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Ver3/伏姫/コメントログ - (2016/05/07 (土) 14:29:14) のソース

- ver3.4フレーバーテキスト &br()生まれた時より心無く、造られた心を与えられた少女は、自ら裂いた腹より出でた、八つの珠に囲まれていた。  &br()「伏姫神よ 伏姫神よ あなたの御身は特別なもの あなたの御身は里見のもの 我ら八珠は御身の命 あなたを生かす 御身の命」  &br()少女に語りかける珠たちをぼんやりと見つめ、少女は尋ねた。  &br()「…して 伏に何をお望みで?」  &br()少女の問いに反応するように、八珠は緑碧から真紅に染まった。  &br()「伏姫神よ 伏姫神よ あなたはあなたの映し身たる 八匹の犬士を探すのです」  &br()「…探して どうするのですか?」  &br()「導きなされ 導きなされ 紅き瞳と 黒き焔の 八武者の元へ」  &br()「…何故に?」  &br()しかし、そう尋ねる少女の瞳に光は無く、その言葉にも意志がないようで――八珠はくるくると少女の周りを回り、答えた。  &br()「里見の夷狄を屠るため 里見の夷狄を屠るため それが里見の剣となる」  &br()「…伏は――そのために造られたのですね?」  &br()「いかにも いかにも 全ては里見の御為に」  &br()さもありなんと、愉快そうに上下に揺れながら回る八珠。その赤い光に照らされて仄赤く染まる少女の顔が、ほんの少し強張った。  &br()「…八珠よ もう一つだけ聞かせてくださいまし」  &br()一度目を閉じ、再び開いた少女の目には、薄らとした光が浮かんでいた。  &br()「もし その望みを叶えたら――」  &br()少女は、にっこり笑って言った。  &br()「――伏は死ぬることができますか?」  &br()八珠は、少女の問いに逡巡するように、ほんの少しだけ動きをとめた後、再び愉快そうにくるくると回って告げた。  &br()「伏姫神よ 伏姫神よ それがあなたの望みとあらば 全てを果たしたその後に」  &br() &br()ああ、悲しきは少女よ、悲しき姫よ、そなたを求むる獣と武者は、そなたを探し、そなたを求め、潰れそうな心で遠い空を彷徨っているというのに、そなたはまだ遠くに旅立とうというのか。  &br() &br()「全てを果たせば 必ずや 必ずや」  &br() &br()[[[それが…あなたの…望みと…あらば]]]  &br() &br()~『紅焔八犬伝』 弐の②~   --  (名無しさん)  &size(80%){2016-05-07 14:29:14}