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中庭


猫耳メイド喫茶から脱出したケオス、リリアーナ、マンダが現れた場所、そこは中庭だった。
ケオ「流石にここまで離れれば……大丈夫?二人とも」
リリ「うん、お陰様で・・・・・・・でも」
マン「…こわか、た。」
ケオ「うん、…マンダももう大丈夫だから、ね。」
マン「…う、ん」
リリ「結構ひどい爆発だったみたいね。皆は大丈夫かな?
 それに、あの壊れ具合じゃ営業再開は当分先かもね」
心配そうに見上げてくるマンダに気づいたリリアーナは、笑顔を作りマンダの頭を撫でた。
リリ「あっ、心配しないで!あの場にはレイド先生が残ってたから、きっと大丈夫。
 お店のほうも生徒会と時空科の人達がきっとがんばってくれるから!ねっ、ケオスさん」
ケオ「うん、人の方はレイド先生もあの場にいてくれたし大した事は無いと思うよ。お店の方も すぐの再開は難しいだろうけど
 生徒会の人や時空科の人が頑張ってくれるみたいだからなんとかなるんじゃないかな」
マン「………う、ん、き、と大丈夫だよ、ね。」

リリ「そうだ、こうしてる場合じゃなかった。
 喫茶店がどうなったかも気になるけど、レベッカさんの話を聞かないと。
 あの子犬の言った言葉の意味はわからなかったけど、声が彼女と同じだったの。
 もしかしたら彼女、何か知ってるかもしれないわ。
 レベッカは子犬の死体を埋めに林に行ったの。もしかしたら同じように攻撃されてるかも!!」
(リリアーナはレベッカと一緒に例の子犬を拾ったこと、林の中に子犬の死体が2体あったことを話した。)
ケオ「子犬……ね。なるほど、そんな事があったんだ。」
マン「こ、いぬ……こわい……」
(マンダの中ではすっかり子犬とは三又のあの姿がデフォになってしまったらしい )

リリ「あ・・・・・そういえば」
(リリアーナはふと、レベッカノ話を聞いていて感じた違和感の正体に気づいた。 )
ケオ「どうしたの?」
リリ「ううん、何でもない。急ぎましょう!」
ケオ「???」
マン「???」
リリアーナは首を振ると、林に向かって走り始めた。
生まれて間もない子犬が捨てられていた。
同じ箱の中に、死後2、3日経過した子犬の死体があった。
この二つは完全に矛盾しているが、今それを今ケオスに話すのは躊躇われた。

リリ「それにしてもマンダ、暫く見ないうちに本当にかわいくなっちゃって。服はお手製?
 でも、この姿で男子寮に出入りして大丈夫なの?」
マン「えへへ…いい、でしょ……ケオス、つく、てくれた。」
ケオ「本当は買って済ませようと思ったんだけど…
 ほら、リリアーナにも前見せたオラクルを思い付きで使ったら見事にいい目が出てね。
 それ以来お気に入りみたいなんだ。」
マン「ケオス、てづく、り…ケオス、の、プレゼント……たいせつなもの。」
男の子が放っておかないんじゃない?とリリアーナは冗談めかして言った。
ケオ「……正直な所、かなり居たよ、そういう人達。
全員少し頭を冷やしてもらったけど…ね。」
そういうと笑顔のままいつもの皮手袋(今は執事服に合わせるため白色に変わっている。)をはめ直す。
ケオ「ふふ…冗談だよ。
今でも時々そういう人は来るけど、それを含めて仲良くやってるみたい。」

向こうから誰かが走ってくる。
誰か気がついたリリアーナは、手を振りながらも表情を引き締めた。
リリ「ミルク、久しぶり!それと・・・・・今はスクナさん、でいいのかな?初めまして、リリアーナです」
ケオ「ああ、ミルク。さっきぶり。スクナくんもさっきぶりでいいのかな?
で、初めましてケオス・キョンサンです。よろしくレベッカさん。」
ミル「久しぶりー!リリアーナ!ケオスはさっきぶりだね。
 こっちの女の子は?2人の知り合い?」
マン「は、……じめまして…マンダ…です。」
ミル「はじめましてマンダ。あたしはミルク、よろしくね…ってマンダ!?」

