4S(よんえす)は、東芝が開発中の超小型(電気出力10MW-50MW級)ナトリウム冷却高速炉。4Sの意味はSuper-Safe、Small & Simple。
この小型高速炉は、送電インフラの十分整備できていない地域や
島嶼での電力供給(→
離島における電力供給も参照)、熱供給、海水淡水化等、原子力の多目的利用に貢献でき、将来の地域共生型エネルギーの有力なオプションとなりうると考えられる。
生産者側にとっての小型化のメリットは、発電プラントを工場で一体的に製作し、海上輸送することで、品質の確保と工期の短縮を狙えることである。更に核燃料を30年間無交換とすることを前提としており、ライフサイクルコストの大幅な削減や兵器などへの転用が困難というクリーンさも売り込みの際のアピール材料になると考えられている。
また、4S炉は「燃料無交換炉心のための新型制御方式に関する技術開発」として平成14年から5ヶ年の文科省のプロジェクト「革新的原子力システム技術開発(核燃料サイクルシステム技術)」の一つに採択され、平成19年には、4段階中上から2番目の「想定通りの結果が得られ、今後に期待できる」との評価を得た。(→参考URL3)
寿命期間に亘り温度反応度係数が負であるため、炉停止失敗などの事故時でも炉心出力が自動的に下がり、炉心損傷に至ることはない(受動的炉停止)。また、自然循環を利用した崩壊熱除去システムにより、除熱源喪失事象においても、原子炉の冷却が可能である(受動的除熱)。
最終更新:2011年02月18日 16:30