レヘ「ところで、当然その犬の死体は確認したんだろうな?…まあ、当然か。
でなけりゃ、こんなところでゆっくり食事をとるはずがねえもんな。」
(レベッカは、タバコを地面に擦りつけて消した。 )
(お団子を飲み込もうとした
リリアーナがうっと喉を詰まらせた。)
レヘ「もしも俺がその子犬だったら、今こうして安心しきっている瞬間を狙うだろうよ。」
クロ「おいおい、あの教室を半壊させたマ・センコーが使われたんだぞ。
その後に二匹の子犬の死体が現れて・・・」
クロ(ん?なんかおかしいぞ。マ・センコーが使われた後に何で二匹も子犬の死体が現れるんだ?)
(不意に視界に大量の光の矢が現れた。矢の下にいるのは、こちらに向かって突撃してくる一匹の
子犬)
クロ「まさか、な。」
リリ「~~~!~~~!!」
(喉を押さえてじたばたするリリアーナの耳に、ミルクの切羽詰った叫びが届く! )
レヘ「ところでお前ら。さっきから『魔法使いは皆死すべし』を文化革命のスローガンだと言ってるが、
あれは後年になって創作されたもので、厳密に言えば違ぇぞ。
もっとも、そんな創作がされるくらい魔法使いがガンガン殺されたのは事実だがな。
文化革命の真実はだ…」
ミル「でっ!出たーっ!犬!犬がこっちに来てるーっ!!」
レヘ「うぉっ?マジかよ。ていうかでけーな、おい。」
クロ「本当に生きてんのかよ!!って、でか!!」
スク「ん・・・?犬?獅子か狛犬みたいじゃな~。」
(大量の光の矢を引っさげて、妖怪犬が再び現れた。
(体は牛ほどの大きさになり、長い尾はその数を6本にまで増やしていた。
目尻には赤いアイシャドーが入り、顔つきを余計不気味にしている。)
その瞬間!お休みモードだった副会長のスイッチがONになる!!
副『来たなぁ・・・!これ以上被害を出さないためにも奴と戦うぞクロウ!!』
椅子から勢いよくジャンプし体操選手のように空中で一回転し子犬の地面へと立つ!!
着地によって土埃が舞う中、副会長は椅子の足をへし折り木刀へと瞬時に錬成する!
そして胸から油性ペンを取り出しキュッキュッと素早く木刀に書いた文字・・・・・・【生徒会!!】
副『そこのお前!!魔法使いならここにいるぞ!!まず俺を殺しにかかってこいっ!!』
しかし副会長は失念していた!目の前の化け犬にはルールなどない。
ひたすらに何も知らない罪なき者たちを巻きこもうが構わないのだ!
ケオ「ふぅ………」
しかし、慌てる所か溜め息一つ吐いてから再び紅茶を飲む
ケオスとマンダに光の矢が迫る!
マン「ケオス…こ、わい。」
ケオ「心配しないで…すぐ終わるから。僕の背に乗って」
マン「う、ん。」
言われた通りケオスに背負われ、目をギュッと閉じるマンダ。
ケオスは自分に当たりそうな矢を紙一重で躱していく。
リリ「~~~!~~~!!」
ケオ「全く……危ないよ、リリアーナ。」
ケオ「だめだよ、この矢がどんな性質か分からないのに油断したら」
リリアーナを庇ったため、ケオスの手の平から光の矢が突出ている。
リリ「ちょ、手!ケオスさん手!完全に射抜かれてるよ!!」
ケオ「ごめん、マンダと怪我人を頼むよ。マンダ、降りて。」
マン「ち!?…ケ、オス!いたい!?それ、いた、い!?」
ケオ「大丈夫だから……ね。」
相変わらず笑顔のままのケオス。
ケオ「さて、と……っ!」
(手から矢を引き抜く。 )
リリ「ちょっと大丈夫なの?手、ちゃんと動くのっ?!」
(リリアーナはポケットから清潔なハンカチを取り出し、止血のため傷に巻きつけた。 )
ケオ「…お祭の日くらい素直に楽しめないのかな……全く。
雅が解らない子犬だね。」
マン「リ、リアーナさん…ケオス、こわい……」
その光景を見ていたマンダはリリアーナに抱き付き震えている。
マン「…ケ、オス、おこ、てる。…き、と、みんなのたのしいじかん、いじわるされて…おこ、てる。」
リリ「うん、そうだね。あの犬はひどいね。何でこんな事、繰り返すんだろうね」
リリアーナはマンダの細い肩を両手で掴むと、自分の体からそっと剥がした。
リリ「よく聞いてマンダ。皆あの犬に襲われて怪我して痛がってる。
だから私達は、怪我をした人の手当てをしなきゃ。マンダも力を貸してくれるわよね?」
そう言うと、リリアーナはマンダを連れてけが人達の方へと向かった。
クロ「まずい!!」
(魔法障壁も効かない妖怪犬の特性を知らなかった一般の生徒達は、犬の攻撃で次々負傷していった)
副会長は木刀を放り投げ化け犬にやられた生徒達の元へとかけつける!
