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リリアとソウスケ〈そして二人は、〉前編
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リリアとソウスケ〈そして二人は、〉前編 ◆UcWYhusQhw
「………………ぁ……あぁ」
呼ばれた。
呼ばれたくなかった名前が。
わたしにとって大切な人が。
わたしにとってかけがえのないの無い人が。
呼ばれたくなかった名前が。
わたしにとって大切な人が。
わたしにとってかけがえのないの無い人が。
ぁぁ。
リリアーヌ・アイカシア・コラソン・ウィッティングトン・シュルツに生を与えたママ―――アリソン・ウィッティングトン・シュルツが。
―――死んじゃった。
もう、戻ってこないんだ。
もう、いつもの様に寝ぼけたりしないんだ。
もう、わたしを大好きっていってくれないんだ。
もう、わたしと一緒にいてくれないんだ。
もう、一緒に空を飛ぶこともできなんだ。
もう、一緒にご飯をたべることもできないんだ。
もう、キスしてくれることもできないんだ。
もう、いつもの様に寝ぼけたりしないんだ。
もう、わたしを大好きっていってくれないんだ。
もう、わたしと一緒にいてくれないんだ。
もう、一緒に空を飛ぶこともできなんだ。
もう、一緒にご飯をたべることもできないんだ。
もう、キスしてくれることもできないんだ。
もう、会えないんだ。
あぁぁあぁ……
ママ……大丈夫だって思ってたのに。
おかあ……さん。
嫌だ……嫌だ。
わたしを愛してくれてたたった一人の人。
たったひとりのおかあさん。
たったひとりの大好きな人。
なんで、なんで死んじゃうの?
なんでなんでなんでっ!
嫌だ……
わたし……わたしさぁ……
ああ、駄目だ……涙が溢れてくる。
おかあさん、おかあさん、ママ、ママ。
帰って来ない……帰って来ないんだよね。
いくら泣いても、いくら待っても。
帰ってこないんだよね。
ねぇ……わたし
わたし……
本当に
「独りぼっちになっちゃった」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
でも、今は目の前で泣いている少女に対して俺はどうすればいいか解らない。
むしろ、どうにかするべきなのだろうか。
俺は両親がいない。
だから、母親を失うという気持ちが解らない。
仲間を、戦友を失うよりきっと耐え難い喪失の気持ちなのだろう。
むしろ、どうにかするべきなのだろうか。
俺は両親がいない。
だから、母親を失うという気持ちが解らない。
仲間を、戦友を失うよりきっと耐え難い喪失の気持ちなのだろう。
そんな母親を失ったリリアにかける言葉なんて何があるのだろうか。
付き合いも浅い俺にどうしろというのだ。
ただ困惑するだけだ。
付き合いも浅い俺にどうしろというのだ。
ただ困惑するだけだ。
だが、それでも、リリアがこんなにも苦しんでいるのは俺のせいかもしれない。
俺がリリアを襲ったから。
元々空港に向かうはずだったリリアにちょっかいをかけて遅らせたのは俺だ。
リリアの母親は間違いなく此処に居た。
もし早くついたならば会えていた。
俺がリリアを襲ったから。
元々空港に向かうはずだったリリアにちょっかいをかけて遅らせたのは俺だ。
リリアの母親は間違いなく此処に居た。
もし早くついたならば会えていた。
だからリリアを……
「独りぼっちになっちゃった」
そんな時、そんなリリアの声が聞こえた。
その声で、俺は苦しくなってしまう。
その声で、俺は苦しくなってしまう。
……そう、俺がリリアを独りぼっちにしたのかもしれない。
俺と同じく天涯孤独にしたのかもしれない。
リリアはもう独りぼっちだ。
リリアを護ってくれる人はもう居ない。
リリアを心の底から大切にしてくれる人がもう居ないのだ。
リリアはもう独りぼっちだ。
リリアを護ってくれる人はもう居ない。
リリアを心の底から大切にしてくれる人がもう居ないのだ。
俺がもしあの時あっていなければ。
リリアはきっと一人にならなかったのかもしれなかった。
俺はそんな罪の意識に襲われてしまう。
俺はそんな独りぼっちになったリリアに何が出来るのだろう。
俺はそんな独りぼっちになったリリアに何が出来るのだろう。
何も出来やしない。
俺は彼女の事なんて深く知らない。
彼女も俺のことなんて深く知らないだろう。
彼女も俺のことなんて深く知らないだろう。
そんな俺が。
彼女に出来る事など
「……すまない、リリア」
謝る事ぐらいしかない。
ただ、独りにしてしまった彼女に。
ただ、独りにしてしまった彼女に。
「自分が君に声をかけなければ……」
君は母親にあえたのかもしれない。
その続きの言葉は言えなかった。
俺は下を向きながらそう、呟く。
その続きの言葉は言えなかった。
俺は下を向きながらそう、呟く。
そして彼女に贖罪出来る事というのなら。
リリアが俺に言った事。
俺に願った事。
俺に願った事。
ただ、ひとつ俺に願った事。
考える事もできない俺が言われた通りに出来る事。
それは
「だから……代わりに護ってやる」
リリアを護ってあげる事だ。
彼女が俺に言った通りに。
彼女を護り抜く事だ。
彼女が俺に言った通りに。
彼女を護り抜く事だ。
罪滅ぼしに俺が出来る事。
ただ、一つ。それだけだった。
リリアは……
