俺と西田はファーストフード店の一角で遅めの昼食を取っていた。
一週間に一日だけ、パチンコもバイトも(西田は大学もだが)しないで2人でゆっくりする日を設けようと言ったのはどちらからだったか。
そうじゃなくても毎日顔を合わせているけど、西田は学生だからそんなに暇なわけじゃない。
2人でいる時間が少なくて寂しいのは俺の方…?
甘い……
目の前の西田はというとハンバーガーにかじりついている。
ずっと俺を見ていろ、なんてことは言わないけど。
少しくらい、意識してくれてもいいだろう…
俺もシナモンで焼いた甘いお菓子を食べる。
このお菓子はとても甘くて、俺の口にはちょうどいい。
小早川さんや岸本は、甘すぎるって言うけど。
(西田は、どうだろう…)
西田もこれが気になるのか、シナモンの甘い匂いに関心を向けたようだった。
「なぁなぁ蒼井、それってうまいの?」
「うまいけど…」
「なんかめちゃくちゃ甘そうでお前好きそうだよなー…ね、一口いい?」
そう言ってころころ変わる西田の表情は見ていて全然飽きない。
可愛くおねだりされるとつい、甘やかしてしまう(岸本からはいつも甘やかしていると言われる。)
…だって、自分の恋人におねだりなんてされたら断れないだろ。
「ああ、ほら。」
「ありがとー。」
西田はお菓子を受け取って一口頬張る。
何回か噛んだ後、若干顔を顰めた。
すぐに飲み込むと、傍にあったシェイクを飲む。
…それ、俺の…
「あっま…甘い…シェイクが全然甘くなくなるほど甘い…」
「…確かに俺がうまいと感じるわけだからすごく甘いんだろうな。」
「うえ…あんなん平気で食べれるの蒼井くらいだよ…」
…なんとなくいたずらをしてみたくなった。
店の角だし、仕切りで見えてないはずだ。
俺はシェイクを持って余所見をしている西田に、軽く唇を押しつけた。
すぐに離したが…西田は真っ赤になってテンパっている。
ほんとに表情がくるくる変わって面白い。
「な、な、何すんだよこんなとこでー!」
「悪い…なんとなく…」
「全然謝られてる気がしないよ…もう…」
そう言ってるお前にも怒られてる気がしないんだけどな。
…それが微笑ましくて笑っていたら、仕返しにとポテトを口に突っ込まれた。
「蒼井ー…」
「ん?」
帰り道、すっかり暗くなった通りを手を繋いで歩く。
人通りもないし、一緒に買い物袋もぶら下げているからカモフラージュにはなるだろう。
買い物袋を男2人で持っている、というのは異様な光景だけど。
ほんとは俺が全部持ってあげたいけど、こうでもしないと手を繋がせてくれない。
俺は平気だけど、西田が恥ずかしいっていうならこうやってなんとかして手を繋ぎたい。
「今日のキス、めちゃくちゃ甘かった。」
「……」
いきなり何を言うんだろう。
さすがにいつも表情を変えない俺でも、呆然としていた。
西田が笑う。
「変な顔してる…へへ…」
「勇人…」
子供っぽく笑う西田が可愛くて、肩を抱き寄せる。
すると急に大人しくなった。
こういう時は大人しくなるというのは…なんというか、すごくソソる。
だけどこんな寒い中理性を失うわけにもいかないし、早く帰って夕飯の支度もしなきゃいけないだろう。
俺は西田を抱き寄せたまま、家へ向かう。
澄んだ空気に、綺麗な星空…いつか2人で見た光景のようだ。
もう冬になりそうな時期だけど、こうして寄り添っていれば全然寒くなんてない。
…何気ない2人だけの1日が、俺の一番の幸せだ。
あとがき
シナモンのお菓子…シナモンメルト(違
あれくそ甘いですね、かなり甘党の俺でも胸焼けしたほどです。
今日食べたわけじゃないけどマッ○行って思いついたネタでしたw
最終更新:2009年11月12日 17:36