レヘ「上等だ。てめーから血祭りにしてやんよ。(てゆーか、名前も知らねーぞコイツ)」
レベッカは、手に持っていた呪符・無血八極を放った。マオにダメージを与えた、あの爆発する呪符である。
レヘ「これで借りを返したと思うなよ?」
レベッカは、さらに無数の呪符・血霧紅刃を用意した。
ヴァンエレンの腕を切った呪符だ。
レヘ「シエウー・ホンレン。」
先に放った無血八極を追うように、無数の血霧紅刃が飛んでいく。アイシャが気をつけないといけないのは、
無血八極を射撃すると爆発してしまい、血霧紅刃は銃弾で破壊可能である点だ。
クロ「い い 加 減 に、しやがれ!!」
そう言いつつ、上級剣技、『剣閃』を飛んでくる呪符に当てる。
これで先に飛んできた呪符を迎撃、そして予想しない爆発もあったが多少距離があった為被害はなく、上手く後ろの呪符も巻き込んでくれた。
リリアーナは真っ青な顔で階段の方から飛び出してきた。
そこには膝をつくレベッカと、フリージア、アイシャ達、クロウにミルクがいた。
そしてミルクの足元の床は血で汚れている。
リリ「ねえ、マオマオはっ?マオマオどうしたの?!」
ミル「マオ?……マオなら、気絶してた上にケガもしてたから、この使い魔カプセルに入れておいたけど」
リリアーナの勢いに押され、あたしは深く考えずに、マオ入り使い魔カプセルをリリアーナに投げ渡した。
リリ「ええええ!!あのマオマオが?!な、何で?どうしてそんなことになったの?」
その時、レベッカの視界にリリアーナが入った。レベッカは、それを見た途端勝手に体が動いた。
レヘ「そおいっ。」
ミル「あっ!ちょ…!」
なんというタイミングの悪さ。
あたしがカプセルをリリアーナに投げ渡したと同時に、レベッカがリリアーナに槍を投げつけた。
さっきまで喋ってばかりだった癖に、なんで急に槍なんか投げるんだよ!
リリアーナはカプセル受け止めようとしてるから避けられないだろ!
このままじゃリリアーナが串刺しになる!
堅いもの同士がぶつかる音が聞こえる。
それは運命の女神のいたずらか気まぐれか。
あたしが投げた使い魔カプセルと、レベッカが投げた槍が空中でぶつかったのだ。
軌道のそれた槍は壁にぶつかって折れ、カプセルは落ちて廊下に転がる。
さて問題です、使い魔カプセルがもし壊れた場合、中に入ってる人間はどうなるのでしょうか…?
リリ「な、何を・・・・・ふぎゃっ?!」
脳天を何かに殴られた衝撃で、リリアーナは床にべしゃっと倒れた。
レヘ「ああっ!?私の槍が!」
そう、とうとうレベッカの槍が折れてしまったのだ。
ちなみに、槍が無いと女々しくなるのは仕様である。
フリ「リリアーナさんに何しますのよ!!」
ミル「ぎゃーっ!!マオに何するんだよ!!」
本物のフリージアが前に出てこないところを見ると 冷静さを失っていない・・・・・のだろうか?
自らの頭を引っこ抜きレベッカに投げつけるフリージングドール
レヘ「あ、痛っ!」
レベッカはアソパソマソではないので、新しい顔に変わったりはしない。
フリージングドールの生首をぶつけられても、頭にたんこぶができるだけだ。
リリ「い・・・・・・・痛った~~~~何これ、棒?」
リリアーナは自分の頭を直撃したものを手に取り、目をぱちくりさせた。
リリ「棒・・・・・・いや、槍かな?」
リリアーナは周囲を見渡し、ああ、とようやく合点が行った。
壁に突き刺さって折れた槍の柄部分が、リリアーナの頭の上に直撃したのだ。
リリ(そうだった、私、レベッカさんに命を狙われてたんだっけ・・・・・・)
フリージアの叫びに硬直が解けたミルクは、使い魔カプセルに駆け寄ろうとした。
ミルクには持ってないマジックアイテムの知識なんてあまりない。
ミル(とりあえず急いでマオを取り出して、大丈夫かどうか確認しないと! )
ファ『ぎゃん!』
メイファは曲がり角を曲がった途端に何かにぶつかった。
ミル「痛いっ!誰だよ体当たりなんかして…あーっ!
メイファ!?なんでこんな所に!?」
ファ『あ!あなたはあの時の捕虜ね!』
メイファはミルクに攻撃しようとしたが、それどころではない事を思い出してやめた。
リリ「あ ――――!!メイファ!それにメイリンも!
メイリン、メイファは家に帰るって言ったかな?」
だがメイファの表情からすると、とてもそんな風に話がまとまった感じでもなさそうだ。
リリ「メイレン様ぁ、メイファが居ました!先程お願いしたように中つ国に帰るよう説得を・・・・あれ?メイレン様は?」
リリアーナはキョロキョロとメイレンの姿を探した。
リリ「メイレン様~!!どちらにいらっしゃるのですか~!!」
たとえ人肉の味を知っている大妖怪でも、この場を纏められるのは彼女くらいだろう。
一方、ミルクもまたこのときを逃さず、マオが入った使い魔カプセルに飛びついた。
ミル「マオ!?大丈夫!?無事!?」
ミルクが慌てて使い魔カプセルを拾い上げてみると……げっ!ヒビが入ってるじゃないか!!
