世の中に不満があるなら自分を変えろ。
それが嫌なら耳と目を閉じ口を噤んで孤独に暮らせ。
一体誰の言葉であったか…この言葉を吐いた当人もまさかゴミ箱に入ってそれを実践しようとする奴がいるとは夢にも思うまい。
ヴ「むきゅー」
いつまでたっても現れない
リリアーナに恐る恐るゴミ箱から顔を出して様子を伺うと、轟音とともに現れたスクナがケオスの肩を抱いているのがわかる。
スク「くぅおら、そこな男!!
余の妃を誘惑するとは万死に値する!
今!ここで!決闘を申し込む!!」
ケオスのことをリリアーナと勘違いしているようなのだが、そんなのもかまわずに副会長に宣戦布告をしている。
副『面白い!!よくは分からないが男が決闘を申し込んだ以上、背負うべきものがあると見たぁ!!!
俺で良かったら相手になってやろう!!・・・と言いたいところだ。
だが俺には怪我人を保険室に届けるという大きな使命があるっ!!
悪いが後でにしてくれ、なんだったらケイティの背負っているけが人を運んじゃあくれないか!?』
職務に私情を持ち込まないタイプらしく、一度はスクナに乗ったものの優先順位をはっきりとさせて決闘を先送りにした。
件のリリアーナがこちらのことにまったく関心を持っていないのに気がつくと、逃げるならいまのうちにとそろそろとゴミ箱から出て脱兎のごとく逃げ出した。
目指すはマオママのもと…。
しかしマオママの場所といってもどこなのか全くわからない。
なので適当に日差しから逃げるように進んでいるためにまったく別の方向に向かってしまう。
ヴ「う~。
どこ~?」
人はいるといえど目当ての人物とはまったくの別人ばかり…。
場所は最初に
ヴァンエレンが屋台を並べていたところのすぐ近く。
完全に迷子になってしまったようだ。
ほとんどの屋台の前を通り過ぎていってマオママを探すのだが、いまだに本人は見つかることはなかった。
ヴ「がおー、たーべちゃうぞー」
すり寄ってきた猫に向けて、いかにも魔物っぽい?ことを言って怖がらせようとしているらしいが…無視されてそっぽを向いて行ってしまう。
ヴ「うー」
なんだか猫にまでばかにされたような気がして、苛立ちの唸り声をあげる。
陽の届かない影を移動するだけではいける場所が限られてしまうため、日の光を我慢して弱りながら探すも成果はまったくなかった。
しょうがないので自分の使い魔がせっせと働いている屋台で座りながらこうしてじっと待っているのだ。
しかしやってくるのはやきそば目的の赤の他人とこうして餌を集りに来た猫たちだけ…。
さっき来た女性生徒の客からもらったペロペロキャンディーを舐めながら、しょんぼりとした表情を浮かべて沈んでいる。
まずはヴァンエレンを探さなきゃいけないな……
マオ「おーい、ヴァンエレン。出て来ーい」
言われたとおりごみ箱に近寄り蓋を開けたりするがヴァンエレンの姿はない。
マオ「ヴァン?……怖くないから出ておいでー」
しかしやはりごみ箱にはただ大量のゴミがあるばかりで返事もないし姿も見えない。
マオ「………ヴァンエレーン!!」
もしかして……あのド三流!!僕をだましたのか!?
…いや、本当にヴァンエレンはここにいたがどこかに行ってしまった可能性もある。
マオ「…く、くっそー!なんであのド三流ちゃんと見てないんだ!!
少しでも信頼して任せてしまった僕が莫迦だった!!」
自分の馬鹿さ加減に腹が立ちじだんだを踏む。
リリアーナに文句行っている暇んなんてない。
とりあえずヴァンエレンを探さなくちゃいけない!といってもどこを探せばいいのやら……
マオ「……もしかして自分の屋台に戻っているかもしれないな。
とりあえずそっちに行ってみるか。」
そして僕はあのヴァンエレンの屋台まで走っていく。
ジャージのおかげで若干走りやすいのが不幸中の幸いというかなんというか……
しばらくするとあの屋台が見えてくる。だが特に子供の人影らしきものは見えない。
マオ「はあ……はあ……居ないか・・・…ヴァンエレーン!!いるなら出てこーい!」
ヴ「ま!まー!」
聞こえてきた言葉は間違えるはずもないあの人物の声。
さきほどのしゅんとした沈んだ表情はふっとんでいって、元気いっぱいで手をあげてマオママに居場所を知らせる。
どうやらこの混み具合でもヴァンエレンの声はマオに聞こえていたようで屋台のカウンター越しに覗いてくる。
パタパタと小さい翼を動かしてカウンターを飛び越えてマオママに飛びついた。
子供になってみるとカワイイものだ。抱き着いてきたヴァンエレンを強く僕は抱きしめる。
マオ「心配したぞヴァンエレン……全くリリアーナの奴め。後で絶対に文句言ってやる!」
マオ「ヴァンエレン、怪我とかしてない?大丈夫?」
ヴ「うー!」
調べても傷はなくて、とても元気よく返事を返すヴァンエレンにマオも安心したようだ。
マオ(さて、ようやくヴァンエレンも探せたことだしリリアーナの自室とやらに行くか、
そんでもって文句言ってやる! )
早くリリアーナたちと合流するべくヴァンエレンを抱いたままマオは女子寮へと向かう。
手を振って使い魔たちと別れの挨拶をして、ごろごろと喉を鳴らして人間相手に安心しきっている吸血鬼。
どこかの王が見たら「飼いならされやがって」と舌打ちされることだろう…。
女子寮前につくと何やらクロウがよく分からない日本とかの
伝統的な服装である花魁を着ている。
マオ「クロウ、もしかしてお前女子寮に入るためだけに……」
なれない衣装に動きそうにしているクロウはかなり笑いどころがあるのだが…
たしか男が女装するというのは想像以上の精神的ダメージを受けるとか
何とか本にも書いてあった気がするのでとりあえずクロウの苦労も受取り
笑って茶化すのはやめておくことにしておいた。
女子寮につくと自室の前にリリアーナがニコニコと能天気面丸出しで突っ立っていた。
(45で〆)
最終更新:2008年12月24日 21:56