アットウィキロゴ

ヴァンエレン復活の儀式

暫くその様子を見ていたロウだったが、やれやれ、といった風情でため息をついた。
ロウ「―――― ヴァンエレン殿は果報者。危うく命拾いなさったようじゃな」
マオ「ぐすっ……なにを言ってるんだ?灰になって散ったのが見えなかったのか?」
頭をなでてきたリチャードの手を払いのけながら、マオは宙に舞っている灰を見つめる。
マオ「なにが果報者だ!おまえが殺したくせによくそんなこと言えもんだ!!」
もう我慢ならない!客分だろうが雷で焦がしてやる!
ロウ「そんなに恋しいとあらば仕方あるまいて。
 そもそも、あの状況で逃げずに踏みとどまるとは余程のお人よしか大馬鹿者か・・・。
 いずれにしても闇の眷属には向いとらんのう。そうは思わんか?ユリ殿」
ユリ「もちろん!ヴァンちゃんは身体は闇の眷属でも、心はマオマオといつも一緒のフィジルの住人だからね!」
えっへんと自分のことのように胸をはってから、ようやくマオの手の中にいるコウモリに気づいく。
ユリ「あ。これってヴァンちゃんの使い魔?それとも本人かな?」
そう言って、しゃべらないかとコウモリをツンツン指で突っついた。

ロウはマオの抗議を手で制すると、ステッキで空に魔法陣を描いた。
ロウ「まあまあマオ殿、少し落ち着きなされ。
 ほれ、マオ殿がお持ちのそれ、そこに使い魔が残っておるではないか。
 これはつまりどういう事か、エリートのマオ殿はまだお分かりにならんかのう?ほっほっほ」
マオ「……あ、ああもちろん分かってるさ。僕はエリートだからな」
頭に?マークしか浮かばないがとりあえず仕方ないので相槌を打っておく。
ロウはさらに懐からガラスの瓶を取り出し蓋を開けた。
そしてステッキで瓶を叩くと、風に散らされたはずの灰が見る見るうちに瓶へと吸い込まれていく。
ロウ「では ――――マオ殿、これでわしに貸し一つじゃよ?」
マオ(ヴァンエレンを僕たちの前に放り出さなければそもそもこんな死んでないというのに!)
マオは怒りでギリギリと奥歯を鳴らす。

ロウはヴァンエレンの灰が入った瓶を閉めると、そのままマオに渡した。
ロウ「今から吸血鬼殿を復活させましょうぞ。。
 マオ殿、もし少しでも早く元の姿に戻したいのならば、この瓶にマオ殿の血を注いでくだされ。
 ではわしは儀式に必要な材料をそろえてくるとしようかの。ほっほっほ」
マオ「え!?復活できるのか!?………フッ、ま、まあ最初から分かっていたけどな。
 まあ僕はエリートだから…!そんなこと分からないはずないだろ?
 さっき泣いたのもまあ主人として少しは悲しんでやらないとあいつも浮かばれないと思っただけさ。
 そ、そう!それに泣いておいたほうが後で復活したときにこう感動の再会というかそういうのを演出できると
 思っただけで決して本心から言ってたわけではなくて、大体この学校においてあの程度のことなど(ry」
とりあえず恥ずかしさを隠すために色々と言いながら自分の指を噛み血を瓶に入れる。

ロウ「さて、ユリ殿はこれからどうなさるおつもりかのう?」
ユリ「私は一度『でいりぃ・ふぃじる』本部に戻って連絡を入れてきまーす。
 それではみなさん!また会う日までさよーならー!」
ひらりとデッキブラシに乗って飛び去りかけたユリだが、何を思ったかUターンしてマオの所に戻ってきた。
ユリ「これ、信頼できる情報筋から集めた、ヴァンちゃん復活の儀式の方法だよマオマオ!
 ヴァンちゃんが復活したら私がお礼言ってたって伝えてね!じゃ!」
手帳から一枚紙片をちぎり取り、マオに押しつけてから今度こそ本部に戻っていくユリ。
マオ「ありがとう。ヴァンエレンにもお前が礼を言っていたと伝えておく」

渡された紙片には、ユリの言う『信頼できる情報筋』からの情報が書かれている。

Q・友達の吸血鬼が灰になっちゃった!
  復活の儀式って、灰と水を混ぜ合わせてよくねるで合ってたかな?
A・ ささやき いのり えいしょう ねんじろ!
A・灰と血に加えて、アンデッド属性の素材も混ぜないとダメだよ
A・棺桶に灰を戻して34~26秒待つ(10秒で復活する個体もいるらしい)
A・灰を三つに分け、それぞれを風に散らし、土に埋め、川に流す

マオ(…………なんだかえらく簡単なのもあるんだが本当にこれ
信頼できる情報筋とかいうのから引っ張ってきたものなのかな? )