リリアーナは挨拶もそこそこに、レベッカに向き直った。
リリ「子犬の亡骸、見つかった?」
レヘ「無くなってたよ。一足遅かったみてーだ。」
レベッカは胸ポケットからタバコを一本取り出すと、それを口にくわえた。
リリアーナは言うべきか言わざるべきか逡巡した後、重い口を開いた。
リリ「『魔法使いは皆死すべし!』
 突然暴れだした子犬が、レベッカさんと同じ声で言った言葉なんだけど・・・・・・心当たりは無いかな?」
レヘ「おいおい、あれが子犬が暴れただけの騒ぎかよ?」
(レベッカが壊れた建物を指差しながら言った。)
レヘ「だいたい、魔法がかかっているならともかく、子犬が言葉を喋るわけが無いだろ。
 仮に子犬が喋ったとして、それが俺の声と瓜二つだったとしても、そいつはただの偶然だ。
 俺はさっきの子犬をたまたま拾っただけで、無関係なんだからな。」
レベッカは今度は裾のポケットからカードを一枚取り出した。
そのカードの角を軽くタバコの先に押し付けると、ポッと火がつく。
レヘ「それとも何かい?あの子犬が俺と何か関係がある証拠でもあんのか?」
(じっとレベッカを凝視していたリリアーナだったが、うん、と一つ頷きにっこりした)
リリ「そっか、無関係なのね!わかった!」

スク「レベッカよ、何をムキになっておるのだ?
 それにタバコ。なんぞ隠したい事でもあるのか?」
レヘ「うるせえ。いちいち隠し事が無けりゃ一服できねえってか?冗談じゃねーよ。」
レベッカは発火用のカードをちぎって捨てた。カードはちぎれるとその効果を失う。
ケオ「スクナくんの言う通りだよ。レベッカさん。」
スク「残念だが余の前ではそのような事をしても無駄じゃ!
 そうやって何かありげな小芝居をして気を引こうと言うのであろう。
 残念だがアレはバン・クロウドなる者の危機一髪ショーとネタが割れておるわ。」
リリ「副会長の・・・・・・危機一髪ショー?」
事情が飲み込めないリリアーナの上を、ひよことたくさんの?マークがぴよぴよ飛び回る。
リリ「あれ?スクナさんってば何でそんなにボロボロなの?怪我を治療したほうが・・・・・・」
レヘ「ほっておけ。ボロボロなのは頭の中だ。」
ミル「誰がうまいこと言えと…」


ケオ「僕たちは始めからレベッカさんを疑っている訳じゃないんだ。
ただ気になる事もあるし、そういう事も含めて君の知恵を借りたいんだよ。」
(マンダもリリアーナも頷いている。 )
リリ「さっき亡骸がなくなってたって言ったけど、何か足跡とか残ってなかった?
 実は喫茶店が爆発したのって、子犬の亡骸がいきなり二体現れて大爆発したのよね」

スク「ほうほうほうほう、やはりそなたがリリアーナか。」
リリ「ええ、確かに私はリリアーナですけど・・・・・」
スク「その方の名は東方まで鳴り響いておる。
 まさに女神だな。
 教徒ではないが、それでも魅入ってしまうほど見事ぢゃのう!」
リリ「・・・・・・・は?女神?教徒??」
(リリアーナ自身は、自分がヒンヌー教徒達に女神と祭り上げられていることを知らないのだ。)
ケオ「………………」 
(スクナが胸を凝視しているのに気付いたケオスは硬貨一枚取り出す。)
マン「ケオス?…ど、したの?」
ケオ「こうするの…」
(硬貨を親指で弾く。)
リリ「申し訳ないのですが、何のことか私にはさっぱり・・・・・・」
 失礼ですが、どなたかとお間違えでは――――って、どこ見てるんですかー!!」
スク「そちは凡人では持ちえぬ一個の完成された美を持つ者。それを誇れ!それが持てる者の特権である責務・・・」
(指弾で打ち出された硬貨は狙い違わずスクナの額目掛けて飛んでいく。
だが硬貨は命中する前に忽然とその姿を消してしまった。 )
ケオ「人にはそれぞれ趣味や趣向があるけど、そうまじまじと見つめられて愉快な人は居ないんじゃないかな?
ね、王様?」
リリ(ケオスさん、笑顔がものすごく恐いんだけど~)
スク「貧乳・巨乳・美乳と様々な美はあれど、一つの到達点に達する美を隠すとはそれこそ冒涜と言うものであろうが!」
(そう言い切ってしまった後、ハチマキがスクナの眼前にするすると伸びてくる。
先ほど放たれた硬貨が額に命中する寸前、ハチマキが勝手に動き出しそれを包み取ったのだ。
  中身を見た途端、スクナはにっこりと微笑み・・・)
スク「おほんっ!まあ、何じゃな。確かに恥らう気持ちもあろうな。そなたの進言取り立ててやろう。
うん、見つめてすまなんだな。はっはっは。」
(そういいながら上機嫌でハチマキに包まれていた金色の硬貨を懐にしまいこむ。
 どうやらケオスの放った硬貨を賄賂と思っているらしい。 )
ケオ「そういうつもりじゃなかったんだけど…まあ、いいかな。」

