たくないとしひらはその光景に違和感を感じた。
「見たことがある」と。
初めて目にするはずの出来事のはずなのに、その光景は既に見たことがある。
そんな違和感だった。
―――これはいわゆるデジャヴュと言うやつだろうか。
―――目の前の出来事がやたらスローモーションに感じるのもそのせいだろうか。
そんな事を、たくないとしひらは頭の中でひっそりと呟いていた。
―――遡る事数十分前
漫研メンバー達はヨドバシ○メラに寄っていた。
目的はカードを買うためであった。
たく(以下、た)「あ、雑誌の新刊が出てる!」
それ以外の目的を持った者もいたが…。
それぞれの目的を果たした頃には日が沈みかけていた。帰るにはちょうど良い時間帯であった。
いつもの漫研メンバーにしては珍しく、エレベーターで降りようとの提案があった。その提案に対して異議を唱える者はもちろんい
なかった。
かみ(以下、か)「
エレベーターだよ」
ダヤシハ(以下、ダ)「かみさん、それはたくないがやるべきものだ。さぁ、たくない!」
た「エレベーターだよ」
(パシーン!)
た「…俺は何故ぶたれた?」
ダ「なんとなく」
そこには
いつも通りの風景が広がっていた。誰もが笑っている心地よい空間。
しかし、そんな時間に終わりがやってきた。
エレベーターの扉が閉じた瞬間にたくないは違和感を感じた。正確にはエレベーターに入る少し前からではあったが。
その違和感に確信を持ったのは初めて見る筈の人物を一度どこかで見ていたからだ。
そもそも顔も初めて見るような人物を知っている事自体がおかしいのではあるが。
???(以下、?)「初めまして、漫研のみなさん」
そして何よりもその人物が自分達の事を知っている事が一番のおかしい事であった。
真夏なのにロングコート、その中に見えるのは漆黒のスーツ、そして深く被った帽子とサングラスとマスクによって隠された顔は怪しい風貌丸出しであった。
?「生徒会からの命令を受けまして。貴方達を倒します」
ダ「どけ、たくない!撲滅掌をブチかます!!」
言うと同時にダヤシハの右手は輝き始めた。
た「ぬおおぉぉぉぉぉぉ!?」
?「そんなものがこの私に効くとでも思って―――」
ダ「ふんぬっっ!!!」
瞬間。エレベーター内は黄金の輝きに包まれた。光からは熱エネルギーの余波が容赦なく噴出し、密室状態であるエレベーターの中は急激に温度が上昇。そう広くない空間は瞬く間にサウナ化した。
?「ぐはっ!…なっ!この私がダメージを受けているだと?貴方は一体!?」
彼の特性はデロデロボディ。無論無事な訳がない。
立夫(以下、立)「ぎええええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
石「立夫乙www」
ピンポーン!
全員「「「「!?」」」」
気が付けばエレベーターは到着していた。存在するはずのない地下30階に。
扉が開くと、そこは照明が一切ない暗闇が続くばかりであった。
?「貴方達が望むのならば私についてきなさい。生徒会のメンバーに会わせてあげましょう」
た「オマエは一体…何者なんだ?」
?「その答えもこの先にありますよ?フフフ」
か「…………(汗」
………………………。
た「と、いった夢を見たわけだ」
ダ「そこまでいって夢オチで終わらせるとはもったいない」
場所は漫画研究部室。
そこにはいつもと変わらない漫研の日常が繰り広げられていた。
窓の外では
オタガラスが口を開けて呆けていた。
解説/執筆者コメント
前のお話と繋がっていないのは当たり前。
と言うのも4話が挙がったら速攻で挙げるために書いておいたものをちょっと調整しただけのものだから。
いわゆる外伝的なものと考えていってもらっても間違いではないかも。
ちなみにタイトルでオチが分かってしまうのは言わない約束。
執筆者:たく
最終更新:2010年05月12日 00:05