副『おいしっかりしろ!!大丈夫か!?』
「うぐ・・・・・・何がどうなって・・・」
副『安心しろ!もう大丈夫だ!今手当してやるからなっ!!』
倒れている生徒達に治癒魔法を使っていく副会長。
応急手当程度の軽い治癒魔法ではあるがないよりまし、といったものだろう。
リリ「副会長、私たちもお手伝いします!」
マンダとリリアーナも怪我人の治療にあたった。
だが術者も薬も治療道具もまったく足りない。これではろくな治療が出来ないだろう。
副『クロウ!!少しでいい!空間魔法で一般生徒と俺達を区分けできないか!?
これ以上犠牲を俺は増やしたくない!!』
クロ「っち、このままじゃ被害が拡大するばかりじゃねーか!!」
クロ「これ以上の攻撃は許さん!!
喰らえ、『鉄掌連拳』」
副『クロウ!!下がるんだ!!その位置は敵の制空権に入っているぞ!!』
だが、攻撃が届く前に尻尾によって攻撃され、校舎の壁に叩きつけられてしまった。
クロ「カハッ」
副『クロォォォォォウ!!!』
吹き飛ばされ息も絶え絶えなクロウを見て副会長の怒髪が天を衝く!!
副『お前の・・・・・・お前の血は何色だぁぁぁぁぁああ!!』
爆発したかのような赤い魔力が副会長の身を纏っていく。
それはまさに生徒会副会長の暑苦しさを集約させたような赤きオーラ!
リリ「ちょっとそこのあなた!そう、あなたよ!」
リリアーナはたまたま居合わせた黒いエプロンドレスの女子生徒を捕まえた。
リリ「えーと。たしかルダリダさんだっけ?悪いけど治療薬が足りないのよ。
ここなら保健室よりベアトリ薬局が近いからそこで薬を調達してくれない?」
リリアーナは紙にさらさらと何かを書き込んでいる。
リリ「大丈夫大丈夫、詳しい事は全部このメモに書いてあるから!
代金の請求はレオ先生にとも書いたから、ルダリダさんの懐が痛む事も無いわ。
じゃあ頼んだわよ!怪我したみんなの命運、あなたに託したからねっ!」
リリアーナは憮然とした表情の生徒にメモを握らせると、ばしんと背を叩いて送り出した。
リリ「じゃあマンダ、次はあっちの怪我人をお願い。くれぐれも気をつけてね」
そういい残し、リリアーナは吹き飛ばされたクロウの元へと急いだ。
フリ「ちょっとそこの人間の下僕哀れで卑しい犬っころ!この私、氷結姫フリージアがお相手いたしますわ!!」
ミル「フリージア!?どこにいるの!?」
キョロキョロ見回すと、なぜか一際高いところからこちらに叫ぶフリージアの姿が。
ミル「なんでそんな高い所にいるんだ!?下に降りてこい下にーっ!!」
わざわざ登ったのだろうか?何故か高いところから現われるフリージアであった
だが妖怪犬が西方の人間の言葉など、聞くわけが無い。魔法使いなら、なおさらである。
リリ「クロウさん大丈夫?立てる?」
リリアーナは息も絶え絶えなクロウに肩を貸した。
クロ「気を、つけろ。あいつ、に魔法、障壁は効、かない。」
とぎれとぎれになりながら言葉を発するが、たぶん聞こえないだろう。
リリ「フリージア!そいつに魔法障壁は通じないわ!ついでに私たちの言葉もね!!」
フリ「お~ほっほっほっほ!魔法障壁が駄目なら氷の盾で防げばいいのよ!!」
ミル「だから下に降りてきて氷の盾で防いで欲しいんだよーっ!!」
ミル(ダメだー!この状況じゃフリージアの助けは期待できん!)
