《三国志》
「西遊記」「水滸伝」と並ぶ「中国三大奇書」(時々「封神演義」を加えて四大奇書とするときもある)のひとつ。
しかしそのカテゴリーに入れられるのは、本来歴史書である「三国志」を題材に、民間伝承や異説などを交えて物語風にアレンジされたものを編纂した「三国志演義」である。
史書としての「三国志」は、中国の後漢末から呉の滅亡までのおよそ100年間(一八〇頃~二八〇頃)の中国の歴史を、東晋(3世紀ごろ)に陳寿がまとめ上げ、その後宋(5世紀ごろ)の時代に裴松之が注をつけたたもの。大きく分けて「魏書(魏志)」「蜀書(蜀志)」「呉書(呉志)」の三つから構成される。
形式は紀伝体(その時代に活躍した人物などの伝記を中心とする史書の形式)であり、日本史の授業でおなじみの「魏志倭人伝」は魏書の三十巻目に収録された「東夷伝」の一節にあたる。
なお「演義」が成立したのはそれから700年余り後、明の時代である。
「演義」の構成は「七実三虚」といわれ、七割は史実を基にしたネタ。実際正史と読み比べると、明らかに作り話としか思えないような話が史実だったりするから面白い。
逆もまた然りで、映画「レッドクリフ」の舞台でもあり歴史の上では三国時代幕開けの重要な戦役である赤壁の戦い(208年)も、演義準拠の各種メディアのイメージから劉・孫連合軍vs曹操軍の一大決戦というイメージも強いが、実際は小規模な戦闘があったかどうかすら解らないといわれるほど資料が乏しく、一説には「赤壁の戦いという戦役そのものが存在しない」とすらいわれる。
物語化されたものがさらに漫画等のメディアに転嫁しやすいためか、その金字塔ともされる横山光輝「三国志」(通称「横光三国志」)を筆頭に、コーエーのSLGシリーズや同社の「三国無双」シリーズなどゲーム化された作品も数多く存在する。
基本的にはこれらのストーリーは演義準拠のため蜀の劉備、
諸葛亮が主役的な扱いで描かれていることが多いが、近年愛読者数を増やしている「蒼天航路」(講談社/作・李学仁、画・王☆欣太/全36巻)は、本来「演義」では敵役になる魏の太祖武帝・曹操を主人公とし、正史準拠の一大大河ドラマを描き出し人気を博した。
また、キャラの一部を女性化し、挙句学園モノのバトル漫画として世に出た塩崎雄二の「一騎当千」、あるいは完全に武将たちを女性化した美少女ADV+SLGである「恋姫無双」などが登場し、ある意味では
カオスな方向性に向かっているジャンルでもある。
ゲーム的な金字塔であるコーエーの「三国志」シリーズも、武将の能力は初期において非常に演義色が強かった(というか横光三国志など先行メディアの影響が強かった)ため、著名な武将や劉備関係の武将たち以外の能力値は悲惨な能力値査定をされていることが多かった。だが、近年は「帰正史運動」による人物再評価の影響もあり、見違えるほど有能な能力値を設定されるようになった人物も多数存在する(もちろん、逆に下方修正された人物も決して少なくない。趙雲などがそうかも)。
さらに、PC版などでは武将の能力値エディットをしたり、あるいはオリジナル武将を多数登録したりできるため、ニコ動ではそうしたオリジナルキャラを多数登録したりしてのリプレイ動画シリーズ(ニコ動歴戦シリーズ)も多く存在する。これの作者は物語作りの演出(俗に「紙芝居」と呼ばれるパート)にも凝ったつくりをしている。
その場合(特に
東方Project関連キャラを加えたリプレイ動画において)、特定のキャラが設定数値に表れない強力な補正を発生させて、時にゲームバランスを崩壊させてしまうという事例の存在(俗にいう「チルノ補正」)も多数報告されている。
「三国志」ファンの中には、その興味が高じて正史や後漢書、あるいは関連歴史書まで読み漁るようなコアなファンもおり、そうしたコアなファンを特に「三国迷(さんごくめい)」と呼ぶこともあるらしい。
住人では
狐が「蒼天航路」愛読者であり、彼奴がコメなどで使う「くぉのしれいぬ(痴れ犬)どもぐぁーッ」「どいつもこいつもどうしてくれよう!」「ならばよし!」などはこの漫画が出典。
三国志ネタコメは横光三国志ネタのほうが(知名度的なものもあってか)一般的には良く使われるのだが、狐は頑ななまでに横光ネタを避けて蒼天ネタに拘っている。何故かは良く解らない。
最終更新:2009年04月17日 10:46