翌日、急に思い立って敦子は朝から美容室に行った。長く伸びた髪を中学時代と同じくらいに短く切った。
花束を買ってから、恵美の眠る墓地へバイクを走らせたのは午後2時を過ぎたあたりだった。管理人に場所を尋ね、案内してもらう。
意外にも、恵美の墓はきれいに保たれていた。ごく最近供えられたとおぼしき花束を見て、管理人に尋ねる。
「ああ、お母様が月命日には必ずいらっしゃいますよ。やはり、若くしてお亡くなりになられると、ご遺族としてはお辛いでしょうねえ」
「えっ……」
一瞬絶句したものの、敦子は礼を言って管理人がその場をあとにすると花束を墓前に供えた。
持参した線香に火をつけ、灯籠のろうそくに火を灯す。手を合わせてから敦子は恵美の墓を、しばらく何も言わずに見つめていた。
”……そっか。よかったね、恵美……。お母さんの所に、戻ることができたんだね”
内心でそうささやいて、敦子はしばらくの間、ずっとそうしていた。
心の中にずっとあった何かが、緩やかに熔けていくような、そんな感覚に敦子はほっとため息をついていた。
「恵美……恵美……。もう、もう会えないんだね、もう」
いつしか溢れていた涙を拭こうともせず、敦子はその場に立ちつくしたまますすり泣いていた。
10年間、抑えていた何かが解放された瞬間だった。この時初めて、敦子は恵美が死んだ悲しみのために泣いていた。
どれくらいその場にいたのかは敦子自身よく分からない。気付いたときすでに日は沈みかけていた。赤く染まる空気の中、涙を拭った敦子はきっぱりと顔を上げた。
「……じゃあ、帰るね……恵美。次に来るときは……めぐみにも、会ってね」
ささやいて、敦子はその場をあとにした。敦子には、まだやらねばならぬことがあった。
駐車場にぽつんと停められた自分のバイクの所まで来て、敦子は携帯電話を取り出した。
この数日、ついにめぐみからは連絡が途絶えていた。もう間に合わないのかも知れなかったが、結果がどうなろうと敦子はめぐみとのことにけりをつける必要があった。
リダイヤルからめぐみの番号を呼び出し、コールしようとする。だが、辺鄙な場所のせいか電波状態が良くなく、繋がらない。
敦子は諦めて電話をしまうと、墓地を後にした。ここがダメなら別の場所でかければいい。
しばらく走って、バイクの燃料を入れるためにガソリンスタンドに入った。
店員にガソリンを入れてもらう間に、敦子は携帯電話を取り出した。一縷の望みを託しながら、敦子は電話の向こうに耳を傾けた。
さっきの墓地よりはましだが、ここもやはり電波状態が良くないのか、接続音がいつもよりも長い。
”めぐみ……出て、お願い……!”
身勝手なのはよく分かっていた。自分一人でくよくよと悩んだあげく、めぐみを随分長い時間ほったらかしにしてしまった。それでも、今の自分にとって本当に必要なのは、めぐみだけなのだ。
ようやく聞こえてきたアナウンス音に留守電か、と思ったのもつかの間、敦子は愕然としてその場に立ちつくした。
”……この番号は現在使われておりません……”
落胆と、そしてやはり、という思いが交錯して、敦子は自然と泣き笑いのような表情になっていた。力が抜けて膝が笑いそうになる。
だが、これは自分が招いた結果なのだ。そう思い直して、敦子は店員に代金を支払うと携帯をしまい込んでスタンドを出た。
とうとうめぐみも失ってしまった。そんな失意に打ちのめされてはいたが、それとは裏腹に、これでよかったのかも知れない、そういう思いも敦子の中にはあった。
恵美と自分とのことから始まった、苦しみの連鎖から愛する少女が脱していってくれたのだ、と敦子は思うことにした。それは敦子の強がりではあったが、確かにこれ以上めぐみを振り回すようなことはしたくなかった。
署に寄って杉田に報告すべきか、とも考えたが、それは明日でも構わないだろう。今は、もういい。
大学時代からずっと住んでいる自分のワンルームにたどり着いたときには、日は完全に暮れていた。薄暗い中に灯ったマンションの灯りに少しだけほっとして、敦子はバイクを停めるとヘルメットを脱いだ。階段をゆっくりと上がり、薄暗い廊下を歩く。自分の部屋のすぐ傍まで近づいて、初めてそのことに気付いた。
