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ロック登場

アナ「ほれロクー。約束のレモンパイを用意してやったぞー。
  あの後妹には会えたか?ん?」
ニヤニヤしながらマジックレンジを突き出すアホ姉。
言ってる言葉でクリムゾンヘッドが目覚めないかとヒヤヒヤものだけど、あのレモン
パイは目を引くはず!
69「誰だあんたは!?それにその格好は、扇情的すぎるぜ!
 (鼻血は出ないぜ!俺はロリコンじゃないからな!)」
ミル「あー、ほら、このレモンパイってば、あたしのお姉ちゃんの手作りなんだよ!
 ロクーの為に心を込めて作ったんだから、良かったら食べてやって!ね!?ね!?」
自分じゃ絶対食べたくないレモンパイに似た何かを、少しの罪悪感と共にロクーの手に押しつける。
69「これがレモンパイだと!?じゃあ、俺は何なんだ!?」
レヘ「(レモンパイが異形なのはわかるが何故そこで自分のアイデンティティがぐらつくんだよw)」
リリ「レ、レモンパイなら私だって持ってるもん!
 そりゃ練習中の試作品だから、学園のおばちゃんみたいにうまく焼けてないけど・・・・・・。
 でもでも、私のは魔法使ってないもん!本当の意味で手作りだもん!!」
リリアーナはなぜかやたらとムキになっている。
リリ「だから、食べるなら私のを食べてよ、ロック!」
フリ「ロック?」
69「落ち着けリリアーナ!俺は人前でいちゃいちゃするのは嫌いだと知ってるだろ!」
レヘ「(リーの奴、なんであんなにムキになってんだ?)」

ミル(……あれ。なんだか、ロクーの様子が…前よりロックに似てるような…
 ええい!まあいいや行っちゃえーっ! )
ミル「あ!あんな所に猫耳を頭に着けた男が!」
ロクーとユリぐらいにしか通じないだろうことを言いながら、ビシッと魔本を指さして注意を引いて。
69「何!猫耳のおっさんのことかー!!」
レヘ「(まさか本当に釣られるとは…)」
ミルクはその隙に槍レベッカを、巻きついたターロンごとリュックの隙間に突き刺した!

フリ「猫耳のおじ様を知っている・・・・って事はやっぱりロック
 本物のロックですのね!!」
だがやはり確定の域まで達していない
ミル「えええっ!?本物のロックって…ロックは今フィジルにいないのに!?偽物じゃないの!?」
69「俺はロクーはかわいらしい愛称で呼ばれてるかと思ったが、そんなことは無かったぜ!」
ロックもついに自分が誰か別人と勘違いされていた事を悟ったようだ。
フリ「本物のロックなら片目は義眼のはずですわよね リリアーナさん確かめて頂戴」
リリ「知らないわよ、こんな朴念仁!」
ロックにいちゃいちゃするのは嫌いといわれて臍を曲げていたリリアーナだったが、
フリージアの言葉には裏腹に素直に動いた。
ロックが、目の事に触れられるのがあまり好きではないからだ)

リリアーナは怒った顔でずんずんロックに近寄ると、
リリ「はい」
と、ロックの鼻先に手を突き出した。
リリ「・・・・・・メガネ。外して。ついでに拭いてあげる。汚れてるし」
リリアーナはロックからメガネを受け取ると、汚れをきれいに拭き取った。
もっとも長い前髪に遮られ、ロックの片目が紺色でないことまでは見えないだろうが。
リリ「かなり過酷な旅だったみたいだね。し、心配なんか!全然してなかったけどね!
 で、課題は・・・・・・アンジェリーナ先生にはちゃんと逢えたの?
 私に話せる分だけでもいいから、後でちゃんと聞かせなさいよね。
 えっと・・・・・・その・・・・・ぉ、お帰り。―――― はい!終わり終わり!!」
リリアーナはロックの長い前髪を引っ張ると、ちょっと乱暴な手つきでメガネを戻した。
リリ「今度こそ本人で間違いないみたい」

ミル「じゃあ本当に本物のロックなの!?
 それならそうと早く言ってよ…ってかリリアーナももっと早く気づいてよ!」
リリアーナによる首実検の結果、ロクーだと思ってたのは本当にロックだった。
フィジルにもいないはずのロックがムウ大陸にいるだなんて、まるっきりあたしの理解の範疇を超えてる。
とはいっても、当分会えないって思ってた友達に会えるのは、やっぱり純粋に嬉しい。
リリ「・・・・・・・・・・ごめん」
リリアーナはしょんぼりとうな垂れた。
初見で見抜けなかったのが、本人にとってもかなり堪えたようだ。
69「俺は細かい事は気にしないんだぜ!」