ロウが材料集めのために立ち寄ったのは、件の焼き鳥の屋台だった。
ロウは焼き鳥を焼いているエースに声を掛ける。
ロウ「すまぬが、この塩焼き鳥をあるだけいただこうかのう?ほれ、御代はここに」
ロウは金貨数枚をカウンターに置いて、ニコニコと待っている。

ロウ「ユリ殿はもう行かれたようじゃの。マオ殿、準備は出来ましたかな?」
ロウが大量の焼き鳥と飲み物をもってマオの所へ戻ってきた。
こんなやつ信用すべきじゃなかった。
マオがそう考え、雷を掌に作り出しているとリチャードは彼女をテーブルに座らせハーブティを置く。
とりあえず出されたから口にする。温かく広がるハーブの香りがとても気持ちをリラックスさせて……
マオ「ってそうじゃなくて!!なんで大量の焼き鶏なんだ!?」

ロウ「ほほう、記者だけあってユリ殿は情報収集力は並々ならぬものがあるのう。
 今日はこの一番目と二番目を使いましょうぞ」
ロウは自分の前にはアイスティーのカップを置いた。
ロウ「では、そろそろ始めましょうかな」
にこにこしながら大量の焼き鶏をアイスティーに浸し続けるロウ。
マオ「あうぅ、だめだこんなやつに任していてはヴァンエレンは……」
それを見てうなだれるマオ。

ロウ「あの焼き鳥屋、超高級な塩を使っておりますな。
 アンデット属性の塩の実物などわしも初めて見ましたぞ。
 じゃがまあ、さすがに塩だけ分けてくれというのでは怪しすぎるのでな
 ほれ、こうして紅茶の中へ儀式に必要な成分を抽出しているわけじゃよ。ほっほっほ」
マオ「な、なんだって!!ってことはその塩……死王の……」

ロウ「さて、こちらの仕込みはこれで完了じゃ。
 次は、この灰にカップの中身を混ぜてかき混ぜるのじゃ。少しづつな」
マオ「よ、よし分かった!混ぜればいいんだな?」
ロウは灰に紅茶だったものを注ぐと、アイスティーについていたマドラーで混ぜるよう言った。
灰と血と焼き鶏のタレとアイスティーの謎の混合物を
マオはアイスティのマドラーでかき混ぜていく……灰などが入っているためかなかなか混ざりにくい。
ロウ「混ぜにくいならこれを使ってくれても構わんぞい」
そういってロウが差し出したのは、先刻使った焼き鳥のうちの一本だった。
死王の塩を増やすという意味でも僕は焼き鶏を受け取り瓶の中につっ込みかき混ぜていく。

なんだかいろいろと混ざりすぎて群青色の謎の気持ち悪い液体になった。

ロウ「マオ殿、終ったらこちらに来てくだされ。儀式を始めましょうぞ」
そう言ってロウは、マオを中庭の隅へといざなった。
人が集まる屋台から離れているため、このあたりは人通りもまばらだった。

ロウは空中に杖で魔法陣を描いた。すると、足元に四角い箱が出現した。
ロウ「本当は棺桶がよいのじゃが、あいにく場所を知らんのでな。
 ちなみにこれは、電子レンヂと呼ばれるマジックアイテムじゃ。
 ささ、マオ殿。この中にヴァンエレン殿の灰が詰まった瓶を入れてくだされ。
 そして蓋を閉めたら、横のつまみを回してスタートボタンを押すのじゃ!」
マオ「電子レンヂ?……よく分からないけどこれに入れればいいんだな?」
なんだかよく分からない箱の中にさっきの群青色の気持ち悪い液体を置き、蓋を閉める。
マオ「それで、このつまみを回してスタートボタンを押せばいいんだな?」
成功すれば電子レンヂが爆発し、ヴァンエレンは復活を果たす筈である。
ロウ「さあマオ殿、ヴァンエレン殿のために祈り念じてくだされ。
 吸血鬼殿が無事にマオ殿の元へかえってこれるようにとの。ほっほっほ」
マオ「え?……あ、ああ分かった!念じればいいんだな」
リチャードの言葉で我にかえり電子レンヂから目を離し手を組み祈る。
――――ジジジジジッ!!
さっきからこの電子レンヂとかいうのの始動音が五月蠅いが今は集中、集中だ……
マオ(……ヴァンエレン、なんだか変な噂も流れていてあれからほとんど会ってなかったけど)
――――ジジジジジジジ!!
マオ「あーもううるさい!!とにかくヴァンエレン!おまえは僕の下僕なんだ!
 僕が一番ヴァンエレンをうまく使えるんだ!!
 どんな形でもいいからとりあえず黄泉還れヴァンエレーン!」
あまりのうるささに祈るのをやめ大声で叫ぶ!!
ドカーーーーーーン!
終わりと同時に電子レンジは爆発して、モクモクと黒い煙が立ち上る。
マオ「うわぁ……なんかこれ大丈夫なのか?」

