闇の中で、一瞬だけ、ジーンズのポケットに入れたままの携帯が、振動した。
”めぐみ、ね”
敦子は内心で一人ごちた。確認せずとも相手は分かっている。
どのみち、今は携帯など触っているヒマはなかった。
イエローコーンの派手なブルゾンの内ポケットに納められた携帯受令器からの情報の方が、今の敦子にとっては重要だった。
イヤホンを耳に当て直し、後方待機を命じられた車中にてじっと待つ。
ややあって、イヤホン越しに伝わってきた怒声と混乱に何が起きたのかを理解した敦子は行動を開始した。
携帯受令器から伝わる情報と、事前に打ち合わせされた現場の情報を素早く頭の中で照らし合わせた。覆面パトカーのエンジンを始動させて、周囲を確認する。
ライトは点けぬまま、暗闇の中をバックギヤに入れ、敦子は車を急発進させた。タイヤが鋭く鳴り、バックギヤ特有の駆動音が急加速していく。細心の注意を払って、敦子は暗がりの中、微妙に曲がりくねる路地裏をバックで疾走した。
細い路地裏をふさぐように、車を停止させる。ほのくらい路地裏から走り出てきた容疑者が、突如目の前に飛び込んできた車に狼狽する表情を見て、敦子はほくそ笑んだ。
すぐさま車を飛び出し、トランクを乗り越えて容疑者の男に飛び掛かる。いかに敦子が女だとは言っても、不意を打たれ全体重を載せてぶつかられてはどうしようもない。無様に地面に押し倒された男を、敦子は後ろ手に締め上げると後ろポケットから手錠を取り出し、その手にかけた。
「バカやろう! お前は、後方待機だっていったろうが。指示もされてないのに、なんで勝手に動き回ってんだ!」
怒声をあげる禿頭の巨漢は、腹立たしげに椅子を蹴り上げると忌々しげに敦子をにらみつけた。
「無事にほしを確保できたからいいようなもんの、逃げられたり、野郎が懐にナイフでも呑んでて逆襲されてたらどうするつもりだったんだ、ええ?」
だん、と机を叩きつける音の強烈さに敦子は思わず首をすくめた。
「すみません、班長」
目を伏せ、神妙な顔で詫びる敦子に、巨漢、杉田次郎警部補は怒りが収まり切らぬとばかりに、鼻息をふんと吹き出した。
「まったく……。こないだも、スタンドプレイはすんなって言ったろうが。今度やったら、お前生安からよそにたたき出すぞ。いいな?」
「はい」
姿勢を正し、きっぱりとした視線をあげる敦子に杉田は少しだけ表情を和らげた。
「……まぁ、いいや。説教終わり。あと、課長にも謝っとけ」
「はい。すみませんでした」
素直に謝ると敦子は課長席に向かった。
「園田。杉やんの言うとおりだ。警察ってのはな、チームプレイで成り立ってるんだ。刑事ドラマじゃないんだから。もうこれで5回目だ。杉やんの言うとおりに、次はないぞ」
いいながら、いかにもなナイスミドルの課長は一枚の書類を敦子に差し出した。
「始末書だ。今日はこれを書いたら帰ってよろしい」
敦子は書類を受け取ると敬礼した。
「はい。申しわけありませんでした」
自席に戻り始末書を書く敦子は、またもや携帯が振動するのに気付いて眉を顰めた。さっきから数えて、もう5回目になる。ようやく、敦子は携帯を取りだして確認した。
”やっぱり”
メールの発信者はめぐみだった。
ため息をついて、携帯を閉じる。めぐみに返信を返すつもりは、今の敦子にはなかった。
生活安全課を出て、ロッカールームで帰り支度をすませた敦子は、ヘルメットをぶら下げて署を出た。
駐車場に止められた敦子の600ccのバイクのそばで、杉田が待ち受けていた。敦子の顔を見て、にやりと笑う。
「始末書ですんで、よかったな。始末書が出てくる間は、まだ課長もお前に見込みがあるって思ってくれてるってことだ。感謝しろよ」
「はぁ……。すみません」
居心地が悪そうに返事を返す敦子に杉田はまたもにやりとした。