ドアの前に、うずくまる人影に。
「……めぐみ?」
ささやいて敦子は歩を早めた。体育座りでうずくまり、顔を膝に埋めて眠っているようにも見える。長い黒髪が顔を完全に隠していて、人相は分からない。
「めぐみ? 何してるの?」
近づいて、おずおずと肩を揺する。めぐみとおぼしき少女はそこで初めて敦子に気付いて顔を上げた。
「あっちゃん……」
泣き腫らしたらしい瞳は敦子の出現に再び揺れていた。
「あっちゃ……ん」
よろよろと立ち上がり、めぐみは敦子に飛び込むように抱きついてきた。その身体を受け止めながら、敦子も目が熱くなる。強く抱きしめ、その長い黒髪を撫でつけながら、敦子は何度も詫びの言葉を口にしていた。
「……ごめん、ごめんね、ごめんなさい……めぐみ……」
「会いたかった……あっちゃん、ずっと……会いたかったよぉ……」
嗚咽混じりにつぶやくめぐみの言葉に、全身が熱くなる。やはり、自分はめぐみを諦めることなど、できないのだと思った。
泣きじゃくるめぐみを部屋に招き入れ、敦子は改めてめぐみの身体を抱きしめた。
「……もぉ、こうすることなんて、ないって思ってた……」
敦子はつぶやきながら、めぐみの身体の温かさ、確かな存在を感じて痺れるような快感を覚えていた。
「あっちゃん……。私、私ね、あっちゃんのこと……もう、諦めようって思ってた。だから、電話も買い換えて、番号も変えて……でも、でも……」
泣き濡れた顔を上げて、ささやくめぐみに敦子は何も言えず、ただ頷いて泣き笑いの表情になった。
「でも……できなかった。できなかったよぉ……」
敦子は、めぐみの身体を抱く手に力を込めた。
「ありがとう……。ごめんね、わたし、わたしはめぐみにひどいこと、しちゃった」
敦子は、めぐみの頭を撫でながら、この半年間自分の心を支配していた懊悩をめぐみに全て、打ち明けた。その結果、めぐみと別れることになったとしても、構わない。そういう思いで、敦子は真摯にめぐみに語りかけた。身勝手だという自覚はある。それでも、敦子は全てを語った。
「……わたしは、結局、めぐみに恵美の影を投影してるだけだった。そのためだけに、あんたをこんなことに巻き込んで、そして自分勝手な思いこみで悩んで、そのあげくにめぐみのこと、いっぱい傷つけた。だから……だから……」
それ以上は、言葉にならなかった。自身の咎を充分に理解していながら、それでもなお、めぐみを求める自分の気持ちに収まりがつかず、敦子はその言葉を口にすることができずにいた。
「もぉ……いいよ。もう、いいの」
震える口調で、それでも笑顔を作って、めぐみは敦子にそう言った。
「えっ……」
腕の中のめぐみを敦子はまじまじと見た。
「今、あっちゃんは、どう思っているの? 今は、今は私のことを一番大切に、思ってくれてるんだよね?」
涙に濡れてはいるものの、その瞳をキラキラと輝かせためぐみの笑顔に、敦子は一瞬見とれかけた。
「……思ってる、もちろんだよ……。でも、でもね、そんなの、ずるいって思わない? わたしの勝手ばかり押し通して……」
敦子がそこまで言ったとき、めぐみは無言で首を振った。
「ずるくてもいい、私は。あっちゃんが私のことを、一番大切な星だって思ってくれるなら……。私は、ずっと、そう思っていたよ。初めて、会ったときから、あっちゃんは、わたしの一番大切な星だもの……」
そこまで言って、めぐみは笑顔のまま涙を溢れさせた。敦子も、それにつられるように大粒の涙を溢れさせた。
「……ありがと、ありがとう……めぐみ……」
敦子のささやきにめぐみはそっと目を閉じた。顎を持ち上げて敦子のことを待つ表情になった。
敦子も、そっと目を閉じると何も言わずめぐみの唇に自らのそれを重ねていった。
その刹那、心が震える。久しぶりに感じる暖かく柔らかな感触。情熱に火がついて、一瞬離した唇を敦子はもう一度重ねていた。心と体がシンクロして、求めるものを欲するままに動いていく。