ミル「誰か!使い魔カプセルが、ヒビ入ってても使えるかどうか知らない!? 」
リリ「ええええええ?!」
ミル「マオーッ!まさか死んでないわよね!?
死んだら死霊科のオモチャになるわよ!気合いで生きろーっ!」
そう呼びかけながらミルクは、使い魔カプセルをぶんぶん振り回した。
リリ「いや、確か緊急脱出モードがあったはず・・・・・そうだったわよね、フリージア?」
リリアーナはフリージアに同意を求めようと振り向いた。
ミル「ホントに!?どうやって作動させるのフリージ……ア…」
そこには横たわるフリージアの遺体と、生首を抱えて呆然とするギズモの姿があった。
ギ「これ・・・・母さんです」
リリ「キャ――――!!フリージアが死んじゃったぁ―――― っ!!!」
ミル「し、ししし、死んでる!?死んでる!?」
いや待て落ち着けあたし!
よく見ろ!生首からも首なし体からも、血が出てないじゃないか!
ミル「な、なんだ、血が出てないって事は偽物だよ。
驚いたなあもう……」
ギズモまで間違うなんて、いくらなんでも似せて作りすぎだろフリージア。
リリアーナは倒れたフリージアによろよろと近寄ると、その傍らにぺたりと座り込んだ。
リリ「フリージア・・・・・フリージアが・・・・・・・・・何でこんなひどい事に」
首が無くなったのだ。さすがのフリージアも、これでは助からないだろう。
リリアーナの両目からぽろぽろ涙が溢れた。
ミル「あのフリージアは偽物だよリリアーナ…って聞いてないね…」
ギ「うう・・・・お母さん」
涙を流すギズモ
さまざまなフリージアとの思い出がギズモの頭の中を駆け巡る
リリ「ちょっとアイシャ、こんな時に何ニヤニヤ笑ってるのよ!酷いじゃない!!
かわいそうにフリージア、こんなに冷たく硬くなっちゃって・・・・まるで氷みたい。氷・・・・・・・・・あれ?」
リリアーナは涙に濡れた目をしぱしぱさせた。
リリ「ギズモ!これフリージアじゃない!あなたのお母さんじゃないよ~!」
ギ「な、なんだって!?」
恐る恐る首の断面を見てみるギズモ
ギ「あ、これ氷の人形だ!?」
すごく情けない気がしてきたギズモ
リリ「アイシャも知ってたのなら早くそう言ってよね!」
レン「はいはい!私はここよ~!」
リリアーナがフリージアの死にショックを受けている頃。
呼ばれて飛び出てなんとやら。やっとメイレンが駆けつけた。
そんな時にマオとヴァンエレンがキスした格好のまま使い魔カプセルから飛び出したのだ。
間が悪い。実に間が悪い。
マオ 「…………こ、これはその、僕にお構いなく…」
ヴ「むにゃ…もう食べられません」
そんな言葉が大妖怪に通じるわけが無い。
レン「ま~!種族と性別を超えた愛ね~!素敵だわ~!」
メイレンのこの言葉によって、マオとヴァンエレンは素敵になった。
マオ「ち、違うこれは完全に事故みたいなもので……」
必至に否定するが聞いてくれそうな感じではない。
ミル「や、なんというかその…邪魔して悪かったねごめん。
こちらは気にしないでどうぞ続きを」
なんとなくヴァンエレンが眠そうにしてるのはきっと気のせいだ。
あんな事しながら寝てるはずがない。うん。
マオ「い、いやだから違うって、これは不可抗力で色々とあったんだ」
同じように勘違いしているミルクの誤解を解こうと必至になる、
が、やはり説得力はない。それもそのはず顔を真っ赤にして言っているんだ。
墓穴を掘っていると言っていい。
ファ『そうだ、テン姉ちゃん…』
ミルクを攻撃することよりも、メイファはレベッカを探す事を優先した。
メイファがレベッカの方を向いた時、レベッカは…
クロ「"基本的"に人を殺すような攻撃をするなっていったよな。」
後ろの方でリリアーナ達が騒いでいるが、どうでもいい。
クロ「もう我慢ならねぇ。
てめぇは血祭りに上げてやる。
固有空間解放!!
Verzerrung Zeit Raum」
魔法を発動させ、一気にレベッカとの距離を詰める。
この感覚だと今は加速のようだな。
なら攻撃あるのみだ!!