69「俺を知らない奴もいるみたいだから自己紹介するぜ!
 夢と希望と真実と勇気と自由と正義と愛と平和と“か弱き女性”を守る使者!
 不条理だらけの世の中で!愛と勇気と希望を抱き!正義の拳で悪を討つ!
 どんな逆境にも負けない愛の為に生きる男!
 ロック・ウィルとはこの俺のことだ!!」
ルス「他にも物理の成績ランキング第1位とか~暑苦しい男ランキング第1位とか~
   抱かれたくない男ランキングとか第1位とか~リリアーナに殴られた回数ランk」
リリ「わー!ルズ、しーっ!し―― っ!!」
リリアーナは大慌ててルズの台詞を遮った。
フリ「・・・・・・って何でロックがムー大陸にいますのよ!
 さっきあなたのバッタモノと戦ったからてっきり勘違いしたじゃありませんの!!」
ギ「な、なんだってロックお兄ちゃんなの!?」
あっと驚くギズモちゃん
だがどこがどう違うのかギズモには皆目検討がつかなかった
ミル「ごめんロック、フリージアが言ってる偽物が姿形から服装までロックにそっくりでさ。
 ついうっかり警戒してリュックに槍を突き入れちゃったんだよねー。あはは…
 と、とにかくすぐ抜くから!」
ミル「あ、ごめんレベッカ。実はこちら、ロクーじゃなくて元学園生徒のロック…」
レヘ「………」
リュックから出てきたレベッカは、ミルクの耳元で囁いた。
レヘ「あ…ありのままに今見てきた事を話すぜ。
 俺はさっきロクーのリュックの中に入ったと思ったら長い髭の爺さんが紅茶を飲んでいる部屋にいた。
 な…何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何が起こったのかわからなかった。
 頭がどうかなりそうだぜ。だが、ただ一つ、はっきりとわかることがある。
 俺にいたずらっぽくウィンクしたあの爺さんに…俺達は誰一人として勝てねぇってことだ。 
 あの爺さんが紅茶をかき回すスプーンの動きを見ただけで、なぜかどうしようもなくそう感じちまったんだ。」
ミル「…は?リュックの中に部屋があって爺さんが紅茶飲んでるってどんな状況よ?」
さすがにそれは頭がどうかしてるんじゃないか、と言おうとした所で。
ギ「いたずらっぽくウィンクしたあの爺さん・・・・学園長だそれぇ!?」
レヘ「おぉ、そうだ。たしかに学園長はあんな感じの爺さんだった気がするぜぇ。」
フリ「ちょっとそれもしかしてリュックの中はゲートになってて学園長室につながってるって事ですの!?」
だとしたらリュックの中に飛び込めば全員学園に戻れるはずである
はたしてどうするべきなのだろうか?
ミル「ちょ…!どういう事よロック!
 本当にそのリュックの中は学園長室に繋がってるの!?
 てかロックはどうやって何が目的でムウ大陸に来たの!?
 若返りの秘薬がとか妹が病気でとかじゃないよね!?」
69「俺のリュックの中が学園長室に繋がってるわけがないだろ!
 俺はフィンカイラ島から帰る途中に中つ国にいた学園長に会って、
 “姿くらましの術”で一緒に学園に帰ろうとしたら、何故か俺だけこの場所に飛ばされたんだぜ! 」
リリ「学園長と2人だけ?他には?」
69「そういえば学園長は、『みんなにはもっと笑いが必要なのじゃ』って言ってたが、
 俺が傍にいて笑うのはリリアーナくらいしか思いつかないんだぜ!」
ロックはさりげなくのろけた。
リリ「・・・・・・・・・・!・・・・・・・・・!!」
リリアーナはしばし言葉を失った後、無言でロックの背中をぽかぽか叩いた。

