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…あいつ、なんであんな顔して…い、いや、なんであの時俺逃げたんだろ…

今日の部活はまるで集中できなかった。
豪炎寺が見ていると思うと全然集中できなくて、調子が狂った。
何度考えてももやもやしてて、風呂に入ったままぼーっとする。
…こんなきもちになったこと、今まで一度もなかったから



積極的な君



…昨日は、あんまり眠れなかったな…
眠い目を擦りながら教室へとふらふらと歩いていると、風丸が俺に声をかけてきた。

「おはよう、円堂」

「はよ…」

いつもよりずっと眠いせいか声にも元気がないようで、風丸が心配そうに俺を見る。

「大丈夫か?元気ないみたいだけど。」

「うん…昨日あんまり眠れなくてさぁ…」

俺は苦笑いして風丸と話をしながら、階段を上がって教室へ向かった。
階段を上がりきるまであと2、3段というところで俺は脚を滑らせた。

「円堂!!」

風丸が落ちていく俺に驚いて叫ぶ。
…こんなことでケガなんてしたら…!
やばい…!俺はぎゅっと目を瞑った。
だけど、いつまで経っても痛みとかはなかった。
後ろで誰かが俺を抱きとめてくれたみたいだ。

「っつ…!円堂…大丈夫か…?」

―豪炎寺だった。

「いてて…なんとか…ありがとな。」

俺の返事に安心したのか、豪炎寺は昨日みたいな優しい表情になる。
…俺はその表情に釘付けになって、自分が豪炎寺に、いわゆる「お姫様だっこ」をされていたことに気が付いていなかった。
しばらくしてからそれに気付いて、すっげー恥ずかしい…
しかもそれ、風丸だけでなく結構な人数に見られてたし…



午前中の授業をほとんど寝て過ごし(俺の席は後ろの方にあるから、先生は全然気に掛けない)、次に起きた時にはすでに昼休みだった。

今日も豪炎寺と一緒に飯を食おうかと思ったけど、なんだか今朝のこともあって恥ずかしい。
そう思ってたら豪炎寺が俺の席の傍にやってきた。

「…飯、食いに行かないのか?」

「え…ああ…うん、行くか。」

なんとなくだけど、豪炎寺から誘ってきてくれて嬉しかった。
…なんでだろ。


屋上でまたいつものように弁当を食ってると、いきなり豪炎寺が話しかけてきた。

「お前、やっぱり軽いよな…」

「んあ?」

いきなり変なこと聞くもんだから、なんか間抜けな声が出てしまった。
軽いって…体重の話だよな。

「サッカーでたくさん動くしさ、太ったことなんてないぜ。」

「それもそうだけど、お前は軽すぎだったぞ。」

それってやっぱり今朝のこと言ってるよな。
せっかく忘れかけたのにまた思い出して顔が赤くなる。
それもそのはずで、どうやら2年サッカー部全員に見られていたらしい。
…悪気ないと思うけど…豪炎寺のやつ…いじわるだ。

「…い、いいだろ別に!飯ならちゃんとたくさん食ってるし…」

なんだか恥ずかしさのあまりムキになってしまった。
そんな俺の反応が面白いのか豪炎寺は少し笑っているように見えた。

「円堂。」

「なんだよ。」

俺がまだちょっと怒ってるような口調で返すと、豪炎寺の顔が間近に迫って―
―気が付いたら、豪炎寺の顔が目の前にあった。

「んっ…んんー!」

俺ははっとして豪炎寺から無理矢理離れる。

「…な、な…な…何すんだよ!」

「キス」

…いや、そういうこと聞いてんじゃなくて…
…俺はなんだか恥ずかしくて、俯いて豪炎寺に顔を見せないようにする。
しばらくして豪炎寺が俺を抱き締める。
びくってしたけど嫌な感じはしなくて、でも恥ずかしくて更に顔が熱くなる。

「…好きだ。」

…誰が、誰を好きだって?

「好きだ、円堂…」

「え…えと…その…」

それは友達とかそういう意味じゃなくて、その…つまり…
…恋人とか、そういう意味の好き、だよな。
…豪炎寺が…俺のこと…

「ごめんな、いきなりこんなことして。でもお前多分鈍いしさ…」

「…な、なんで謝るんだよ!」

もう、こうなりゃヤケだ!

「お…俺…確かにこういうこと初めてだから鈍いかもしれないけど…昨日から豪炎寺のことばっか頭に浮かんで…か、かっこいい…とか思うこともあるし…!心臓がドクドク煩い時もあるし…!その…だ、だから…」

…俺も、好きだと思う。
ううん、思うじゃない。
俺…豪炎寺のこと、好きなんだ。

「円堂…!」

頬を少し赤く染めた豪炎寺が更に強く俺を抱き締める。
豪炎寺の心臓の音が聴こえてきて、俺の心臓ももっと煩くなった。


「…円堂、もう一度キスしてもいいか…?」

「…え…う…うん…」

豪炎寺が俺を引き寄せ、キスをしようとする―

―ガタッ!

屋上の入口の方から何かの音がした。
その音にびっくりして俺は入口の方を向くと、そこには…音無の姿が。
豪炎寺は邪魔されたことに怒ったのか舌うちをした。

「…あ…見つかっちゃった…お…お邪魔しましたー!」

音無は焦った様子で急いで階段を降りていく。
…は…速い…

「あ、ちょ…待っ…!」

…まさか、見られてたなんて…
…今日からどんな顔して部活に行けばいいんだ…
青ざめた顔をした俺を、豪炎寺が優しく抱きしめる。

「大丈夫だ、何があってもお前は俺が守るから…」

…なんで…こいつは…
…こんなに平気で恥ずかしいこと言えるんだよ…!

しばらくして5時間目のベルが鳴っても離そうとしない豪炎寺に、俺はそのまま根負けして午後の授業をサボることになってしまった。
…なんだか俺、こいつの行動に振り回されてる気がする…











最終更新:2009年10月18日 03:57