リリ「そうだった、レベッカさん達は?」
一安心したリリアーナは、背後で繰り広げられている戦闘に目を向けた。
クロウが作り出したのは、半径4m程の「時の固有空間」だった。
クロ「いっくぜぇぇぇ!!」
そう言いながら初級剣技『スマッシュ』の準備をする。
反応が遅ければレベッカに強力な一撃が加えられるだろう。
リリ「クロウさん、待って!」
リリアーナは叫んだ。レベッカの様子が明らかにおかしいからだ。
槍が折れた事で動揺し、しかも慣れない空間に突然つつまれたレベッカに、
クロウの攻撃を防ぐ手立てなど無かった。
クロウの剣はレベッカに強力な一撃を加え、そこから鮮血が吹き出すのも、別段不思議な事ではない。
レヘ「…あなたの事、嫌いじゃなかったわ。」
レベッカは目を開いた。メイレンと同じ、オレンジ色の瞳にクロウが映る。
クロ「・・・俺としては、あまり印象が良くなかったな。」
発言がおかしかったり、カプセルでやられそうになったりしたから、マジで印象が悪い。
レヘ「こんな結末になって残念よ。」
レベッカは最後にそう言って息をひきとり、倒れた。
クロ「同感だ。」
できれば、いろいろと中つ国の文化を教えてもらいたかったよ。
そんな光景を見てしまったメイファが、冷静でいられるはずもない。
ファ『お姉ちゃん!テン姉ちゃん!』
メイファは相変わらず中つ国語しか喋らないが、それが悲しみの叫びではないと誰が思うだろうか。
間が悪いのはメイレンである。何しろ、娘が斬り殺された瞬間を目撃する事になってしまったのだから。
レン「………」
メイレンは言葉を失ってしまった。メイファはそんなメイレンに気をつかう余裕は無い。
ギ「う・・・・あ」
あまりのことにショックを隠せない ギズモ
母親の死は偽りであったが目の前で起きたこの死は本物だ
ギ「何で?」
ギ「何でこうなったの!?」
メイファはレベッカに駆け寄り、クロウを威嚇して彼女から離れさせると、
彼女を抱き起こし、首の後ろあたりから針のようなものを抜き取った。
ファ『ごめんなさい、テン姉ちゃん。こんな事になるなら、点穴針なんか使わなきゃ良かった。』
点穴針とは、ある種のつぼ(点穴)を刺激するための針である。レベッカに裏切られたと思ったメイファは、
この点穴針でレベッカがメイファの言う事を逆らえないようにしていたのだ。
リリ「・・・・・・メイリン、レベッカさんがああなったのはメイファの仕業なの?
あの針みたいなもののせいで、レベッカさんは私達と戦うことになったのね?」
リリアーナはメイリンにそう質問した。この状況で返事が返ってくるとも思えないが。
レン『“力”は自分自身にさえ容赦しないのよ?』
メイレンはメイファに近づき、点穴針を握り締めていたメイファの手をそっと包んだ。
レン『私もテンちゃんも、革命で大切な者の命を失ったわ。だから、あなたにはそんな運命を背負わせたくなかった。
でも…私は遅かったのね。あなたに間に合わなかった…私を許してなんて、言えないわね?』
メイファは首を横に振った。
レン『帰りましょ、ファちゃん。テンちゃんと一緒に、ね?革命なんて、もう必要ないの。』
メイレンは周りにいる魔法使い達に言った。
レン「魔法使いとは、中つ国語を理解するという“意味”よ。」
メイレンのこの不可解な言葉は、その場にいる魔法使いがメイファと普通に会話できる事を“意味”した。
これにより、メイファと通訳無しで直接コミュニケーションがとれるだろう。
リリ「・・・・・・・何で一言、レベッカさんに『生きろ』って言ってくれないんですか」
メイレンはそう言われて顔がやや紅潮した。
リリアーナは押し殺したような声でそう言った。
メイレンは意味を操る妖怪だ。彼女の一言があればきっと・・・・・・・。
いや、違う。
もし言葉で蘇るのならとっくにやっているはずだ。なにせメイレンはレベッカの母親なのだから。
やらないと言う事はつまり――――。
リリ「・・・・・・・・ごめんなさい」
レン「…いいのよ。」
メイレンはなるべく、なるべく冷静さを欠かないように慎重に答えた。
母親にとって、子供の死はホロコーストに匹敵する。
軽率な言葉を使い、メイレンを爆発させるのは容易な事だろう。
死んだ人間は生き返らない・・・・・
もし生き返ったらそれは本当には死んでなかったというだけだ
フリ「ねえ本当に死んでしまったのアイシャさん?」
フリージングドールを操る鎖を指から外すのに手間取っていたらしく 、今頃出てきた本物のフリージア
なぜアイシャか・・・・それは死者であるなら死霊科のテリトリーだからである
リリアーナは唇をかみ締めた。
リリ「まだよ。まだ蘇生が間にあうかもしれない。
メイファ、そこをどいて!レベッカさんを早くレオ先生のところへ運ばないと。
クロウさん、空間を医務室と繋いで!こんな所にいたら、助かる命も助からないんだから!」
そう話しながら、リリアーナは自分のペチコートを引き裂いた。
彼女は知らなかったが、クロウはレベッカによって左手を強打されている。
また、学園を自分の家と思い、レベッカを家族と表現したクロウがどれほど本気だったとしても、
生徒――――家族同然の相手に、最後の最後、本気で剣を振りぬけるものだろうか?
クロ(何!?本気で繋げというのか?