フリ「とりあえずルズさんならサイズ的にリュックに入れるはずだから
 本当に学園長先生かどうか確かめなさいな」
ルス「え~?まあ、フリージア女王様がどうしてもとおっしゃるなら・・・・・・・」
69「たぶんそれは無理だぜ?」
とロックは言いながら、背負っていたリュックを下に置いた。
ルス「わたくしに命令すんな、ですわ~ん。
  フリージア女王様は絶対なのですわ~ん!フェード!イーン!!」
ルズは無意味な掛け声とともに、ロックが下ろしたリュックに飛び込もうとする。だがしかし。
ミル「なんで無理なのよ…ってうわっ!?なんか出た!?」
ポ「OH,NO!またお尻が濡れてしまいました!」
ルス「ぎゃふんっ?!」
リュックの口から、女性の顔がにゅっと飛び出した。ルズはスフィンクスの顔にぶち当たった。
ルス「ほ、星が綺麗ですわ・・・・・・・がぼげぼがぼ」
ルズはそのままぶくぶくと水の中に落ちた。
ちなみに、スフィンクスを知らない人には説明が必要である。
ギリシア式のスフィンクス、名前をポンデという。なぞなぞが好きな彼女にとって、ロックは良い相手である。
彼女がリュックに入っていたのだから、リュックの中にルズが入ることも、
リュックの中が学園長室に通じている事も、ロックにとってはありえないことだった。

ルス「た~すけて~ん、誰か助けて~ん、溺れる~ん」
フリ「何やってますのよまったく・・・・」
あきれた顔でルズを回収するフリージア
残念ながらリュックに掛けてあったのは幻術の類だったらしい
フリ「これで帰る方法は振り出しに戻りましたわね」
死王が勝手に帰ったため学園までのゲートを開ける人間・・・・いや人間じゃないけどさ
学園までのゲートを開ける人はいなくなった
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ウ゛「な、なんだってー!!どういうことだ死王?!」
死『ため口聞くんじゃねぇよ』
ウ゛「すいませんでした!
 …んで、しおーさん。
 あなた何しているのですか?」
ヴァンエレンに本を持たせて空間にゲートを発生させる。
そしていそいそとくぐってあきらかに移動しようとしている死王。
死『なにって?
 帰るに決まっておろう。
 その本、ちゃんと校長かターナーのバカに渡しておけよ』
さらばしおーフォーエバー。
唯我独尊、自分勝手、死王はそうヴァンエレンに命令するとゲートの中へ入って学園へと帰っていった。
ウ゛「か、帰んな!コラァ!」
ヴァンエレンの声のした方を見ると、死王様黒猫がゲート開いてスタスタどこかに移動中だった。
リリ「え――――!!帰っちゃった?!どうやって?!死王ってば凄い!!」
ミル「ちょっと待て、帰ってもいいけどあたしたちも……あぁぁ逃げられたぁ!!」
見た感じ学園につながってたゲートは、死王が移動し終わるとさっさと消えてしまった。
ミル「…あのゲートに入れれば一緒に学園に帰れたのに…そうだヴァンエレン!
 今からでもさっきのゲートをもう一回呼び出せない!?
 ヴァンエレンも一応アンデッド仲間でしょ!?
 がんばって呼びかけたら、もう一回ゲートが開いてくれるかも!」
リリ「確か魔本残してったよね?それがあれば、死王召喚呪文くらい簡単にできるんじゃないの?
 何だっけ?犬耳の萌え少女だっけ?」
地下図書館での力関係をしらないリリアーナは、好き勝手な事を言った。
本「バカモノ!呼んですぐ会える関係に萌えがあると思っているのか!?
  会いたくても会えないからこそ、会った時のときめき度が上がるのではないか!」
死王も気軽に呼べると言われて、魔本となった猫耳男はリリアーナに怒った。
呼べる呼べないはともかく、魔本の意志を変えない限り本に書かれた魔法は使えない。
ヴ「死王が届けろっていったこれだよね…。
 召喚できたとしてもそんなことしたらまたネチネチと言葉攻めに合うに決まっている。
 そんなこと絶対にやりたくないぞ!」

リリ「そういえば、ニャンコ先生は大丈夫なのかな~。水に流されたりしてないかな。
 ミシェル先生、ちょっといいですか?
 ニャンコ先生~?!聞こえますかニャンコ先生~!!大水が来てますが、そっちは大丈夫ですか~!!」
ニャ 「聞こえておるからそんなに大声を出すな」
ミシェルの持った招き猫からニャンコ先生の声がした。
だがその声は、うっかりすると聞き逃しそうなほど小さい、消え入りそうな声だ。
ニャ 「そちらの状況は知っているが、魔力が足りぬ為にすぐにはゲートを開けん。
  しばらく待てば回復するからもう少し後で声をかけよ」
ニャンコ先生はそう言うと、また黙ってしまった。
しかし魔力の流れがわかる人は、ニャンコ先生が魔力を周囲から集めている事に気づけるだろう。
リリ「まあ、大水さえやり過ごせば大丈夫だよね~」
天井や壁や氷でふさいだ亀裂から、何やら不吉な音が断続的に聞こえているが、
リリアーナはあえて考えないようにしていた。