「気ぃつけて帰れよ。明日は朝からアイツの取り調べだ」
「はい。お疲れ様でした」
自分の車に乗り込み、家路に向かう杉田を見送ってから、敦子はヘルメットを被った。
10年の歳月が流れ、成人した敦子は警察官になっていた。偶然にも、地元の警察署に配属された敦子は、適性があったのか、希望していた交通課ではなく、生活安全課に務めることになった。今年で、警官になって4年、生活安全課に配属されて3年目になる。
まだそれほど遅い時間ではなかったが、道はかなり空いていた。敦子の他に走る車もなく、エンジン音だけが響きわたる。信号に引っかかり、停止した敦子はヘルメットのシールドを開けた。
「恵美……」
交差点に表示された地名を見て、敦子は一人つぶやいた。ここは、恵美が眠る場所のすぐそばだった。この交差点を左折してしばらく走れば、その墓地にたどり着く。
この10年近くの間、通りかかるたびに、誘惑が逡巡となって敦子を襲い、悩ませ続けていた。
ウィンカーを出しかけたところで、信号が青になった。
「……」
敦子はシールドを下ろしバイクを発進させた。左折することなく、交差点を直進した。
敦子が、そのバーを知ったのはつい3ヶ月前のことだった。隣街にある小さな店は、その世界では有名な存在だった。同じ愛を求める女たちが知り合い、出会える場として。
客の年齢層は敦子と同じくらいから、少し上まで。店の雰囲気が、自然と他の年齢層を締め出す造りになっていた。
店のすぐそばにバイクを止めると、ヘルメットホルダにヘルメットをかけた。
背中に背負っていた小さな黒革のデイバッグから手鏡を取り出し、乱れた髪を直す。少女時代短くしていた髪は恵美がいなくなったあと、徐々に伸ばし始めて今では当時の恵美と変わらない長さになっていた。だが、どんなに髪を伸ばしても、鏡の中の敦子は、敦子のままだ。恵美に近づくことなど、あるはずもない。敦子は手鏡をしまうと雑居ビルにあるその店に向かった。
平日とあって、客の数はそれほどでもなかった。
「いらっしゃい。久しぶりね」
バーテンダーの男装に身を包んだ30代半ばくらいのママに出迎えられて、敦子は軽く会釈した。
この小さな店を一人で切り盛りするママは、資産家の娘とかで、この雑居ビルのオーナーでもある。 もともとの資産プラス家賃収入だけで、充分に食べていけるのだが、ママ自身10年来の付き合いのあるパートナーと同居しており、自分たちと同じ愛の志向を持つ女たちのためにこの店をする決心をしたのだ、と本人から直接聞かされたことがある。
その話を聞いてから、敦子は足繁くこの店に通うようになった。
「このところ……忙しくって。ご無沙汰してました」
「あら、忙しいのはいいことよ。なににする?」
カウンターに座った敦子は出されたおしぼりの包みを破りながらウーロン茶を注文した。
「今日バイクなんです、飲酒で捕まるわけにもいかないし」
「最近厳しいものね」
艶然と微笑んでママはグラスに入れたウーロン茶を敦子に出した。
カウンターには、もう一人敦子と同じくらいの年のOL風の女が座っていた。落ち着いた色合いのカットソーに膝丈のふんわりとした生地のスカート。部分部分にレースの印象が鮮やかな服装で身を包んでおり、鮮やかな色のカクテルを傾けながら、敦子にちらちらと視線を向けていた。
以前にも、見たことのある顔だった。その時は、やはり同じ年頃のOL風の女性といちゃつきながらグラスを傾けていたはずだ。
「彼女、付き合ってた子に振られたんだって。慰めてあげる?」
小声でささやくママの言葉に、淫情の予感が走って、敦子の身体が熱くなった。
ウーロン茶のグラスを持って席を立つ。
「あんまり……飲み過ぎない方が良いんじゃない?」
近寄って声をかけた敦子に、とろんとした視線を向けて、女はさらにグラスを傾けた。