空間の安定しないフィジル島での生体転移は非常に難しい。
リリアーナはそれを分かった上で言っているのだろうか? )
リリ「ちょっとクロウさん、聞いてる?出来るわよね?」
リリアーナはそう念を押し、レベッカの方に駆け寄った。
クロ(これは・・・無茶でもやれって感じだな。 )
リリ「フリージア、使い魔カプセルはどう?やっぱり使い物にならないのかな? 」
フリ「皹が入っていて新しい物を買ったほうが早いですわ」
フリージアの使い魔カプセルはもう使えない完全に壊れているからである
フリ「あと二つある予備も私の部屋に置きっぱなしですし」
リリ「そっか。分かった」
使い魔カプセルはそれなりのお値段がする。
なのに、カプセルに入らないギズモのために二つも予備を用意しているフリージア。愛である。
フリ「――――メイファ、私もレベッカさんを助けたいの。可能性があるなら掛けてみたい。
あなたに彼女が救えるの?もし違うのなら、邪魔しないで」
リリアーナはレベッカの傷を布で押さえようとしている。
ファ「テン姉ちゃんに触らないで!魔法使いのくせに!」
レン「ファちゃん!」
メイレンはメイファをたしなめた。しかし、メイファは怒っている。
ファ「お母さん、おかしいわ!テン姉ちゃんを殺したのはあいつらよ!
どうしてあんな奴らを信用できるの!?」
レン「たしかにやりすぎた面もあるかもしれないわね?」
メイレンはメイファをレベッカから離した。
レン「でも、それを話すのは後でいいでしょ?」
メイファはレベッカの傷を押さえて止血しようとするリリアーナに、親指で首を掻き切る動作をして見せた。
幸いにもこの挑発の意味を知らないメイレンから、メイファが叱られる事は無かった。
リリ「・・・・・・自分の姉を道具扱いしたあなたに怒る資格なんてあるの?
どんな命令を下したか知らないけど、こんな結果になることを考えもしなかったの?
―――― レベッカさんが傷ついて、今とても悲しいでしょ。腹が立つでしょ。
でもね、あなたが今日傷つけた『魔法使い』一人一人にだって、
怪我したり苦しい目にあったら、今のあなたと同じような思いをする者達がいるのよ!」
ファ「うう。」
メイファは返す言葉が無く、唸った。
リリアーナは深呼吸したあと口を噤んだ。そして、それきり
レベッカの治療に専念した。
目の前でレベッカを治療するレオの顔には疲労の色が見えていた。
原因は明白だ。メイファが中庭でぶっとばした生徒達の治療に追われたからに違いない。
それでもレベッカを真剣に治そうとするレオの顔と、
リリアーナ達の顔が似ている事に気づかずにはいられなかった。
メイファは、酷く居心地の悪い気がした。
クロ(固有空間の発動で魔力が足りねぇ。)
クロ「っち、仕方ねぇな。 」
リリ「ええ、お願い」
クロ「マオ、生徒会の事後報告、俺の分も頼む。」
そういながら両腕の腕輪を外す。
魔力を感じやすいものなら、右手から闇、左手から光の魔力が増大していくのに気づくだろう。
マオ「……やれやれ。だがお前が中つ国の英雄を殺害したなんて報告はご免だ。
やるからには救ってみろ。」
ーーーー
ヴ「ほへ?」
おはようございますミディアン。
ヴ「あれは…死んでいるのか?」
さっきまで生きていたレベッカをみて、殺人事件の第一発見者のように青白い顔で驚いている。
マオ「……………………」
この最悪の事態を想定していなかったわけではなかった。
クロウのドライで色々と背負い込む性格上、こういう事態も予想はしていた。
だが予想するのと実際目にすることは違う。
ミル「レベッカが死んでる……」
ヴ「待て待て待て。
あわてるなあわてるな罠だ。
あわてるな。
あわてるな待て 」
ミル「待つな慌てろ驚け!一大事じゃないか!」
お陰様でようやく回り出した頭で、ヴァンエレンと一緒に自分を一喝する。
マオ「罠でもなんでもない。これは現実だ。直視しろ」
吸血鬼の癖に死を見馴れてないのかあたふたしているヴァンエレンに、
冷静な言葉をかける。冷たいと思われるかもしれないが仕方がない。
フリ「・・・・・・・いえ駄目ですわ」
一瞬、ヴァンエレンに頼んでレベッカをアンデッドにしてもらおうかという考えが浮かんだが頭を振りその考えを追い払った
学園長がいない今、蘇生魔法といえば保険室のレオ先生だ。
確か死者蘇生の確率は時間と共に低くなったはず。
クロ「今空間を繋ぐからな!!」
魔力を用い即行で宙に陣を描く。
クロ「開け、Schlucht Weg」
ミル「待ってて!すぐレオ先生を呼んでくるから!」
クロ「お、おい!まだ安定しきってないんだぞ!!」
ミルクはそう叫んで魔法陣に飛び込み、降り立つとそこはもう保健室。
空間転移の影響か頭と視界がぐらつくけど、今はそれどころじゃないっての!
ミル「レオ先生!急か…じゃなくて急死人です!