リリ「う~ん、やっぱり学園長入ってないね」
リリアーナはポンデの隙間からリュックの中を覗いたが、やはり中はよく見えない。
ポ「私が道を歩いている時、反対の方向から、赤い洗面器を頭の上に乗せた男が歩いてくるのが見えました。
  洗面器には水がなみなみと張られ、男はそれを一滴もこぼさないように、そろ~り、そろりと歩きます。
  私は男に、何故そんなことをしているのかと尋ねました。さて、男は何て答えたでしょうか?」
フリ「私はその答えを知っているけど教えられませんわ」
なぜか正解を言おうとしないフリージア
なおかつほぼ答えを言っているフリージア

69「吸血鬼のおっさんがセクシーになってるぜ!どうなってんだ、ミルク!」
ロックに無視されたポンデはすごく、すごく怖い顔をした。
ヴ「うるさいやい!好きでなってるわけじゃない!」
ミル「ヴァンエレンはね…ロックが島を出た後いろいろあってね…話せば長くなるんだけど…
 ねえ、それよりポンデ?だったよね。あのなぞなぞに答えなくてもいいの?
 なんかすごい顔でこっち見てるんだけど…」
69「あ、やばいかもしれないぜ。」
ミルクに言われてやっとポンデの顔に気付くロック。
69「だがロック、てめーはだめだ!ってまた言われそうだぜ。」
リリ「は・・・・・・はいはいはーいっ!!ポンデ、そのなぞなぞに私が答えてもいいのかなっ?!」
ポンデの顔を見たリリアーナが、焦りまくって手を挙げた。
リリ「えっとね、なぞなぞの答えだけど、多分その男は――――・・・ん?!」
ミル「ん?」
69「だぜ?」
視界の端にキラッと光る何かを見たような気がして、リリアーナはふと顔を上げた。
周りの人に見えないように何かの準備を始める桜花の姿に気づいたのだ。
桜「この命は貴女から貰ったもの。差し出すのは流石に躊躇いがありますが。
腕の一本くらい…ならば」
右肩に自分のナイフをあてる。
リリ「ちょ、ちょちょちょちょっと待ってオウカさん、何するつもりなの!!」
桜「私は若い男ではないですがね」
誰かが気付き止めないと桜花の右腕は切り落とされメイレンのお腹行きになるであろう
ミル「うわ何してるのオウカ待って待って落ち着いて!話せばわかるからーっ!!」
ヴ「え、ちょ、なにやってんスか?!」
リリ「何かよく分からないけど、とにかく短気はダメ―――― っ!!」
リリアーナは慌ててオウカの左腕に縋りついた。
フリ「なんだかよくわからないけれどなぞなぞどころじゃ無いみたいですわね」
ミル「よくわからないけどなぞなぞどころじゃないけど!
 とりあえずフリージアはなぞなぞの答え言っちゃっても良いんじゃないの!?
 それからなんだってオウカは腕切ろうとしてるの!?セップク!?
 何でもいいからとにかくそれは止めろーっ!!」
行ってしまったリリアーナ達。しかし、ポンデは実はフリージアのおかげで一応満足している。

桜「皆…すまない、離してくれ。これはメイレンさんへの恩返しとしての意味があるんだ」
リリアーナと逆の左腕に取り付いて説得することしばらく。
どうも原因は、腹ペコ死にかけメイレンさんに食べ物をあげようとしたって事らしいとわかった。
リリ(オウカさんかっこいい・・・・・・)
リリアーナは尊敬の眼差しで桜花を見つめている。
リリ「わが身を犠牲にして誰かを助けようとするなんて、なかなか出来ることじゃないわ。
 でも私達だって、オウカさんの腕がなくなるなんて嫌に決まってるでしょ!! 」
69「どうも話を聞く限り、オウカはお前らの仲間みたいだな!
 お前らの仲間だったら、俺にとっても仲間だぜ!
 仲間のお前が傷つくことは、このロックこと俺が許さないぜ!」
桜「待て、ロックとやら。そのさきは―――」
リリ「―――― ロック、あなたもよ!
 今の話聞いて「じゃあ俺が!」なんて名乗り出たら絶交だからね!!」
69「じゃあ俺がかわりに…ハッ!?そんな事はしないんだぜ!」
ロックは危うくリリアーナに絶交されるところだった。
桜「どうやら言われてしまったみたいだ。だが、お心遣い、痛み入る。」
リリアーナに言おうとしていた事を言われてしまった桜花はロックに頭を下げる。

