発生学とは
一個の受精卵が増殖し分化して、有機的な構造と機能をもった体ができるまでのプロセスには、神秘的ともいえるドラマチックな変化が次々と起こります。この現象を「発生」(Development)、それを研究する学問を「発生学」(Embryology)または「発生生物学」(Developmental biology)といいます。
近年の分子生物学の研究によって、発生現象に関わる分子が多数見つかっていますが、それでは、それぞれの分子が働いたときに細胞レベル、組織レベルでどのような変化が起こって複雑な組織、器官(臓器)、体ができあがるのかという「発生の道すじ」は、まだほとんど明らかになっていません。ヒトゲノムが解読されたあと、残された大きな課題は、生体の中における各遺伝子そして遺伝子群の働きを解明していくことです。
三次元的な体の形に時間経過が加わった四次元の現象である「発生」は、形態学、細胞生物学、分子生物学を集学的に駆使して取り組むべきエキサイテイングなターゲットなのです。不思議な発生現象は数限りなく、研究する対象によってその戦略も変わってきます。ここに発生研究の難しさがあり、同時に他の分野にない面白さがあるのです。我々の研究室では、様々な発生現象に魅せられた個性的な研究者が日夜奮闘しています。
こんなことをやっています
主にマウス・ラットを使って発生学の研究をしています。神経発生、肢芽発生、口蓋発生、肺発生とテーマは多岐に渡り、テクニックとしても古典的な催奇形実験(熱ショック、レチノイン酸・アルコール・アンフェタミン等の投与)から遺伝子工学的手法(DNA組換など)・発生工学的手法(トランスジェニックマウス・ノックアウトマウス・キメラマウスの作製、レトロウイルス・エレクトロポレーションによる外来遺伝子導入、全胚培養、器官培養などを含む)と様々なものを駆使します。
具体的なテーマは各々のスタッフのページを参照していただきたいのですが、さわりだけを紹介しますと
中枢神経系(脳・脊髄)における神経幹細胞の増殖・生存・分化制御、および骨格形成における細胞間情報伝達とその標的遺伝子の発現制御の分子メカニズムの追究が主なテーマです。テクニカルにはノックアウトマウスの表現型の解析をしたり、器官培養で遺伝子を導入してその機能を解析したりします。細かい作業が多いので、手先が器用でないと難しいかも。ニワトリ胚を使った発生工学的実験も行っています。
ここでは全員の研究を紹介できませんが、スタッフのページは逐次更新する予定です。とにかく少しでも興味をもったら、まずはメールかお電話を!(この欄、文責 石橋)
どんな人が入れるの?
修士課程、博士課程、研究生の3つのコースがあります。博士過程に関しては、当教室には臨床から博士号を取得するために来られる方が多いですが、一度社会人を経験されてから入り直された方もいて、基本的にどのような方でも門戸が開かれていると考えて下さい。
京都大学大学院医学研究科 博士課程
募集対象:博士課程(4年間)、研究生(常時受け付けています)
募集人数:若干名(医学研究科全体で142名)
入学資格:医・歯・獣医学部卒業または卒業見込み、修士課程を修了または修了見込みの方、社会人特別選抜制度あり(社会人特別選抜のみ資格審査あり)
選考方法:筆記試験(医学・生物学一般、外国語)および面接
出願期間は毎年9月頃ですが、詳細は医学部事務のページを参照してください。
京都大学大学院医学研究科 医科学専攻(修士課程)
募集人数:20名(全体で)
こちらも詳しいことは医学部事務まで。電話(075)753-4306(直通)
大学院入試について
例年倍率は1.5-1.6 倍程度です。科目は英語と一般問題で、英語は辞書持ち込み可、一般問題は基礎医学と臨床医学の問題が16問あるうちから2題選択するようになっています。筆記試験の後、簡単な面接があります。
最終更新:2009年02月04日 06:04