この隙間の向こうにいるから蘇生をお願いします!早く!急いで!」
その反対に、白衣の男が現れてメイレンが安堵した理由もメイファにはわからなかった。
クロウが空間を操り、ミルクがそこから保険医のレオを連れてきたのだ。
メイレンは成り行きを見守る事にした。
ファ「…何やってんのリン姉ちゃん?」
そうメイファが声をかけたメイリンは、何か棒のようなものを2本持っていた。
折れたレベッカの槍である。メイリンはそれをなんとかテープでくっつけようとしていたが、難しいようだ。
現れたレオは、メイレンとメイファを見て僅かに目を見開いた。
レオ「これは一体どういう事だ?」
リリ「とにかく今はレベッカさんを診て下さい!
心肺停止で1分経過。傷口にはトジロゴマ10%希釈液投与してます」
フリ「ねえアイシャさん・・・・まだレベッカさんの魂の尾は体と繋がってますの?」
もし繋がっているのなら心臓が止まっていてもまだ生きているということである
アイ「まだ出てないってゆーか、まだ死んでないんじゃない?
ただの人間よりも妖魔の類はけっこうしぶといはずだし
ホラ、それにレオ先生も来てるみたいだし、どうにかなるんじゃないの
まぁどうにかならなくてもどうにか出来るけど…まぁリリッちが怒るから出さないけどね」
リリ「え?何?何のこと?」
リリアーナはどきりとした。非常に心当たりがあったからだ。
なぜなら、リリアーナはかつて治療はおろか、魂の尾が切れた者すら呼び戻せる杖を持っていたからだ。
(ちなみに今その杖は封印されているが、所有者はまだ彼女のままである)
レオはリリアーナを射抜くような視線で見た。リリアーナは慌てて首を横に振った。
この場に居る人間の中で一番冷静というより呑気に様子を見ているかも知れないアイシャはフリージアにそう返し、レオの元へ向かった
アイ「レオ先生、一応まだ魂は出てないし、ソイツ妖怪だから、まぁ先生なら楽勝でしょ」
一刻を争う中、軽いノリで状況を報告し、レベッカのことはレオ先生に任せた。
レオは頷いた。ひとまずレベッカの蘇生を最優先することにしたようだ。
(ただし、後できちんと説明するようしっかり釘も刺されたが)
リリアーナはレオの指示を受け、先程のミルクと同じように医務室へ向かった。
クロ「っ、あんま、長く、持たねぇ、から、早めに、済ませよ・・・」
まったく、こっちは暴走するかどうかの境目に入りそうなんだから勘弁してくれよ。
しばらくするとさまざまな物を抱えたリリアーナが戻ってきた。
クロ「す、すまんが、保健室へ、行くのは、そっちで、何とか、してくれ。」
これ以上はもう限界だ。
すぐに封印しなければ確実に暴走するだろう。
クロ「これだけ、やったん、だから、成功、させ、ろ、よ。」
聞こえたかどうかは分からないが、言いたいことだけは言っておく。
そして暴走を引き起こさない為に腕輪をはめると、意識は完全に飛んでしまった。
アイ「あの人に任せておけば、とりあえず大丈夫だとは思うけど
とりあえず、レヴィの安否はともかく、この場で中つ国の英雄に手を上げたってのは即戦争になりかねないぐらいにヤバい国際問題だと思うんだけど
このことを誤魔化す事って出来んの?お…姉さん
例えば、この一件の真実を知る意味をなくし、嘘が真実になる意味を加えたりする具合にさ」
この状況下だと言うのに、アイシャは躊躇いもなくメイレンに問うた
ミル「中つ国の英雄?」
アイシャの言葉の中に、聞き逃せないものがあった。
ミル(レベッカが妖怪とかいうのは良いとして、中つ国の英雄?なんだそれ聞いてないぞ。 )
アイ「いやさ、本当はここまでするつもりはなかったし、そうなっても手はあったわけよ
知り合いにね、死にかけている命でも救える悪魔がいるの
多分、処女(確証なし)の血がそこにあったし、召還出来たけど
でも、代償を払わないととんでもないことになるし
因みに代償は、毎晩星に祈りを捧げ、苦境にある人を救い続ける運命ってのを押し付けられるの
でも、誰がそんな代償を払うのかな?
家族だといいながら剣を上げる奴や、家族に人殺しをさせるような奴にはこの代償は大きすぎるつか無理でしょ
まぁ少なからず1人躊躇なく立候補する奴はいると思うけどね?ねぇリリッち」
リリ「当然よ」
リリ(良かった、カドゥケウスのことじゃ無かったのね)
リリ「変わった代償だけど、それなら私にも出来そうだわ」
ファ「はい!私、やるわ!」
メイファは同じように立候補したリリアーナと目があうと、複雑そうな顔をした。
ファ「遊びのつもりじゃないわ!私だって、お姉ちゃんのためならそれくらいできるもん!」
だが、この方法にマオは疑問を抱く。覚悟する方はいい。だが蘇ったものはどうするんだ。
自分のせいで代価を強いられてしまったものの悲痛な人生をまた死ぬまで見続けるのか?
