猫車~ムウ大陸
アナ「おーい、生きてるかー?」
ミル「一応何とかおかげさまで…」
気がつけば、あたしは深い森の中でアホ姉に吊り下げられて空を飛んでいた。
下まで結構高さがあるのに樹冠はまだ上ってどんな森だ?ここ。
ミル「ここってムウ大陸なの?アナ姉何かわかる?」
アナ「時空間を移動してきただけで、実際の場所はほとんど動いてないぞ。
わかりやすく言うと、フィジル島の裏側に潜り込んだような感じだな。
ムウ大陸に行ったことなんかないから、ここがそうかどうかはわからないけどな」
さすがは天使、説明はよくわからなかったけど、とにかくだいたいの場所はわかるらしい。
ふよふよ降りてあたしを地上に降ろすと、アホ姉も背中のひかりの羽を消して隣に並んだ。
アナ「見たとこ他の奴は近くにいないみたいだなー、これからどうする?」
ミル「まずは近くに誰かいないか探して…」
リリ「おーい、みんなー。どこよ~!無事だったら返事して~!!」
おっ!タイミングよく
リリアーナの声が!。
ミル「リリアーナー!こっちこっちー!」
アナ「無事なのかー?私とミルクは無事だぞー!」
リリ「良かった!今そっちに行く!」
アナ「大声聞いて熊とか寄って来たりしてなーぷぷぷ」
ミル「ヤなフラグ立てようとするなよ…」
アナ「ミルクはダメダメだなー、いいか?冒険は障害があるから楽しいんだ。
アナ とゆーわけで、大冒険の始まりだぞ!」
ミル「あたしは冒険なんかしたくなくて、楽して儲けたいだけなんだけどな…」
神様神様、どうかアホ姉のお願いなんか聞かずに、あたしのささやかな願いを聞いてくださいますように…
途中、リリアーナは見覚えのある人影ふたつを発見した。
見覚えのある巻き毛と、小柄な少年の羽。リリアーナが見間違えるはずが無い。
リリ「あっ!フリージアにギズモ、無事だったのね。良かった!!
えーんフリージア~!暗いし、一人だし、知らない森の中だしちょっと怖かったよ~。」
リリアーナはフリージアに駆け寄ると、安堵のあまり抱きついてしまった。
フリ「あらあらうふふ・・・・仕方ありませんわねえ・・・」
何故か母親モードになっているフリージアさん
ルス「ドサクサ紛れに抱きつくんじゃありませんわ~!女王様から離れるのですわ~!!」
リリ「キャッ?!」
どかっと足元に何かが突進してきた。運悪くそれが膝に入ってしまい、リリアーナはよろけた。
フリ「ちょっと!?」
慌てて足元を見ると、黒い毛玉がフーと威嚇している。
リリ「ルズ?!ルズじゃない!!今までいったいどこにいたの?!」
ルス「女王様のあるところ、必ずルズありきですわ~!」
えっへん!と胸を張るルズは、魔法学園の生徒である。
もともと変化の術に長けていたのだが、フリージアを女王様と慕うあまり、普段から猫の姿を取っている。
リリ「そっか。そうだったわね。」
ギ「そういえばルズさんは良く見るけどスーさん最近見ないよね・・・死んだの?」
何気に外道なことを言うギズモ
ルス「嫌ですわ~女王様、スーも元気にお傍に仕えておりますのよ~ん!
そもそも黒猫ルズが一人だけとは限らないのですわ~ん」
ルズは意味深なことを言った。
リリ「――――あっ!ミルク!アナスタシア先生!こっちこっち!!」
リリアーナは近づいてきたミルク達に手を振った。
ルス「ちょっと、ごまかすんじゃありませんわ~。だいたいあなたは・・・・・」
ルズが憤慨しているが、リリアーナはうんうんごめんねと相手にしない。
フリ「ちょっとルズさん!私の親友に何しますの!!」
ちょっぴり不機嫌になるフリージアさん
ミル「リリアーナ!フリージアとギズモも無事だったんだね!
足下から聞こえる声は…ルズかな、一緒だったんだ」
ギズモくらいの大きさとシルエットならともかく、夜道に黒猫は見分けがつきにくい。
というか、いつのまに猫車に乗ってたんだルズ。
愛しのフリージアの為ならたとえ火の中水の中、ムウ大陸でもどんとこいってか?