フリ「さっきはよくもこの私を無視してくれましたわね!言葉が通じないのなら肉体でわからせてあげますわ!!」
(とは言ったものの今、雪の結晶による攻撃をしてしまうと副会長の炎の呪文と相殺してしまうだろう )
フリ「お~ほっほっほ!ミルクさん今から降りますわよ!いやぁぁぁぁぁ!!」
フリージアは高いところから飛び降りると
くるくるシュピンと空中で3回転してから地面に着地した
ギ「何で回る必要があるの?」
フリ「格好いいからですわ!!」
はっきりと言い切るフリージア
フリ「さあどっからでも掛かってらっしゃいな!!この氷結姫フリージアが相手になりますわよ」
妖怪犬はまっすぐレベッカに向かって走ってきた。
しかし、何故かレベッカに向かって光の矢は飛ばなかった。
ミル「王様!ちゃっちゃとこの場を離れますよ!王様ーっ!」
妖怪犬はレベッカの前で止まり、またしても中つ国の言葉、そしてレベッカと同じ声で言った。
犬『魔法使い狩りっておもしろいねー、お姉ちゃん(愛好)』
レベッカは、甘えるような仕草をする妖怪犬の鼻の頭をポンポンと叩いた。
そして、すこし後ろにさがりながら言った。
レヘ「チェンダ?(本当にそうか?)」
レベッカが肩から長家槍をおろし、槍頭を妖怪犬の眉間につきつけても、
妖怪犬はそれが戯れであるに違いないとばかりに6本の尻尾を振った。
リリ「幸い骨は折れてみたい。でも派手にぶつけたみたいね」
手早くクロウの視診を終えると、リリアーナは応急手当キットを取り出した。
リリ「応急手当しか出来なくてごめんね」
リリ「クロウさん、スクナさんとレベッカさんの周りだけ光の矢が刺さってなくない?
あれってスクナさんの王としてのオーラのせい――――なわけ無いか」
クロ「さすがにあの様子で王の威厳はないだろ。」
頭にブラジャーを巻いた姿に王の高貴さなどあるわけ無かった。
という事は、レベッカに原因があるに違いない。だが彼女は妖怪犬など知らないという。
となるとつまり――――。
リリ「分かった!刷り込みだわ!!
あの犬はレベッカさんのことをお母さんと刷り込まれたんだわ!!
声がそっくりなのも、最初に彼女の声を聞いたからよ!きっとそうだわ!」
クロ「なんでやねん!!鳥ならまだしも犬に刷り込みなんて起きるか?」
ケオ「…怪我人まで出して……」
ケオスの周囲に光球が一つ、また一つと現れる。
ケオ「…お店で暴れて……」
手の平に光球を集めるとひとまとまりになり、スイカ大の大きさになる
ケオ「…楽しい時間をぶち壊しにして……なにがしたいんだい?」
スイカ大光球から無数の光の矢が一斉に飛び出し謎の犬へと向かっていく。
副『獣に道理はない・・・・・・俺達生徒会のいう秩序も、
俺達の望む平穏もお前にとっちゃあ知ったことはないんだろう
んなぁことは分かってる!!』
そこで一度深呼吸をし、副会長は大きくポーズをとりながら化け犬を指差す!!
副『だから・・・・・・だから俺が裁く!!』
熱く燃える闘志をひっさげ、今副会長がゆく!!
燃えたぎる両の手を化け犬の向きに合わせ、そこから大量の炎が噴出する!!
副『お前に苦しめられた者たちの痛みを知れぇぇぇええ!!』
スク「レベッカよ。ペットの躾は飼い主の責任じゃぞ?」
ミル「なんでそんなに急にキャラ変わってんのよ!?
しっかりしろ お う さ ま―――っ!!」
ケオスと副会長による、光の矢と炎の攻撃が迫る。
レベ「どーどー、王様。危ないから離れてような。
ていうか俺達が犬のそばにいるのに攻撃するなっての。」
スク「ああ~・・余のプリン・アラ・モ~ドがぁ~。」
名残惜しそうな声を残し、レベッカに引きずられていくスクナ。
名残惜しそうに爆炎に突き出していた手からは一本の包帯が伸びている。
六つに分裂した妖怪犬が爆炎から飛び出した後、するすると引き抜かれる包帯。
その先にはプリン・アラ・モードが包まれていた。
無事に戻ったプリン・アラ・モードを手に満足気なスクナ。
周囲は修羅場と化しているのだが、まるで眼中にないかのように。
妖怪犬に、まずケオスの光の矢が当たった。
犬『!?殺そうとした!また私を殺そうとしたぁ!!』
妖怪犬が中つ国の言葉でそう叫んだ後、副会長の炎に包まれ姿が見えなくなった。
リリ「また犬語――――じゃなかった、中つ国語!