それこそ苦痛以外の何者でもないんじゃないか……そこまで考え。
メイファとリリアーナにそう告げようと口を開きかけたが、やめた。
もし自分が大切なものを失って、この考えを貫けるのかどうか、疑問に思ったからだ。
フリ「苦境にある人を救い続ける運命はともかく毎晩星に祈りをささげるのはきつそうですわね
でも人一人救うには安い代償ですわ」
フリージアは考えたそれはまるで正義の味方ではないか・・・と
ギズモは考えた自分のような悪魔にもそれは出来るのかと
そして想像した人(女の子限定)のピンチを救う自分の姿を
そしてもてもてになる自分の姿を・・・・
ギ「こんな僕でも出来るのなら・・・・・やるよ!!」
いろいろと動機が邪ではあるがギズモも立候補したようだ
しかし、さっきからそうだが、アイシャはよくこんな時に軽口を叩けるほど平然としてられるものだ。
最も、常に死を見続ける死霊使いなのだから当たり前と言ったら当たり前だが。
無事レオの治療が終わったようだ。
後は、レベッカが無事息を吹き返すかどうかだろう。
レオ「皆、レベッカに魔力を送ってやってくれないか」
そう言ったレオの顔に、また一つ疲れが刻み込まれたようだ。
言われたリリアーナはレベッカの手を掴むなり、一心に魔力を送り始めた。
リリ「皆、協力して!メイファ、あなたも早く!」
ファ「うん!」
メイファもレベッカの胸に手を当て、一生懸命祈った。
ファ(戻ってきてお姉ちゃん!だって、姉ちゃんは英雄でしょ?こんな所で死ぬなんて、天が許すわけないわ!)
その言葉に今まで傍観していた僕も金縛りが解けたようにレベッカの傍に駆け寄り、魔力を送り始める。
ヴ「も、もけ!?」
特することがなくボケっとしていたヴァンエレンはとっさのことに奇声をあげてしまった。
皆に合わせてあわててレベッカのもとへ行き、蘇生のためにラインを伸ばして魔力を送っていく。
マオ「お前が戻ってこないと事後報告が面倒なことになる。だから早く戻ってこい……!」
フリ「魔力だろうが気だろうが分けて差し上げますわ!だってお友達(予定)を助けるためですもの」
フリージアはレベッカに魔力を送る
その量、約フリージング・ディストラクション4発分
またはギズモ4人分である
ギ「僕もせっかく仲良くなったメイリンさんのお姉さんを助けたいんだ」
自分が死なない程度に魔力を送るギズモ
今の時点でフリージア達がレベッカに送った魔力はフリージング・ディストラクションに換算すると約5発分である
それぞれの者達が、それぞれの思いを胸に、それぞれのできる事を果たした。
…しかし、目の前に横たわるレベッカが起きる事は無い。それが現実である。
例え妖怪であろうとも、死んだ者がホイホイ生き返るわけが無い。故に命は尊いのだ。
魔力も底を切る頃にはもはや皆も悟っていた。レベッカが蘇ることなどないということが……
やはり死んだ人が生き返ることはないのだ
もし生き返ったとしてもそれは別の存在アンデッドである
ギ「・・・・・起きないね」
魔力を注ぎ込みすぎてしわしわになったギズモは小さく呟いた
フリ「・・・・・・そうですわね」
ミル「……そうだね」
ほほがこけてやせ細ったフリージアとミルクはギズモにそう返す
どうやらフリージアも限界まで魔力を注ぎ込んだようである
蘇生魔法の成功率は決して高くはないと聞いたことがある。
さしものレオ先生でも、100%成功とはいかなかったのだ。
疲れたからか、寝起きの時みたいに考えがまとまらない。
レオ先生が失敗した以上、あたしもレベッカのために奇跡を試してみるべきだろうか。
失敗したら灰になるか消滅するか、リスクのデカい選択になっちゃうけど…
マオは魔力を送るのやめ、横で呆然としているリリアーナの肩に手を置く。
マオ「リリアーナ……自分の周りをすべて救うなど無理だ。人間なんて、
ましてや僕たちのような未熟者は自分一人でもままならないものさ。
だが、最後まで諦めずにお前はよくやったよ。恥じる事はない……」
レベッカの手を握り締めたままだったリリアーナが、呆けたような顔でマオの顔を見た。
リリアーナは首を横に振った。
大きく見開かれたままの目から涙が零れ落ちた。
リリ「何で?何でこんなことに?」
レン「…悲しいわ。」
メイレンは、ぽつんと一言そう言った。しかし、顔はどちらかといえば怒っていた。
リリ「うっ・・・・・・うえっ・・・・・・」
そのままレベッカの手を胸の上に組んで、泣きじゃくった。
メイレンはアイシャに食ってかかった。
そもそも、アイシャの軽い態度は、メイレンの神経を先程から逆撫でしていたのだ。
それが結果として、娘の死が確定的となったメイレンを爆発させる事になった。
レン「どこが楽勝?誰がしぶとい?何がここまでするつもりが無かったですって?