舌先をリップの塗られためぐみの唇に差し入れてかき分ける。
「んんっ……」
かすかなうめきが聞こえても敦子はもう止まらない。ぬっとりとした唇の感触の心地よさに酔いながら、敦子はめぐみの唇にねじ込んだ舌先を無我夢中でうごめかして、そして吸い込んだ。
熱を帯びた感触と、甘く感じるめぐみの唾液を自分のそれと混ぜ合わせながら、敦子はおずおずとしためぐみの舌に自分の舌を絡めていった。
同時に、抱きすくめためぐみの肩から二の腕のラインをゆっくりと指先でなぞっていく。背中から、脇、そして腰のラインも敦子は逃さなかった。
「ん、ぅっ……っ、んんっ」
ピクン、ピクン、と敦子の指先が滑るたび、めぐみの身体が小刻みに震えて、その正直な反応を敦子に伝えていく。
「はぁ……んっ」
離れた互いの唇から、吐息が漏れて二人の官能を刺激していく。敦子は、続けざまにめぐみの耳たぶを責め始めた。唇で挟み込み、舌先で敏感な耳孔をなぞり、つつく。吐息を吹き込みながら、めまぐるしく動く敦子の手のひらはめぐみの背中と豊なふくらみをそのターゲットにしつつあった。そっとなぞるような指先で背筋をくすぐり、手のひらで包み込んで持ち上げながらその柔らかでたっぷりとしたふくらみを揉みしだく。
「ふぁんっ……っ、ァ、ァ、ンくぅ……」
こぼれる嬌声を隠しもせず、めぐみは脱力して敦子にその体重を預けきった。くたっとなった身体を支えながらも、敦子の指先と唇は果敢にうごめいてめぐみに官能の責めを続けていく。
着ていたカットソーをめくり上げていき、むき出しになったえんじ色に白いレース模様の入ったブラの上から、固くしこりはじめた先端をつまみ、転がす。首筋に這わせた唇をなぞるように滑らせ、ちろちろと舌先を這わせて、上気して淡いピンク色に染まりだした柔肌の感触にため息を漏らす。
「くぅぅんっ……」
びぃんと伸びた背筋を反らせて、めぐみはいやいやをするように顔を振り、身をよじった。
短く断続的な吐息がこぼれ、荒くなった呼吸の音が二人の耳をくすぐるように流れていく。
「おいで……めぐみ」
自分一人では身体を支えきれなくなっためぐみを促して、敦子は部屋の奥にあるベッドにめぐみを座らせた。
膝頭をくすぐりながら、割るようにして指先をその間に滑り込ませる。ひっかくように指先を滑らせ、黒いストッキングのなめらかな抵抗感を利用して微妙な快感をめぐみに味あわせる。
「んっ、んっ、んぅぅ……」
ビクン、ビクンと震え、悶えるような脚の動きに構わず、敦子はふんわりとした柄物の膝丈のめぐみのスカートを徐々にめくっていった。むっちりとして肉感的なめぐみの脚のラインが露わになり、そしてその奥のブラとおそろいのショーツがストッキング越しに透けて見え、敦子の淫情をにわかに刺激する。
きゅっと閉じようとするめぐみの脚を、敦子は指先を拡げるようにしてこじ開け、隙間をつくって開かせていった。
「もっと……脚開いて……めぐみ」
耳元でささやき、吐息を吹き込んで敦子はめぐみを言葉で責め立てる。
「んんぅ……やだぁ……、恥ずかしい……よぉ」
眉根にしわを寄せ、切ない表情のまま、めぐみは吐息混じりのうめきを漏らしていた。
「前にも言ったよ……わたしは、めぐみの全部が見たいって……」
低い声でささやいて、敦子はめぐみの片膝を裏から掴んで持ち上げるようにした。弾みで完全にスカートがめくれ上がり、かえって淫靡な光景がその場に展開されていく。羞恥の感情にまみれて、視線を逸らしためぐみに構わずに、敦子はめぐみの股間の奥に手のひらを滑り込ませた。
こもったような熱気と、湿った空気に触れて、敦子の全身がかっと熱くなる。
ストッキング越しに、ショーツのクロッチのあたりを撫で、くっきりと浮き出るようになったディティールをなぞるように指先を這わせる。
「んん、あ、あんっ……」
物理的な接触と羞恥ゆえに起こった快感が綯い交ぜになってめぐみのそこを蹂躙していた。
