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Ver3.5(VerRe:3.0) |
Ver3.5(VerRe:3.0) |
身長 |
あ?何だ?〈169cmダゾ!〉 |
体重 |
殺すぞ!〈52kgダゾ!〉 |
生息域 |
言うかよ〈闇黒の国ダゾ〉 |
好きなもの |
だから…〈エゾイチゴダゾ!〉 |
相棒 |
黙れイペタム!〈黙ラネェゾ〉 |
性格 |
結構面倒見が良い |
イラストレーター |
カスカベアキラ |
フレーバーテキスト |
人のそばで、人を導き、人を守る神となる。
そう決意を固めたオキクルミは、遠い北の村々を襲う闇黒の国の魔女の噂を聞き、今こそ悪と戦う時と、生まれ育った村を離れ、魔女討伐の旅に出ました。
かすかに流れ来る魔女の気配をたどり、長い旅路の果てに村へと着いた時、そこではまさに、邪悪な魔女がその闇黒の魔手を広げようとしているところでした。
オキクルミは、大切な人間たちの、大切な住処が破壊されようとしている様を目の当たりにし、自らの掲げた使命を胸に奮い立ちました。
「やめろーー!! そのような悪行はわたしが… このアイヌラックルが許しはしない!」
魔力を放とうとして魔女は、背後から聞こえるオキクルミの声に動きを止めました。
「ハッ! や~っときたかよ――神の子!」
闇黒の魔女は振り返り、オキクルミを見据えると、その瞳にギラリと怪しい光を灯しました。
「あ、かわい……」
言いかけた魔女は、何かを思いとどまり、咳払いをひとつすると、なんとも邪で恐ろしげな笑みを浮かべました。
「へぇ~凛々しいじゃん。 殺していいんだよなぁ?」〈チョット可愛イイカラ 軽クイタブルクライニ シトイテヤルゾ!〉 「黙れイペタム」 〈黙ラネェゾ!〉 「………とにかく! このウエソヨマ様に盾突くたぁいい度胸だ! ギッタギタに叩きのめしてやるよ!」 〈慣レテナイカラ セリフガ陳腐ダゾ!〉
魔女は、傍らにいるムササビと何やら言い合っていましたが、話がついたのか、突如禍々しい桃色の魔力をオキクルミに向けて放ちました。
「わが父カンナカムイよ! オキクルミを守りたまえ!」
オキクルミは、父神より賜った神剣・カムイランケタムを呼び出すと、魔女の凄まじい魔力の波を一瞬で消し去りました。
「へぇ~ やるじゃないか! お次はこれだぁ――と、その前に…」
魔女は唐突に手を止めると、脇にあった瓦礫をどかし、その下で怯えている子犬を、そっと抱きあげました。
「ん~、どうちた~? こんなところにいたら危ないだろ~? ほ~ら、あっちにお行き~」
魔女はそう言うと、犬を村の外へと放しました。
オキクルミは、魔女の狙いを測りかね、警戒して神剣をあらためて宙に構え直します。
「…………何見てんだテメェ! つうかあんなところに犬っころがいたら邪魔だろ!? だからちょっと追い払っただけだ!」 〈キュンキュン言ッテテ 可愛イカッタゾ!〉 「黙れイペタム」 〈黙ラネェゾ!〉 「………おら、続きだぁ! 喰らいなぁ!!」
魔女は気を取り直すと、さらに激しい魔力を矢継ぎ早に放ちました。オキクルミは、自らの乗るカムイチカップの翼を上手に操り、ヒラリヒラリと魔力をよけながら、魔女に詰め寄っていきます。そしてオキクルミが最後の魔力を避け、魔女に神剣の一撃を叩きこもうとしたその時――
「待ったあああああ!」
魔女が叫んで宙を飛び、魔力が当たって倒れる家屋の下敷きになろうとしていた幼子を風のような速さで救い出しました。
「ふう、危なかった… ほ~ら、もう大丈夫だぞ~」
魔女はそっと幼子を下すと、手を振って見送りました。 オキクルミは引きとめた神剣を戻し、再び魔女から間合いをとります。
「…あーー、あ、あんなところでガキが騒いだらうるさくて集中できねぇだろ!? だからちょっと黙らせただけだ!」 〈プニプニシテテ 可愛イカッタゾ!〉 「黙れってイペタム!」 〈黙ラネェゾ!〉 「………あああもう! 次だ次ぃぃ!!」
魔女は顔を真っ赤にしながら、大鹿に化けてオキクルミに突撃しました。
しかしオキクルミは、冷静にそれをかわすと、大鹿の背後から神剣で足を薙ぎ払います。大鹿はずさりと地面に倒れ込み、魔女の姿へと戻りました。
魔女がいててと頭を振りながら顔を上げると、その喉元には、オキクルミの神剣が突き付けられていました。オキクルミは魔女を見据え、静かに告げました。
「闇黒の国の魔女よ、お前の負けだ。もう人間たちに悪さをしないと約束し、闇黒の国へ帰れ」
その時――
「それまでえええええええええ!!」
天よりまばゆい光の柱が降り注ぎ、その中から天秤を携えた美しい女神が降り立ちました。女神は、厳しい眼差しを向け、オキクルミに言いました。
「人と共にある神・オキクルミよ、私は正義の天秤の女神アストレイア。ごめんなさい、あなたを試させてもらったわ。わたしは、混沌の闇に立ち向かう『13の剣』を探しているの。あなたは、その候補のひとりよ」
突然のことに、目を丸くして驚くオキクルミ。女神は続けます。
「わたしは、人と共にあらんとするあなたの優しさを試したの――あなたは優しすぎるわ。その優しさは『13の剣』としては武器かもしれない。けれど、その優しさに付け込まれて『闇の鍵』に転じててしまう可能性をあなたは秘めている。わたしは、あなたがどちらの天秤に傾くのか、それを見定めようとしていたの」
オキクルミは、女神の口にした言葉を反芻し、下をむき考え込んでしまいました。それを見た女神は、ふうっ、とため息をつくと、今度は氷のように冷たい視線を魔女に向けて言いました。
「――それと、ウ・エ・ソ・ヨ・マ…」 「…な、なんだよ」 〈何ダゾ!〉 「なんだよじゃないわよ! 全然話が違うじゃない! な~んであなたの方が彼女より優しいの!? てゆうか、あっちこっちに気が回りすぎよ!! もうちょっとしっかりやってくれなきゃ見定められないじゃない! 見なさいよこの天秤! ひっくり返りそうなくらい正義方面に傾きっぱなしよ!? それでも闇黒の国の魔女!!??」 「う、うるっせぇなあ!! オレだって好きで闇黒の国の魔女やってんじゃねぇっての! だいたいオレは闇黒の国の奴ら嫌ぇなんだよ! 可愛いものがいっぱいいる地上をすーぐぶっ壊そうとすっからよぉ! あいつらの真似なんか上手くできるかっての!!」 〈ハハハ、スマネェナ、ソウイウ訳ダゾ!〉
突然目の前で言い争いを始めた女神と魔女を見て、下を向いていたオキクルミは、おずおずと顔を上げて言いました。
「…なんだか、ごめんなさい…」
~『フルー・アイヌラックル伝』~ |
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