あまり酷い事はしないでねって、私はちゃんと言ったのに!」
ファ「あまり怒らないでお母さん。」
レン「いいのよメイファ。そもそもテンちゃんを悪い妖怪に見立てて、
やっつけて見せようなんて作戦自体が愚かしかったんだわ!」
ファ「…どういう意味?」
メイファはウェザーから何も聞かされて無いのでわからなかったが、
メイレンが作戦について事細かくアイシャを批判したので、メイファもその作戦の全容を知ることができた。
リリ「違っ、作戦じゃな、ない。クッ、クロウさんはただ、私、私を助けようとしてっ、しただけなっ、なの。
あの時レベ、レベッカさん本気だった。ああしなかったら、わ、私が死んでた」
リリアーナはしゃくりあげながらも、何とかそれだけ口にした。
?「ふーん、そんな事企んでやがったのか。」
ファ「え?」
レン「でも、肝心のテンちゃんが死んじゃったら意味無いじゃない!それでも生き返らせるつもりなら、
さっさと悪魔を呼ぶがいいわ!その代わりそいつがテンちゃんを生き返らせないなら、
二人そろって報いを受けさせてやる!」
ファ「落ち着いてお母さん!半分は私の責任なんだから!」
レン「ファちゃんは黙ってて!」
ミル「…レベッカ?」
リリ「レベッカさん?」
時間差で生き返ったのかと、ミルクはレベッカの口の上に手を近づける。
…やっぱり息をしていない。空耳だったのか…
?「あんまり怒ると血圧上がるぜ?ババァ。」
マオ「ん?」
そんなとき、空気を読まない聞き覚えのある言葉が飛んでくる。
メイレンはメイファが言ったと思っているようだがそうじゃない。
レン「何ですって!」
ファ「あ、痛っ!?」
メイファはわけもわからずメイレンに頭を叩かれた。
レン「テンちゃんの死を中つ国政府から隠す事は簡単よ!でも、私だけは決して忘れたりしないわ!私が…」
?「騒ぐなよババァ。頭痛で頭がいてーじゃねーか。」
レン「何ですって!」
ファ「あ、痛っ!?」
メイレンはメイファの頭を叩こうとしたが、メイファがどこからともなく鍋を取り出して頭に被ったので、
メイレンは逆に手を傷めてしまった。
レン「もう、なんでファちゃんは私をババァって言うの!?酷いわ!」
ファ「私じゃないわ!」
レン「じゃあ誰が言ったのよ!?」
メイファは黙って指をさした。その先にいるのはメイリンである。
レン「…まさか。リンちゃんが喋れるわけが無いわ。」
ミル「な!?なんでメイリンがレベッカの声を!?」
?「そのまさかだぜ、ババァ。」
マオ「なっ…!?」
驚いたことに声は確かにメイリンから聞こえてきた。
そしてメイリン(?)はそのままレベッカそっくりの汚い言葉使いで続ける。
フリ「メイリンさんあなた喋れましたの!?」
あっと驚くフリージア
ギぎ「な、んだと」
驚きすぎてキャラが変わってるギズモ
メイレンは衝撃を受けた。いや、メイレンだけでなく他の者も衝撃を受けるはずだ。
喋れなかったメイリンが喋ったこと以上に、その口調も声もレベッカそのものであるという点に。
?「いつまでも喋れねーと思うなよババァ。」
メイファはそれを聞いて吹き出した。
ファ「違うわお母さん!リン姉ちゃんは口パクしてるだけよ!槍よ!槍が喋ってるんだわ!」
レン「まあ……あぁぁ」
メイレンは、あまりの出来事に気を失ってしまった。
ヴ「や、ヤリヤリお化けだあぁぁぁ!!」
ショックを受けてメイレンは気を失ってしまい、しゃべる槍をみてお化け扱いして叫ぶ吸血鬼。
ミル「ちょ、ちょっとちょっとメイレンさん!?大丈夫ですか!?」
レベッカが槍に憑依したからか安心したからか、ふらふら気絶したメイレンさんの体をミルクは慌てて抱き起こす。
わ。身長あるからかけっこう重っ。
でも口には出せないから上半身だけ上げとくか!
対して、メイファは嬉しそうである。
形はどうあれ(しかも理由がわからないが)、レベッカは槍に帰ってきたのだ。
レヘ「悪いなクロウ。俺は1番好きな男に斬られて死ぬのが夢なんだ。
おめーは残念ながら、まだ2番目止まりだよ。」
すると、槍の折れていた部分から先がぽろっと落ちてしまった。
レヘ「きゃー!きゃー!どうしよう!私が折れちゃったわ~!」
リリ「何で槍なんかにホイホイ入ってるのよ~!!レベッカさんの体はこっちでしょ!!」
リリアーナはつかつかとメイリンの方に近寄ると、落ちた穂先を拾ってメイリンに渡した。
リリ「さっきはよくも本気で私を殺そうとしたわね!ホント酷いじゃないの!」
リリアーナはメイリンごと槍を抱きしめると、大声でわんわん泣き出した。
何はともあれ、レベッカは元気そうである。しかし、死体はどうするべきだろうか?
マオ「………な、なんだそれ……」
思わずため息と共に力が抜けて座り込む。さんざん心配したし、
もしかしたら事後報告が本気でまずいことになると覚悟したというのに……
てかどういう仕組みなんだ?もしかして槍の方が本体だとかそういうことか!?
