+
|
Ver3.5 |
Ver3.5 |
身長 |
1.63[meter] |
体重 |
47[kg] |
職業 |
語り部 |
語り部の仕事 |
あらゆる物語の編纂 |
趣味 |
物語集め |
特技 |
夜更かし |
イラストレーター |
オサム |
フレーバーテキスト |
やっとのことで“夢のカケラ”をひとつ手に入れたアリスたちの前に、ふわりと空飛ぶ絨毯が舞い降りました。魔法の絨毯の上に乗っていたのは、世にも美しいお姫様でした。
「あら、お久しぶりねシェヘラザード。いつぶりかしら…『春の女神』の館への招待状をあなたに頂いた時以来? “語り部”のあなたが、どうして夢の世界に?」
アリスの問いかけに、シェヘラザードは真剣な表情で答えました。
「ごめんなさい、談笑はまたの機会に。ちゃんとした手順を踏んでいない今の私は、ほんの一時の夢……時間がありません」
シェヘラザードがその手に持った巻物を開くと、なんと、巻物に光る文字が浮かび上がりました。
「今より、あなたたちの探す“夢のカケラ”がある物語を語ります。ですので、一刻も早く、全ての“夢のカケラ”を集めてください。もう、夢の世界にも残された時間は多くはありません…」 「あなた今、夢の世界“にも”って言ったわよね? いったい何が起こっているの?」
いぶかしむダークアリスに答えるように、シェヘラザードは呪文を唱えました。すると光る文字が夜空に広がり、夢の国の地図が現れました。
見ると、地図には、何やら黒いもやが浮かびあがっています。それを見たアリスは表情を曇らせました。
「これって、もしかして…」 「そうです… 『混沌』です」
一同に緊張が走りました。
「外の世界で、再び紅蓮の王と混沌の戦いが始まりました。今度の戦いの舞台となったのはマナの大地『レムギア』です。しかし、今回の戦いはどこかおかしい――」 「どこがおかしいの? 私、ずっと塔にいたから良く知らなくって」
ラプンツェルが無邪気に尋ねました。
「これまで“混沌”に組する者は“外の世界”にしか現れたことがありませんでした。しかしご覧の通りです、夢の世界にも“混沌”の手が伸びている事がわかったのです。既に『オズの物語』には彼らの軍勢が… 他の物語にもいつ混沌が現れるかわかりません」
シェヘラザードの言葉に、アリスたちは驚きました。“夢の世界”とは、その名の通り、あらゆる夢や空想が姿を持って息づく世界です。
夢の世界に渡るには、<夢の管理人>や、夢の世界にかかわる者の力をかりる以外に方法はありません。特に、誰かの見る夢などではなく、『物語』として完成された世界には、後から登場人物を追加するようなことはできないはずなのです。
「どういうこと? 私たち以外に、自由に夢の世界に渡れる存在なんていないはずよ…?」 「おそらく、夢の世界の住人に、彼らへの協力者がいます。そして、彼らもまた、“夢のカケラ”をあつめ、“あの子の夢”を狙っているのです」
シェヘラザードが呪文を唱えると光の地図に、さらに赤い光が浮かびあがりました。
「これらが残りの“夢のカケラ”のある場所です。残るカケラは4つ――持っているのは『スナーク狩り』のマルジー・スナーク、そして『雪の女王』の女王――」 「なによ、あの人やっぱりウソついてたのね!」
ダークアリスがぷぅっとホホを膨らませます。
「そして、『シンドバッドの冒険』のロック鳥の巣に――それは、私がここに持って来ました」
シェヘラザードは、アリスたちにふたつ目のカケラを渡しました。
「すごい! これで2つ目よ! あと1つの場所がわかれば、きっとすぐにぜんぶ集められるわね!」
ラプンツェルが魔法の髪で拍手をして喜びます。しかし、シェヘラザードは目を閉じて首を振りました。
「それが、最後の“カケラ”、それはあの<赤の女王>が持っているようなのです…」 「それは困ったわね…もう一人の私」 「そうね…困ったわね、もう一人の私」
二人のアリスは困り顔を見合わせました。
「しかし、『混沌』の手に“あの子の夢”が渡れば、外の世界も、そしてこの“夢の世界”も混沌に滅ぼされてしまうでしょう… ですから、なんとしても『混沌』より先に“カケラ”を見つけ出し、元に戻した“あの子の夢”を、彼らの手の届かないところに隠さなければなりません…!」 「待って、シェヘラザード。“あの子の夢”に一体何があるっていうの?」 「そうね、私もそれが聞きたいわ。私は<赤の女王>に“あの子の夢”に閉じ込められていたの。その時に<悪夢の女王>の力をあの夢に置いてきてしまったわ。私はそれを取り戻したいだけだったのだけれど、なにか危険があるのなら是非知りたいところね」
ふたりのアリスの質問に、シェヘラザードは悲し気な表情で答えました。
「“あの子の夢”に隠されたもの……それは、“あの子”が“永遠に眠る”ことにした理由――かつて世界を滅ぼしかけた、『黒い森の闇』、そのものです」
~『スカーレットテイル』その10~ |
|