レベッカさん、今あの犬は何て言ったの・・・・・・・・うわっ?!」
炎の中から、6つの小さな塊が飛び出し、走り去った。
その小さな塊とは、異様に長い一本の尻尾をもつ子犬達だった。妖怪犬は、6つに体を分けたのだ。
クロ「っち!!これじゃあ迂闊に攻撃できねぇ!!」
副『くっ!!卑劣な!!これでは手が出せん!!』
フリ「分裂した!?分身を攻撃すれば本体にまでダメージを負わせられるような魔法なんて私知らなくてよ!」
ギ「これじゃあ攻撃できないよぉ!?」
とギズモは困惑している
フリ「お~ほっほっほっほ!これでも食らいなさいな!!」
だがそんなことは関係ねえとばかりに人質に遠慮なんかせず雪の結晶を大量に精製し犬に放とうとするフリージア
副『君!やめるんだ!負傷者にもあたる可能性があるっ!!』
フリ「お~ほっほっほっほ!安心なさいな、当たっても体が凍って動けなくなるぐらいですわ!!」
そうフリージアが作り出したのは相手の体を切り裂く氷の結晶ではなく相手を凍らせて動きを止める雪の結晶である
6匹に分離した妖怪子犬達は、おのおのが光の矢を生成した
ギ「ちょっと待って!リリアーナお姉ちゃんが何かやろうとしてるよ!!」
フリ「リリアーナさんが駄目だったら遠慮なく行かせていただきますわよ」
雪の結晶を維持しつつ犬の様子を伺うフリージア
フリ「私が楽しみにしていた猫ちゃん喫茶を壊した罪・・・死なない程度にお仕置きしてあげなきゃ気がすみませんわ」
どうやらリリアーナが説得に成功しても痛い目にあわせるのは確定事項らしい
ギ「あれ?ぶっ殺さないの?」
クロ「誰のか知らんが少し借りるぞ!!」
足に魔力を集中、さらに内養功の効果で加速し木刀をつかむ。
クロ「うおぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」
そして木刀で飛来してくる光の矢をことごとく防ぐ。
リリ『や!め!な!さ――――――――――――っ!い!』
子犬全員がうるさくて身動き取れなくなれ!とばかりに、リリアーナは最大出力のテレパシーを送信した。
リリアーナの発したテレパシーはやはり有効だった。
妖怪子犬達は苦しみ、先程のように素早く動くことができなくなった。
リリ『君が!泣くまで!殴るのを!止めない!・・・・じゃなかった、テレパシーでの説得止めないんだからね!!
だいたいこの学園には中つ国からの留学生だっているのよ!あの人よ、レベッカさん!!
あの人は中つ国の言葉がわかるんだから、何か文句があるなら通訳してもらえば良いじゃない!!
だいたい何?私たちがあなたに何をしたっていうの?
何か気に入らない事があるならいきなり攻撃するんじゃなくて、はっきり言いなさいよ!
皆をこんなひどい目に合わせるなんて許せないわ!
もしかしてあなた達、『魔法使い達に死を』を実行しちゃおうとか思ってるんじゃないでしょうね?
ここはフィジルよ、中つ国じゃないっていうの!! それに、そんな事して何の意味があるのよ!!』
だが、その中で一人副会長は涙を流し感動していた。
副『・・・なんという女性だ!力で我々が押さえつけようする最中でも言葉で戦おうとするなんて!?』
そこまで言って、リリアーナのボキャブラリーが尽きた。
だがテレパシーを止めるわけにもいかない。
リリ『えーとえーと、その・・・・ええい!一番リリアーナ、「私の彼は箒乗り」歌います!』
リリアーナは思いつきで次を繋げた。
苦しんでいる化け犬を完全に無視し今度は歌を歌い始めるリリアーナを見つめる副会長。
副『おお・・・ヤック、デカルチャー!!』
どうやらリリアーナの歌は化け犬を苦しめる効果だけでなく
副会長をゼントラーディ化する効果も含まれているようだ。
今や完全に副会長は燃え盛るバトルモードからラブ&ピースモードへと変っていた!
しばらく動きながら光の矢を防いでいると、犬の動きが何かに苦しむような感じで鈍り始めた。
よし!!今ならいける。
クロ「いくぞ!!ジッチャン直伝『天地両断』」
大地を踏みしめ思いっきり飛び上り、近くの子犬に対し木刀(光の矢付き)を振り下ろす。
そして着地と同時に木刀(光の矢付き)を横へと払った。
クロウの攻撃が一匹の子犬に直撃した。残りは5体である。
クロ「っ!!やばっ!!」
クロウの後ろから来た一匹が、苦しみながらも尻尾を振り回し、背中を叩いた。
フリ「油断大敵ですわよ犬っころ!」
クロウを襲おうとする犬を高所から雪の結晶をズババババーンと投げつけ氷の彫像にしてしまうフリージア
フリ「お~ほっほっほ!!私に掛かればこんなものですわ!感謝しなさいな・・・・え~とまあ誰だっていいですわ!」
後でお礼を言っておきたいが、今は現状を解決することが優先だ。
そう思って立とうとするのだが、
クロ「いてっ」
腰をやられたみたいだ。応急手当だからダメージが蓄積されたか。
残り4体。
例え的が小さく、人質のまわりに居ても、素早さを失った子犬を魔法で狙撃する事は、
2等過程の生徒であれば造作も無いことだった。
このまま順調に子犬を駆逐できるかと思われたが…
ミル「で、レベッカ?何か弁明する事はないわけ?