スク「で、先ほどの話。『魔法使いは皆死すべし!』。
 危機一髪ショーはまだ続いておるのだな?
 その台詞はまさにテロリストか革命家そのもの。
 ならば余の出番であろう!
 そういった反乱分子を叩き潰すのも王の醍醐味じゃからの!」
リリ「何ですって?スクナさん、あなた犬の言葉がわかるのねっ?
 教えて、あの犬は何ていったの?『魔法使いは皆死すべし!』ってどういう意味なのよー!!」
(リリアーナはスクナに詰め寄り、がくがく揺さぶった)
スク「おわっわっ!いきなりなにを!?
 【魔法使い皆死すべし!】は中つ国で起こった文化大革命のスローガンぢゃろ。
 本にもなっておろうに・・・!」
リリ「えっ、そうなの?スクナさんって物知りね」
(スクナは中つ国の言葉がわかるわけではない。
が、【魔法使い皆死すべし!】【大躍進!】の二つのスローガンだけは原文で本に載っていて覚えていたのだ。
ミル「ふーん、中つ国の文化大革命ねえ…聞いたことないなぁ。」
リリ「ミルクさんも?そっか~。でも、お友達のユリさんなら詳しいかもしれないね」

リリアーナに激しく揺さ振られた為、塞がりかけていた傷口が開いてダクダクと血が流れ始めている)

クロ「副会長、あそこのメイド服の生徒ですが
 最後の方まで現場に残っていたので何か知っているかもしれません。」
副『なに!?それは本当か!でかしたぞクロウ!よぉし早速事情聴取をしようではないかぁ!』

リリアーナがスクナを問い詰めていると、人だかりの中から副会長とクロウが近づいてきた。
リリ「あっ、クロウさん・・・だったっけ?無事でよかった・・・・・やだ副会長さん、背中が焦げてる!
 もしかして爆発に巻き込まれたんですか?」
ケオ「……服が焦げただけみたいだね。身体の方は無傷、かすり傷一つ無いよ。」
マン「あつ、くるしい…」
ケオ「こらこら、そういう事は言っちゃいけないよ。」

副『君があのメイド喫茶の従業員の一人か、もう安心だ!
  さっき俺が修復班を送るように本部に送っておいた!!
  たぶん2時間もすればまた営業が可能になるはずだぁ!!』
心配する言葉に全くかみ合ってない応答と熱いガッツポーズで返す副会長!
(実際背中の服は一部分が燃えてどこかのドレスのように肩甲骨が見えている。)
リリ「ありがとうございます!ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします!」

クロ「生徒会だけど、ちょっといいかな?
 喫茶店で起こったことについて何か知っていたら教えてほしいんだけど。」
副『そうだ!そうだったぁ!!・・・頼む!!
 君の力を俺達生徒会・・・いやこの学園祭を愛するものが必要としている!!』
(歩み出てメイド姿の女子生徒の手を両手できつく握りしめる副会長! )
リリ「ええ、それは構いませんが・・・・・・」
リリアーナは困ったような顔で、クロウの後ろに鈴なりのメイド達を見た。

「お姫様抱っこよ!」
「ええ、お姫様抱っこだったですわ!」
「あれは紛れも無くお姫様抱っこでしたわね!」
「副会長とクロウ様、なかなか絵になりましたわね!」
「今後の展開どうなるのかしら~」
「まさかリリィとの三角関係?!泥沼ですわ~楽しみなのわ~」
「「「「じ~~~っ」」」」

リリ「こ、ここじゃちょっと目立ちすぎますし、怪我してる人もいます。とりあえずどこかに座りませんか?」
リリアーナは開いているテーブル席を指差した。
副『よぉぉし!!全員移動だぁぁぁああああああ!!クロウ!!怪我人を運ぶんだぁぁ!!』
クロ「了解!!」
(クロウは副会長に言われた通りに、怪我人を運ぼうと近づく。 )

リリ「レベッカさん、西方の食べ物に興味あるでしょう?メニューの説明ならまかせて!
 いろいろあって遅くなっちゃったけど、何か一緒に食べましょうよ」
レヘ「おう、でもちょっと待ってろ。」
レベッカはケオスとスクナの方へ振り返った。
ケオ「どうしたn――」
レヘ「これで満足かよ?」
レベッカは何を思ったのか、上着を開き、豊かな乳房を露出させた。
もちろん、ケオスとスクナにしっかりと見えるようにである。
流石のケオスも唖然呆然、いつも笑顔で細くなっている目が大きく見開かれる。
リリ「っきゃああああああっ?!」
レヘ「これであいつらも後腐れが無いだろ。」
ミル「ひ、人前でいきなり何てことするんだあんたは!?」
リリ「そ、そういう問題じゃなーいっ!!
 いい、レベッカさん?女の子は好きな人以外にあられもない姿を見せちゃダメなんだからねっ!!」
レベッカは上着を元に戻しながらリリアーナについて行った。

