アーマード・コアシリーズの第十二作目。
ストーリー
国家解体戦争から数十年。大気と土壌の汚染が深刻化した世界において、企業は危機的状況に陥った生活圏から脱すべく「クレイドル」と呼ばれる巨大な空中プラットホームを開発建造する。人類の過半数は高度7000m以上に設置されたクレイドルへ移住し、そこで生活することとなった。
その一方で、かつて戦場の覇権を握った人型兵器
アーマード・コア「ネクスト」とその搭乗者「リンクス」は、一個人の能力に全てを頼る戦力であることから、その不安定さを嫌った企業によって興された組織「カラード」の管理下に置かれ、全てが地上へ残されることとなった。
かつてレイレナード社を壊滅させ、
アナトリアを滅ぼした2人のリンクスによる決闘から数年。企業間戦争の主役は超巨大兵器「アームズフォート」に取って代わられ、かつてのリンクス達は地上における尖兵と成り果てていた。
物語は、名も知られぬ一人のリンクスが地上勢力「ラインアーク」を襲撃するところから始まる。
組織
GAグループ
GA(Global Armaments)
環太平洋圏を中心とした、世界最大の総合企業。 食料分野でアルゼブラと、化石資源分野でインテリオル・ユニオンと対立関係にあるほか、リンクス戦争当時内部対立していたGAヨーロッパを母体とするトーラスとの関係も悪い。 リリースする製品は実弾に対する耐性がある。アームズフォート「ギガベース」「グレートウォール」「ランドクラブ」を保有し、ランドクラブは量産されている。 新標準機「GAN02-NEW-SUNSHINE」は、低AMS適性のリンクスによる運用を考慮した中量機体である。
有澤重工
日系の重工業系総合企業。 軍用車両や炸薬に専門性を発揮し、リリースするノーマルやネクスト用パーツは堅牢さがある。あるパーツの説明にもあるとおり、大艦巨砲主義というに相応しい。 なお、パーツ名の全てに日本の温泉地の名がとられている。通称、温泉ウェポン。 第43代社長である有澤隆文はAMS適性を有しており、優秀なリンクスでもある。
クーガー
GAの完全子会社で、ロケットエンジン分野に高い専門性を発揮する。 リンクス戦争当時は、GAグループ全体がコジマ技術に関して他企業に後れを取っていたが、戦後の情報・人事戦略によりその差を埋めつつある。 MSACインターナショナル GAの完全子会社で、ミサイルや電子機器を手掛けるハイテク企業。特にミサイル部門のシェアが大きく、優良企業と評されている。
BFF(Bernard and Felix Foundation)
欧州2位の規模を誇る総合企業。 リンクス戦争当時は欧州の最大組織として君臨、レイレナードとアクアビット陣営に与し、GAグループとは対立関係にあった。戦後、首脳部であるクイーンズランスを失うなど半ば壊滅状態に陥っていた所をGAの支援により復興する。 得意の長距離射撃・電子戦兵器の他、中近距離を主眼に置いた前衛用パーツや新標準機「063AN」の開発にも成功している。アームズフォート「スピリット・オブ・マザーウィル」を保有する他、海上戦力として「BFF第八艦隊」が登場する。
オーメルグループ
オーメル・サイエンス・テクノロジー
西アジア圏を拠点とする総合軍事企業。特化技術だけでなく政治力にも優れており、企業連(後述)の中でも強い発言力を持つ。 技術水準は高く、リンクス戦争以前にコジマ技術の独自開発にも成功していた。戦後、同じくコジマ技術のリーディングカンパニーであったレイレナードの技術者を取り込んだことで、さらにその技術水準は向上している。同社の新標準機である「TYPE-LAHIRE」はレイレナード製ネクストの技術とフォルムが色濃く反映されている。 コジマ技術を巡り、旧アクアビット技術者が多数所属するトーラスとは競合対立関係にある。 直接的な戦力は少ないが、企業連での政治的台頭やかつて前作でジョシュアが搭乗していたプロトタイプネクスト“ARETHA”の改良機をはじめとする戦力支援、資金援助などの工作で周囲に影響力を発揮する。 メルツェルの働きにより、秘密裏にORCA旅団を援助していた。 インテリオル・ユニオンと共同でアームズフォート「アンサラー」を開発した。
ローゼンタール
