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Ver3.3 |
Ver3.3 |
身長 |
信あらばその目の通り… |
伏は生きていなかった。少なくとも自分ではそう思っていた。 物心ついた時、彼女は人と違い、何も感じることができぬ空匣であった。 だから、自分は生きてはいないのだろう――幼くも、そう思っていた。
彼女が数え三つになった頃、八つの珠が与えられた。 それには、八つの人の徳なる心が納められていた。 空匣であった伏は、かくして仮初めの心を手に入れ、人から見ればとても清く美しい、徳高き姫となった。 そして、そんな自分を称える周囲の者達を見るにつけ、自分は生きているのかもしれない――そう思い始めていた。
そんな彼女に恋をした者がふたつ。ひとつは清廉な武者、ひとつは獣。しかし、ふたつの想いは伏を苦しめた。 人であろうと、獣であろうと、伏は、どうしてもその想いを受け止めることができなかった。 なぜなら、彼女の八つの心に、「愛」の字は無かったのだから。 人として正しく優しい心を持った伏は、想いに応えられない自分に苦しんだ。 こんなに苦しいのなら――その想いは呪い――姫にはそう思えてしまった。 だから、この呪縛からふたつの愛を、自分を、解き放とうと、自らの――腹を裂いた。 流れ出す命…広がる赤…赤い、光…。
目を開き、伏は見知らぬ地にて息を吐いた。珠が、死を赦さなかったのだ。珠は語った。 「伏姫神よ 伏姫神よ あなたの御身は特別なもの あなたの御身は里見のもの 我ら八珠は御身の命 お隠れなるは罷りなりませぬぞ 全て里見の御ために」 「やはり…そうなのですね…」 伏は、悲しそうに笑った。 ――紅焔八犬伝 弐 |
体重 |
仁あらばお赦しを… |
出身 |
異界東方国・南総 |
欲するもの |
真の自身の心 |
科せられた使命① |
里見家の再興 |
科せられた使命② |
八珠の犬士探し |
イラストレーター |
Tomatika |
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