さっきあんたは、犬はたまたま拾っただけで無関係って言ってたわね。
でも、犬と仲良くお話して、すこしも攻撃の的にならないで。
あんたと犬が関係あるって状況証拠が、山積みになってきてるんだけど?
ペットかどうか知らないけど、あの犬を止めないと連帯責任であんたが損害賠償を払う事になるわよ」
レヘ「ちょ、待て、俺それどころじゃねーし。」
(実はリリアーナが子犬にテレパシー攻撃を開始したとたん、レベッカも子犬と一緒に苦しみだしたのだ。 )
(確かにリリアーナの大声テレパシーはうるさいけど、そんなに苦しむようなものじゃない。)
スク「ま~、そうポンポン言うものではないぞ?
ほれ、可哀想に、余のプリン・アラ・モ~ドもぷるんぷるん震えてしまっておるわ。
ペットの不始末は飼い主の不始末ではあるが、力なき者が倒れるのも自然の摂理。
ここは一つ余のプリンを分けてしんぜるから落ち着くが良いぞ?」
ミル「食べかけプリンなんかいりません。
というか、この状況でなんでそんなに落ち着いていられるんですか」
リリ『♪びゅーんびゅーん♪びゅーんびゅーん♪わたーしの彼は箒ー乗りー♪』
このままだとテレパシーでフルコーラスうたいそうな勢いだ。
リリアーナがテレパシーで歌い始めた時、我慢の限界をこえたレベッカの目がカッと開いた。
そのとたん、魔力に敏感な者はレベッカの魔力が上がったことに気づくだろう。
あたしがボケボケ王様の相手をしていると、苦しんでいたレベッカが急に走り出した。
リリ『やーさーしくー♪そっと♪さらって欲ーしいー♪彼と一緒にー♪ラブ飛行ー♪』
ミル「あ!ちょっとどこに…!」
レヘ「ゴージャス、デリシャス、デカルチャー!」
リリ『アイラービューユー・・・・ふぎゃっ?!』
レベッカはものすごい勢いで走ってきたかと思うと、その勢いのままリリアーナの頭を叩いた。
そう叫びながらレベッカは、『自分の箒に♪お熱なの~♪』と歌うより前にリリアーナに走りより、彼女の頭を叩いた。
ミル「あぁ―――っ!?」
リリ「なっ・・・・・何で~~~~~ッ!!」
リリアーナは涙目でしゃがみこむと、叩かれた痛みが通り過ぎるのを待った。
副『ハッ!!一体俺は何をしていたんだ・・・・・・!?そうだこうしちゃあいられない!
早くあの化け犬を止めないと皆が危ないんだぁ!!』
テレパシーの歌が止みやっと正気に戻った副会長。
レヘ「は~、やっと落ち着いた。で、ミルクなんの話だったか?
俺とお前と王様で3Pする話だったか?」
ミル「言ってねーよそんな話!いつ誰がそんな事言ったよ!?」
スク「そういう話じゃったのか!積極的じゃのう。
女の口からそこまで言わせておいて恥をかかせるわけにも行くまい。
余としても吝かではないしの!」
ミル「そんな事は言ってないって言ってるでしょうが!
こらレベッカ!あんたのせいで話がややこしく…!」
顔をにやつかせながらも食べ終わってプリンアラモードの器をテーブルに置き、術式を展開させていく。
両手に巻かれた包帯がするすると解かれていき、あれよと言う間に天蓋付きベッド(キングサイズ)が中庭に作られていく。
一方妖怪子犬達は、再び光の矢で猛威をふるい始めた。
クロ「くそっ、先に被害者を避難させるべきだったか!!」
だが、今動けない俺ができることは魔法でサポートをするくらい。
しかも爆発を抑える為かなりの魔力を消費した状態である。
クロ「あーもう!!どうすりゃいいんだよ!!」
レヘ「どぅあ?ああ?うぇええ?」
ミル「え?ええええぇ!?」
ミル(な、なんで!?なんでいきなり犬に攻撃されてんのよ!? )
レベッカの頭にグサリと光の矢が突き刺さった。そう、今度はレベッカまでもが攻撃対象になってしまったのである。
レベッカは先程まで魔力を隠していたが、今はそれを開放しているため、妖怪犬から魔法使いと認知されたのである。
レヘ「性欲を持て余す…」
スクナのベッドが完成したところに、レベッカがバタンキューとたおれこむ。
その後も光の矢は次々と飛来するのだが、天蓋からベッドを覆う幕に突き刺さるのみで貫かれる事はなかった。
スク「レベッカは、せっかちじゃな!
