使い魔カプセルの中でしゅんとなって体育座りしている吸血鬼が一人。
(マオの危機に飛び出したのはいいが、手を切断された上に敵味方関係なく帰れと言われてしまったのだ。)
いじいじと地面に『の』の字を書いて「どうせ私なんて」と思っているに違いない。
ヴ「いいもんいいもん。
そもそも私は戦闘には向かんのだ」
そしてまた布団を敷いてぬくぬくと不貞寝してしまった。
外では自分のご主人がひどい目に会っているというのに暢気な奴である。
ヴ「むにゃむにゃ。
マオ、私たちの時代が来たのだ」
布団に入るなりすぐに寝られるのはもはや技能といってもいいだろう。
気持ちよさそうに寝ている
ヴァンエレン。
そこへやってきたのは満身創痍で気絶しているマオその人である。
気絶したマオが着地したのはちょうどヴァンエレンの間上だった。
マオ「う……うう……」
苦しそうに呻き声を上げるマオ、血が流れているが。
命に関わるような傷がないことは幸運だった。 だが
ヴ「むむ…む」
マオに乗られたことで寝心地が悪くなってヴァンエレンは苦しそうに表情を歪める。
ヴ「私は天命に追いつかれた…よ」
下ではマオが落ちてきたことによって寝心地が悪くなったヴァンエレンが
苦しそうにしながらよく分からない寝言を言っている。
マオ「莫迦か、天命なんてあるわけないだろ……
しぶとさだけは定評があるお前がそう簡単にやられるわけない…」
寝言に寝言で返すマオ。なぜか会話が成立してしまっている。
ヴァンエレンの死亡フラグをいとも容易く打ち破ったマオ。
しかも気絶しながらとはさすがエリートといったところだろう…か?
しばらく寝言で良く分からない会話を続けていた二人だったが。
突如凄い衝撃が伝わり二人とも布団から引きはがされマオは壁に頭をぶつける。
マオ「っ!!……く……くぅぅ~ッ」
意識が戻りかけているのか?それとも相当痛かったのか?
言葉にならない呻きを上げるマオの横でそれでもまだ寝ているヴァンエレン。
凄い神経とかいうか何というか……ある意味尊敬すらできる。
そして更に地面に落ちる時の衝撃でマオとヴァンエレンは飛び跳ねた挙句、
ヴァンエレンがマオを押し倒しているような誤解を招きそうな体勢になってしまう。
本来使い魔カプセルは本体がどんな動きをしてようと中は変わらないのだが、
やはりこれは故障しているということなのだろうか?
「マオ!?大丈夫!?無事!?」
ミルクの声がカプセルの外から聞こえてくるがマオは相変わらず意識を失っているまま。
「誰か!使い魔カプセルが、ヒビ入ってても使えるかどうか知らない!?
マオーッ!まさか死んでないわよね!?
死んだら死霊科のオモチャになるわよ!気合いで生きろーっ!」
なんとミルクはカプセルをぶんぶんと振り回し始めたのだ!
その影響で天地すらひっくり返ることになる。これには流石にマオも気絶したままではいられずに飛び上る。
マオ「ハッ…!?…な、なななんだ!?何が起こって…あがッ」
いきなりの出来事に口も回らず舌を噛んでしまい、更に体をあちこちの壁に打ち付ける。
一体何が起こっているんだ!?よく分からないがただ事じゃない。
てかヴァンエレンがいるってことはここは使い魔カプセルの中?
「いや、確か緊急脱出モードがあったはず・・・・・そうだったわよね、フリージア?」
するとカプセルの外からおなじみの声が聞こえてくる……緊急脱出モード?
ぶれる視界のなか見渡すと確かにそれらしいモードの文字が書かれたボタンのようなものがあることに気付く。
マオ「こ、これか………あ、あともう少し……」
ボタンに触れようと手を伸ばそうとしたその時。ヴァンエレンがこっちに向かってくる。
マオ「ちょっと待て!!ヴァンエレンストップ!ストップ!!…お、おい!!んんっ!?」
次の瞬間唇に不思議な感触を感じ……目の前にはヴァンエレンの顔が映っている。
ちょっと待って……これってもしかしてキ、キス?一気に顔が赤くなり思考が停止する。
魔の者と人間という相容れぬ存在である二人が感動のキスシーン。
マオ「……………………………………」
固まっているとヴァンエレンに押されてその拍子に緊急脱出ボタンを押してしまう。
結果的には良かったかもしれない、だがこの状況は一体なんだ?
次の瞬間僕とヴァンエレンは唇を合わせたまま皆の前に姿を表すことになった。
全員こっちを見ているのに気がついてすかさずヴァンエレンから離れる。
マオ「…………こ、これはその、僕にお構いなく…」
ヴ「むにゃ…もう食べられません」
(170で〆)
最終更新:2009年03月16日 11:46