、現在は所持していない。

【能力・技能】
裏社会の住人であるため戦闘慣れしており、殺人に忌避感がない。
また、女性を籠絡する高い恋愛テクを持っている。

【人物背景】
28歳のイタリア人。
職業は大阪市警の契約刑事(平たく言えば、治安維持のため警察が雇ったチンピラ)。
亜侠(素人以上、プロ以下の中途半端な裏社会の住人たち)の溜まり場である巨大バー「JAIL HOUSE」を縄張りとし、
亜侠達に仕事を斡旋して仲介料で小遣いを稼いでいる。
そのため、大阪の裏社会ではかなりの有名人。
気に入らない相手はショットガンで利き腕を吹き飛ばすことを信条としており、「利き腕のマリア」の二つ名で恐れられている。
真性のレズビアンかつロリコン。ただし美女であれば、年齢に関係なくちょっかいを出す。

【備考】
この世界では戸籍上、日伊ハーフの「速水・マリア・ヴィスコンティ」となっている。



候補作投下順



最終更新:2016年03月03日 12:40