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野山の空気

野山に到着したのは、すっかり暗くなっていた。誰も来山していなかた。私と家内と犬のサクラのみが野山で今晩を過ごす。
午後9時 さすがに冷え込んで来た。日中市内を車で走っていると汗ばむ陽気であったのに、この自然は別の世界である。
家内がストーブに薪を入れて焚き始めた、炎の揺らめきは安堵を伝えて来る。サクラは好きな時に、サクラ専用のくぐり戸を押して散歩に
出掛ける、京都へ戻るとほとんど一日中寝てばかい、動きは緩慢、それがこの野山に足を踏み入れた途端に、山犬に変身するのである。
石垣、段差をものともせず、飛び上り、テイサンのバスの犬の様に、全速力で走りまわる。草むらでは背中を擦りつけて、ゴロゴロ何度も
ころがるのである。この野山で生まれ、この野山の土に帰る宿命を持った犬だと思う。
野山寮の消灯前に、暗がりへ30分から長くて一時間、どのコースを辿るのか分からないが気が済むまで散策をして戻って来る。
生まれて8年、病気知らずの元気者、余程の警戒心を抱かない限り吠えることもない。静かな、おとなしい、空気が読める犬だから、存在を忘れるほど、
邪魔にならない犬であり、我々夫婦にとって、最初で最後になる、かけがえのない犬である。

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最終更新:2009年04月19日 21:29