一方マンダはレベッカの大きな胸を見て、自分の胸をペタペタと触った後
マン「まけ、た……」
ケオ「ケオス!わた、し…むね、ほし……むね、おおきく、して?」
(この言葉でケオスの何処かに飛ばされていた魂が戻ってくる。)
ケオ「へ!?マ、マンダはまだまだこれから成長するから、だ、大丈夫だよ、うん」

(スクナには、レベッカの飛び出すロケットおっぱいに対して【美しい!】と目を奪われると共に
もう一つの衝動が去来していた。 )
スク「いっっかあああん!
 貴様!それだけの胸を奔放にさせていては取り返しのつかないことになるぞ!
 ちゃんと形のあったブラをしないと形が崩れる!今すぐこれをぉぉおお!!」
(レベッカの胸に突き進みながら、手首に巻かれた包帯があれよあれよと言う間にブラジャーに形を変えていく。
 完成したブラジャーをレベッカに突きつけたところでスクナはついに倒れた。
 傍から見るとブラジャーを握り締めたまま鼻血を流しすぎて倒れた変態にしか見えなかった。 )
リリ「王様、それじゃカップ部分にメロンが入っちゃうよ?いくらなんでも大きすぎだと思うな~」
クロ「…保健室に連れて行かなくて大丈夫なのか?」
でも、移動しないと話についていけなくなりそうだし…。
ミル「大丈夫大丈夫。王様は頑丈だし、ほら、止血もしておくから」
ミルクはスクナの手からブラジャー型包帯を取り上げて、頭に巻き付けておく。
クロ「まあ、近くに回復科の生徒が来たら回復してもらえばいいか。」
助けに来た生徒会役員達も納得し、王様をテーブル席まで連れて行って椅子に座らせてくれた。
その間に水を取ってきたミルクは、おもむろに気絶した王様の頭に水をぶっかける。
ミル「おはようございます王様。よく眠れましたか?
 そろそろイベント攻略のヒントが出る、作戦会議が始まりますよ。
 王様も西方の食べ物でも食べながら参加するのはどうですか?」
スク「あー、そうするか。」
ブラジャー形の包帯を頭に巻きつけ、物理的に水も滴るいい(?)男になったスクナはボーとしながらミルクに応える。


リリ「――――というわけなんです」
リリリリアーナは、子犬を拾ったところから喫茶店が爆発するまでを手短に話した。
副『もぐもぐっ・・・もぐもぐ・・・ごっくんっ!!
 魔法使いは皆死すべし・・・か、』
口をピラフだらけにしながら腕を組み真剣な表情をする副会長。
クロ「副会長、まったく決まっていませんよ・・・」

リリ「多分私達が拾った生き物は、最初から子犬じゃなかったんですね。
 あの子犬は光の矢で攻撃してきたのですが、準備に一切魔力を発しなかったんです。
 光の矢も、ピッコロさんの魔法障壁を貫通ではなく通り抜けました。
 ――――今から考えれば随分不自然だったと思います。
 生まれて間もない飢えた子犬と、死後2,3日経った亡骸が一緒にあるだなんて。ね、レベッカさん」
クロ「確かに子犬から魔力反応が一切見られなかった。
 しかし魔法障壁まで通り抜けるとは…」
副『ううむ!!光系の魔法は一点集中を取るために魔法障壁を崩しやすいが・・・
 詠唱破棄ともなれば威力がガクンと下がっちまう!
 しかも魔法使いは嫌悪しているような発言をしているってぇ事も考えると本気で魔法とは別系統かもしれないな!』
(その間、ずっとだんまりを決め込んで紅茶をのんびり飲んでいるケオス )
ケオ「……………」
(マンダもケオスの横で大人しくパンを食べていた。 )
(スクナはテーブルに着き、運ばれてきたケーキをもちゃもちゃと食べている。
 その表情はどこかしら気が抜けており、話を聞いているのだか聞いていないのだか判らなかった。 )

リリ「ねえレベッカさん、スクナさんの話だとあの子犬は中つ国の言葉を話してたらしいのね。
 私は中つ国に全然詳しくないんだけど、そういう生き物の話って、今までに聞いたこと無いかな?」
レヘ「さあ、(心当たりがありすぎて)わからねえな。」
レベッカはうーんと唸り、両手を組んで考え込んだ。レベッカは悩んでいた。
レヘ「(どのメニューが一番おいしいんだろうか?それが問題だ。)」
リリ「レベッカさん、このお団子美味しいよ?あそこのウサギさん達が作った月見団子なの。
 よかったら味見してみない?」

