「澪先輩っ、次はどこに行きます?」
「んー、どこに行こうか?」
「んー、どこに行こうか?」
休日のある日、今日は久しぶりに梓と会って現在、デートを満喫中。
デートとはいえこれといって行く場所は決めておらず、行き当たりばったりに街を散策しているだけなんだけどな。
デートとはいえこれといって行く場所は決めておらず、行き当たりばったりに街を散策しているだけなんだけどな。
――私が大学に入ってからは月に一、二回程度しか梓に会えないものの、その分こうして梓と一緒にいられる時間がとても貴重で価値のあるものに思える。
行き当たりばったりな今日のデートも正直、こうして梓と一緒にいられるだけで嬉しくて楽しくて、そのためか行く先は特に決めていなかったのだった。
行き当たりばったりな今日のデートも正直、こうして梓と一緒にいられるだけで嬉しくて楽しくて、そのためか行く先は特に決めていなかったのだった。
「私は梓と一緒ならどこだって構わないぞ?」
「もー、澪先輩ったら今日そればっかりじゃないですかー」
「もー、澪先輩ったら今日そればっかりじゃないですかー」
けど梓も私と同じような感じで、一緒に適当に街をうろついているだけでも……すごく嬉しそうで。
それに連られて、私もまた更に嬉しくなっちゃったり……。
それに連られて、私もまた更に嬉しくなっちゃったり……。
そんなことを考えていると、
「じゃあ、ネットカフェにでも寄って休んでいきませんか?」
「ネットカフェ、か?」
「最近、新しく出来た所があって今ならオープン記念で半額で利用出来るみたいなので」
「ふーむ」
「ネットカフェ、か?」
「最近、新しく出来た所があって今ならオープン記念で半額で利用出来るみたいなので」
「ふーむ」
――梓の希望に少し考える。
ネットカフェと言うと何だか変な男の人がいっぱい利用しているようなイメージがあったりするけど、それはやっぱり偏見というものだろうか?
ネットカフェと言うと何だか変な男の人がいっぱい利用しているようなイメージがあったりするけど、それはやっぱり偏見というものだろうか?
そういえばゲームセンターとかも怖いリーゼントの男の人ばかりがたむろしてるイメージがあったりしたけど律の奴は「今どきそんな奴いないって!」と言ってて、実際に覗いてみた時はそんな事なかったしな……。
これも自分の偏見を取り払う、いい機会かもしれない。
これも自分の偏見を取り払う、いい機会かもしれない。
「そうだな、行ってみようか?」
「ありがとうございますっ! 私、開店したら行ってみたいと思ってたんですけど一人で行くのはちょっと不安だったので……」
「ふふっ、大丈夫だよ。私がいるから」
「ありがとうございますっ! 私、開店したら行ってみたいと思ってたんですけど一人で行くのはちょっと不安だったので……」
「ふふっ、大丈夫だよ。私がいるから」
こんなかっこつけた台詞、梓と付き合う前ならとてもじゃないけど言えなかっただろうな。
「頼りにしてます、澪先輩っ」
私の言葉に梓は嬉しそうに抱き着きながら、こっちがくすぐったくなるようなパーフェクトな笑みを浮かべてくれて。
思わず私は梓の髪をそっと撫でてあげた。
思わず私は梓の髪をそっと撫でてあげた。
「ふふっ」
「えへへ」
「えへへ」
全く……可愛すぎだぞ梓?
――そうして梓の言うネットカフェにやって来たところ、まずは利用するために必要な会員証を作るために渡された紙に名前・年齢・電話番号などを記入し、店員さんに渡して。
その後は初めての利用ということもあり、二人用のツインルームの一室まで店員さんが案内してくれた。
その後は初めての利用ということもあり、二人用のツインルームの一室まで店員さんが案内してくれた。
「出来たばかりということもありますけど、やっぱり綺麗ですね」
「そうだな、いい意味で思っていたのとはイメージが違ったよ」
「そうだな、いい意味で思っていたのとはイメージが違ったよ」
通された個室に用意されている二人掛けのソファはふかふかで座り心地が良く、置かれているパソコンは最新のハイスペックのもの。
個室自体はやや薄暗いけど、横には電灯が用意されているのでそれを点ければかなり明るくなりそうだ。
個室自体はやや薄暗いけど、横には電灯が用意されているのでそれを点ければかなり明るくなりそうだ。
さて、せっかくだしパソコンで音楽でも聞きながら飲み物でも飲んでまったり過ごすか、それとも何か他に……。
「澪先輩、私飲み物取ってきます。先輩は何がいいですか?」
「あっ、飲み物なら私が取ってくるよ。梓は座って……」
「あっ、飲み物なら私が取ってくるよ。梓は座って……」
梓に私の分まで飲み物を取りに行かせるのは悪い気がしたので、立ち上がろうとした梓を制止しようとしたところ、
「ひゃっ」
「え、わっ」
「え、わっ」
私の足に引っかかってつまずいた梓がぼふん、と私に倒れ込んできた。
「だ、大丈夫か?」
「は、はい、すみません……」
「は、はい、すみません……」
倒れ込んだ梓の肩を掴み引き離そうとしたところ、
「あ……」
梓の顔が――梓の小さくも柔らかそうな唇が目の前にあって。
きちんとリップを塗ってきていたからか、少し薄暗い中でもその唇がきらりと輝く。
きちんとリップを塗ってきていたからか、少し薄暗い中でもその唇がきらりと輝く。
「――――」
「先輩?」
「先輩?」
――その瞬間、何かが弾けるような音が、私の体の中で響いたような気がした。