恥骨のあたりの柔らかな肉付きを揉むような動きと、押しつけるようになぞる指先の圧迫に、めぐみの官能のしるしがしみ出るようににじみ出ていく。かすかな染みが、ストッキング越しでも分かるほどにめぐみのショーツを汚しつつあった。
「濡れてきたよ……めぐみ」
ささやきながら、敦子はブラ越しなのをいいことに、すでに固く尖りきっためぐみの膨らみの先端をやや強めにつまみ上げ、弾いた。
「……やっ、そんな、こと……んあぁっ」
オクターブの跳ね上がった叫ぶような嬌声がこぼれ、身をよじっためぐみの長い黒髪が乱れて揺れる。
「かわいいっ……めぐみ、めぐみのそんな声が、ずっと……聞きたかったんだよ」
紅潮しためぐみの柔らかな頬にキスしながら、敦子はめぐみの身体をベッドに押し倒した。
とろんとして朦朧としているようにも見えるめぐみの表情に感動を覚えながら、敦子は優しくめぐみの唇に自分のそれを重ねた。吐息と吐息が混ざり合い、絡まっていくような錯覚。
横たわっためぐみに覆い被さるようにしながら、背中に滑らせた指先でブラのホックを外し、ゆるんだブラをめくりあげる。弾けるようにむき出しになっためぐみのふくらみは、すでに二つとも先端が固く尖り、白い肌はごく淡いピンクに上気してその官能を如実に示していた。
「……愛してる、めぐみ……」
熱のこもった口調でささやいて、敦子は唇をその鴇色の先端に口づけさせた。
「ふぅん、あっ……」
はじめ唇で挟み込み、舌先でつついた後、その舌先を絡みつけるように這わせて転がすようにかき混ぜる。リズミカルな動きでつん、つん、とつついては、また唇で挟み込んで、そして今度は強く吸い込む。
「あっ、あっ、ああっ、あっちゃ……ああんっ!」
同時に手のひらでもう一方のふくらみを優しく責めながら、敦子は唇でめぐみのふくらみを代わりばんこに責め続けた。
やがて、息も絶え絶えになっためぐみに優しく微笑みかけて、敦子は自分が着ているものを脱ぐと下着だけの姿になった。白い生地に花柄の刺繍が入って、縁を彩るようなレースが全体にしたためられたブラとショーツ。再びベッドの上の人となった敦子は、無言でめぐみの着ているものを脱がせていった。自分と同じく、下着だけの姿にすると、寄り添うようにして、めぐみの身体を優しく抱きしめる。
下着こそ着けているものの、暖かな肌と肌が触れる感触に背筋が震え、吐息が漏れる。ゆるんでまとわりつくだけになっているめぐみのブラをはぎ取って、敦子はめぐみにもう一度キスした。
「んーっ……。早いよぉ……あっちゃん」
とろんとした瞳のままめぐみは頬を軽くふくらませた。
「……? 何が?」
意味が分からず素の口調で敦子が聞くとめぐみは横たわったまま両手を拡げて抱っこをせがんできた。
「脱がせるのが……。髪、切ったの?」
いまさらながらに目を丸くしためぐみの言葉に、敦子はめぐみの身体を抱きしめながら照れくさそうに笑った。
「うん。ヘン、かな?」
「ううん。ヘンじゃないよ、格好良い……。髪長いのも良いけど、そっちの方がいい」
抱きつきながらささやいて、めぐみはうっとりとしながら敦子の首筋に顔を埋めた。
「格好良すぎて……ドキドキしちゃうよ……」
咽喉声でささやくめぐみの声が耳元をそよがせて敦子をくすぐる。油断していた敦子は、すぐに始まった首筋への攻撃に身をよじらせた。
「えっ……あんっ、ちょっ……めぐ……くぅんっ」
熱っぽい吐息と這うようなめぐみの舌先のうごめきに、敦子は小さく悲鳴を漏らしていた。肌を吸う小さな音が断続的に起こるたび、ゾクゾクとした感覚が敦子の官能を責め立てる。
同時に、背筋をなぞる指先の動きにも、敦子は翻弄されていった。くすぐったさと官能が綯い交ぜになり、力が抜ける。
抱き合ったまま、ごろんと転がされて二人の位置関係が逆になった。キラキラと淫情に輝くめぐみの瞳に見下ろされて、敦子は息苦しさに気怠そうな吐息を漏らしていた。官能の期待が胸の中で膨れあがり、シンクロするように心臓の鼓動が早くなる。
「あっちゃん……」