クロ「そう、か。
 すまないな、せっかくの学園祭なのに時間をとらせてしまって。」
リリ「とんでもない!こちらこそお役に立てなくて申し訳ありません」
(途中から帽子を深くかぶり二人の会話を黙って聞いている副会長・・・・・・)
リリ(きっと今後の対策を練っていらっしゃるのね!さすがだわ!)
 腕を組み異様な重圧感を醸し出しているが、お腹が一杯になってお休みモードに入っている)
副「・・・・・・ぐう・・・・・・ぐう・・・」
リリ「あ、そういえばクロウさんって、確かクリスさんとお友達だったわよね?
 最近なかなか姿を見かけないんだけど、クリスさんお元気なのかな?」

レヘ「ところで、当然その犬の死体は確認したんだろうな?…まあ、当然か。
 でなけりゃ、こんなところでゆっくり食事をとるはずがねえもんな。」
(レベッカは、タバコを地面に擦りつけて消した。 )
(お団子を飲み込もうとしたリリアーナがうっと喉を詰まらせた。)
レヘ「もしも俺がその子犬だったら、今こうして安心しきっている瞬間を狙うだろうよ。」
クロ「おいおい、あの教室を半壊させたマ・センコーが使われたんだぞ。
 その後に二匹の子犬の死体が現れて・・・」
クロ(ん?なんかおかしいぞ。マ・センコーが使われた後に何で二匹も子犬の死体が現れるんだ?)
(不意に視界に大量の光の矢が現れた。矢の下にいるのは、こちらに向かって突撃してくる一匹の
子犬)
クロ「まさか、な。」
リリ「~~~!~~~!!」
(喉を押さえてじたばたするリリアーナの耳に、ミルクの切羽詰った叫びが届く! )
レヘ「ところでお前ら。さっきから『魔法使いは皆死すべし』を文化革命のスローガンだと言ってるが、
 あれは後年になって創作されたもので、厳密に言えば違ぇぞ。
 もっとも、そんな創作がされるくらい魔法使いがガンガン殺されたのは事実だがな。
 文化革命の真実はだ…」
ミル「でっ!出たーっ!犬!犬がこっちに来てるーっ!!」
レヘ「うぉっ?マジかよ。ていうかでけーな、おい。」
クロ「本当に生きてんのかよ!!って、でか!!」
スク「ん・・・?犬?獅子か狛犬みたいじゃな~。」

(大量の光の矢を引っさげて、妖怪犬が再び現れた。
(体は牛ほどの大きさになり、長い尾はその数を6本にまで増やしていた。
目尻には赤いアイシャドーが入り、顔つきを余計不気味にしている。)

その瞬間!お休みモードだった副会長のスイッチがONになる!!
副『来たなぁ・・・!これ以上被害を出さないためにも奴と戦うぞクロウ!!』
椅子から勢いよくジャンプし体操選手のように空中で一回転し子犬の地面へと立つ!!
着地によって土埃が舞う中、副会長は椅子の足をへし折り木刀へと瞬時に錬成する!
そして胸から油性ペンを取り出しキュッキュッと素早く木刀に書いた文字・・・・・・【生徒会!!】
副『そこのお前!!魔法使いならここにいるぞ!!まず俺を殺しにかかってこいっ!!』
しかし副会長は失念していた!目の前の化け犬にはルールなどない。
ひたすらに何も知らない罪なき者たちを巻きこもうが構わないのだ!

ケオ「ふぅ………」
しかし、慌てる所か溜め息一つ吐いてから再び紅茶を飲む
ケオスとマンダに光の矢が迫る!
マン「ケオス…こ、わい。」
ケオ「心配しないで…すぐ終わるから。僕の背に乗って」
マン「う、ん。」
言われた通りケオスに背負われ、目をギュッと閉じるマンダ。
ケオスは自分に当たりそうな矢を紙一重で躱していく。
リリ「~~~!~~~!!」
ケオ「全く……危ないよ、リリアーナ。」
ケオ「だめだよ、この矢がどんな性質か分からないのに油断したら」
リリアーナを庇ったため、ケオスの手の平から光の矢が突出ている。
リリ「ちょ、手!ケオスさん手!完全に射抜かれてるよ!!」
ケオ「ごめん、マンダと怪我人を頼むよ。マンダ、降りて。」
マン「ち!?…ケ、オス!いたい!?それ、いた、い!?」
ケオ「大丈夫だから……ね。」
相変わらず笑顔のままのケオス。
ケオ「さて、と……っ!」
(手から矢を引き抜く。 )
リリ「ちょっと大丈夫なの?手、ちゃんと動くのっ?!」
(リリアーナはポケットから清潔なハンカチを取り出し、止血のため傷に巻きつけた。 )