ほれ、ミルク。待たせては悪いし、我らも行こうぞ。
即席ではあるが回転機能もあるぞよ~。」
ミル「……っ!! ア ホ な こ と 考えるな―――――っ!!!」
あたしは王様の手を振り払い、怒りにまかせて鉄拳を頭に振り下ろす!
スク「ぐふうう!?な、殴ったね?親父にも蹴られた事しかないの・・・に・・・。」
スクナの頭には大きなタンコブができており、煙を上げている。
その煙は天蓋に溜まり、急速に形を整えていく。
大きな槍を手に携える勇ましい女武者の姿へと。
スク「予兆精霊!百旗丸推参!
ベタ流オヤクソク術奥義其の弐!H・A・N・A・O・T・O・K・O!!」
(突然現われた百旗丸は槍を力いっぱいスクナへと投げつけた。
スクナを串刺しにした槍の柄からは旗が広がった。 スクナは旗を突き立てられたのだ。)
(その一連の出来事を見届けた百旗丸は満足気に頷くと形を崩し消えていった。
同時に旗も消え、貫かれたはずのスクナには傷一つも残ってはいなかった。 )
リリアーナが立ち直る頃には、元気を取り戻した妖怪犬がまた光の矢を山ほど出現させていた。
そして、地味に効くテレパシー攻撃を仕掛けるリリアーナをこのまま見逃してくれる筈もなかった。
リリ「嫌――――っ!こっち見ないで来ないで狙わないでキャ―――― ッ!!」
このままでは周りの負傷者まで巻き添えにしてしまう!
そう考えたリリアーナはじりじりと後ずさりした後、くるりと背を向けに全力で逃げ出した。
リリ「わーん!副会長さーん!クロウさんにフリージア!!レイド先生~!ケオスさーん!
お願いだから誰か助けてーっ!!」
リリ「な、何アレ・・・・・」
(リリアーナはふと、ベッドの天蓋に当たる矢は完全に貫通してない事に気づいた。)
マオ「なんだこれは……」
中央につくとあたりは騒然なことになっていた。
一角の店で光の矢を放つ犬が何匹も走り回り
けが人の数も見る限り相当な数いる。店のまわりも混乱し全員逃げたりするので必至だ。
よく見ると同じ生徒会のメンバーであるクロウと副会長のバン・クロード。
更にはリリアーナやケオスなどの姿まで見える。とりあえず僕は
ヴァンエレンを抱えたまま
副会長の元まで走る。状況を聞かねば話にならないからだ。
マオ「副会長、これはいったいどうしたんですか?もしかしてさっきの爆破と関係しているんですか?」
副『マオ君じゃあないか!!よく来てくれた!!悪いが早速手を・・・んん!?』
マオ「はい!分かりました……どうかしたんですか?」
その時副会長はマオが抱いている子供に目がいく・・・
普通いきなり女性が子供を抱えて現れたら色々と考えるものだ。
副『まさか!!そんな!?・・・・・・いや、ありえないことじゃあない!
そうか・・・その年で子供が・・・・・・何かあったら俺に言ってほしい!
できる限り力になろう!!』
ベッドのまわりで暴れている化け犬そっちのけで、
マオの両肩を力強く掴み真っ直ぐな瞳を向ける副会長!
完全に勘違いなのだがそんなことは知らずに今日も副会長は突き進む!
マオ「副会長……全然違いますよ」
肩をがっしり掴んでくる副会長。この人はいつもこうだから苦手だ。
僕とは決定的に、というか一般人の感覚とはどこかズレている。
マオ「えーとヴァンエレン。ほらお前も副会長に事の経緯を言ってやれ」
ヴ「すー すー」
ヴァンエレンに聞くが反応がない、見てみると眼をとじ寝息を立てていた。
マオ(だ、だめだこいつ。本当に記憶も思考もすべて幼児に退行してる! )
起こすとぐずりそうな気がするし……ああ、なんて厄介なんだろうか。
マオ「ま、まあとりあえず僕の事は置いておいて…」
副『おっと!!すまないがマオ君!君の子供のことについては
後でじっくりと話しあおう!!大丈夫!!安心してくれっ!』
何やら叫んでベッドの方へと走っていく副会長を見て、
加勢してもよいのか分からなかったのでヴァンエレンに聞いてみる。
マオ「……しかしさっぱり状況が分からないな、どうしようかヴァンエレン」
が、当然幼子のように眠りについているヴァンエレンからは反応はない。
マオ「お前いつになったら戻るんだ?このままじゃ自由に動くこともままならないぞ」
実際、僕が暴れている犬と戦っている副会長や他の人間の加勢に易々と行けないのもヴァンエレンがいるからだ。
抱いたままじゃヴァンエレンが危険だし、荷物のようにどこかに置くわけにもいかない。
(ミルクは、ボスボス変な音がしてるのに気づいた。見れば、天蓋から降りる幕に次々突き刺さる光の矢が)
ミル「うわわわ。このベッドって消えたり壊れたりしないんでしょうね!?」
(急いでベッドに上がると、レベッカがまだ倒れてた。 )
ミル「王様、ちょっと包帯貸してもらいますよ」
(あたしはスクナの頭からブラ型包帯をむしり取り、レベッカの頭に巻き付ける。 )
ミル「そうだ王様。さっき包帯を伸ばしてプリン掴んでましたよね?
