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地下図書館:残留組



一方地下では、アナスタシアがミシェルに話しかけている。
アナ「惜しい攻撃だったなー、もうちょっと速かったらターロンが我に返る前に攻撃できたのに。
  ま、しくじったものはしょうがない。
  今ミシェルが上に行っても、即攻撃されるだけだし。
  上はミルクたちがなんとかするだろうから、こっちは下で隙を探しながら待つか♪」
アナスタシアが天使の輪っかを広げると、中に墓場の様子が写しだされた。
墓場に行かないで残った者もそれを見れば、階上の様子を知ることができるだろう。

地下図書館では天使の輪っかで様子を伺いながら、アナスタシアがニヤニヤしていた。
アナ「どうだーベルジン?招き猫の封印は解けそうかー?
 ダメなら無理して解こうとしないで、ターロンをなんとかする方優先でもいいんだぞ?
 玉取り上げて奴の間抜け面を見るのとか楽しそうだぞ~プププ♪」
盗み見に加えて盗み聞きまでしながら笑うアナスタシアは、その場にナナナがいない事に気づく。
アナ「あ?そういや泣き虫メイドはどこいったんだ?」
ルス「メイドゴーレム、行っちゃいましたわね~。
 治療を受けていたミシェル先生、怪我の具合はいかが~?自力で動けそうですの~?」
ルズは頭にこぶを作りながら、ミシェルにけだるい口調で話し掛けた。
ちなみ頭のにこぶは、自分でやったものである。

ルズは、ベルジンの手元を覗き込んだ。
ルス「ベルジン先生、封印は解けまして~?
 聞けば、先程大掛かりな解呪をなさったそうじゃありませんの~。大丈夫ですの~?」

最後にルズは、アナスタシアの肩に飛び乗ると、手元の天使のわっかを覗き込んだ。
ルス「ああん、フリージア女王様が戦っていらっしゃいますわ~!
 待っていてくださいまし~あなたのルズがお助けに参りますわ~!!」
アナ「なんだお前も上いくのか?怪我しないように気をつけて行けよ~♪」
アナスタシアは笑ってルズを見送ると、再び天使の輪に移る墓場の様子に見入る。

上で生徒達が必死扱いてる時、ミシェルは猫に張り付けられまくった札を見ていた。
ミシ「うん…………」
一見しただけでは詳細までは解らない。が、術を解けないことも無さそうだ。
それでも恐ろしく面倒臭そうではあるが。
ミシ「さて………」
どう解除しようか。などとゆっくり、優雅に思案に暮れてみる。
最早上に、龍や生徒に大した関心は払わないつもりであるらしい。
逃げないのならそれは彼女らの選択であるし、結果死んでもそれとて己の招いたモノに相違ない。
師は弟子の答えたるべきではない。今のミシェルはそう考える。
それに逃げろと行ったところで、言うことなぞ聞き入れはしないだろうという確信すらある。
ただ、ここへ逃げてきた時には生き延びさせてやりたい。故に猫を何とかしようとしている訳だ。
あの手この手で札を引っ剥がそうとしながらミシェルは訥々と呟き始めた。
ミシ「あの子達は逆鱗を突き、眼も攻撃した。しかしそれも致命傷にはならなかった。
もし私があの時にアドバイスしていたなら状況は好転していたんでしょうね。
自惚れと言われたら反論は出来ませんけれど…………
眼を突くならもっと深く、脳まで攻撃する。逆鱗を突くなら気道や頸の血管にも穴を開ける。
どれも竜を狩る者なら知っている知識です。」
この告白、或いは独白に意味はあるのだろうか?いや、恐らくはないだろう。
強いて言うならばミシェル流の懺悔なのかも知れない。

アナ「うーん…ムムムの封印が解けても面倒だし、メイレンが生き返るのも面倒だなー
 なにか良い手はないかなー?」
ベルジンやミシェルはともかく、アナスタシアには特に対策を考えている様子は見られない。
ミシ「考える気もないのにそういうポーズだけするのは止めておきなさいな
…………仕舞いには殴るぞ」
どうにもやる気と適性のない自称教師にミシェル我慢しきれずに毒を吐いた。
今まで我慢していたようには思わなかったが、そんな事を言ってはいけない。
アナ「んー?じゃあミシェル先生には何か良い考えあるのかー?」
ニヤニヤ笑いで返すアナスタシアからは、殴ると言われて怒る様子も、怯える様子も見られない。