ささやいためぐみの唇が、圧力となって敦子に迫ってくる。ぽってりとした感触、そして暖かさは何度味わってもたまらない官能を与えてくれる。
「めぐ……んんっ」
唇をふさがれながら、敦子はかすかにうめきを漏らした。ぬめり気にまみれためぐみの舌先で唇をかき分けられ、差し込まれて自分のそれに絡みつけられる。敦子も、負けじとばかりに舌先をうごめかしてめぐみと二人つつき合う。
キスしながら、めぐみの手のひらが敦子の髪や頭を撫で回しかき乱すくすぐったい官能に敦子は脳の奥底まで痺れるような快感を覚えた。自然とめぐみの背に回した手に力が入り、強く抱きしめていた。
「はぁ……」
うっとりと吐息を漏らしためぐみの唇が、すぐさま敦子の耳を責め始める。ちろちろと這い回る舌先と吐息が耳孔をくすぐる二重の攻撃に敦子はうめきを漏らしながら顔をのけぞらせ身をよじった。
その隙に乗ずるように、いつの間にかブラのホックが外され、ゆるんだブラから解放されたふくらみにめぐみの攻撃対象が移っていた。流れるような動きでブラをはぎ取られ、めぐみ同様上半身が露わになる。
めぐみは、向かい合ったまま重力に負けた自分のふくらみの先端と、敦子のふくらみの先端を重ね合わせ、こすりつけた。触れるか触れないかという微妙な接触。
覆い被さって見下ろすめぐみの瞳が、敦子の反応を探るように見つめていた。
「くすぐったいよ……。でも……えっちぃね」
「ふふっ」
敦子の感想に満足げに微笑むと、めぐみは少しだけ身体をずらした。敦子の胸の中央にそっとキスすると、続けざまに膨らみの先端に唇を滑らせた。
「ふぅ……んっ、ァ、ァ、あんっ」
唇で挟まれ、舌先で弾かれる。リズミカルな官能の痺れに敦子の声のオクターブが上がる。
短いテンポで吸いながら、舌先でつっつかれるのを何度か繰り返されたあと、前歯で甘噛みされる。
熱く、痺れたような快感の連続に敦子は一瞬達してしまいそうな錯覚を覚えた。
じんじんとしてひりひりした感覚。頭が真っ白になっていく。
朦朧とした中に両脚が持ち上げられ、拡げられる感覚があった。
「んんっ……」
うめいて、かすかに目を開ける。立てられた両膝の間に、きらめくめぐみの視線が熱い。
「いっぱい……濡れてる、あっちゃん」
熱を帯びた口調でささやくめぐみの声に、敦子の淫情は煽り立てられ、燃えさかる。
粘膜に触れる気配の後、自分の中に冷たい感触の何かが押し込まれる。
「んーっ……」
侵入を察したように自分の肉がうごめいて、絡みつく。
「あったかいよぉ……。あっちゃんの、中」
めぐみの手が自分の淫裂にあてがわれているのが目に入った。指を挿入しためぐみの手首が、くるくるとかき混ぜるような動きをする。
「あんっ……、やっ……」
クチュクチュとこぼれる水音とともに、自分の中に侵入しているものが、肉壁をこすって押しつけ、そしてじんじんとした鈍い快感が湧き起こる。
指の節が、敦子の一番感じるポイントを捉えつつあった。少し曲げるようにした指先の腹の感触も、それに拍車をかける。
ぎゅぎゅぅ……と収縮が始まって、敦子の淫裂はめぐみの指を締め上げるように幾度もうごめいた。
「びくびく……してる、あっちゃんの中。気持ちいい?」
どこか弾むようなめぐみの声。淫蕩さにまみれた視線と絡み合って、敦子の心と体を鷲掴みにする。
「んぁ……んっ」
返事をするどころではなく、そのうごめきに翻弄され快楽に苛まれた敦子は身をよじり顔をそむけて耐えるしかなかった。
リズミカルな動きと比例して、敦子の下腹部の奥底から、じんじんとした快感の波が押し寄せてくる。腰が震え、全身が熱くなって、そして意識が真っ白になっていく。
いつしか、覆い被さるようになっためぐみの唇が、快楽にうごめく敦子のそれにかぶせられ、吸い込まれる。
「んぅっ、んーっ、んぅんっ……っ!」
びぃん、と背筋が伸びて、硬直したようになった敦子の身体から、重力が失われた。
「ん……。おいしいっ……」
鴇色の唇からぺろりと出された舌先で、自らの指先に絡みついた白濁した粘液を舐めとって、めぐみは淫蕩なささやきを漏らしていた。
