+
|
Ver3.4(VerRe:3.0) |
Ver3.4(VerRe:3.0) |
身長 |
1.55[meter] |
体重 |
詮索者に災いあれ |
出身地 |
黒き森 |
現在の生息地 |
次元の果ての古城 |
尊敬する人 |
おばあちゃん |
封じられていた名 |
ル・グラン・ソルシエール |
イラストレーター |
碧 風羽 |
フレーバーテキスト |
「さあ、みんな行くわよ! ベルゼバブが消えたくらいでなによ! 倒さなきゃならない『ロード』なんかまだまだいるわ! ひとり先を越されたくらいでめげていられない! この大陸は必ずやこの「偉大なる魔女」さまが征服してやるんだからね!」
あたしの掛け声に一番初めに反応したのは食いしん坊の巨人だった。 返事をしたのは口じゃなくて、お腹だったけれど。 そう言えば、色々ありすぎて、みんな今朝から何も食べていなかった。確かに食事にするのも悪くない。
なら、久しぶりにおばあちゃん直伝の「偉大なる魔女特製お鍋」を作ってあげる、 あたしがそう言うと、巨人は飛び跳ねて喜び、その衝撃で一角獣の背でうたた寝していたオレンジ色の魔法植物がズルリと落ちた。 それをとっさに空中で咥えた、一角獣が、ならばとっととこの食料を下ろせと、荷馬扱いされたことをぷりぷりと怒った様子で睨んでくる。
そんな訳で、さっそく鍋の準備が始まったのだが、その何とも芳しい臭いに誘われたのか、 先ほど飛び去ったはずの古い友だちまで戻ってきて、ちょっとお腹が空いただけだなんだと、一緒に鍋をつつき始めた。 そしてそれを、皮肉屋の死神がからかっている。
あたしは、なんだか温かいものを感じ、そんな風景に見とれていると、後ろからポンと頭を叩く手。 振り向くと、ほら、早く喰わねぇと無くなっちまうぞ、と眼帯の男が―― あたしは、この旅の仲間が好きだ。できればずっとこの仲間たちと――
「どうだ?」 「ダメね。バカバカしい夢が見れただけ」 暗い一室で、つば広の三角帽をかぶった少女は、機甲装置にかけた多重の魔法陣を解いた。 体中に紋様を刻んだ男が、豪奢な椅子に座りそれを見つめている。
「頼むぜ? ヒントはお前が持ってるんだ。お前の過去に、必ず“それ”はある」 解ってるわ、と少女は特に何の感慨も無い様子で立ち上がりその場を去ろうとする。 男は椅子に座ったまま反り返り、少女の背に向けて言った。
「まさか、戻りてぇとかぬかすんじゃねぇだろうな」 「まさか」 即答する少女。
「どうだかな。 こないだ“覗いて”みたらよ、愉快なお仲間たちは、お前を探してるみたいだったぜ。 ぞろぞろ連なってよ。まるで蟻みてぇだった」
少女は少しだけ振り返り、肩を上げて笑った。 「どうしようもないわね。あいつらは世界の仕組みが分かっていない。まさに無知の罪よ。 あの儀式で…地獄の釜を開いてその底を見た時、私は分かってしまったんですもの」 「ならいいがよ、“偉大なる魔女”さん」 「…詠唱が少し違うのかも。もう少し調べて来るわ」 そう言って、少女はその場を立ち去りつつ、奥の暗闇に向かい、誰にも聞こえない小さな声でつぶやいた。
「本当に…どうしようもないわ」
~『冬の魔女のサーガ』 第10章~ |
|