ケオ「…お祭の日くらい素直に楽しめないのかな……全く。
 雅が解らない子犬だね。」
マン「リ、リアーナさん…ケオス、こわい……」
その光景を見ていたマンダはリリアーナに抱き付き震えている。
マン「…ケ、オス、おこ、てる。…き、と、みんなのたのしいじかん、いじわるされて…おこ、てる。」
リリ「うん、そうだね。あの犬はひどいね。何でこんな事、繰り返すんだろうね」
リリアーナはマンダの細い肩を両手で掴むと、自分の体からそっと剥がした。
リリ「よく聞いてマンダ。皆あの犬に襲われて怪我して痛がってる。
 だから私達は、怪我をした人の手当てをしなきゃ。マンダも力を貸してくれるわよね?」
そう言うと、リリアーナはマンダを連れてけが人達の方へと向かった。

クロ「まずい!!」
(魔法障壁も効かない妖怪犬の特性を知らなかった一般の生徒達は、犬の攻撃で次々負傷していった)
副会長は木刀を放り投げ化け犬にやられた生徒達の元へとかけつける!
副『おいしっかりしろ!!大丈夫か!?』
「うぐ・・・・・・何がどうなって・・・」
副『安心しろ!もう大丈夫だ!今手当してやるからなっ!!』
倒れている生徒達に治癒魔法を使っていく副会長。
応急手当程度の軽い治癒魔法ではあるがないよりまし、といったものだろう。
リリ「副会長、私たちもお手伝いします!」
マンダとリリアーナも怪我人の治療にあたった。
だが術者も薬も治療道具もまったく足りない。これではろくな治療が出来ないだろう。
副『クロウ!!少しでいい!空間魔法で一般生徒と俺達を区分けできないか!?
 これ以上犠牲を俺は増やしたくない!!』

クロ「っち、このままじゃ被害が拡大するばかりじゃねーか!!」
クロ「これ以上の攻撃は許さん!!
 喰らえ、『鉄掌連拳』」
副『クロウ!!下がるんだ!!その位置は敵の制空権に入っているぞ!!』
だが、攻撃が届く前に尻尾によって攻撃され、校舎の壁に叩きつけられてしまった。
クロ「カハッ」
副『クロォォォォォウ!!!』
吹き飛ばされ息も絶え絶えなクロウを見て副会長の怒髪が天を衝く!!
副『お前の・・・・・・お前の血は何色だぁぁぁぁぁああ!!』
爆発したかのような赤い魔力が副会長の身を纏っていく。
それはまさに生徒会副会長の暑苦しさを集約させたような赤きオーラ!

リリ「ちょっとそこのあなた!そう、あなたよ!」
リリアーナはたまたま居合わせた黒いエプロンドレスの女子生徒を捕まえた。
リリ「えーと。たしかルダリダさんだっけ?悪いけど治療薬が足りないのよ。
 ここなら保健室よりベアトリ薬局が近いからそこで薬を調達してくれない?」
リリアーナは紙にさらさらと何かを書き込んでいる。
リリ「大丈夫大丈夫、詳しい事は全部このメモに書いてあるから!
 代金の請求はレオ先生にとも書いたから、ルダリダさんの懐が痛む事も無いわ。
 じゃあ頼んだわよ!怪我したみんなの命運、あなたに託したからねっ!」
リリアーナは憮然とした表情の生徒にメモを握らせると、ばしんと背を叩いて送り出した。