そして煙から飛び出してきたちっこい物体、そいつがマオの足に抱きついて顔をうずめている。
マオ「ん?なんだこれ……」
ヴ「うー」
怖い夢を見てしまって涙目になっているちっちゃいヴァンエレンでした。
ぎゅっ、と掴んで決して離さないで何も言わずにじっとマオとリチャードを交互に見比べている。
マオ(……もしかして、いやもしかしなくてもヴァンエレン!? )
マオ(ええぇぇぇ!?なんでこんな小さくなってるんだ!? )

ロウは自分の上着をヴァンエレンの肩にかけてやった。
ロウ「とりあえず着替えは必要ですなあ」
ロウ「さて吸血鬼殿、お名前とお年をいえますかな?
 それと、今までにどんなことが起きたか覚えていらっしゃいますかな?」
まだ少し警戒している吸血鬼にリチャードは自分の上着を着せて、優しい口調でヴァンエレンに質問をする。
それによっていくらか警戒を解いた幼子はおずおずとした口調で「ボク、ヴァンエレン…」と答えはじめた。
ヴ「としは…う~、わかんない」
自分の年について頭をひねって考えてみるがまったく覚えがなくて、結局わからないことを告げる。
『今までどんなことが起きたのか』ということにも同様でただ「うーん」と頭を傾げるだけだった。

ロウ「どうやらヴァンエレン殿は、相当魔力を消耗しておったようですな。
 やはり使い魔蝙蝠も一緒に電子レンヂに放り込むべきだったかのう?
 まあ今となっては手遅れというところでしょうな、これは申し訳ない、ほっほっほ」
謝罪している割には、申し訳なさのカケラもない口調だ。
マオ「どうせあの紅茶とか不純物ばかり入れたからだ……全く」
リチャードに文句を言いながら足にしがみついているヴァンエレンの体を持ち上げ、優しく抱っこする。
ロウ「まあ今は少ない魔力でやりくりする魔力節約モードのようなものですな。
 やがて魔力が戻れば、本来の姿に戻れるでしょうぞ。
 まあこれでヴァンエレン殿とマオ殿は晴れて主従の間柄ですな。やはり吸血鬼には枷・・・・・いやいや。
 お二方、末永くお幸せにですな、ほっほっほっほ」
マオ「……なんだってぇぇ!?」
(ちょっと待ってくれ。名門のミゼット家の長女が吸血鬼と正式に主従関係!?
それは家名的にどうなんだろうか、いくらヴァンエレン本人は人畜無害でも、
でも一般的に吸血鬼とそんな間柄だなんていくらなんでも怪しすぎる。 )
マオ「いや、でも待てよ?僕とヴァンエレンが主従関係なんだよな?」
そうだ、僕はこの年で吸血鬼を自らの隷属としているんだ。
闇の生物でありノスフェラトゥ(不死)と呼ばれているあの伝説の吸血鬼!
それを従えているとはやっぱり僕は才能に満ち満ちたエリートということだな!
マオ「ふふふ……よしヴァンエレン。これからはお前は正式に僕のものだ」
抱いている小さくなったヴァンエレンの顔を覗き込みニヤリと笑う僕。
そう言われているヴァンはあさっての方向を向いて、物欲しげにわたあめなる菓子を見つめていた。
ヴ「ほえー」
魔物としての本能はどうやらこんな幼い頃から皆無だったようだ。

ロウは、ふと露店の立ち並ぶ向こう側――――中央あたりがやたら騒がしい事に気づいた。
ロウ「なんじゃ?やけに騒がしいのう。さては新しいアトラクションでも始まったかの?」
アトラクションにしては、悲鳴や怒号、何かが壊れるような音ばかり聞こえてくる。
なにやら物々しい雰囲気だ。
マオ「よし、ヴァンも復活したことだしいってみるか」
マオはそう言って騒ぎの方角へ向かった。
当然ロウも後を追ったのだが、中庭から逃げる生徒達に流されてしまった!

マオ「なんだこれは……」
中央につくとあたりは騒然なことになっていた。
一角の店で光の矢を放つ犬が何匹も走り回り
けが人の数も見る限り相当な数いる。店のまわりも混乱し全員逃げたりするので必至だ。
よく見ると同じ生徒会のメンバーであるクロウと副会長のバン・クロード。
更にはリリアーナやケオスなどの姿まで見える。とりあえず僕はヴァンエレンを抱えたまま
副会長の元まで走る。状況を聞かねば話にならないからだ。
マオ「副会長、これはいったいどうしたんですか?もしかしてさっきの爆破と関係しているんですか?」

-中庭対決(妖怪犬)
(152で〆)

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2008年11月20日 19:11
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。