そこからしばらく離せ、離さないの押し問答を繰り広げ、根負けした桜花がやっとナイフをしまう
桜「このままではメイレンさんの命に関わる。やはり私は…」
ルス「若い男といえば、ターロンとやらはどこ行ったのかしらね~ん?
 あれも男の端くれですわよね~?あいつの尻尾を毟って食べるのではだめなのかしら~ん?」
猫にまたたび、ルズにフリージア女王様。
ターロンとの会話は、言葉だけ聞いていればもっともらしい事を喋っていたルズだったが、
実際のところ、愛しのフリージアが救出してくれたという余韻でデレデレだった。
ター「メイレン様のためならこの尻尾を差し出してもよろしいが、私は妖怪であり人間ではありません。
 私の体でメイレン様が満足されるかどうかは、甚だ疑問です。
 それよりも、龍玉の力をメイレン様にもっと送られてはいかがでしょいか?
 空腹はすなわち体内の気の枯渇の予報です。
 体内に龍気を満たし、力充実するならば自ずと空腹であっても満ち足りましょう」
ターロンが手の平を返したように協力しているのは、次の野望達成の時まで待つのが有利と判断したからだ。
長い時を生きるターロンには、目先のプライドを守るよりも長い目で見た保身が必要になる。
ターロンからすれば、この変わり身の早さは当然なのだ。
ギ「そうかなあ?栄養として一番適切なのは同族の体の肉だって聞いたことがあるけど
 ちなみに僕は悪魔だから問題外だよねv」
ルス「そうですわよね~。
 まあ、論より証拠、試してみればよろしいのではなくて~ん?――――もらったー!!」
ルズは目にもとまらぬ速さでターロンに飛びつくと、彼の尻尾にぶら下がった。
ルス「ほげほげほげげげげほげげげげ、ほげほげほげ」
口にモノをくわえて喋っているため聞き取りにくいが、
ルス「敬愛してるのならメイレン様に尻尾の一本や二本くらい食べさせろ、話はそれからだ」
ということを言っているようだ。

フリ「気というのはなんだかよく分からないけれど魔力だったら・・・・」
とおもむろに自分の縦ロールを掴むフリージア
フリ「私の髪の毛は魔力でこの形を保ってますの
 いわばこの髪の毛自体が魔力タンクみたいなものですわ
 だからこの霊毛縦ロールを食べさせれば・・・・・・」
フリージアの能力は一時的に著しく低下するだろうが
友人の腕が無くなる事に比べれば軽いものである
魔力セットだったのかあの髪型。
きっと何時間もかけて形状記憶セットとかしてるんだろうなぁ…
そういや、ユリも長い髪をポニテにしたら頭が痛くなるとか言って、重力軽減リボン使ってたっけ。
そこまでして髪型にこだわらなくても良いようなって思ってたけど。
…もしかして、あたしが無頓着すぎるだけ?

ギ「でも腕って教会でリフレッシュの呪文でも掛けてもらえばまた生えてくるんじゃ・・・・」
なんでもないように言うギズモ
フリ「また生えてくるとかそういう問題じゃなくてよ!腕を切り落とすのがどれだけ痛いか分かってますの?
 その痛みや出血で十分死ぬ可能性がありますのよ!!」
ここは何としても桜花を止めなくてはとフリージアは思った
ミル「…ここは折衷案で行こう。
 今のメイレンさんは体がないんだし、まずは龍気を使って回復するか確かめる。
 で、ダメならフリージアの縦ロールを食べてもらう。
 それでダメなら…学園に戻るまでは我慢してもらおう。
 死霊科ならフレッシュゴーレムくらいあるかもしれないし」
ちなみに、フレッシュゴーレムってのは素材に肉を使ったゴーレムの事ね。
…まあ、さすがに人肉ゴーレムなんか無いと思うけど。思いたいけど。
リリ「ダメならターロンの尻尾もあるしね。
 それに生きていらっしゃるのなら、使い魔カプセルに入れて回復を待つという事だって出来るしね」
リリアーナはターロンとルズのじゃれ合い(?!)を見ながら、1人うんうんと頷いた。
ギ「でも縦ロールが無くなったら誰か分からなくなっちゃうんじゃ?」
フリージアの本体が縦ロールで有るかのごとく言うギズモ
桜「そんな…いや、すまない。出会って間もない私の心配をしてくれて
フリージアさん、リリアーナさん、ミルクさん、本当にすまない。」
桜花の身を心配し、共に問題について考えてくれる友人達に桜花は心底感激した。
信じていなかった訳ではないが、リリアーナから友達発言を受けてもピンときていなかった桜花だが
改めて自分の得た友人達の素晴らしさに人前でなければ泣いていただろと思う桜花であった