その言葉を聴いて……
「………………何それ」
怒っていた。
泣いてたせいで真っ赤になっている目と同じように顔を赤くしながら。
俺に向かって怒りを向けていた。
泣いてたせいで真っ赤になっている目と同じように顔を赤くしながら。
俺に向かって怒りを向けていた。
「何よそれ…………」
俺はわけがわからず立ちすくむばかり。
リリアは今にも胸倉をつかみかかそうな勢いで。
リリアは今にも胸倉をつかみかかそうな勢いで。
「ふざけるな……ふざけないでよっ!」
いや、実際に掴んで俺に怒りをぶつける。
俺はわからず立ち止まるばかり。
善意で言ったつもり言葉だった。
なのに彼女はこんなにも怒っている。
俺はただ、解らなかった。
俺はわからず立ち止まるばかり。
善意で言ったつもり言葉だった。
なのに彼女はこんなにも怒っている。
俺はただ、解らなかった。
「謝ってママが帰ってくるの? 謝ったらママが生き返るの? そんな訳無いに決まってる」
リリアはまた涙を溢れさせながら。
俺をただ咎めている。
俺は黙って聞くしかなかった。
リリアの顔を直視できなかった。
俺をただ咎めている。
俺は黙って聞くしかなかった。
リリアの顔を直視できなかった。
「自分の贖罪の為に護ってあげる? 『代わりに』?」
代わりにという言葉を強調して。
俺の胸倉をもっと強くつかむ。
俺の胸倉をもっと強くつかむ。
リリアは……怒りながら。
哀しそうに。
切なそうに。
切なそうに。
「宗介にママの代わりが出来ると思ってる? それとも………… 」
涙で目を潤ませた顔を。
強引に俺の顔の前に持ってきて。
強引に俺の顔の前に持ってきて。
見つめて。
とてもとても。
哀しそうに。
「ただ、宗介自身がかなめさんやテッサさんの『代わり』にわたしを護りたいだけじゃないの?」
そう、言った。
俺は何も言えなかった。
何もいえる訳……無かった。
図星だったのだろうか。
解らない。
何もいえる訳……無かった。
図星だったのだろうか。
解らない。
でも言える事は。
俺はその言葉に何も言えなくなった。
それだけだった。
「わたしは同情なんてして欲しくない。もし贖罪というのなら、それはただの思い上がり」
リリアはそんな俺の行動を一蹴する。
怒りながら、泣きながら、切なそうに。
怒りながら、泣きながら、切なそうに。
そして、一度だけ。
切なそうに笑って。
「わたしは宗介の護る代わりの人間になんかなりたくもない。わたしはそんなの絶対嫌だっ!」
そう、俺を拒絶して。
そう、俺に言って。
そう、俺に言って。
ドンと強く俺の胸を押す。
リリアと俺の距離が離れて。
リリアの表情は隠れてよく見えなくて。
ただ涙が零れたのをもう一度だけ見て。
「バイバイ」
そう言って。
リリアは走っていった。
俺はその背に手を伸ばそうとして。
最後まで伸ばす事なんて出来なかった。
俺に何が出来る?
俺がリリアの為に何が出来るというのだ。
俺はただの『代わり』を求めていたかもしれないのに。
俺のせいでリリアを更に傷つけたかもしれないのに。
俺がリリアの為に何が出来るというのだ。
俺はただの『代わり』を求めていたかもしれないのに。
俺のせいでリリアを更に傷つけたかもしれないのに。
付き合いの浅い俺に。
リリアの心なんて解る訳がない。
俺はそうして。
立ち止まった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ぼくはもうよく解らなかった。
伊里野の為に殺したのに嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で。
伊里野の為に殺したのに嫌で嫌で嫌で嫌で嫌で。
嫌で仕方なかった。
嫌で嫌で嫌で仕方ない。
ぼくはそのまま何処かの民家にいって吐いた。
吐くものなんて何もないのに吐いて吐いて。
吐くものなんて何もないのに吐いて吐いて。
ぼくは一体何の為に殺したんだろう。
人はあんなにもあっけなく死んじゃう。
その死体にただ嫌悪感しかだせなくて。
その死体にただ嫌悪感しかだせなくて。
ただ、嫌悪感に苛まれている時に放送は始まった。
そして呼ばれた名前。
そして呼ばれた名前。
榎本。
多分、ぼくがよく知ってる人物だと思う。
その人が死んだ。
その人が死んだ。
ぼくは訳がわからず戸惑って。
そして死を噛み締めて。
そして死を噛み締めて。
そのまま床の上に寝そべっていたんだ。
ぼくはそしてまた気持ち悪くなってしまった。
もう一度何かを吐いて。
ぼくはそしてまた気持ち悪くなってしまった。
もう一度何かを吐いて。
ぼくは怖くなった。
何でも出来るあの人すらこんなにも早く死んじゃったのに、ぼくは伊里野の為に出来るのだろうか。
解らない、解らなくて。
何でも出来るあの人すらこんなにも早く死んじゃったのに、ぼくは伊里野の為に出来るのだろうか。
解らない、解らなくて。
そもそも殺せるのだろうか。
そんな疑問すらわいて、その時台所で見つけた包丁。
人を殺せる道具を見つけてそんな靄が掛かった想いが晴れた。
そんな疑問すらわいて、その時台所で見つけた包丁。
人を殺せる道具を見つけてそんな靄が掛かった想いが晴れた。
殺さなきゃ。
伊里野の為に殺さなきゃ。
伊里野の為に殺さなきゃ。
殺せるのかじゃない。
殺さないとだ。
殺さないとだ。
伊里野の為に何としても殺さないと。
殺さないと……!