「――梓」
「え、せんぱ……んっ!?」
「え、せんぱ……んっ!?」
私は梓の後頭部に左手を回すと、そのまま抱き寄せ唇を重ねる。
私の突然の行動に梓は一瞬体をびくっとさせたけど、すぐにおとなしくなって。
私の突然の行動に梓は一瞬体をびくっとさせたけど、すぐにおとなしくなって。
「んんっ……ん……」
キスをしながら私は右手を梓の小さい背中に回し、優しく撫でる。
大丈夫だよ、何も怖くはないよと伝えるかのように。
大丈夫だよ、何も怖くはないよと伝えるかのように。
「はぁっ……せんぱい……?」
ほんの少し唇が離れ、梓の顔を見ると既に頬は赤く染まっていて。
どうして急にこんな、とでも言いたげな表情をしていた。
どうして急にこんな、とでも言いたげな表情をしていた。
「梓……」
「あ……んっ……」
「あ……んっ……」
それを知ってか知らずか、私はもう一度梓を抱き寄せ再び口づけて。
今度はただキスするだけではなく舌を伸ばし、梓の口内に侵入させていく。
今度はただキスするだけではなく舌を伸ばし、梓の口内に侵入させていく。
「ん……んんっ!」
自分の口内に別の何かあったかいものが入ってきて驚いたか、梓は舌を引っ込めようとしたので私はちろちろとそっと梓の舌に自分の舌を少しずつ触れさせていく。
「ん……ちゅ、ちゅ」
「ふあ……んっ、ん……ちゅ」
「ふあ……んっ、ん……ちゅ」
少しずつ慣らすように梓の舌に触れていくと、次第に梓の方からも少しずつ私の舌に自分の舌を絡めてきてくれた。
もちろん私もそれに応えるかの如く舌を絡めていく。
もちろん私もそれに応えるかの如く舌を絡めていく。
「はん……くちゅ、ちゅ……んちゅ」
「あぅ……はむ……んちゅ、ちゅ……」
「あぅ……はむ……んちゅ、ちゅ……」
ぎゅっと梓を抱きしめながら唇を重ね、舌を絡め、互いの唾液を交換していく。
まるで梓と溶け合っているような――そんな感覚に陥っている。
まるで梓と溶け合っているような――そんな感覚に陥っている。
そんなとろけるようなキスを交わしながら、私は右手を梓のお尻に移動させる。
「ダ、ダメですっ、これ以上は……」
梓の言葉もお構いなしに私はお尻を撫でようとしたが、
「ダメですよぅ……ほら、罰金になっちゃいます……」
その言葉で室内の横に目を向けると、そこには『ツインルームで性的行為を禁じます。もしそのような行為が発見された場合には、以降の店の出入りを禁ずると共に金一万円を申し受けます』と貼り紙に書かれていた。
「せっかく新しい店なのに出入り禁止とかになったら……」
「……そっか、そうだな……」
「……そっか、そうだな……」
そこまでしてようやく頭の熱が冷めて、私は冷静さをある程度取り戻した。
改めて冷静に考えて、こんな場所でこんなことをしてバレたらホントどうするつもりだったんだ私は……?
――その後、これといって何をするでもなく三十分経った所で早々と清算し、私達は店を出てきた。
「先輩、どうして急に……?」
店を出てからもなんとも気まずい空気が漂っていたところ、梓がそう私に聞いてきた。
「ごめん……目の前で梓の唇を見たらその……欲情した」
落ち着いた、静かながらやや薄暗い部屋の雰囲気も影響したのかもしれないけれど。
しばらく梓と会えなかった間、無意識の内に不満が溜まっていたのかもしれない。
しばらく梓と会えなかった間、無意識の内に不満が溜まっていたのかもしれない。
――梓を抱きしめることが出来なかったという不満が。
「本当にごめん、梓」
「あっ、いえそんな……」
「あっ、いえそんな……」
頭を下げる私に対し、梓はやや困惑した様子を見せる。
てっきり梓はすごく怒っると思っていたけど……?
てっきり梓はすごく怒っると思っていたけど……?
「流石にちょっと驚きましたけど……私、澪先輩からキスされたり、その……そういったことされるのは嫌じゃないので」
「梓」
「だって……澪先輩は私の恋人ですから」
「梓」
「だって……澪先輩は私の恋人ですから」
そう言いながら、梓は私の目の前でほんの少し微笑んで。
それを見て私は胸がドキッとしてしまったが、
それを見て私は胸がドキッとしてしまったが、
「けど流石に、場所だけは考えてほしいです」
「そ、そうだな、ごめん」
「分かればよろしいです」
「そ、そうだな、ごめん」
「分かればよろしいです」
梓にキッと睨まれながらクギを刺されてしまったので、素直に謝るほかなかった。
――しかし、
「お詫びに帰ってから、いっぱいぎゅーってしてもらいますからねっ」
「梓?」
「だ、だから……さっきは途中までだったので……帰ってから最後まできちんとしてほしい……です」
「梓?」
「だ、だから……さっきは途中までだったので……帰ってから最後まできちんとしてほしい……です」
梓はそっぽを向きながら頬を染めた状態で、そんなことを私にお願いしていて。
もちろん、私にとって考えるまでもない。
もちろん、私にとって考えるまでもない。
「分かった。今夜はいっぱい梓のこと、可愛いがるから」
「で、出来れば、優しくお願いします……」
「ふふっ、了解」
「で、出来れば、優しくお願いします……」
「ふふっ、了解」
どうやら、今夜は梓と甘くて濃厚な時間を過ごせることは約束されたみたい。
私はそれを楽しみにしながら、梓と一緒に帰路に着くのだった。
私はそれを楽しみにしながら、梓と一緒に帰路に着くのだった。
(FIN)