「ふう……今回のテストはそれなりに良かったかな」
期末テストが終わり休日が明けた今日、一通りのテストが返ってきたがどの教科も90~80点代をキープ出来ていて特に大きな問題はなかった。
ただ数学での途中の計算間違い、英語での英単語の綴り間違いなど、細かいミスがあったので家に帰ったらきちんと復習しておかないと……。
今年は受験だし細かいミスを無くすよう、もっと頑張らなきゃな。
今年は受験だし細かいミスを無くすよう、もっと頑張らなきゃな。
そう考えながら放課後、みんなより一足先に――唯と律は追試で一時間は遅くなり、ムギは教室の掃除で少し遅くなる――部室に入る。
「あ、お疲れさまです澪先輩!」
「梓、お疲れ……って、え?」
「梓、お疲れ……って、え?」
部室に入ると、壁際に脚立がたっており、梓がそれに登っている。
私は肩にかけてあるエリザベスを近くの壁に立て掛けながら聞いてみた。
「梓、脚立に登ってなにやってるんだ?」
「部室に掛けてあった時計が止まって動いてなかったので、時計を下ろして電池を交換しようとしてるんですけど……んしょっ」
「部室に掛けてあった時計が止まって動いてなかったので、時計を下ろして電池を交換しようとしてるんですけど……んしょっ」
そう言いながら梓は脚立に上った状態で背伸びして時計を外そうとするが……。
「んーっ……もうすこし……」
背丈の問題もあってか、中々届かないようだ。
「梓、届かないなら私がやるよ。背が高いのが役に立つのはこんな時ぐらい……」
そう言いながら近付こうとした瞬間、
――つるっ、
「きゃっ!?」
「梓、危ない!!」
「梓、危ない!!」
――がしゃん! どさっ!
「う、ううん……み、澪先輩!?」
「――――っ!」
「――――っ!」
みぞおち辺りに強い衝撃を受けて軽く悶絶、する。
一瞬何が起こったかよく分からなくなった、けど――。
一瞬何が起こったかよく分からなくなった、けど――。
「澪先輩、澪先輩っ!」
梓が脚立から足を滑らせて転落しそうになったから助けようとして、咄嗟に駆け出して……けど距離があってキャッチするには間に合わなかったから落下点に滑り込む形で、何とかクッションにはなれたみたいだ。
梓を落下から受け止めた衝撃はそれなりに苦しいけど、それ以上に、
「澪先輩! しっかりして下さい! 澪先輩っ!!」
まるで小さい子供が泣き叫んでいるかのような……そんな梓の姿を見るほうが私には遥かに苦しいし、何より辛い。
「大丈夫……大丈夫だよ、梓。私なら大丈夫だから」
「ああ……澪先輩、ごめんなさいっ……」
「ああ……澪先輩、ごめんなさいっ……」
腕を伸ばし、梓の肩を掴みながらゆっくりと体を起こす……と梓が私に馬乗りになっている体勢の都合上、梓の顔がすぐ傍にきて、ぶつからないよう私は横に顔をずらし地面に座りながら梓を抱きしめる。
どうやら見た限り、梓には怪我とかないみたいでほっとした。
どうやら見た限り、梓には怪我とかないみたいでほっとした。
「梓こそ大丈夫? 上手く受け止められなくてごめんな」
「私なら大丈夫ですけど……本当にごめんなさい、澪先輩……」
「謝ることなんてないよ、梓が無事ならそれでいいさ」
「で、でもっ! 私のせいで澪先輩が怪我でもしたらっ……私っ……!」
「梓……」
「私なら大丈夫ですけど……本当にごめんなさい、澪先輩……」
「謝ることなんてないよ、梓が無事ならそれでいいさ」
「で、でもっ! 私のせいで澪先輩が怪我でもしたらっ……私っ……!」
「梓……」
――そうか。
梓は本当に私のことを、大切に想ってくれている。
それは私にとっても本当に嬉しい。
梓は本当に私のことを、大切に想ってくれている。
それは私にとっても本当に嬉しい。
でもだからこそ、自分が原因で私が傷付くようなことがあれば、梓は自分自身を責め立てる。周りが決して責めないとしても。
梓は強いけれど……その分、自責の念もまた強くて自らを傷付かせてしまいやすいから。
自責の念の強さでいえば、それは私自身にも当てはまる事だからよく分かる。
自責の念の強さでいえば、それは私自身にも当てはまる事だからよく分かる。
「ごめんな、無茶をして」
「澪先輩っ……」
「でも私はさ、私の目の前で梓が危険な事になってたりしたら、きっと黙って見てることなんて出来ない。
だから――」
「澪先輩っ……」
「でも私はさ、私の目の前で梓が危険な事になってたりしたら、きっと黙って見てることなんて出来ない。
だから――」
梓をいたわるように、ゆっくりと背中を撫でながら話し続ける。
「私自身も傷付かないように……無茶はしないようにするからさ。
その上で、梓を守ってあげたい。それは認めてほしいんだ」
その上で、梓を守ってあげたい。それは認めてほしいんだ」
「先輩、それは……んっ」
返答がくる前に唇を重ね、反論は許さないようにする。多少強引でもこれは了承してもらわないといけない。
梓が泣いていたら黙って見ていられないし、梓が傷付いていたら黙って見ていられない。
梓が泣いていたら黙って見ていられないし、梓が傷付いていたら黙って見ていられない。
――何より。
梓を守るのは、他の誰でもない……恋人である私の役目だ。
梓を守るのは、他の誰でもない……恋人である私の役目だ。
「……ぷはっ、キスして口を塞ぐなんてずるいです、先輩」
「ごめん」
「ごめん」
謝りながら、先程から梓の背中を撫でていた自分の手を今度は梓の頭に移動させて静かに、髪を梳くように撫でる。
「……分かりました。
澪先輩が守ってくれるのはすごく嬉しいですけど……絶対に無茶だけはしないで下さいね」
「梓……ああ、分かった」
澪先輩が守ってくれるのはすごく嬉しいですけど……絶対に無茶だけはしないで下さいね」
「梓……ああ、分かった」
どう無茶をせずにやればいいかは漠然としていて少々分からないが、とにかく考えもなしに動くのはやめよう、と自分を戒める。
と、
と、
「それに、私だって澪先輩が困ってたり悩んでたりしたら……私が助けるって決めたんですから。
守られてばかりじゃないですから、ね」
守られてばかりじゃないですから、ね」
そう梓は話すと私の腕の中、私を見上げながらようやく柔らかな笑みを浮かべていた。
「うん……そうだな。
お互いに支え合っていこう。ずっと……さ」
「はい!」
お互いに支え合っていこう。ずっと……さ」
「はい!」
今の私では、梓を支えるには力不足かもしれない。
けど私と梓、互いに支え合うことなら、今からでもきっと出来るから。
それがきっと私達の未来に繋がると――。
それがきっと私達の未来に繋がると――。
「澪先輩」
「ん?」
「その……もういちど、キスしてくれますか?
さっきみたいなのじゃなくて、ちゃんと……」
「ふふっ、了解」
「ん?」
「その……もういちど、キスしてくれますか?
さっきみたいなのじゃなくて、ちゃんと……」
「ふふっ、了解」
梓を守ると決めた自分を信じ、そして私を助けてくれる梓を信じて。
「あずさ……んっ」
「せんぱい……ん、んん……」
「せんぱい……ん、んん……」
そう考えながら、私は梓ともういちど、キスをした――
(FIN)