「……飲みたくなんかない、でも……。飲まずにいられないのよぉ……」
つぶやくように言って、女は視線を逸らした。
「隣、いいかな」
敦子には視線を向けず、カクテルグラスを見つめたまま、女は無言で頷いた。
女の名は優子といった。見た目の通り、OLをしていて、年も敦子と同じ年だった。この店で知り合い、2年半付き合った彼女と、今日別れたばかりだった。
「あたしと出会ったばかりの時は、ずっとそばにいてね、二人はずっと一緒だよって、ずっとそう言ってたのに……実家に言われたから、見合いしたら、結婚して田舎に帰るからって。そんなの、どうなのよ、あたしに言ってたことは、いったい何だったの……」
すっかり打ち解けて、敦子に愚痴をこぼし、しなだれかかる優子の肩を優しく抱くようにした。
柑橘系の香りが敦子の鼻をついた。いつの間にかしゃくり上げる優子の、長い黒髪越しに覗く横顔が、恵美に少し似ていた。
「優子が悪くて、そうなったんじゃないんだから。もう……嫌なことは忘れようよ」
そう慰めながら、敦子は自分の言葉の欺瞞に気付いた。人にはそう言いながら、自分はどうなのか。
”忘れることなんか、できるはずない”
優子の頭や肩を優しく撫でながら、敦子は小さく息を吐いた。
「……ママ。今、上、空いてます?」
「ええ。空いてるわ」
すでに用意していたらしい部屋の鍵をママから受け取ると、敦子は礼を言って優子とともに店を出た。
泣きじゃくる優子をなだめながら、敦子は店を出てすぐ目の前にあるエレベーターで最上階を目指す。
そこは、店で雰囲気が盛り上がったカップルのためにママが解放している部屋だった。特に別料金がかかるわけではなく、店の客であれば自由に利用できる。この部屋の存在も、ママの店が人気を保っている理由の一つだった。
最上階にある3つのうちの一つの部屋に入って、優子をソファに座らせた敦子は、着ていたブルゾンを脱い隣に腰掛けた。
「もう……泣かないで、優子……」
優しくささやいて、肩を抱きながら敦子は涙をこぼす優子の瞳を、マスカラがなるべく取れぬよう注意しながら、そっと指先で拭った。
「ごめん……」
下唇を噛みしめる優子に優しく微笑みかける。
「忘れちゃいなよ……。わたしが、忘れさせて、あげる……」
淫蕩さをはらんだ口調でそうささやいて、敦子は優子の唇を優しく奪った。リップを塗られた唇同士が触れあうねっとりとした甘い感触に血が騒ぐ。
「んんっ」
小さくうめく優子の唇に舌先を差し入れ、上あごなどをつつき回す。自然と溢れそうになるお互いの唾液をすすり合い、舌と舌を絡めて、吸う。
ピクン、と小さく優子の身体が震えて、力が抜けていくのが分かる。
同時に、抱いている肩のラインと、おなかに当てるようにしていた手のひらを、じんわりと滑らせ、撫でていった。おなかから、胸元へと滑らせた手のひらで、たっぷりとした重量感のあるバストを、カットソーの柔らかな布地越しにさするように揉みほぐす。
「んっ……んぅ」
うめきを漏らす唇も、引き続き舌先を縦横無尽に走らせて、かき回す。しっとりとした愛撫に、優子の身体が体温を高めていくのを感じて、敦子はさらに優子の唇を強く吸った。
「はぁ……ぁ、んっ」
息苦しさに、吐息を漏らす優子にかまわず、敦子は攻めるポイントを移動した。
長い髪をかき分け、首筋に唇を這わせて、ちろちろと舌先も交えてなぞっていく。微かに紅潮し上気した肌が、軽く汗ばんでしっとりとした感触に変わっていく。
「ン、ぁ、ぅぅん……」
敦子の攻めに優子がうっとりとした吐息を漏らした。その間にも、めまぐるしく敦子の攻撃が移り変わっていく。唇は首筋から耳へ、そして肩から腕のラインを撫でていた手のひらがバストへと移り、さらに移動した手はスカート越しに優子の膝頭をなぞっていた。
「くぅぅん……っ、はぁっ……」