ぐったりとし、朦朧としたままの敦子は、そんなめぐみの仕草に羞恥を誘われ、何も言えずに顔をそむけた。
「ふふっ」
微笑んだめぐみはそんな敦子を優しく抱きしめると、紅潮して汗ばんだ頬にキスした。
「最近ずっと、あっちゃんとできなかったもん……。もっと、いっぱい、えっちぃくさせてあげるね」
無邪気な口調でそう言うなり、めぐみは体勢をずらして再び敦子のぐったりとした両膝の裏を抱えると持ち上げた。
おしめを替える赤ん坊のようにさせられて、敦子は羞恥に目を閉じるしかなかった。久しぶりにときめく最愛の少女との睦み合いと、強烈な快楽の波に呑まれてしまって、敦子は指一本動かせずにいた。
「めぐ……みっ、あっ、あぁっ、あ、あんっ!」
むしゃぶりつくようなめぐみの攻勢に、敦子はひときわ鋭い悲鳴を上げさせられた。濡れそぼる淫裂に吸い付かれ、縦横無尽に唇と舌先を動かされる淫虐の責め苦に震える身体を制御できなかった。
はち切れそうな淫芯をしゃぶられ、弾かれ、そして甘噛みされてさらに吸い上げられる。かき混ぜるような舌先で淫液にまみれた肉襞をなぞられ、つつかれてしゃぶり上げられる。
どんどんと溢れかえる淫液を絡みつけた舌先で、その源とも言える肉壺をえぐられ、そしてその下でひくつく淡いチョコレート色のすぼまりさえも、その舌先でえぐり込まれてしゃぶられ尽くす。
「んぁっ、ああっ、やぁッ、はぅン、あ、あ、ああっっ、あぅんっ」
閉じようとする両膝をがっちりと押さえ込まれたまま、怒濤の快楽の波にさらわれて、敦子は獣じみた絶叫さえ上げさせられ、そしてそれを止めることも赦されずに押し流された。
「あ、あ、あ、ああっ、ああーっ、あーっ!」
再び頭が真っ白になり、そして重力が失われ世界がしんとなる。
幾度達したのかすら分からぬくらい何度も快楽の頂点に押し上げられて、敦子の意識は消し飛んだ。
気が付いたとき、敦子はとくん、とくん、という規則正しい優しい音に包まれていた。頬に触れる柔らかな感触の心地よさに酔いながら、目を開けて瞬きする。
「んっ……」
淡く紅潮しためぐみの肌のみずみずしくなめらかな感覚と、かすかに香る甘い香り。敦子は、めぐみのふくよかな胸に顔を埋めるようにして抱きしめられていた。
「もぉ……」
ささやいて、敦子は息を吐いた。全身が痺れたようになっていた。
「ふふっ……。どお、だった?」
まるで母親に尋ねるかのようなめぐみの口調に、敦子はかすかに微笑むと上体を少し起こして、横たわるめぐみの頬に軽いキスをした。
「気持ち良かったよ……。まだ身体に力はいんないもん」
ささやきながら、敦子はめぐみの前髪を撫でつけた。くすぐったそうに眉をしかめるめぐみの表情の愛らしさに感動しながら、敦子はくすりと微笑んだ。
「だから……お返ししちゃう」
つぶやいて、敦子はめぐみに覆い被さるとめぐみの身体を仰向けにさせた。もがくようなめぐみの両手首を押さえ込んで、その唇をやや強引に奪い、蹂躙する。
「んんっ、んーっ……」
互いに息苦しくなるまで唇を重ね合ってから、よだれにまみれた唇をそのままに敦子は一息ついてめぐみを見下ろした。
期待に膨れあがる表情を隠すことなく、キラキラとした瞳で見上げるめぐみに、敦子は微笑んでからささやいた。
「ねえ……。お願いがあるの、めぐみ。めぐみの、初めて、をわたしにちょうだい」
真摯な表情になった敦子に、めぐみは一瞬怯えにも似た表情になった。しかし、すぐに柔らかな微笑みを浮かべると明るい表情になった。
「……いいよ。めぐみの初めて、あっちゃんにあげる」
熱を帯びた口調でそうささやいて、めぐみは羞恥からか視線を敦子から逸らした。
「ありがと……」
敦子は顔をそむけむき出しになっためぐみの首筋に顔を埋めると、耳から首筋、そして肩へと唇とキスの雨を滑らせる。強く、長く吸い上げて、愛撫のしるしを赤い痣にして残していく。
「愛してるよ……めぐみっ……」
熱を帯びた口調で幾度もそうささやきながら、敦子はめぐみの身体を慈しみ愛おしむ作業に没頭した。
