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Ver3.5 DS |
身長 |
生物の元素はね |
体重 |
アルケウスで繋がれ生気を帯びる |
最高速度 |
これが俺のアルキドクセンさ |
出身 |
んん?何だって?ああ...! |
好きなもの |
いいんだいいんだ。俺は俺の興味 |
嫌いなもの |
のある事にしか興味が無いからね |
イラストレーター |
加藤 さやか |
フレーバーテキスト |
「はぁ~、そっかぁぁぁぁ...クク、イヒヒ...イヒヒヒヒ!だ~いはっけんだぁぁぁぁ!」
奇妙な装置や怪しげな液体、無数のガラス容器が所狭しと置かれた暗い研究室。 その中で仰向けに反り返りケタケタと笑う、やけにひょろ長い体躯の男。
パラケルスス--彼は偉大な医者であり、科学者であり、錬金術師であり、魔術師であったが、その全てにおいて、異端者であった。 世の名だたる創造者とは違う視点から創造し、誰とも異なる説を説く--その天賢は、賞賛と恐れを同時に、同じだけ集めた。
しかし、そのような他者の評価など、いや、他者そのものが、彼にとっては塵一粒ほどの価値もなく、 彼は己と己で会話をし、他の誰の手も届かぬ次元で、誰もが気付くことすらできない"それ"に興味を持った。
『紅い結晶』--独自で見つけ出した、この世界の次元層に滞留するその非存在物質に、彼はどうしようもなく惹かれていた。
それは、固体であり、液体であり、気体であり、霊体であり--どこにでもあり、どこにも存在しない --生命を創造し、世界を維持する力--全ての創造物の根源であるに違いない元素--。
彼は、この存在を自らの手で解き明かし、万物を創造してみたいと思ってしまった。
そしてその日彼は、今まさに生まれたばかりの、長きに渡る研究結果であるフラスコの"中"を見つめ、身を震わせていた。
「うん...良いね...良い感じだ!命だ...お前は命、それ以外の何でもない、ただ純粋な紅い命! すべての始まりはお前だよ。俺のかわいい子...愛しいなぁ、早く俺と話そう。この俺が創ったんだ。 きっとう~んと賢いはずさ!そう思うだろ?ホ~エンハイム」
いつだったか、戯れに自身の意識を埋め込んで作ったお気に入りの"骨猫"ホーエンハイムに話しかける。 骨猫は、ぷいっと横を向き、フナ~オとひとつあくびをした。
彼はフラスコの命と対話をし、寝る間も惜しんでその結果を分析し続けた。それは、今までの研究で生み出したどんな 疑似生命より賢く、生まれながらに様々な知識を有していた。
「ほ~ら、やはり賢いだろう、ホーエンハ~イム。この子は、愛すらも理解している。 愛しているよ。お前も俺を父と呼んで愛すといいよ」
そうして、4日目の朝、大きなため息を吐くと、彼はハタとそれに語り掛けるのをやめた。
その瞳からは熱が失われ、フラスコの中を眺める冷ややかな視線だけが残った。 彼は天井を見上げ、思案気に部屋をうろつくと
「......ホーエーンハイム、あれは...どこで見たのだっけ?」
とつぶやき、突然頓狂な奇声をあげた後、バタバタと慌ただしく部屋を出て行った。
七日目の朝、埃まみれの包みを抱え、再び彼は部屋に戻ってきた。その目には熱が戻り、彼はキラキラとした瞳で フラスコの中の命に、包みの中身を掲げて見せた。
「これは--剣だよ」
命は、彼が持つ「剣」にとても惹かれているようだった。
「気になるかい?気になるよねぇ~ 惹かれるよねぇ~ これはねぇ、カルタゴのふる~い遺跡から拾ってきたんだ。 変わった組成をしていてね、見た目は普通の小汚い短剣だから、だ~れもな~んにも興味を持っちゃあいなかった。 でもねぇ、これはおそらく--」
彼は突然呆けたようにしばらく天井を眺めると、何かを思い出したようにニンマリと笑った。
「--そう、この世界のものではない」
フラスコが、カタリと揺れた。
「わかった?わかっちゃった?そうなんだ、お前は素晴らしいよ、おそらくこの世界で初めて形を成した『紅い結晶』だ。 けどね、お前は不完全なんだ。お前という命の結晶は、そのフラスコの中という完璧な世界でしか存在することができない。 お前に足りないものはコレ、"人でも獣でもないもの""絶対的な善意""根源的な悪意""無限に湧き出す命のスープ" "死の先にあるもの"この世界には存在しない五つの精髄--クィンタ・エッセンチア!!!」
彼は叫びながら、さも楽しそうに手に持った剣をくるくる回し、フラスコの命はそれを食い入るように見つめた。
「なぁ?惹かれるだろう?それは仕方がないことさ。この剣は、その五つの精髄たる"メモリア"で組成されている。 銘は...アゾットと彫られているね。ふん、神とかいう豚共のいうところのアルファからオメガ--"始まりから終わり" というわけだ、さっぱり気が利いていない」
そうこぼすと、もう興味をなくしたように剣を投げ捨てる。 「俺は完全な結晶をつくりたい。そうじゃなきゃあいけないんだよ。そういうわけだから、 何よりも愛しいお前と、すぐにお別れしよう。
俺はね、五つの精髄を探しに、この剣が造られた世界に行くことにした--うん、次元と時間を超えることにした!
その為には俺の体組織を再組成しなくっちゃあなぁ... なんていったっけ...きょうりゅう...ぎょうちゅう...... あぁ、"きょうかい"だ!あいつらの技術を使っちゃおう。さっそく話をしにいかなきゃあな」
もはやフラスコを見ることもなく、彼はいそいそと支度をし始めた。 そして、ふとその手を止めると、再び天井をじぃっと見つめた。
「......俺はね、ずっと考えてるんだよ。あの結晶、完璧にできあがったときにはなんて呼ぼうか。 自惚れじゃあないが、俺が創ったものだしねぇ。『賢者の石』なんてどうだろう、ホーエンハイム」
かちゃかちゃと細かく震えながら伸びをしている骨猫に向かって問いかけるが、 骨猫は、ぷひっと鼻を鳴らして首を振った。
「だめか。もっとカッコをつけてみるかい?そうだねぇ... 神秘--『アルカナ』ってのはどう?」
再び問いかけると、ホーエンハイムはナ~オと小さく鳴いた。
彼は機嫌よくイヒヒと笑うと、「決まりだ」と頷いた。
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