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貴族、そしてチャイナ娘 - (2008/08/06 (水) 20:36:36) のソース

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赤い髪の少女、いや少女というには無理がある。 
並の男性よりも長身。それでいて胸は大きく腰は滑らか。 
生まれた世界が違えば、パリのトップモデルとでも同等に渡り合っていたであろう素晴らしいバディ。 
そして、その美しさの裏には男を操る『棘』を隠し持つ。 
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーはそんな女だ。 




「シエスタ……変ね。メイドが一人死んだだけ……なのにどうして」 



キュルケの心の琴線に引っかかるのは最初の出来事。 
学院のメイドが無残に爆死するという凄惨な光景。 
でも悲惨な光景を見たことによるショックとは何かが違う。 
平民のメイドが一人死んだ。それだけでこれほどまでに動揺するなどありえないはずだった。 
確かに過去にはシエスタを助けるために、家宝の本をモットハックという貴族に渡した事はある。 
だがそれはあくまでも、才人が望んだから。シエスタのためと言うわけではない。 
それなのに、友が死んだかのように動揺している。いや、悲しんでいる。 



 ダーリンが悲しんでいる顔を見たせいよね。……そうよ。きっとそうだわ。 



いつまでも考え事をしているような余裕は無い。 
必死で自分に言い聞かせ、悲しみは心の奥深くに閉じ込める。 
そして支給品を確認すべくバッグを開く。 
中にあるのは地図や名簿や筆記用具。そして三つの包み紙。 
その中から適当に一つを取り包まれた紙を開く。 
すると見覚えのある物が出現する。 



「これは……タバサの杖?少し大きいけどどうやってこんな紙に……?」 



さすがのキュルケもこれには不思議に思う。タバサの杖は自分やルイズの物より大きい。もちろん包んでいた紙よりも明らかに大きい。  
それにも関わらず包み紙を開くと出てきた。物理法則を無視した事象を疑問に思わないわけが無い。しかし―― 



「……魔法の紙?こんな魔法あったかしら。でも深く考える時間なんてないわ。きっと後で習うのよね」 



強引に納得してしまう。最もこれについてはキュルケの世界の技術ではない以上考え込んでも仕方が無い。 
そして次なるは当面の目標設定である。 



「そうね。まずは人を探さないと。タバサとダーリンとそして……」 



「はあ……大体ここはどこネ。こんな武器で殺し合いなんて出来るわけ無いアルっ!」 



 えっ!ルイズ!? 



突然耳に入るはルイズの声。口調はおかしいが、明らかにルイズと全く同じ声。 
もしかしたら先ほどの惨劇のショックで何か精神に異常が出ているのかもしれない。 
そうだとしたら放っておけるわけがない。 
普段はツェルプストーとヴァリエールは犬猿の中だが、今はそんな事を言っている時では無い。 
かつてガリアで囚われのタバサを助けたあの時のように、力を合わせ全力を尽くさなければならない。 
意を決し、キュルケは声がした方へ向かい走り出す。 



  ☆   ☆   ☆ 



時間は少し遡る。 



チャイナ服の小柄な少女神楽はボーリング場の壁にもたれるように座り考え込んでいる。 
何度か難しい顔をするが、それは数分の出来事。 
すぐに立ち上がる。大きく勢いをつけて。 



「歌舞伎町の女王が何座り込んでるアルかっ!」 



自分に叱咤激励をするように、少し強い口調の言葉だった。 
そして少し早足で歩き出す。 



 殺し合いなんて冗談じゃないアル。銀ちゃんも新八もヅラも殺し合いなんてするわけ無いネ。 
 大体私は人を傷つけるのがいやで万事屋で働いてるのに、これで人を殺したらチャンチャラおかしいよ、あのジジイ何考えてるアルか。 



歩きながらも愚痴を心の中で呟く。 
とにかく怒りと義憤で心は満ちていた。 
人を傷つけるのに嫌気が差して、用心棒稼業を廃業。 
銀時たちと生き、苦楽を共にするようになった。 
その自分に殺し合い。これは許せる事では決して無い。 



 それに殺し合いというくせにこの武器は何事アルか。拡声器と木刀じゃ人は殺せないネ。私は銀ちゃんじゃないアルよ。 
 せめて刀ぐらい渡してほしいネ。傘まで取り上げて……最悪の極みアル。 



バッグから出てきた自分の武器にも不満が有り、次第にフラストレーションが溜まりつつある。 
殺し合いを強要するくせに武器は取り上げ、殺傷能力が低そうな武器を渡すという意味不明の行為には怒りが募る。 
そして遂に―― 



「はあ……大体ここはどこネ。こんな武器で殺し合いなんて出来るわけ無いアルっ!」 



気持ちを大声で吐き出す。先ほどより更に大きな声で、思いっきり叫ぶ。 



「………ふう、一度叫ぶとすっきりして気持ちいいアル」 



一通り叫び終えると、元通りの神楽が遂に姿を現した。 



「工場長の名に掛けて……私が絶対ジジイを倒すね!」 



夜の月は、神楽の頭上で美しく輝く。 




【G-8 ボーリング場付近 一日目 深夜】 



【キュルケ@ゼロの使い魔】 
{状態}健康 精神に僅かの動揺 
{装備}タバサの杖@ゼロの使い魔 
{道具}支給品一式 不明支給品1~2(本人は未確認) 
{思考} 
1:先ほどの声の主(ルイズと誤認)に会いに行く 
2:タバサ、サイト、ルイズと合流する 
3:危害を加えて来ない限りは仕掛けない。 
基本行動方針 
学院に四人で帰る。 



【備考】 
キュルケの登場時期は原作10巻。 
ガリア王ジョゼフからタバサを救出した直後辺りです。 



【神楽@銀魂】 
{状態}健康 若干の苛立ち 
{装備}木刀正宗@ハヤテのごとく 
{道具}支給品一式 拡声器@BATTLE ROYALE 
{思考} 
1:銀ちゃん(銀時)と新八とヅラ(桂小太郎)を探す。 
2:帰る方法を考える 
3:殺し合いに乗る気は無い。 
基本行動方針 
殺し合いに乗っていない人は守る。乗っている人は倒す。 



【備考】 
木刀正宗の切れ味に気付いていません。


|013:[[闇の中で]]|[[投下順>第000話~第050話]]|015:[[再生怪人アンデルセン]]|
|013:[[闇の中で]]|[[時系列順>第1回放送までの本編SS]]|015:[[再生怪人アンデルセン]]|
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