今まで、幾度かそういう誘惑に誘われて、しかしそれを実行することはなかった。理由はよく分からなかったが、今なら分かる。
恵美とめぐみを同一視している限り、すでに処女ではない恵美の処女を奪うなどあり得なかった。
だが、今は違う。めぐみをめぐみとして愛している今は。
実際の男性自身はもちろん、恵美の時に使った禍々しい器具もなく、己の指でその儀式を行うことは、恐らくかなりの痛みと負担を恵美に与えることになるはずだった。しかし、敦子はそれでもそれをやり遂げる必要があった。
「あっ、あっ、あああっ、あっちゃん、ああ、あぁんっ!」
淫情に包み込まれて、淡いピンクに染まっためぐみのたわわなふくらみ。つんと尖り一回り大きくなったとさえ思えるそれを揉みしだき、そして唇で愛していく。弾いてはつつき、押し込むような動きで固くしこった先端の尖りを強く吸い込んだ。
「……あ、あ、あんっ」
短く断続的なうめきとともに、宙を掴むような動きをしためぐみの手が、敦子の頭を抱えるようにして自分の身体に押しつける。豊満で柔らかな感触に心が震えていく。
「めぐみ……っ」
なめらかな敦子の愛撫は、流れるように突き進み、めぐみの身体を滑っていってそして絶え間ない快楽に落とし込んでいった。へそのあたりを責めながら、敦子の両手がめぐみの両膝の裏を掴んで持ち上げる。
ふくよかな恥骨のラインをなぞりながら、徐々に下がっていく唇は黒々と茂るアンダーヘアをくすぐった。甘いような、なんとも表現しようのないめぐみの肌の匂いをかいでから、敦子はすでに淫裂と化して久しいであろうめぐみの亀裂に口づけた。
溢れんばかりに溢れた淫液のメスの匂いが鼻をつく。鼻の先でくすぐって、そして唇全体で包み込んでから舌先を差し入れ、そしてかき回した。
「くぅんっ、んんぅ、ああ、あ、あぁん、ああーっ!」
久しぶりに味わうめぐみの淫液は、酸味がきつくそして喉越しが絡みつく印象が強かった。すすりながら、先刻のめぐみ以上に縦横無尽に舌先でかき回し、つついては弾く。そしてぬめり気を絡めてかき混ぜる。
べとつく口元と息苦しさを堪えながら、敦子ははち切れんばかりに膨れあがっためぐみの淫芯を甘噛みした。歯の先で掻くようにして、そして唇で挟んで強く吸い上げる。
「あ、あ、あっ……、ダメ、あぁっ」
鋭く腰を震わせて、そしてびん、と背筋を伸ばしためぐみの動きが凍り付いたように停止する。じゅん……と熱いなにかがめぐみの奥底からにじみ出す感触があった。
官能の頂点に達しても、敦子は引き続きめぐみを責め続けた。舌先で処女の証が鎮座するあたりを、くるくるとかき回すようにしながら、ほぐしていく。充分すぎるほどに溢れさせ、そして感覚がなくなるほどに責め続けてから、敦子はめぐみの処女を奪うつもりだった。
同時に、指先を駆使して淫芯も責め立てる。快楽に身体を痺れさせていれば、少しは痛みもましになるはずだった。
「……んーっ、あ、あ、あぁぁんっ」
びくびく、と小刻みに身体を震わせ、声にならぬ声を上げて、再びめぐみが快感の頂点に達していく。もはや震えが収まらず、不規則な間隔で時折うごめくようになっていた。
「めぐみ……いい?」
深呼吸してから、敦子はめぐみに声をかけた。そろそろ頃合いだった。朦朧としためぐみは、うめくような声を漏らしてそれに応えた。
「じゃあ……いくよ」
ささやいて敦子はぐったりとしてだらしなく投げ出されたように見えるめぐみの脚の付け根に指先をゆっくりとあてがった。ぱっくりと開ききった淫裂は赤く染まり、淫液にまみれてきらめいてすらいる。
ぬめり気を絡みつけて、敦子は2本揃えた指先を突き立てた。そして。
「……来て……あっちゃ……ん」
かすかな声でそう言うめぐみに合わせて、ゆっくりと押し込んでいく。
ぬめり気のおかげで、思ったよりは抵抗がなかったが、それでもきつい圧迫感に阻まれて、敦子の指先は入り口のあたりで一度動きを止めた。
「ンくぅ……ッ! っ、痛ッ……」
苦痛に歪むめぐみの表情に、敦子は痛々しさを感じて悲痛な表情になった。きつい締め付けに押し返されそうになる指先をぐっ、ぐっ、とねじ込むようにして、押し込んでいく。
