ヴァルナ

①司法神(水天)

仏教よりはるか以前に成立したヴェーダ聖典に登場する神

この神名は、ギリシア語のウラーノス(天空)と語源的に関係があり、
蒼穹(そうきゅう)の神格化と推定されるが、
ヴェーダにおけるヴァルナは「天則(リタ)」
- 自然界にも、道徳・祭祀にも一貫した秩序を与えている理法 -
の守護者である
日月の運行、四季の循環など、自然の秩序は彼によって維持され、
人倫に悖る(もとる)不正や欺瞞はことごとく彼にあばかれ、
罪人はこの神の縄索(じょうさく)にかけられる。
ヴァルナに捧げる讃歌には、ヴェーダ讃歌一般にあふれる素朴な神への親近感は見られない。
人々はこの峻厳(しゅんけん)な神に畏怖の念をいだき、ひたすら罪の赦免を乞うのである。


②社会階級

日本ではカーストというとインド古来の四種姓、すなわち
の意味に理解されることが多い。

しかし、インドではこの種姓をヴァルナと呼び、本来「色」を意味する語である。
社会階級が「ヴァルナ」という語で意味されるのは、五河地方へはいったアーリア人
インドに侵入した時、 自らを肌の色が黒いの先住民ダーサから
「色」によって区別し、血の純潔を保とうとしたことに由来すると考えられる。
アーリア人はインドへはいってくる以前から貴族と庶民の区別をもっていた模様)

この語に「身分」「階級」の意味が加わり、
混血が進み肌の色が身分を示す標識でなくなったあとにおいても、
この語は依然として「身分」「階級」の意味に使われ続けた。

4バルナのうち上位の3バルナは再生族(ドビジャ)と呼ばれ、
これに属する男子は10歳前後に入門式(ウパナヤナ(2度目の誕生)を挙げ、
アーリヤ社会の一員としてベーダの祭式に参加する資格が与えられる。

これに対しシュードラは入門式を挙げることのできない一生族(エーカジャ)とされ、
再生族から宗教上、社会上、経済上のさまざまな差別を受けた。

そして、シュードラのさらに下には、4バルナの枠組みの外におかれた不可触民
(今日では指定カーストと呼ばれる)が存在した。
彼らは「第5のバルナに属する者(パンチャマ)」とも「バルナを持たない者」とも呼ばれる。

時代が下るとともに下位の両バルナと職業の関係に変化が生じ、
バイシャは商人階級のみを、シュードラは農民、牧者、
手工業者など生産に従事する大衆を意味する。
こうした変化にともないシュードラ差別は緩和されたが、
不可触民への差別はむしろ強化された。








最終更新:2007年07月28日 14:44
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