「おーい!豪炎寺ー!」
「円堂!危ない!」
―俺の不注意だった。
街中で偶然会えたことが嬉しくて、豪炎寺に向かって走ったら信号無視をして道路に飛び出していた。
気が付いたら車が近くまで来ていて、驚きのあまり身体が凍りつく。
豪炎寺が必死な表情で俺の方へ走ってくる。
俺は豪炎寺に突き飛ばされた瞬間、豪炎寺が安心したような表情を見せた。
―なんで…
―気がついた時には目の前に血まみれの豪炎寺が倒れていて、俺は何もできなくて。
ただ苦しそうな豪炎寺に縋りついて泣くことしかできなかった。
豪炎寺が何か言いたそうにしているけど、なんて言ってるのかわからない。
だけど口の動きを見ると。
―よかった。確かに豪炎寺がそう言っていた。
―なんで、どうして…!
「豪炎寺ぃぃぃー!!!!!!!」
次の瞬間目を開くと、そこには見慣れた自室の天井があった。
俺の叫び声が聞こえたようで、下にいた母ちゃんまで様子を見に来た。
時計を見ると、朝の6時。背中がぐっしょり濡れていて気持ち悪い。
心配した様子の母ちゃんになんでもないと安心させると、とりあえず汗を流すことにした。
とても、今からもう一度眠ることなんて…怖くて…できなかった。
夢だとわかっている。だけどどうしようもなく不安になる。
「豪炎寺……」
俺は急いで汗を流し、制服に着替えると朝ご飯も食べずに家を出た。
目的地は―
嬉しいけど
朝の6時半、誰だこんな早い時間から呼び鈴を鳴らす奴は。
朝飯を作りながら忙しいというのに。
イライラした顔にならないように極力我慢しつつ扉を開けると、そこには円堂の姿があった。
円堂は顔をあげ、俺の姿を確認するとすぐさま俺に抱きついてきた。
「え…円堂…?」
円堂は何も言わずに俺の胸に顔を埋めてくる。
朝早くとはいえここは玄関。ひとまず俺は円堂を家に招いた。
…とはいえ両親とも既に出かけて不在なのだが。
「…夢…見たんだ。」
震えていた円堂を落ち着かせようと甘いホットミルクを作ってやると、円堂はそれを少しずつ飲みながらポツリポツリと話しだした。
―夢の中で偶然俺と会って、嬉しくて駆け寄ったこと。
―そしたら信号無視をしてしまい車に轢かれそうになったこと。
―俺が円堂を突き飛ばして代わりに轢かれたこと。
―自分が悪いのに俺が「よかった」と言ったこと。
「…目覚めたら、汗がびっしょりで…豪炎寺がいなくなったらどうしようって…おれっ…!」
夢のことがよほど怖かったのか円堂はまた涙声になる。
「大丈夫だ。お前を置いていったりしないから…」
俺は円堂を安心させるべく抱き締め、頭を優しく撫でてやる。
お前を悲しませるようなこと、絶対にしないから…
「だから…もう泣くな。」
「…うん…ごめ…みっともないとこ…」
みっともなくなんてない。
夢の中であったことを不安に思って俺を心配して。
…こんなに嬉しいことないのに。
「お兄ちゃん、おはよー…あれ、円堂さん?」
その声に驚いて振り向くと、そこには起きたばかりの夕香の姿が。
―しまった、もう7時だ…夕香が起きてくることも忘れてこんなところを見られるなんて…
円堂も驚いたのか俺から離れて、慌ててホットミルクをすする。
「お兄ちゃん…なんか焦げくさい…」
「…あ…」
円堂の相手をしていてパンを焼いていたことなどすっかり忘れていた。
その後なんとかごまかして夕香を送ると、円堂と2人で遅めの朝食をとる。
朝飯も食わずに俺に会いに来たなんてどうしようもなく愛しいなと思った。
―絶対、お前を1人になんかさせないからな…
「なんかいつも以上にべたべたしてない?あの2人。」
「うん…そうだな…」
…円堂…嬉しいんだ。嬉しいんだけど…
「おい豪炎寺、円堂…ここは学校なんだが…」
「…俺に言うな。円堂に言ってくれ。何言われても離れないけどな。」
「…円堂…」
「いやだ、豪炎寺の傍にいるんだ!」
円堂が俺の腕をがっちりと掴んで片時も離れようとしないのは、さすがに面食らった。
…まぁ、嬉しくてついニヤついてしまうんだが…
鬼道がため息をついたり、半田達がこっちを見ながら複雑な表情をしていたり、一之瀬がニコニコしてたり、音無達がキャーキャー言ってることも。
…今なら、(幸せすぎて)どうでもいい…
あとがき
2日更新さぼっちゃった。まぁいいか(
今回は死にネタ…ではなく。最後あたりが書きたくて書いたww
最初は全部円堂視点だったんですがまぁ途中から豪炎寺視点でいいかなぁと。
ちょっとだけ夕香登場。円堂さん、と言うのかはわからないけど…「円堂お兄ちゃん」かもね。
10章で「半田お兄ちゃん達」って言ってましたし…
自分はグロだろうがスプラッタだろうが平気だしホラーも平気だし、昔のように怖い夢見たーと泣いたりはしませんでしたが。
円堂は結構こういう部分脆かったりするかなぁと。
ちなみに他の奴が死んだ夢見たりしたらそいつにベタベタすると思います。
そして豪炎寺がジェラシー感じたりすればいいと思います(
最終更新:2009年11月18日 00:36