そう思って僕はあても解らず駆け出したんだ。
走って走って。
そして彼女にあったんだ。
栗毛の少女。
リリアという人に。
殺さないと思って僕は近づく。
まさかあんな事になるとは思わずに。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
もー最悪……
何が最悪って……わたし自身よ。
何で宗介にあたってる訳。
何が最悪って……わたし自身よ。
何で宗介にあたってる訳。
それで何も解決にならないじゃん……
あーーーもーーーーー
……ママ。
居ないんだよね? もう。
じゃあ、わたしはどうすればいいのかなぁ。
居ないんだよね? もう。
じゃあ、わたしはどうすればいいのかなぁ。
それが解らずにただ私は走っている。
闇雲に、哀しみと罪悪感に逃げながら。
闇雲に、哀しみと罪悪感に逃げながら。
何でかなぁ……
ママ……
ママはどうしてそんなに優しいのかなぁ。
ママが残した手紙。
あんな事書かれていたらわたしは……ママを殺した人を恨む事なんてできない。
あんな事書かれていたらわたしは……ママを殺した人を恨む事なんてできない。
ママは優しいから。
じゃあ残されたわたしはどうすればいいのかな?
その答えも出ずただ走る。
そんな時だった。
路地から一人の少年が飛び出してきたのは。
少年が手に持つのは包丁。
わたしを見つめている。
そんな時だった。
路地から一人の少年が飛び出してきたのは。
少年が手に持つのは包丁。
わたしを見つめている。
「……貴方は?」
わたしは彼の名前を尋ねた。
だけど、彼は何も言わずに駆け出してくる。
だけど、彼は何も言わずに駆け出してくる。
「……きゃぁ!?」
そしてそのままわたしに向かって包丁を振りかざす。
わたしはその瞬間に横とびをして距離をとろうとするが彼はしつこく追って来ようとする。
わたしはその瞬間に横とびをして距離をとろうとするが彼はしつこく追って来ようとする。
間違いない。
彼は殺し合いに乗っている。
彼は殺し合いに乗っている。
その事実に少し怖くなって……そして宗介が居ない事に気付く。
護ってくれる人がいないことに。
護ってくれる人がいないことに。
あぁ……ばかだなぁわたし。
わたし……少しぐらい頼りにしてたじゃん。
わたし……少しぐらい頼りにしてたじゃん。
ばかだなぁ……
少年は先ほどと変わらずこっちに迫ってきて。
わたしはそんな少年に追いつかれて。
わたしはそんな少年に追いつかれて。
彼は包丁を振り上げようとして。
……ああ、死ぬんだ。
わたし……
わたし……
ママ……
「伊里野の為に……死んで」
その言葉を聴いて。
わたしは……
「……今、何て言った?」
彼の振り下ろした腕を寸前で受け止めていた。
ただ。
怒りのままに。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
立ち止まっている。
何もする事も無く去っていったリリアの方向を見ながら。
何もする事も無く去っていったリリアの方向を見ながら。
俺はただ立ち止まっている。
これでよかったのだろうかと自問する。
だが、答えなど返ってくる訳が無い。
だが、答えなど返ってくる訳が無い。
結局俺は何をしたかったのだろう。
すぐさま千鳥達を探さずにリリアと居て。
彼女を護ろうとして。
すぐさま千鳥達を探さずにリリアと居て。
彼女を護ろうとして。
そしてそれは俺の思い上がりである事を指摘されて。
彼女を傷つけた。
しかし……俺は。
俺は……俺はリリアなんか気にせずに本当は千鳥達を真っ先に探すべきではなかったのだろうか?
それが本来、いや元々此処に来る前から任されていた任務だ。
だからリリアなど気にする必要など無かったのだ。
だからリリアなど気にする必要など無かったのだ。
リリアを護るとかではなくて千鳥達を……だ。
そうでなければならなかったのだ。
だから……もういい。
元に戻ろう。
千鳥達を……護るんだ。
俺が護るべきはリリアではない。
俺が護るべきはリリアではない。
さあ……行こう。
彼女には別れを告げられたのだから。
バイバイと。
その言葉が何処胸に刺さりながらも。
俺は元通りの目的の為に歩き出した。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