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レザーフット物語 - ハウンドスレイヤー編 第1部
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lupinduke
レザーフット物語 - ハウンドスレイヤー編 第1部
Leatherfoot Tales: The Houndslayer, Part One
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ELのクエスト「I Hate Those Wimmin(あんな女は大きらい!)」報酬で「レザーフット物語 - ハウンドスレイヤー
第1部」のスターターが貰えます。
第1部の報酬に第2部のスターター、さらに報酬で第3部のスターターときて、そのまま「レザーフット物語 - テイル・ダルの最期」全3部までの連続モノです。
レザーフット物語 - ハウンドスレイヤー編 第1部 |
これは、”混乱の時代”に活躍したレザーフット・ブリゲードのスカウト、Gumpy Nattooの初期の冒険を記した回想録である。 |
歴史とは、何かが起こったあと、未来の人々に過去を伝えるために書かれるものである。この本はまさにそのために書かれた。村々を行くときには、そこの老人に、彼らの若かったときと比べていかにいろいろなことが変わったかを聞いてみるといい。何歳になっていようと、彼らが皆覚えていることがある。これは、そうした話のひとつである。 | はるか昔、時の始まる前、ハーフリングはリバーベイルとその周辺に住んでいた。それは世界で一番美しい場所だった。何世代もの間、彼らは森の中に住み、その境より外に何があるのかに気を留めるものはいなかった。何人かの勇気ある者たちは外に出かけ、帰ってきて突飛な体験談を語った。こうした者たちは大抵冷笑をもって迎えられたが、時が経つにつれ、その話の中でも特に突飛なものの内いくつかについて事実だということがわかってきた。リバーベイルはもはや陸の孤島ではなかった。 |
情勢が不穏になってくるにしたがって、レザーフット・ブリゲードはそのランクを上げていった。若いハーフリングのほとんどは何らかの形でレザーフットと関わりをもっていた。大抵は酒場での兵士割引が目的ではあったのだが。Gumpy Nattooがレザーフットに入隊した時も、それが一番の関心事だった。すなわち、毎晩自分のベッドで寝ることはできるのか?また、疲れた足の休め場亭でどれだけ割り引いてもらえるのか?ということだった。 | Gumpyに与えられた最初の任務は、年老いた兵卒長についてキシコールの森に行くことだった。この場所はかつては美しいところであったが、今では、日の暮れた後では誰も話そうとしないような奇妙なことの起こるところと化していた。ある場所はまだ、森を美しく見せる神秘的な暗がりを保っていたが、他の場所は空を見ることもできないほどに木が生い茂っていた。 |
「昼飯の時間だ!」開けたところに差し掛かり、立ち止まって兵卒長が叫んだ。「どうして時間がわかるのでありますか?」Gumpyは訊ねた。「なに、わしの腹具合だ」兵卒長はさらに続けた。「ここで休憩するぞ。今からなぜお前をここに連れて来たか説明してやる」彼らは焼け焦げた切り株に座り、ドライフルーツ、ジャムジャムバターパン、リンゴ数個、ハチミツワイン一瓶、6種類のチーズをぱくついた。リバーベイルからはすでに1日分の距離のところに来ていたから、これは軽い食事だった。 | 「世界で何が起こっているか、うわさくらいは聞いているだろう」兵卒長は言った。「お前はハーフリングにしては背が高いし、隠れる技術は人並みにあるし、何より頭の回転が速い。お前にはレザーフット・ブリゲードのスカウト隊に入ってほしいのだ」Gumpyは光栄に思ったので、そう兵卒長に伝えた。兵卒長はうなずいて言った。「よし。ではわしはもう行く。お前は一人で帰ってくるのだ。これはテストだ。がんばれよ」Gumpyが答えるよりも早く、兵卒長は木々の間へと消えていった。さらに悪いことに、兵卒長は食べ物を持っていってしまったのだった。 |
Gumpyは混乱したが、しかしそれもわずかな間だけだった。エリートスカウト隊のうわさは聞いたことがあったが、実際にそうだという者を見たことはなかった。酒場でそういう話が出ると必ず誰かが歌をがなり始め、おしゃべりができなくなってしまうのだった。Gumpyは立ち上がり、風の方向を確かめ、影と光の傾き加減を確認すると歩き出した。まるで間違った方向に。 | 何時間かの後、彼は立ち止まってせわしなく頭を掻きながら、自分が一体どこに来てしまったのか考え込んでいた。キシコールの森にいることはわかっていたが、なぜダークエルフのドラグーンがそこら中にいるのだ?アンデッドは何度も見たことがあるが、ドラグーンを見るのは初めてだった。眉をしかめながら、Gumpyは自分の足跡をたどって戻って行った。彼は、兵卒長が食料を少しでも残しておいてくれればよかったのにと強く願った。 |
驚いたことに、今度は極めて容易に足跡をたどることができた。いくつかは円を描いていたが(もちろん敵を混乱させるためだ)一列の足跡が下生えの上にはっきりと、彼と兵卒長が昼食を摂った場所まで続いていた。この発見に喜び、Gumpyがさらに足跡をたどっていこうとしたそのとき、森の中からどこからともなくキシコール・レンジャーが現れ、Gumpyは驚きのあまり心臓が止まりそうになった。「やっと捕まえた」レンジャーはそう言うとGumpyの肩をつかみ、暗がりへと連れて行った。 | 「ずっと待っていたんだ」とそのレンジャーは言った。「あんたほんとに隠れるのがうまいな。もう何時間も追いつづけていたんだ」Gumpyは何も言わないほうが賢明だと思い、ただ黙ってうなずいた。「他の連中と合流したらリバーベイルに行って、もう少し任務のことを詳しく聞けるだろう」レンジャーは話しつづけ、さらに「あんたのスキルには感心したよ。パンでも食べながらみんなのところに行こうじゃないか」と付け加えた。この日一日聞いた言葉の中で、これほど嬉しい言葉はなかった。Gumpyはレンジャーについて森の中へと入っていった。 |
というわけで始まりました6連作。
書く方も読む方も気合が入る1品です。
ハウンドスレイヤー編
第2部に続くー