財閥系巨大資本グループの一翼を担う総合軍事企業。 リンクス戦争以前からオーメルとは提携関係にあり、かつてはグループの盟主の地位にあった。しかし、戦後オーメルが旧レイレナードの技術者を吸収するなどの形で勢力を拡大したことにより、その地位をオーメルに譲り渡すこととなる。 極めて緻密な設計に裏打ちされた、汎用的でバランス感覚に優れた、癖の無い兵器を提供することで知られ、扱いやすい。また、世俗的認知度も高い。 新標準機は「TYPE-LANCEL」。国家解体戦争当時に開発された「TYPE-HOGIRE」を再設計、軽量化したもので、EN兵器の使用も想定されている。デザイン、標準装備の武装ともに騎士をモチーフとしている。
アルゼブラ
旧社名は
イクバール。リンクス戦争後の首脳部刷新に伴い社名を変更したほか、イクバール時代に開発したパーツや標準機体の名称も変更している。 南アジア経済圏を実質支配する工業系総合企業で、豊富な人的資源と他企業には見られない特異な発想の兵器で知られる。とりわけ、機動性に特化したものが多い。アームズフォート「カブラカン」を保有する。新標準機「EKHAZAR」は耐久性と運動性能に優れている他、銃器を斜めに構える射撃スタイルが特徴。 食料問題を巡り、GAとは対立関係にある。
有沢重工同様、製品名に型式番号がつかない。射突ブレードやショットガンの様に、近距離戦闘用の武器で知られる。
テクノクラート
ロシアの国有企業が母体となる軍事企業。元々はイクバールの子会社だった。 リリースする兵器は無誘導のロケットランチャーなど、旧式のものがほとんどで、技術水準も低い斜陽企業と評されている。
インテリオルグループ
インテリオル・ユニオン
欧州第1の規模を誇る軍事企業。リンクス戦争当時はレイレナード、BFF側に属していた。発電施設「メガリス」の破壊により早々に戦線から脱落していたが、被害は最小限に留まり、レイレナードやBFFの様に壊滅的な打撃を受けることは無かった。 高い技術力を誇り、特に旧メリエスが手掛けていたレーザー兵器に関しては、業界のリーディングカンパニーとしての地位を確固たるものにしている。4系のKARASAWAとして名高いハイレーザーライフル「CANOPUS」もインテリオル製である。 アームズフォートは「スティグロ」、GAから鹵獲した「ランドクラブ」(GA製のものとは武装が異なる)を保有するほか、オーメル・サイエンス・テクノロジーと共同で「アンサラー」を開発した。また、トーラスと共同して“イクリプス”を開発し、量産も行っている。 GAとは化石燃料分野で対立関係にある。 リンクス戦争当時から、レオーネメカニカ、メリエス、アルドラの三社による企業連合としてのインテリオル・ユニオンは存在していたが、戦後アルドラがそこから離れ、レオーネメカニカとメリエスの合併によって生まれた企業が現在のインテリオル・ユニオンである。
アルブレヒト・ドライス
かつて企業連合体としてのインテリオル・ユニオンを構成していた重工業系軍事企業。アルドラと略称される。 ACの基幹技術の1つであるアクチュエータ複雑系(Actuator Complexity System:ACS)の開発元で、同技術のハードルが低くなった現在でも、高い専門性を発揮し続けている。初の自社独自設計ネクスト「SOLDNER」は、特に採算性に優れている。 トーラスの支援を受けて次期標準型ネクストを開発中であり、「SOLDNER」ではレイレナード製であったジェネレータとオーバードブースタが自社製となる予定である。 独立した後も、現在のインテリオル・ユニオンとの関係は良好。
トーラス
リンクス戦争で壊滅したGAヨーロッパ(GAE)を母体とする新興企業。同じく壊滅したアクアビットの技術者を取り込んだことで、コジマ技術に関して極めて高い技術水準を有している。GAEとアクアビットの特徴を凝縮した独特な兵器設計思想を持ち、AFソルディオス・オービットを目にした主人公のオペレーターや有澤重工社長は「変態ども」と評していた。 コジマ技術に関してオーメル・サイエンス・テクノロジーと競合関係にあるほか、前身であるGAEを見限って崩壊させた当時の親会社、GAとの関係も悪い。 自社製ネクスト「ARGYROS」は、かつてのGAEとアクアビットの合作兵器「ソルディオス」の技術を生かした最重量機となっている。
その他の組織
企業連
正式名称は「企業統治連合」。ほぼ全ての企業が籍を置く国際機構。企業社会の平和と秩序の維持が目的。現在は形骸化が進み、「企業の総意」を表現する場としてのみ存在意義を保っている。しかし、オーメルの政治的能力が大きいことから、オーメルの意思を代弁する事が多いとされている。AF「アンサラー」の製作はインテリオルとオーメルの合同によるもの。