あんな感じで、犬の動きを封じられないんですか?」
(ミルクの声に反応し、カッと目を見開いたスクナがバネ仕掛けのように起き上がる。 )
スク「余に手を上げ諌めるとは・・・
喜べミルク。お前を余の妃にしてやろう。
これからは王などと呼ばずスクナと呼び捨ててもよいぞ?いや、むしろ呼び捨ててくれ。」
ミルクの手を握り熱い眼差しをじっと送り一方的な愛の告白(?)をぶち上げるのであった。
ミル「は!?いきなり何を…」
スク「まあまあ、皆まで言うな!わかっておる!
力無き者が倒れるは自然の摂理なれど、そういう者どもも導くのが王たる役目よ!」
ミル「いや本当に大丈夫なんで…ってうわっ!?」
リリ「お願い、かくまって!!」
何がわかっているかは謎だが、口を開こうとするミルクの言葉を強引に遮りベッドから出て行く。
スク「いよぉし!ミルクよ!余のカッコいい所をしっかり目に焼き付けておけ!
犬どもを拘束するのは素早くて骨だが、逆に考えればこれでもよいはずであろう?」
両手両足を広げ立つスクナのそこかしこから無数の包帯が放たれる。
スク「そおおおりゃ!これぞ王の道よ!」
周囲の倒れた生徒達を包み込むと、地引網の如くスクナが包帯を引っ張りベッド周辺へと集めたのだ。
スク「さあ者ども、存分にやるが良い!」
人質状態になっていた生徒達は一箇所に集められ、妖怪犬の周りには何もなくなった。
クロ「ナイスサポート!!」
フリ「人質が居なくなったからにはこっちのものですわ!」
フリ「お~ほっほっほっほ!まずはその足を封じさせてもらいますわ!!」
とおもむろに地面を殴りつけるフリージア
フリ「雪と氷の精霊よ我が姉妹達よフリージア・ノクターンの名において命ずる
我が敵を足止めせよ!(精霊語)」
フリージアは霜柱の枷(フリージングバインド)の呪文を唱えた
どうやらフリージアは相手の動きを封じるつもりらしい
フリ「お~ほっほっほっほ!私の呪文が攻撃呪文だけと思わないことですわね!!」
相手の動きが鈍くなればこっちのものだと氷結根を生み出し敵ににじり寄るフリージア
ギ「お母さんが頭を使った!?」
ルス「さすがはフリージア女王様なのですわ~ん!」
そこにしびれるぅあこがれるぅなのですわ~」
ルス「とうっ!!」
なぜか高い場所からニ回転半宙返りして地面に激突したのは、一匹の黒猫だった。
ちなみに黒猫ルズは喋る猫だ。
ルス「あいたたたた、なかなか女王様のようには行かないのですわ~」
ルズは元養いサラマンダー達の元へと颯爽と・・・・・いや、厳密にはふらふらした足取りで走る!
ルス「マンダ、しっ、暫く見ないうちに随分可愛いくなったじゃありませんの・・・・・・。
毛並みも良いし、大事に可愛いがってもらって・・・・・・・はっ!今はそれどころでは無いのですわ~!
こらマンダ、早くこちらの生徒会役員の傷を治して差し上げるのですわ~!」
ルズは前足でクロウの背中を指し示した。
そこは先ほど彼が妖怪犬の尻尾で打たれた部分だ。
ルス「フィジルで暮らすなら生徒会に恩を売りつけて損はないのですわ~マンダも覚えておくのですわ~!
まあこの程度のケガ、本来なら舐めとけば十分でしょうけど!ほーほっほっほ!!」
ミル「これでどうだ!メギド!」
フリージアやクリスから離れた位置にいた犬を狙って、メギドを撃ち込む。
三体の妖怪犬が核熱の炎に飲み込まれた。
クロ「・・・俺の出る幕じゃねーな。」
クロ「今のうち動けるようにするか。」
スク「どーよ!余の力を見たか?
それにしてもそなたのえげつない攻撃も見事ぢゃのう!
さすが我が妃となる女。まさに羅刹!」
ミル「あたしは妃になる、なんて一言も言ってないですけど。
それにどこがえげつない攻撃ですか。
あれは正当防衛の範囲内の攻撃です。
そんな事より犬は全滅…」
させたんですかとつなげるはずの言葉は、天井から落ちてきた槍みたいな何かに遮られた。
ミル「リリアーナ!ちょうど良い所に来てくれた!