リリ「じゃあマンダ、次はあっちの怪我人をお願い。くれぐれも気をつけてね」
そういい残し、リリアーナは吹き飛ばされたクロウの元へと急いだ。

フリ「ちょっとそこの人間の下僕哀れで卑しい犬っころ!この私、氷結姫フリージアがお相手いたしますわ!!」
ミル「フリージア!?どこにいるの!?」
キョロキョロ見回すと、なぜか一際高いところからこちらに叫ぶフリージアの姿が。
ミル「なんでそんな高い所にいるんだ!?下に降りてこい下にーっ!!」
わざわざ登ったのだろうか?何故か高いところから現われるフリージアであった
だが妖怪犬が西方の人間の言葉など、聞くわけが無い。魔法使いなら、なおさらである。
リリ「クロウさん大丈夫?立てる?」
リリアーナは息も絶え絶えなクロウに肩を貸した。
クロ「気を、つけろ。あいつ、に魔法、障壁は効、かない。」
とぎれとぎれになりながら言葉を発するが、たぶん聞こえないだろう。
リリ「フリージア!そいつに魔法障壁は通じないわ!ついでに私たちの言葉もね!!」
フリ「お~ほっほっほっほ!魔法障壁が駄目なら氷の盾で防げばいいのよ!!」
ミル「だから下に降りてきて氷の盾で防いで欲しいんだよーっ!!」
ミル(ダメだー!この状況じゃフリージアの助けは期待できん!)
フリ「さっきはよくもこの私を無視してくれましたわね!言葉が通じないのなら肉体でわからせてあげますわ!!」
(とは言ったものの今、雪の結晶による攻撃をしてしまうと副会長の炎の呪文と相殺してしまうだろう )


妖怪犬はまっすぐレベッカに向かって走ってきた。
しかし、何故かレベッカに向かって光の矢は飛ばなかった。
ミル「王様!ちゃっちゃとこの場を離れますよ!王様ーっ!」
妖怪犬はレベッカの前で止まり、またしても中つ国の言葉、そしてレベッカと同じ声で言った。
犬『魔法使い狩りっておもしろいねー、お姉ちゃん(愛好)』
レベッカは、甘えるような仕草をする妖怪犬の鼻の頭をポンポンと叩いた。
そして、すこし後ろにさがりながら言った。
レヘ「チェンダ?(本当にそうか?)」
レベッカが肩から長家槍をおろし、槍頭を妖怪犬の眉間につきつけても、
妖怪犬はそれが戯れであるに違いないとばかりに6本の尻尾を振った。

リリ「幸い骨は折れてみたい。でも派手にぶつけたみたいね」
手早くクロウの視診を終えると、リリアーナは応急手当キットを取り出した。
リリ「応急手当しか出来なくてごめんね」
リリ「クロウさん、スクナさんとレベッカさんの周りだけ光の矢が刺さってなくない?
 あれってスクナさんの王としてのオーラのせい――――なわけ無いか」
クロ「さすがにあの様子で王の威厳はないだろ。」
頭にブラジャーを巻いた姿に王の高貴さなどあるわけ無かった。
という事は、レベッカに原因があるに違いない。だが彼女は妖怪犬など知らないという。
となるとつまり――――。
リリ「分かった!刷り込みだわ!!
 あの犬はレベッカさんのことをお母さんと刷り込まれたんだわ!!
 声がそっくりなのも、最初に彼女の声を聞いたからよ!きっとそうだわ!」
クロ「なんでやねん!!鳥ならまだしも犬に刷り込みなんて起きるか?」

ケオ「…怪我人まで出して……」
ケオスの周囲に光球が一つ、また一つと現れる。
ケオ「…お店で暴れて……」
手の平に光球を集めるとひとまとまりになり、スイカ大の大きさになる
ケオ「…楽しい時間をぶち壊しにして……なにがしたいんだい?」
スイカ大光球から無数の光の矢が一斉に飛び出し謎の犬へと向かっていく。

副『獣に道理はない・・・・・・俺達生徒会のいう秩序も、
 俺達の望む平穏もお前にとっちゃあ知ったことはないんだろう
 んなぁことは分かってる!!』
そこで一度深呼吸をし、副会長は大きくポーズをとりながら化け犬を指差す!!
副『だから・・・・・・だから俺が裁く!!』
熱く燃える闘志をひっさげ、今副会長がゆく!!
燃えたぎる両の手を化け犬の向きに合わせ、そこから大量の炎が噴出する!!
副『お前に苦しめられた者たちの痛みを知れぇぇぇええ!!』

スク「レベッカよ。ペットの躾は飼い主の責任じゃぞ?」
ミル「なんでそんなに急にキャラ変わってんのよ!?
 しっかりしろ お う さ ま―――っ!!」
レベ「どーどー、王様。危ないから離れてような。
 ていうか俺達が犬のそばにいるのに攻撃するなっての。」

妖怪犬に、まずケオスの光の矢が当たった。
犬『!?殺そうとした!また私を殺そうとしたぁ!!』
妖怪犬が中つ国の言葉でそう叫んだ後、副会長の炎に包まれ姿が見えなくなった。
リリ「また犬語――――じゃなかった、中つ国語!
 レベッカさん、今あの犬は何て言ったの・・・・・・・・うわっ?!」
炎の中から、6つの小さな塊が飛び出し、走り去った。
その小さな塊とは、異様に長い一本の尻尾をもつ子犬達だった。妖怪犬は、6つに体を分けたのだ。
クロ「っち!!これじゃあ迂闊に攻撃できねぇ!!」