リリ「そうだ!首ばかりに機を取られてたけど、お身体にも龍気を当てないとダメだよね!
 あ、その前に体と首をくっつけないといけないのかな!!
 オウカさん、腕切り落とす前にやることいっぱいあるわよ。
 まずはこの中にメイレン様の首も入れてから、龍玉の上にかざしてみようよ!!」
リリアーナは皮袋を取り出した。なにやら水っぽい音がした。
そう、この中には、リリアーナがかき集めたメイレンの体が入っているのだった。
桜「そうだな、うん、そうだ。腕を切ろうとしている場合ではなかった。」
リリアーナに言われ、残りのメイレンさんのパーツをとろうと

アナ「ふーん、このリュックの中が学園長室につながってたのか、怪しーなー。
  もう一回確認してみたら、また学園長のとこにつながってるかもしれないぞ♪
  ほれほれどうだ?何か見えるかー?」
いつ槍レベッカを持っていったのか。
なんとアホ姉、ターロンの巻き付いたままの槍レベッカを、ロックのリュックの中に突っ込んでるじゃないか!
それも濡れてスケスケワイシャツのままで!
リリ「アナスタシア先生、何するんですか!!レベッカさんは便利な覗き見道具じゃないですってば!
 それに、中にポンデ以外にも生き物が入ってたらどうするんですか!!」
ミル「ちょっと待て何してるんだアホ姉!
 中は学園長室にはつながってないって言われてただろ!?
 それに服が濡れて思いっきり透けてるだろ!
 着替えるか乾かすかくらいしろよ!」

リリ「・・・・・・そう言えばロック、鼻血出ないね。いつの間に女の人の裸、平気になったの?・・・・・・はっ?!
 ももももしかして、誰かと特訓したとかっ?!」
リリ(あのアンジェリーナ先生がっ?!・・・・・・いやいやまさかそんなはずは!!でも・・・・・・)
ロク「リリアーナ、俺だって鼻血を出す相手を選ぶ権利ぐらいあるんだぜ?
 ポンデを見てみろよ。あいつだって、言ってみれば全裸じゃないか!」
ロックの鼻血が出なかった説明を聞き、何か釈然としないものを感じつつも納得するリリアーナ。
その時、ある意味こちらも全裸のメイレンの耳がピクリと動いた。
レン「若い男の声…にゃ~ん!↑」
69「う、わ!?」
メイレンが、メイレンが、首だけでロックに襲い掛かった。
69「化け物め!離せ!」
レン「~~~!」
ロックは腕に齧りついた首だけのメイレンを離そうと振り回すが、離れない。
69「こうなったらとっておきだぜ!ヘクトプレ…」
ロックはメイレンを圧力波で吹き飛ばそうとした。
しかし、ロックは今気づかない方が良いことに不幸にも気がついてしまった。
69「お…俺は女の人には攻撃できないぜ!」
(しかしリリアーナはアナスタシアとのやり取りに気を取られていたため、ロックの女難には気づけなかった。 )

