しかし超次元の穴が失われた事により、次元を越えて「セントラル・ワールド」に集っていたクリーチャー達は、各々の元いた世界へ帰還する術を失い、世界は瞬く間に難民クリーチャーで溢れかえる事となる。
この人口過多による資源不足は瞬く間に深刻さを増し、各地で限られた資源を求めて奪い合う争いが勃発。「白騎士」や「死神」「ハイブリッド種族」といった先の巨大勢力は、いまだ大戦の傷跡から立ち直りきれず、いずれの陣営にも、事態を治めるだけの力は残されていなかった。
こうした状況の中、個の力に限界を感じたクリーチャー達が結集し、いくつかの小集団が台頭し始める。その中でも「 ウェーブストライカー」や「 ダイナモ」「 サバイバー」といった、仲間同士の連携に特に秀でたクリーチャー達が大きく勢力を伸ばしていた。
そんな世界の情勢を、冷ややかな目で眺める存在があった。
自らを「生命の頂点」「真のクリーチャー世界の支配者」と自負する「 ゼニス」と、その配下の「 アンノウン」達である。
先の大戦時、密かに異世界より次元を越え「セントラル・ワールド」に侵入していた彼らは、大戦の影響でクリーチャー達が大きく戦力を欠き、その上尚も資源争いによる消耗を続ける現状を、自らか掲げる「圧倒的支配者による完全管理された理想世界」を実現するのため好機のと捉え、 《「時」の頂 クロノグラフ》を司令官に据え、密かにクリーチャー支配計画の実行に乗り出すのであった。
《「時」の頂 クロノグラフ》は、クリーチャーを意のままに操る力を持つ、三角錐型の結晶体「トライストーン」を無数に生み出し、それを天空高くに存在するゼニスの拠点「ニルヴァーナ・ゼニシア」より 地上へと投下。無数のトライストーンの雨に打たれたクリーチャー達は次々と自我を失い、ゼニス/アンノウンの忠実な僕「アンノイズ」へと変貌し、かろうじてトライストーンから逃れたクリーチャー達に、追い討ちをかけるかの如く襲い掛かった。
世界はこの日、初めてゼニスという存在を目の当たりにしたのである。
戦乱の最中にあったクリーチャー達は、この突然の襲撃に対応できず、世界はクロノグラフの思惑通り、ゼニス軍の支配に染まりつつあった。
状況はゼニス軍優勢のまま、一方的な展開となりつつあったが、ここに至り、クロノグラフの計画に、ひとつの大きな誤算が生じた。
新たに誕生したゼニス 《「暁」の明星 ルシフォニク・ゴールド》が、突如、ゼニス軍を離反。ゼニスによる管理世界を否定し「たとえ争い続きの世界となろうとも、世界はクリーチャーの自由意志に委ねるべき」という信念の元、アンノイズと化したクリーチャーの解放活動を始めたのである。
この裏切り行為を重く見たクロノグラフは、二体のゼニス 《「偽」の頂 ジェーンドゥ》と 《「血」の頂 ブラッディ・リネージュ》を、裏切り者ルシフォニクの処断のために呼び寄せる。
こうして全世界を揺るがす新たなる戦いは、ゼニス対ゼニスという、天頂同士の争いによって幕を開けたのである。
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