フリ「分裂した!?分身を攻撃すれば本体にまでダメージを負わせられるような魔法なんて私知らなくてよ!」
ギ「これじゃあ攻撃できないよぉ!?」
とギズモは困惑している
フリ「お~ほっほっほっほ!これでも食らいなさいな!!」
だがそんなことは関係ねえとばかりに人質に遠慮なんかせず雪の結晶を大量に精製し犬に放とうとするフリージア
フリ「お~ほっほっほっほ!安心なさいな、当たっても体が凍って動けなくなるぐらいですわ!!」
そうフリージアが作り出したのは相手の体を切り裂く氷の結晶ではなく相手を凍らせて動きを止める雪の結晶である

さて、妖怪犬は学園祭を楽しむ生徒達を襲撃したが、その際死者を出すことはしなかった。
その理由をたった今知る事になるだろう。6匹の妖怪子犬達は、倒れている被害者達のまわりを走り回ったのだ。
こうなると妖怪犬を攻撃する事は難しくなる。なにしろ6匹に分離した事で的が小さくなったし、
下手をすれば倒れて動けない被害者の生徒達に攻撃が当たるかもしれないからだ。
近接戦闘をしかけるのは、(実際に試してみればすぐにわかるが)すばしっこい子犬に対してはナンセンスである。
6匹に分離した妖怪子犬達は、おのおのが光の矢を生成した

ギ「ちょっと待って!リリアーナお姉ちゃんが何かやろうとしてるよ!!」
フリ「リリアーナさんが駄目だったら遠慮なく行かせていただきますわよ」
雪の結晶を維持しつつ犬の様子を伺うフリージア
フリ「私が楽しみにしていた猫ちゃん喫茶を壊した罪・・・死なない程度にお仕置きしてあげなきゃ気がすみませんわ」
どうやらリリアーナが説得に成功しても痛い目にあわせるのは確定事項らしい
ギ「あれ?ぶっ殺さないの?」

クロ「誰のか知らんが少し借りるぞ!!」
足に魔力を集中、さらに内養功の効果で加速し木刀をつかむ。
クロ「うおぉぉりゃぁぁぁぁぁ!!」
そして木刀で飛来してくる光の矢をことごとく防ぐ。

リリ『や!め!な!さ――――――――――――っ!い!』
子犬全員がうるさくて身動き取れなくなれ!とばかりに、リリアーナは最大出力のテレパシーを送信した。
リリ『君が!泣くまで!殴るのを!止めない!・・・・じゃなかった、テレパシーでの説得止めないんだからね!!
 だいたいこの学園には中つ国からの留学生だっているのよ!あの人よ、レベッカさん!!
 あの人は中つ国の言葉がわかるんだから、何か文句があるなら通訳してもらえば良いじゃない!!
 だいたい何?私たちがあなたに何をしたっていうの?
 何か気に入らない事があるならいきなり攻撃するんじゃなくて、はっきり言いなさいよ!
 皆をこんなひどい目に合わせるなんて許せないわ!
 もしかしてあなた達、『魔法使い達に死を』を実行しちゃおうとか思ってるんじゃないでしょうね?
 ここはフィジルよ、中つ国じゃないっていうの!! それに、そんな事して何の意味があるのよ!!』

そこまで言って、リリアーナのボキャブラリーが尽きた。
だがテレパシーを止めるわけにもいかない。
リリ『えーとえーと、その・・・・ええい!一番リリアーナ、「私の彼は箒乗り」歌います!』
リリアーナは思いつきで次を繋げた。

リリ『♪びゅーんびゅーん♪びゅーんびゅーん♪わたーしの彼は箒ー乗りー♪』
このままだとテレパシーでフルコーラスうたいそうな勢いだ。

しばらく動きながら光の矢を防いでいると、犬の動きが何かに苦しむような感じで鈍り始めた。
よし!!今ならいける。
クロ「いくぞ!!ジッチャン直伝『天地両断』」
大地を踏みしめ思いっきり飛び上り、近くの子犬に対し木刀(光の矢付き)を振り下ろす。
そして着地と同時に木刀(光の矢付き)を横へと払った。

ミル「で、レベッカ?何か弁明する事はないわけ?
 さっきあんたは、犬はたまたま拾っただけで無関係って言ってたわね。
 でも、犬と仲良くお話して、すこしも攻撃の的にならないで。
 あんたと犬が関係あるって状況証拠が、山積みになってきてるんだけど?
 ペットかどうか知らないけど、あの犬を止めないと連帯責任であんたが損害賠償を払う事になるわよ」

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最終更新:2008年11月17日 07:43
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