膝頭から、太ももへと、手のひらが滑っていき、それに合わせるように、優子の両脚が内股をこすり合わせるように揺れて、うごめく。行きつ戻りつしていた手のひらは、やがて両膝を割るように隙間に滑り込んだ。やや力を込めて、なぞるように撫でる手のひらは、スカートをめくり上げながら内股の付け根へ進んでいく。柄の入ったストッキングの繊維の細やかな凹凸が、表面を滑る指先の動きを微妙な振動に変えて快感に変えていく。
「ふぁぅ……んっ」
優子が身体をぴくんと震わせ、身をよじった。同時にバストを攻めていた手のひらが、カットソー、さらにはその下のキャミソールとブラを越えて、刺激に反応して固く尖り始めた胸の先端を転がすようにしていたからだ。
「気持ち……いいんだね? もぉ……こんなに、固くなってるよ。優子の、ここ」
耳元に息を吹きかけつつそうささやいて、敦子は服の上からでも分かるほど盛り上がりを見せる先端の尖りを、拡げた手の指と指の間に挟み込んだ。そこを中心にしてこねるように手のひらをうごめかす。
「んっ、あっ、ァ、ァ、あんっ」
吐息に混じって漏れ始めた嬌声を優子はもはや堪えようとはしなかった。むしろ、襲いかかる快楽の波に自ら身を投げるかのように、脱力した身体を敦子に預けて、その虜となりつつあった。
内股の奥にたどり着いた手のひらは、完全に優子のスカートをめくりあげてしまっていた。むき出しにされて白っぽく光るストッキング越しに、鮮やかな水色をベースに、黒い模様と白い刺繍が入ったショーツが透けて見える。
そこにあてがうように這わせた指先に、熱く湿り気を帯びた空気がまとわりつくのを感じて、敦子の身体がかっと熱くなる。熟練の域に達した敦子の指先は、確実に優子の快楽をコントロールするポイントを探り当て、そこを攻め始める。すでに濡れそぼっているらしく、張り付くようになってくっきりと浮き出た形に沿ってなぞり震わせる。
「くぅんっ、んぁっ、ああっ!」
びぃんっ、と伸び上がって、身体と体重を押しつけるように敦子に預ける優子の鋭い反応は、敦子の淫情と嗜虐心を刺激した。
「すごいね……ぐちょぐちょ、だよ……。ストッキングまで、濡れちゃってる、優子……」
被虐心と羞恥心を煽り高ぶらせるささやきを口にして、敦子は再び優子の耳たぶなどを責め始めた。
「やぁんっ、やだっ、いや、ああっ……」
背筋を伸ばし、のけぞって身をよじる優子は、真っ赤に赤面させた顔をくねらせて、吐息混じりの悲鳴を漏らし続けた。腰が自然と震えうごめいて、敦子の指先の動きに相乗して、さらに快感の渦に飲み込まれていく。そして、声にならぬ声を上げたかと思うと、ビクビクンッ、と身体を震わせ動きを止めた。
「ん……ぁ」
ぐったりした身体をソファと敦子に預けて、長い吐息を漏らす。官能の極みに達した優子に、敦子は額から鼻、頬にかけて小さなキスの雨を降らせた。
「ふふっ……。ねえ、シャワー浴びよっか」
ぐったりとしたまま弱々しく頷く優子に、敦子はもう一度キスした。
1畳ほどのシャワールームで、二人は抱きしめあって唇を重ね合わせた。少女時代よりも肉付きが良くなったものの、相変わらずスリムな印象が強い敦子に比べて、たわわなバストなど肉感的なからだつきの優子と抱きしめ合うと、その柔らかい抱き心地に敦子がとろけそうになる。
「いいなぁ、敦子さん、ウェスト細くって……」
敦子の腰に回した手を背筋に沿うようにくすぐりながら、優子がため息をついた。
「んっ……そんなこと、ないよ……優子だってきれいだよ。それに、敦子さん、なんて他人行儀にいわなくても、いいよ」
ささやきながら、敦子はシャワーヘッドを自在に操って、優子の身体に湯をかけていく。合わせて手のひらでシャワーの湯がかかる場所を撫で回しながら。
「ふふっ、ありがと、うれしいっ……んんっ」