カラード
企業連管轄下のリンクス管理機構。 リンクス戦争後、各企業が全てのリンクスの占有権を放棄し、共同管理する方針を取ったために生まれた組織。しかし現在では企業連が形骸化していることもあり、企業の意を受けたミッション仲介ブローカーの溜まり場と化し、カラードランクの管理とオーダーマッチ主催以上の活動は行われていない。このため、実質的に企業専属となるリンクスや、カラードに所属しないリンクス「イレギュラー」も存在している。 所属リンクスは、イレギュラー側から「首輪付き」と揶揄されることもある。
ラインアーク
企業による支配とクレイドルを批判する最大の地上勢力。首長はブロック・セラノ。 流通の要衝、海上都市ラインアークを拠点とし、自由と民主主義を掲げているが、「来る者は拒まず」の姿勢を打ち出しているため、企業内の競争に敗れた者まで多数流入している。このため、政治的・社会的腐敗が進み、既にその理想は形骸化しつつあり、首長およびその側近だけがこの理想を堅持し続けている。そのためか、非常に腰が低い依頼の説明のしかたをする。 ネクスト、ホワイト・グリントの存在が企業連との戦いを辛うじて可能としている。 物語中盤で居住区の電力供給施設メガリスを破壊され、完全に壊滅する。
アスピナ機関
ネクストの操縦システムであるAMS(Allegory Manipulate System)の開発・研究を手掛ける研究機関。特にオーメルとの関係は深い。 元はコロニーであり、リンクス戦争ではテスト個体であったジョシュア・オブライエン及びネクストAC「ホワイト・グリント」を実戦に投入していたが、戦後もその方針を維持し、データ収集のため、フラジールなどのテスト体を正規のリンクスとして登録し、実戦に投入している。
ORCA旅団
マクシミリアン・テルミドールとメルツェルが率いる反動勢力。密かにアームズフォート「ジェット」や、衛星軌道掃射砲「エーレンベルク」といった大規模な兵器も所有している。「クローズ・プラン」なる計画を推し進め、クレイドル体制に敵対する。前作で壊滅したレイレナードの遺産を多数有しており、作品中では「レイレナードの亡霊」とも呼ばれた。 プレイ一周目では絶対に敵対する組織だが、二周目から所属することが可能になる。
コルセール
カラードのNo.23、フランソワ=ネリスが隊長を務める
独立傭兵部隊。多くのネクストを擁するとされるが、隊長以外は劇中に登場しない。
リリアナ
クレイドル体制に敵対する反体制勢力で、ラインアークを追放されるほど過激で凶暴な活動組織。かつてオールドキングが所属していたことが劇中で語られている。劇中ではクレイドル21を占拠したものの主人公によって奪還され、占拠していた部隊も全滅した。ハードモードではレイレナードの遺産である無人型ネクストを使用していたが入手先等は不明。その後については劇中では語られていない。
用語
アームズフォート(AF)
機種によっては全長7kmに迫る巨大兵器。リンクス戦争以後における企業の主力として、個人の能力に依存しない量産・代替が可能な戦力を目指した回答。火力や防御能力もネクストの比ではないが、そのあまりの巨大さ故に構造的な弱点を抱えている機体もある。
アサルトアーマー(AA)
コジマ技術による防護膜であるプライマルアーマー(PA)を攻撃に転用した技術。周囲を一掃する大爆発を引き起こすが、一時的にPAを展開できなくなる。爆発には敵からの攻撃を無効化する効果もある。 オーバード・ブーストの拡張機能となっており、搭載型と非搭載型が存在する。
ヴァンガード・オーバード・ブースト(VOB)
ACの全長を上回るほどの大型外部ブースター。ネクストの背部に取り付けることで、通常のオーバード・ブーストを遥かに上回る時速2000km級の速度を発揮することが可能となる。短時間しか使用出来ない上に外部ユニットも使い捨ての為、専ら強襲や突撃、戦闘地域への長距離移動に使用される。一部のミッションで使用されるほか、オープニングでもホワイト・グリントが使用している。
エーレンベルク
旧レイレナードによって設計された、南極に立つ衛星軌道掃射砲。前作では一基のみだったが、今作では小型化し、三基が設置されている。そのうちの一つをORCA旅団が所持している。