同時刻。
アナ「うるさいなー、お姉ちゃんがどんな格好をしててもお姉ちゃんの勝手だろ。 」
アナ「それに、つながってないならレベッカとターロンが嘘ついたことになるじゃないか。
  嘘なら2人は死刑!以上♪」
ミル「だーかーらー!嘘じゃないけど今はつながってないって可能性もあるだろ!?
 誰かアホ姉に説明してあげてよーっ!!」
リリ「レベッカさんは学園の生徒です!死刑って・・・・・・いくら冗談でも言っていい事と悪い事があります!!」
リリアーナは過剰反応した。
彼女が妖怪である事と、体が今無いということが原因だろう。
えっ!?なになに、どうしたの?何かあったの?
なんかリリアーナがやけに強硬発言してるんだけどなんでなんで?
ミル「あ、いや、そういう説明はちょっとマズ…」
アナ「ほほー…そんな事言っちゃってもいいのかー?
  そんなつもりはなかったけど、先生嘘は嫌いだから本当の本当に死刑にしちゃうぞー?」
リリアーナの言葉を聞いて、獲物を見つけた猫みたいにギラリと目を輝かせるアホ姉。
やっば…もめ事好きに火がつきかけてるぞ…
リリ「とにかく、めったな事言わないでください!!
 これ以上の暴言は、いくらアナスタシア先生でも許しませんから! 
 先生方、お疲れかもしれませんがお2人からもなんとか言ってください!!」
アナ「許さなければどうだって言うんだ?
  嘘つきは死刑って言って何が悪いんだ?
  ミシェルもベルジンも、教育者なんだからまさか嘘つきを許したりしないよな?」
まーた喧嘩を売るようなことばっかり言いやがって!
間に立たされて寿命を削られる、かわいそうな妹のことも少しは考えろよ!
あたしは怒りにまかせて、偉そうに腕組みしてそう言い放ったアホ姉を、後ろから思い切り引っ張った。
幸い体重は軽いアホ姉をあっさり引き寄せられたので、そのまま口を手で押さえて口封じに移行する。
ミル「まぁまぁ落ち着いてリリアーナ。
 死刑って言ってるのはアホ姉の口癖みたいなものだから、ホントに死刑にはしないから大丈夫だって。  ミシェル先生もベルジン先生も、そーゆう事なので、うん。
 後でよーく叱ってもらうから、ここはあたしに免じてこれでお流れってことで…」
アホ姉はジタバタ暴れながらむーむー言ってるけど、なんて言ってるのかわからない。
リリ「う、うん・・・・・・」
リリ(アナスタシア先生って喧嘩好きなんだ・・・・・気をつけよう。
 でも、天使なのに死刑が口癖ってどういう人なんだろ・・・・・・)

ミルクの後ろから、ポンデがちょんちょんと突いた。
ポ「ところで…私の問題への回答の方はもうよろしいでしょうか?」
ポンデである。
桜「え?」
メイレンの問題でポンデの存在にまったく気付かなかった桜花は困惑する。
ミル「あー、あたしは今ちょっとそれどころじゃないからまた後で…」
無論全員がそれどころではないのであるが、ポンデは構わず続けた。
リリ「あ、そうか、まだ答えてなかったね。その質問の答えは」
ポ「それでは全員、ボッシュートです♪」
桜「ちょ―――」
ミル「は?」
てれってれ しゅわわわわ~ん
ヴ「なんじゃこりゃ?」
各々の足元にポンデが発生させたと思われる大きな穴が出現し全員を穴の中へ吸い込もうとする。
リリ「えええっ、時間切れっ?!わーん、ポンデの馬鹿ああぁぁぁ――――!!」
ミル「はい――――っ!?」
フリ「ちょ、お待ちなさいなぁ!?」
スカートがめくれないよう抑えながら落下するフリージア
ギ「僕には羽が・・・・・あれ?」
一生懸命羽ばたくも結局落ちるギズモ
最後まで羽を忙しなく動かして抵抗をしていたヴァンエレンもついには穴へぶっこまれてしまった。
結局のところ足元にあいた大きな穴に全員落とされた
ポ「デデッ♪デデン♪デーン♪」
それにしてもこのスフィンクス、ノリノリである。

ヴ「ガリガリはこれぎりごめん。
 こうむるよ」
死ぬ覚悟を決めたヴァンエレンでした
ミル「なんかなんか前に次元の狭間に落ち込んだ時によく似てるんだけど!?
 落ちきった後で大人になったり子供になったりしないよね!?
 ただの穴で墜落死はイヤだけど変な副作用ももうイヤだーっ!!」
リリ「どうしよー!ミルクやレベッカさんの治療薬だってまだゲットしてないのに――――っ!!」
アナ「落ちてるというと何か違うなー。どこに続いてるんだ?この穴」
空飛べるからか妙に冷静なアホ姉がそう分析したときだった。
黒一色の世界に、色と光が戻ってきたのは

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最終更新:2010年01月14日 02:45
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