ヨハネカインは道を歩いていた。理由はわからない。
「私は確か、魔法学園に来ていたはずだが…」
ヨハネカインのすぐ横を馬車が駆け抜けていく。
ヨハネカインは今歩いている道に見覚えがあった。
「当然だな、なぜならここは…」
ヨハネカインが見上げる先にあるもの、それは…
「私が幼少時代を過ごした館だ。」
館の前で一人の少年が犬と遊んでいた。
ヨハネカインはその銀髪の少年を知っていた。
なぜなら、彼もまた少年時代のヨハネカインだったからだ。
「だったら、ヨハネカインを見ている私は誰なんだ?…なんてな。」
ヨハネカインはいつの間にか、その少年そのものとなっていた。
屋敷の前で止まった馬車から、一人の少年が降りてきた。
「ん?誰だろう?」
ヨハネカイン少年は、降りてきた少年の目を見ると、すぐに事情を把握した。
「(あ!この子は確か、戦争で母親を無くして、僕のお父さんの養子になった子だ!)」
馬車から降りた少年も、ヨハネカインの存在に気づいた。
「君は、マリアベルだね?」
マ「そう言う君は、ヨハネカイン・ホワイト。」
「はじめまして!今日から僕達と一緒に暮らすんだよね!よろしくね!
荷物、降ろすの手伝うよ!」
マ「いいや、下ろされるのはその手の方だね。」
マリアベルが杖を軽く振ると、ヨハネカインの腕が急に重くなり、持ち上げられなくなった。
「…ははは、さすがに才能があると聞いてたけど、凄いね君は!
ごめんね。犬をさっきまで触ってたんだもの、そんな手で君の荷物に触れてほしくなかったよね?」
ヨハネカインは笑って、この突然の仕打ちを水に流そうとした。
これからずっと同じ屋根の下で暮らしていくのだ。できれば仲良くいきたかった。
マリアベルの性分を、この時はまだ知らなかったから。
マ「そのとおりだ。だが、違うね。」
「え?」
マ「お前のような魔法界の落ちこぼれには触れてほしくないんだ。俺自身も含めてな!」
「そんな!何てことを言うんだ!」
ヨハネカインはマリアベルの傍若無人な振る舞いに腹を立てた。
マ「いいか、よく聞け!俺はこれからお前の屋敷で世話になるが、俺に対して偉そうな素振りをするなよ!
俺は将来、死を克服した唯一無上の魔法使いになる男なのだ!
魔法をまともに使えないお前らスクイブ(非魔法使いに対する蔑称)とは違うのだ!」
「許さんぞ!貴様ッッ!」
ここで、ヨハネカインの思い出がぷっつりと切れた。
最終更新:2010年02月18日 16:45