レベッカが頭にケガしたんだけど、回復できない!?」
ベッドに飛び込んだリリアーナは、頭にブラジャー型の包帯を巻きつけているレベッカに気づいた。
リリ「キャアアアアッ?!レベッカさんの頭に矢が突き刺さってるううう?!
レベッカさんしっかり!しっかりして!!
ケオスさん!!ケオスさん来て!!レベッカさんが頭を撃たれたっ!!」
リリアーナは大声でケオスを呼んだ。
一刻も争う重症の場合、ケオスの治癒魔法がなんとしても必要だったのだ。
リリ「レベッカさんがんばって、今すぐにケオスさんが来てくれるからねっ」
リリアーナはレベッカの手を握り励ますと、気遣わしげに天蓋の外に目を向ける。
リリアーナと入れ違いに出て行ったスクナは、外で何事かを高らかに宣言していた。
リリ「レベッカさんの応急処置したの、ミルクさんなのね。ありがと」
リリアーナはいつになく神妙な顔で、ベッドの上に座るミルクに声を掛けた。
リリ「あの・・・・・・その、私実はテレパシー使ったせいか、妖怪犬に目の仇にされてるみたいなの。
それで、もし巻き添えで攻撃されたらごめんね」
ミル「どうせあの犬は無差別にみんなを攻撃してたし、気にすることないって。
スクナやフリージアやケオスもいるし、こんな時には頼りになる生徒会の連中も来てる。
後腐れの無いようにここで犬を退治できるよ。 」
リリ「ミルク・・・・・・うん、ありがと」
ミル「それより、リリアーナの魔法でレベッカをもうちょっと治療できない?
頭に矢が刺さったままってのは見てるだけで痛そうだし」
リリ「・・・ケオスさん遅いわね。矢が刺さった場所が場所だけに手が足りた状態で治療したかったんだけど・・・。
外の惨状じゃこちらにまで手が回らないのかもしれないわね」
リリアーナは意を決したように一つ頷くと、ミルクの目をまっすぐに見つめ返した。
リリ「ミルク、あの魔法はもう使えないの。
でも安心して!ミルクが手を貸してくれるなら私にも何とか出来るわ。悪いけど頼めるかな?」
ミル「まあそりゃ出来ることなら手伝うけど…何すればいいの? 」
リリ「じゃあミルク、レベッカを押さえててくれる?」
ミル「わかった」
リリアーナは慎重な手つきでレベッカの頭に刺さった矢を抜いた。
リリ「うん、この傷の深さと角度なら何とかなるかも・・・」
リリアーナは血を拭いながら傷の具合を検分すると、一番治癒効果の高い薬を傷口にすり込んだ。
リリアーナがブラジャー包帯を巻きなおしていると、ふとレベッカのまぶたがかすかに動いたように見えた。
リリ「あっ、レベッカさん気が付いた?・・・大丈夫?ここがどこだか分かる?」
フリージアが足止めした子犬は、ミルクのメギドにより蒸発した。
仕留めたのは3体、残る妖怪犬は1体のみである。
跳躍した一体が向かったのは、リリアーナが逃げ込んだ、王様のベッドの天蓋である。
天蓋に張り付いた子犬はリリアーナ、スクナ、ミルクからは死角となる。
それをいい事に、子犬は尻尾の先を槍のように構え、ブスブスと天蓋を突き破りながら、
3人を串刺しにしようとした。子犬は執拗に魔力をめがけてその尻尾を突き立てる。
副『くっ!いかんあのままではっ!!こうなったらやるしかなぁぁいっ!!』
体全体に魔力を滾らせ両手を広げる副会長・・・・・・
犬『お前らなんか死んじゃえバインダー!』
スク「いっかあああん!
皆の者!余の妃を守れ!!」
ルス「フー!!ナゴー(訳ぎゃ――――止めるのですわ!!)」
そういうや否やスクナは包帯を操作し、ミイラ状態の生徒達を次々とベッドの中へ放り込む。
勿論身を挺してミルクを守らせる為に、だ。
もちろん、貫かれたら重症、いや、
それどころか本当に死もありえるかもしれない。
副『な、ば、馬鹿野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
リリ「え?ちょっとスクナさん、一体何を・・・・・・止めっ・・・・・ふぎゅっ!!」
ミル「ぎゃーっ!見境無くミイラを放り込んでくるなバカーッ!ぐけっ!!」
足下ふかふかベッドの上じゃ自由に逃げ出すこともできず、ミルクは飛んでくるミイラの下敷きになる。
リリアーナはレベッカを庇おうとしたが、真上に振ってきたミイラに押しつぶされてしまった。
(182で〆)
最終更新:2008年11月26日 16:39