腰骨のラインをなぞった敦子の指の動きに、優子は腰をくねらせた。思わずしがみつく優子に、くすりと笑った敦子は、シャワーを止めてボディーソープを手に取った。
手のひらで泡立てると、優子の背中から手のひらを滑らせていく。背筋に沿ってこびりつく泡にあわせて、優子は短く吐息を漏らし続けた。泡の持つぬめり気に滑る感覚に自然と身体がくねる。
ぬるぬるとした敦子の手のひらは、優子のお尻から腰骨、そして脇からつんと尖ったバストへと忙しく移動していった。その度に、声を漏らし腰をくねらせた優子は、完全にとろけた視線で、泡まみれの身体を敦子にしなだれかからせていた。
「ふぅぅ……んっ」
熱いものになった優子の吐息が、敦子の耳をそよがせくすぐる。
「ここも……洗ってあげるね」
「えっ……あっ、あんっ!」
鋭い叫びがシャワールーム中に響き渡る。敦子の指先は、優子自身のぬめり気でまみれた亀裂を責め始めていた。最初、アンダーヘアを泡立てた手のひらは、包み込むように優子の亀裂に滑り込み、そしてかき分けて泡をこすりつける。ぬめり気とぬめり気が混じり合い、一つになって優子の亀裂を官能の刺激で洗い流そうとしていた。
しがみつく優子の指先に力が込められて震える。わざとらしく、ぬめり気をかき混ぜる音を立てて、敦子はささやいた。
「くちゅくちゅ……言ってるよ、優子……。なんで、こんなにクチュクチュいうのかな……」
「んぅ……ッ、ア、あ、あぁんっ」
いらえは、跳ねるような嬌声になって優子の唇からこぼれた。敦子が与える快感に震え、膝が笑う。
「優子の感じる声、すごく……可愛いよ。もっと……いっぱい聞かせてよ」
咽喉声で優子の耳をくすぐり、責めながら敦子は紅潮して上気した優子の頬にキスする。
その間に、すでに淫裂と化した優子の亀裂を責め続ける指先は硬く尖ってはち切れんばかりになった淫芯を捕らえていた。溢れんばかりのぬめり気にまみれた指先で、つまんで、弾く。
「ンあっ、あっ、ああっ、あーっっ!」
鋭く数回、優子の身体が跳ねて、漏れる声が絶叫のそれに近くなった。優子の奥底から溢れるぬめり気が、じわり、と膨れあがりさらに熱いものがにじみ出る感触が敦子の指先に絡みつく。
ぐったりとして、しがみつく優子を支えながら、敦子はシャワーの湯を出した。シャワーヘッドを手にとって、優子の身体にこびりついた泡を流していく。
暖かな湯を浴びせられて、一息つけたらしい優子は、気だるさを引きずったまま、照れくさそうな笑みを浮かべて敦子の頬にキスを返した。
「リードするの巧いね……。こんなに短く何回もイカされたの、初めて」
「そんなことないよ……。優子がいっぱい感じてくれたから」
謙遜する敦子の腰を抱くようにして、敦子より身長の低い優子は敦子の肩に顔を埋めるようにしてささやいた。
「それを引き出したのは、敦子のリードが上手だから、だよ……」
上目遣いでそう言う優子の瞳が、淫情の輝きに溢れていた。
「今度は、敦子の番だよ……」
ボディーソープのボトルをポンピングしながら、優子が笑みを浮かべた。
背後に回った、優子の指先が敦子の背中をなぞっていく。
「敦子って、今付き合ってる人とか、いないの?」
ぬめり気を帯びた手のひらが、腰から脇に滑り込んでいく。
「んんっ……いるのは、いるんだけど……。わたしも、うまくいってない、から……っ」
曖昧な返事を返す敦子の脇から、滑り込んだ優子の手のひらがへそのあたりをくすぐるようにうごめいて、敦子のささやかな両の膨らみを持ち上げるように包み込んだ。
「そっかぁ……。喧嘩でも、しちゃったの?」
背後からささやきながら、優子の指先が、なめらかに動いてつんと尖った敦子の先端を転がし始めた。
「んっ、あっ……ん、ううん、多分、わたしに、原因がある……んぅっ」
巧みな愛撫に、敦子の身体と心が躍り始めた。