「くうぁ……んっ、あっちゃ……んっ! ああぁ」
「めぐみ……力、抜いて……めぐみっ」
苦衷を堪えて、敦子は苦痛にうごめくめぐみの脚と、引いてしまう腰の動きを押さえつけて、さらに手に力を込めた。
「いたぁ……いっ! あーっ」
目の端から大粒の涙を溢れさせ、めぐみが悲痛な叫びを漏らす。そして、その瞬間、あの糸か切れるようなかすかな音が、確かに二人の耳に届いた。
ぬっ、という感触で敦子の指が、めぐみの中に納められる。
同時に、溢れるぬめり気に混じって鮮血の筋が敦子の手をまだらに染め上げた。
「あくぅ……っ」
荒い息で苦痛を堪えるめぐみの短い、断続的な息づかい。そして、押し出すような肉壁のうごめきが敦子の指を締め上げ、暖かなものが絡みついて締め付ける。
「……めぐみ……、めぐみ……」
呼びかけるような敦子の声に、涙にまみれためぐみの瞳が敦子に向けられる。
「入った、よ……。めぐみの、中、すごく……あったかい」
「ん……」
息も絶え絶えで、返事を返すことすらままならぬめぐみの額に、敦子は優しいキスをした。
「あっちゃん……」
かすかなめぐみの声に、敦子も涙を溢れさせて、そして微笑みかけた。
「うん……」
「ありがと……。うれしい、あっちゃん……」
吐息混じりのめぐみのささやきに、敦子は片手で優しく、めぐみを抱きしめた。
「愛してる……ずっと」
ささやきとともに、頬と頬を合わせ、そして二人の涙が混じり合った。
一ヶ月後、めぐみを伴って敦子は恵美の眠る場所にいた。
落陽の真っ赤な輝きに照らされる中、手を合わせ、そしてめぐみを恵美に紹介する。
物言わぬ恵美に語りかけながら、敦子はかすかににじむ涙をぬぐい取った。きっぱりとした表情になって顔を上げる。
「また、来るね、恵美」
歌うように言ってから、敦子は柔らかに微笑んだ。
「でも、でもね。恵美のことは、ずっと忘れないよ。めぐみと二人で。ずっと、忘れないからね」
無言で頷くめぐみと、視線を交わして微笑みあって、敦子たちはそこを後にした。
そのまま、バイクでタンデムした二人は、隣街へとバイクを走らせた。あの雑居ビルの付近にたどり着いた時には、すでに歓楽街の灯りが灯りはじめる時間となっていた。
「……こんばんは」
めぐみと二人で現れた敦子に、ママは一瞬怪訝そうな表情になってから、すぐに顔を輝かせた。
「いらっしゃい。久しぶりね」
「……はい。色々あって。それに……ママの所にお邪魔するの、今日で最後になりそうです」
敦子の言葉にママは寂しげで、しかしきっぱりとした微笑みを浮かべた。
「そう……。迷いは、晴れたみたいね」
「はい。色々と、ありがとうございました」
ママは笑顔のまま無言で首を振った。
「いいのよ。あなたの進むべき道が見えたなら。でも、もうこないなんて言わず、これからも来てちょうだい。彼女と、二人で」
「はい。そうですね、そうします」
「はい」
めぐみと二人、うなずきあって席に着いた。1時間ほど、ママと会話した後、敦子たちは店を後にした。
店の名は『メビウス』といった。振り返ってしばらく看板を見つめていた敦子は、めぐみに促されて、エレベータに乗った。
「素敵なお店だね……。ママも、すごくいい人そうだった」
「また、こようよ」
敦子はささやくと、めぐみの頬にキスした。
「ひゃんっ……。もぉ、いきなりなんだからぁ」
めぐみの悲鳴に、敦子はくすくすと笑った。有線放送か何かだろうか、どこかからかすかに、Gacktの『Love
Letter』が聞こえる。
「ふふ……。じゃあ、帰ろ。今日も、いっぱい、可愛がってあげる」
「うん……」
エレベータを出て、敦子の肩にもたれかかっためぐみは、うっとりとした声でそう言うと、その白い頬をかすかに紅潮させた。
「ね、あっちゃん」
「なあに?」
熱を帯びためぐみの視線を真っ向から受け止めて、敦子はにっこりと笑った。
「愛してる。これからも」
「うん」
(プラネタリウム 最終話 終わり)