俺の好きな人を紹介します。
初めて会ったのはアリティア城。
祖父の訓練ばかりで色恋沙汰には興味なしの俺でしたが…あの時貴方に会って…
初恋、でした。
「あ、あの…どこまで行くんですか?カイン殿。」
馬に乗ること早一刻ほど。
乗馬の練習も兼ねて(俺は魔道士なのに…)、ということで遠乗りしたのだが
…
アリティア城が見えなくなって流石に不安になっていた。
カイン殿の背はとても大きくて、後ろに乗せてもらってるだけでも幸せなのだが。
…こんな事思っていることがバレたら、カイン殿は俺を嫌うだろうか。
「ああ、もうすぐだ。すまん。」
そういいながら俺の手を自分の腰へしっかりと掴ませる。
飛ばす、ということなのだろう。俺もカイン殿にしっかりとしがみついた。
「…ここは…?」
「いい眺めだろう。おれしか知らないとっておきの場所だ。」
夕陽が沈む光景はとても綺麗だった。
思わず口に出してしまうほど俺は感動していた。
「綺麗な景色ですね…でも、なんで俺を連れてきたんですか?」
「お前はおれの大事な部下だ。そう思っていたから、ここに連れてきたんだが…迷惑だったか?」
「…いえ…迷惑だなんて思ってません…嬉しいです。」
「そうか。ならいい。」
この人は、多分俺以上に色恋沙汰に疎い。
…だからこそ、たちが悪い。
(部下、だなんて…ずるいですよ…)
今はそれでもいい。
だから、どうか…貴方の後ろは俺だけしか乗せないで欲しいんです…
後日談
「なんだか乗馬上手くなったんじゃない?ゼル」
「そ…そうですか…?」
「魔道士なのに馬まで乗れるなんて…すごいなぁ…誰から教わったんだい?」
「…そ、それは…」
「…?」
言えない…言えないですよマルス様…
遠乗りに行ったついでにみっちり乗馬まで教わったなんて…
―不純な動機で、俺は!
最終更新:2010年08月04日 02:07