ミシ「どうあれ、今の生徒達は手詰まりでしょう?
状況を変えるには、劇薬の投入もやむなしと考えるべきでしょうね
勿論劇薬が鎌持ちや妖怪である必要はありませんよ。私やアナタでもいっこうに問題ありません」
アナ「劇薬なあ…まあ、なんとかする方法は必要かもな」
アナスタシアは軽くため息をついた。
ドンパチ好きのアナスタシアにとっては、交渉で問題解決という方法はあまり歓迎できないのだ。
ターロンがとても信用できないのも加わって、なおさらその思いは強くなっている。

しかし。とまた猫の像に向かいながら、ミシェルはサラリと言葉を継ぐ。
ミシ「アナタは劇薬にはなろうとしないし、私もなる気はない
尤も私が動いた場合、結局鎌持ちか妖怪が復活しそうでなりませんから
どうも今日の私はツいてないらしいです」
札を触ってみたりつついてみたり、色々やりながらミシェルは漏れ出る苦笑を噛み殺す。
アナ「鎌か人喰い復活ってお前どんな事するつもりなんだ?」
半目でそう言ったアナスタシアは、肩をすくめて言葉を続けた。
アナ「それからなー、勘違いするな。
 私は劇薬になろうとしないんじゃなくて、『なれない』んだよ。
 シスター・ハマルティア…これ私の上司の名前な…に『余り干渉しすぎるな』って言われてるんだ。
 でなきゃ、とっくにターロンのとこに飛んでいって八つ裂きにしてやってるさ。
 見てるだけで暴れるの禁止なんて、いくら勉強の為だからって面倒くさい話だよなー
 …もしかして、ミシェルも上司から何か言われてるのか?
 違うんなら助けに行ってやっても良いんじゃないか?
 別に鎌持ちや妖怪が復活しても私は気にしないぞ。てか復活させろ♪」
交渉に興味のないアナスタシアとしては、ムムムやメイレンの復活はむしろ歓迎だった。
危険な状態になれば、適当に理由をつけて暴れる口実ができるからだ。
ふう。と溜め息一つついつみるミシェル。ただ、別に札が嫌になった訳ではない。
天使まで浮き世のしがらみに絡められているのがやるせないだけだ。
特別信心深い訳ではなく、若き日の野心だけで成り上がったミシェルに言えた事とではないが、
教会は腐ってるとしか思えない。

アナ「本当だよなー。あんな奴ちゃっちゃと片付けりゃいいのに…
 お。見ろ見ろミシェル。お待ちかねの劇薬タイムだぞ♪」
天使の輪の中には、死王の放った黒き稲妻がターロンの体を吹き飛ばす様子が映し出されていた。
ミシ「むしろここまで長引くと『前フリ』のような気がしてなりません
ここまでやりあったのにまだ駆け引きでどうにかしようなど、滑稽を通り越して失笑モノだ」
色々なモノに対してこの人は辛辣だ。
ミシ「場が動いたなら、こっちにもう興味はありません」
とただ一言。
どの道猫を動かせる状態にしておかないと帰るに帰れないのだから
正しいといえば正しいが何かコミュニケーションに問題がありそうなやり取りである。
が、そんな事を解しもせずにアナスタシアはミシェルをグイグイ引っ張っていく。
曰わく自分も見せ場が欲しいそうだ。今までいくらか有りそうだった物を。

地下図書館では、墓場の様子を伺っていたアナスタシアは唸りだしていた。
劇薬―死王の黒き稲妻―が予想以上に効果を発揮し、一気に事態が動き出したからだ。
アナ「マズいなー。このままだと生徒だけでさらっと片づけられて、こっちの出番が無くなっちゃうぞ。
  よし!今のうちに上にあがって、目立…活躍のチャンスを探すぞー!」
ミシ「ちょ、ちょっと待って。もう少しで………」
ベリ。
抵抗してもう少し札に挑もうとして、意外にアッサリ札が剥がれた。
いや、ミシェルの術式からしたら決してアッサリと一言で片づけられる物ではないが。
ミシ「よっしゃ剥がれた!!」
らしくなく素の喋りになったところからすると嬉しいらしい。
アナスタシアは、ニャンコ先生を持つミシェルの背中を押しながら墓場に向かいだす。
(154で〆)

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最終更新:2009年12月21日 17:11
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