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Ver3.5 |
Ver3.5 |
身長 |
ちょっとおおきくなったぞ! |
「さあ! 皆さん! 今日の夕飯はゲソとワカメの海鮮汁ですよ! ほらほら、カークス殿、火をつけてください。カンヘル殿も好き嫌いせず、ワカメをもっと採って鍋に入れる!」 「ヌヌゥゥ…」 『モ ・ ヤ ・ ス』 もうすでにあきらめ気味の水馬から、竜人がタテガミをすこーしずつ毟り取る。その後ろで邪神の眷族が、もう慣れたもので、ジュルジュルと水っぽい鼻歌のようなものを口ずさみながら、自ら触手を切り取り、巨人が火を吐きつけている鍋に放り込んでいる。 「ふぅ…、あの騎士の暗黒汁もだいぶ食べなれたのぉ」と、北方軍神。 「本当になぁ… というより、俺たちはいったいここで何をしているのか… 俺の覇道は遠い…」と、征服王。 「いや、まことそれである。我も、いい加減地の王としての責務が溜まりまくっておるのだが… しかし、我は契約ゆえしょうがないとして、貴様らはいつでも抜け出せるだろうに」 「うむ、そうではあるのだが――」 そこに、草むらから毬のように影が飛び出してくる。 「いいにおい! わーーい、メシだ! フォルのメシ! だーい好き! みんなで食べるメシ、すごくウマい!! なぁみんな!」 影――亜人の少女が、目をキラキラさせて鍋と一同を見つめる。 「アレをやられるとのぉ…」と、北方軍神。 「確かになぁ…」と、征服王。 「うむ…」と、地の王。 すると、亜人の少女は、「むぅ!」といってじぃっと鍋を凝視する。 「どうしたんですか? ママリリ」 「……ない」 「何がです?」 「フォル、今日のメシ、『狩り』でとってきたものない! てぬきよくない! 『狩り』大事! ママリリ、狩りしてくる!」 「あ、ママリリ! ひとりで大丈夫ですか!? 早く戻るんですよ!!」 暗黒騎士が声をかけるが、亜人の少女は「だいじょぶー!」と、ひとり森の奥へと入っていった。
「へへ! やった! おまえ、ウマそう! ありがとな、しっかりイタダキマスだ!」 森の奥、亜人の少女は見事竜骨のブーメランでしとめた獲物を、自慢げに掲げていた。 「む、でも、うち“おーじょたい” これじゃたりないかも… もっと大きいえもの…」 その時、ズン、と地面が揺れた。亜人の少女は、大きな獲物の気配を感じ、さらに奥へと草むらを分け入っていく。しばらく行くと、急に視界が開け、崖に出た。 ズン――先ほど感じた揺れがもう一度響く。見ると、崖下に、巨大な二つの頭を持った獣がいた。獣は、何かを探すように、地面の匂いを二つの頭で熱心に嗅ぎつつ、ゆっくりと移動している。獣を目にした少女は、目をキラキラと輝かせ、獣の前におどり出た。 「すごい! おまえ頭ふたつもある! 母上の友だちのアモンも 頭みっつ!」 獣は、少女に頭をむけると、二つの首をひねり、その匂いを嗅いだ。 「ははは! おまえ、なつっこいな! お前、友だちなれ! ママリリのともだちなれ!」 獣は二つの頭を交互に上下する。 「よし! いい子だ! それじゃ、これからみんなでメシなんだ! みんなで食うメシはウマいぞ! おまえもいっしょに食おう! ついて来い!」 亜人の少女は、そう言って腕をふりふり歩き出した。獣もまた、その後ろをついて行く。 しかし、ママリリを見下ろすふたつの頭は、めくれ上がった歯茎から覗く乱杭歯をさも愉快そうにガチガチとならし、怨嗟で練り上げられた涎をボタボタと滴らせた。 ≪メシ…か いいなぁ…≫ そうつぶやいた獣は、不意に、その巨大な頭で背後からママリリを跳ね上げた。 「きゃん!!」 ドスンと地面に落ち、気絶する少女――。 獣は、少女を見下ろし、 ≪いたぞ…本当にいやがった… 間違いない…この匂い…あいつの血の匂いだ… この日を…待っていた………!≫ そう言って、もう一度ニヤリと笑うかのごとく、赤く鬱血した二つの歯茎をのぞかせた。
~『新・アマゾネスの冒険』 第13章~
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体重 |
まだまだみがるだぞ! |
友だち |
たくさんふえたぞ! |
母 |
ミミララ・レイアだぞ! |
父 |
みたことないけどさがしてる! |
将来の夢 |
りっぱなレイアになる! |
イラストレーター |
創-taro |
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