フリ「まるでマジックジャーですわ」
フリージアは邪悪な魔法使いが自分の魂を切り離して別の体に入るのを連想し
ギ「レベッカさんって九十九神系妖怪だったんだ!?」
ギズモは元から槍が本体だと思い込んだ
マオ「ま、まあ何はともあれ………一応良かったということか。」
ミル「……まー、そうね。蘇生したと言うより、降霊したみたいな感じにはなったけど」
だがそこで目につくのがレベッカの死体…いや抜けがらというべきか?
そこでさっき言っていたアイシャの作戦が頭に浮かび、みんなに呼びかける。
マオ「これどうする?この身体があればアイシャが言っていた作戦は実行できるし、
あとで死霊科に回せば槍からもう一度レベッカを戻せると思うが。」
そこで一回切り、レベッカやメイファ、妖怪達を見つめる。
例えさっきいった作戦が実行できても、レベッカ達がそれを良しとするとは限らない。
レヘ「やめて。命を弄ぶような連中に命運を預ける気にはなれないわ。」
レベッカは先程のフリージアの話が効いているようだった。
マオ「そう……だろうな。」
その言葉に納得してしまったのか思わずうなずいていた。
確かに死霊術師に肉体を預けるほど怖いものもない。
メイリンは落ちた槍の先をリリアーナから受け取り、またテープでつなごうとしたがメイファがそれを止めた。
ファ「これよ。」
メイファはメイリンに“ニカワ”の入った瓶を渡した。簡単に言えば、これは動物の皮からできる糊である。
マオ「…だがさっきメイレンが言ってたように誤魔化すだけで根本的な解決にはなってない。
……どうするレベッカ、メイリン、メイファ。ここの判断はお前たちが決めるべきだ。」
リリ「私はレベッカさんの亡骸を悪者になんか仕立て上げたくない。
アイシャさんが言っていた作戦も、そういう意味じゃなかったはずだもの。 」
レヘ「それについては少し考えがあるの。でも、もっとプライバシーの保護される所で話すべきね。」
マオ「プライバシーか……」
レベッカの言ったことは結構難しいことだ。
盗み聞きしようと思えば大抵の魔法使いは何からの方法でできるだろう。
フリ「とりあえず腐らないように凍らせましょうか?」
フリージアはこの魂なき肉体を凍結保存することを提案した
ミル「いいねそれ。瞬間冷却すれば鮮度が落ちないって、ユリも言ってたよ。
ついでで悪いんだけど、レベッカの体を入れて持ち運べる、棺桶みたいなのも造ってもらえないかな?
引っ張りやすいように車輪つきのやつをよろしく」
レヘ「悪くないけど、装備は全て外しといて。呪符やタバコが湿気てしまうわ。
それに、さっき言った“考え”には私の装備が必要になってくるのよ。」
マオ「装備が必要……?」
ミル「装備解除ね、わかった」
槍レベッカに言われて体を漁ってみると、タバコやらお札やらいろいろ品物が出てきた。
まあタバコはレベッカの“考え”とは関係ないだろうから、これは単に趣味だろう。
槍に入った状態でタバコの準備をしてるんなら、生き返る意志は十分だな。安心だ。
リリ「フリージア、出来そう?」
フリージアの消耗振りを目の当たりにしているリリアーナは、心配そうに訊ねた。
フリ「終わったあとに気絶すると思うけど問題ありませんわ」
ミル「いやいやいや、それは問題あるだろ!
気絶者をこれ以上増やしてどうする!」
フリ「雪と氷の精霊よ我が姉妹達よ・・・・・」
呪文を唱えるフリージア
何分か経過し凍った肉体を車輪付きの棺桶に収納すると・・・
「もう限界ですわ・・・・・ばたんきゅう」
MPが0になったことによりそのまま気絶してしまうのであった
ギ「氷水につけておけばそのうち回復するよ」
ミル「氷水ねえ…」
さすがというかなんというか、相変わらずの特異体質っぷりである。
ミル「ねえ、だれか気絶回復薬かなにか持ってない?
メイレンさんとクロウを起こしてあげないと…」
リリ「ちょっとまって、確かこの階段には・・・・・・・」
マオ「どうしたリリアーナ………」
なんだそれ?と思わず突っ込みたくなるような変な動きをしながら
階段を登ったり下がったりするリリアーナを見て心配を隠せない僕。
マオ「ま、まさかとうとう頭がやられて………」
そこまで言ったとき、階段の踊り場付近に、
学園案内にもないどこに通じているのかも知れないドアが現れる。
レオ「特異点か、なるほど」
ミル「うげげ、ラヴスポットか……行くの?行っちゃうの?」
特異点、別名ラヴスポットには良い思い出がない。
少し前、裏世界リバースでラヴスポットに入った時に、ラヴスポットが崩壊して死にそうな目にあったから。
それなのに、今回は魔法使い嫌いのメイファも一緒に入るだなんて。
火気厳禁の場所にランタンを持ち込むのと同じくらい危険な気が…
マオ「しかし、よく特異点の出現方法なんて知っていたな。ただの馬鹿ではないということか」
最終更新:2009年04月02日 16:18