カラードランク
カラードに所属するリンクスを実績順にランク付けしたもの。過去作におけるリンクスナンバーやアリーナランクに相当する。 ランキングには実績やオーダーマッチの戦績の他、所属企業の政治的な意向が大きく反映されており、No.9「ホワイトグリント」をはじめとしてランクと実力が乖離しているリンクスも存在している。 ORCA旅団にも同様のORCAランクが存在するが、下位でもカラードの高ランクに匹敵する実力を持つと言われている。 プレイヤーはランクに関係せず、表示されるランクは相対的な実力を示すものとなる。
クレイドル
リンクス戦争の結果、世界中の地表にコジマ汚染が拡大したため、清浄な高度7000mの高空に企業が建造した居住用巨大航空機。1機当たり2000万人の住人が暮らしており、人類の過半はすでに移住している。アルテリアと呼ばれる施設から送られる電力を使用して、大気中の水分を電気分解、取り出した水素を燃料として飛行しているため、半永久的に飛行が可能。5機前後の編成で1つの空中都市を形成し、作中にはクレイドル03及び建造中の21が登場する。いくつかの種類があり、クレイドル03と21では規模が異なる。中央の本体部分のみでの航行も可能であり、緊急時には一般住民の居住する翼部をパージすることが出来る。コジマ汚染を防ぐため、防衛戦力はノーマルACのみで構成されている。 クレイドルが飛行する高度は「クレイドル上空」と呼ばれる。この領域にはネクストなどの機動兵器の進入が禁止されている。 これにもコジマ技術が用いられており、徐々に空の汚染は進んでいる。「矛盾を抱えた延命装置」とも表現された。 クレイドルとは「ゆりかご」の意であり、現在の企業支配による体制そのものを象徴し揶揄する言葉でもある。
アルテリア
クレイドルにエネルギーを供給するための送信施設。巨大な対空砲のような形状の送信機が並べられている。作戦の舞台となる場合、アルテリア・カーパルス、アルテリア・クラニアムなど、個別の名称とセットで呼称される。 その重要性から防衛戦力も充実しており、作中ではノブリス・オブリージュがアルテリア・カーパルスの防衛を担当していた。 ラテン語で「動脈」を意味し、ウルナ、クラニアム、カーパルスはそれぞれ尺骨、頭蓋骨、手根骨を意味している。
アサルト・セル
設定上は『AC4』以前から存在する自律兵器。宇宙開発で他者に先行されることを恐れた企業群が設置したもので、衛星軌道上を埋め尽くすほど大量に存在し、高度9500m付近を越えたものを無差別攻撃してくる。クレイドルが7000mという高度に縛られている理由であり、人類の宇宙開発を阻んでいる。破壊してもデブリとなって宇宙開発を妨げるため、排除するにはエーレンベルクの圧倒的火力で消滅させるしかない。
クローズ・プラン
ORCA旅団が掲げる計画で、当初はアルテリア施設を破壊してクレイドル体制を覆す政治革命的な計画と思われていたが、実際にはアルテリア施設の掌握、そのエネルギーを衛星軌道掃射砲エーレンベルクに供給、アサルト・セルを排除し、宇宙開発の道を拓くというもの。もともとは前作で崩壊したレイレナード社が立案した計画で、この思想を引き継いだORCA旅団と創始メンバー「最初の五人」によって推し進められた。 宇宙開拓という人類の新しい道を歩むことが出来る一方、企業による宇宙を巡る新たな経済戦争を勃発させるという大きなデメリットがあった。
アーキテクト
ネクストのアセンブルを担当する要員。必ずしも搭乗者と一致するとは限らない。前作ではリンクスとして登場したエンリケ・エルカーノやK.Kなど、一線を退いたネクスト搭乗者がアーキテクトとして活動している例があるほか、独立傭兵のカミソリ・ジョニーやイェーイ、ORCA旅団のメルツェルなど、仲間に図面を提供している者もいる。 “ホワイト・グリント”の設計者アブ・マーシュの場合、パーツ自体の開発にまで関わっており、天才アーキテクトと称されている。 『ACFF』では、無人ACの機体とそのAIの構築を担当する人物を指す言葉だった。
最初の五人
ORCA旅団創設時のメンバーであるマクシミリアン・テルミドール、メルツェル、ジュリアス・エメリー、ネオニダス、真改の五人のこと。うちジュリアス、真改の二人は、劇中でレイレナードとの関連が明言されている。
最終更新:2012年04月16日 19:45