ルス「ミルク様にアナスタシア先生、ご無事でなによりですわ~ん。
実はわたくし、フリージア女王様の椅子の下にずーっとおりましたのよ~ん。
陰になり日向になり、いつもお傍にお仕えするのが、わたくしの役目ですわ~ん」
復活したルズはくねくねしながらそう言ったのだが、あいにく誰も聞いちゃいなかった。
アナ「なあミルク、あの人間はなんで猫の格好をしてるんだ?」
一目でルズの変身を見切ったアホ姉が、あたしの袖を引っ張って質問してきた。
ミル「ルズはフリージアの事が好きなガチユリでね。
フリージアは猫教徒だから、フリージアのためにわざわざ猫に変身してるの」
アナ「そーなのかー」
うんうんと納得するアホ姉。
アナ「じゃあフリージアが使い魔に人間の格好をさせてるのも、趣味だからか?」
ミル「…本人に聞いた方がいいんじゃないの…」
返事に困ってそう言うと、アホ姉はフリージアの方に寄っていって。
アナ「フリージアが使い魔に人間の格好をさせてるのはなんでだ?特殊な趣味か?」
フリ「いきなりそれですの?まあいいですわ!教えて差し上げますわ!!
ギズモちゃんがどうしても美少年になりたいって言うもんだから
仕方なく変身させてあげてますのよ!お~っほっほっほっほ!!」
ギ「だってお母さんの幼馴染が”美少年は何やっても許される・・・・
今となってはこれはもはや常識”って言うんだものそれに女の子にもモテルしねv」
だが見た目に中身が伴っていなければ意味が無い
フリ「あらギズモちゃん天使と喋ってて平気なの?」
ギ「悪魔は基本的に神と敵対する存在だけど・・・この世界に神様はいっぱいいるから
自分と敵対している神様の使いじゃなければ問題ないよ・・・多分」
基本線ファンタジー世界は大体多神教である
ついでに言うと多神教の神様は禄でもねえやつもいっぱいいたりする
そんな禄でもねえ神様のことを世間一般では悪魔というのかも知れない
リリ「そういえばギズモの理想のタイプってどんなの?
ヒューマンタイプの女の子にもてたいって事は、理想はグレムリンタイプじゃないんだ?」
ギ「とりあえず言語が話せる以上の知的生命体でかわいい女の子なら種族は問わないよv」
ちなみに言うと普通のグレムリンは喋れないので問題外らしい
リリ「猫車からいきなり転移させられたけど、あの後どうなったのかな?
他の皆も無事だと良いんだけど。
・・・・・・・・・ところでさっきから聞こえるこの変な音(>49)、何だと思う?」
リリアーナは音の聞こえる方角を見た。
ミル「さあ……あたしも気がついたら外に転移させられてたから…
音はなんだろうね、堅い物がぶつかるような音だけど、ちょっと遠いからよく聞こえないな」
言いながらリリアーナと一緒に音のする方を見ていると、ぱっと何かが光る。
リリ「ねえ、あれひょっとしたら召喚魔法の光じゃない?
もしかしたら誰かが戦ってるのかも!」
アナ「あれは天使召喚の光だぞ。
戦ってるとすればミシェルだな」
リリ「ねえ、早く行こう!」
ミル「戦うって何とだよ!?とりあえず、急いで合流しにいこう!」
先に走り出したリリアーナの後を追い、あたしも音のする方に急ぐ。
しばらく走っていると、ミシェル先生の声が切れ切れに聞こえてきた。
なるほど、どうやらアホ姉の推理は的中したらしい。
一方、光の羽をつけて飛んでるアホ姉は、急に加速してリリアーナと並ぶ。
アナ「そういえば、お前槍はどうしたんだ?
車に置いてくるか落とすかしたのか?」
ミル「げっ!リリアーナさっきまで持ってた槍レベッカはどうしたの!?」
リリ「ああ、レベッカさんならメイレン様と一緒だと思う。
転移前に猫車が揺れたでしょ?その時私、メイレン様にぶつかっちゃって。
私が痛がってた間、メイレン様が槍を持っていてくれてたのよ」
ミル「メイレンさんが?それなら安心だ」
リリアーナの答えを聞いて、あたしもホッとした。
なにしろ今のレベッカには足がない。
こんな森の中で草むらにでも飛ばされてた日には、一生かかっても探し出せないかもしれない。
でもメイレンさんが持ってたら、あたしとアホ姉みたいに同じ場所に飛ばされてるだろう。問題なしだ。
最終更新:2009年06月18日 23:27