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EVOKE -舞- ニシル編第4話 Ⅱ

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PM 13:30  ――― キュラリア・ツキミガハラタワー前 ――――


ジルコー「最後はここだよ。(タワー入り口前に着き、高くそびえ立つ巨塔を見上げる)」

ニシル「ふわぁ…!た、高いですね…天辺が見えないです…!(巨塔の高さに圧倒され、見上げたまま呆然と立ち尽くしている)」

ジルコー「はいろっ、もっとすごいのがこの中にあるんだ…♪(そう言うとニシルを誘うようにタワーの中へ入る)」

ニシル「わぁー………あ、はい…!(ジルコーの声でぴょくんと飛び上がり、いそいそと中へ入る)」


――― ツキミガハラタワー・最上階 ―――


ジルコー「(エレベーターからニシルと出てくる)相変わらず人がいっぱいだな… …おっ、あそこがいいかな。(多くの観光客で賑わう展望台のある最上階で、とりわけ空いているスペースを見つけてそこへ駆け寄る)」

ニシル「わっ、(人が)たくさんいますね… ふぇ…?(人混みが苦手なためか尻ごみしていたが、とりあえずジルコーの後を追う)」

ジルコー「ニシル、ニシルっ。ほら、ここ…!(手すりに手をついてガラス張りの窓の外を指す)」

ニシル「わわっ…(促されるままに窓の外を覗き込む)――――――! 」


二人は展望台から眼下にキュラリアの街を見渡す―――――鮮やかなセピア色をした街並み、穏やかに流れるターコイズブルーの海原、果てしなくすみ渡る青い空が織りなす広大な風景は観る者をのみこむほどに美しかった。


BGM♪



ニシル「わあ……!(目に映る風景や心の中に湧き起こる感情を錯綜させながら、ただただそれに魅了されていた)……この街は…こんなにも素敵だったんですね。(初めて訪れた時から惹かれた街並み、しかし今は地上で味わったのとはまた違った感動を体感し、まるで幼い子供のように無垢な瞳で壮観を眺めていた)」

ジルコー「ああ…そうさ。この街はいつも輝いている。あたいはこの街の外へ出たことがないから、ずっとここで住んでいることになるんだけど… なのに全然飽きないし、それに…まだこの街のことを知り尽くし切れていない気がするんだ。ここへ来る度に、この景色を見る度に…いつもそう思う…(ニシルに並んで、穏やかな表情で景色を一望する)」

ニシル「この街は…私には眩しすぎます。でも街の人は温かくて、風は気持ちよくて、小波は心地よくて… とても、心が安らぐんです。(胸元に手を添え)初めて来た時はとても驚くばかりでした。たくさんの人と出逢って、素晴らしい一時を過ごして… 今では、ずっとここに住んでいたい気持ちでいっぱいです。(ジルコーに向けてはにかみ笑い)」

ジルコー「ニシル… (なんだか嬉しそうに笑みを零す)…ねえ、ニシルは…どうしてこの街に来たんだい?」

ニシル「…… ……(一瞬返答に困ったが、他漂う穏やかさに身を委ねるように平然さを取り戻す)…私がここに来たのは――――――(景色に目をやりながら真実を語り始める)」






ジルコー「――――――…そうなんだ…(ニシルの壮絶な過去、そしてこの街に来た理由の全てを聞いていたたまれない気持が表情に出る)…あんた…本当はずっと辛い思いをしてきたんだね…

ニシル「……(口を結び、胸元で輝く蒼いペンダントにそっと触れる)…観光だなんて、嘘をついてごめんなさい。」

ジルコー「いいんだよ、そんなの。……だから…(初めてニシルと出逢ったあの夜の出来事を思い返す)…命の重み、誰よりもよく知ってたんだよね。こーゆー時、何て言ったらいいのかよく分からないんだけど… ニシルって、強いんだね。」

ニシル「そんなことないです… ……でも、私を強くしてくれるものなら…ありますよ…(胸元のペンダントが、太陽に反射し一層輝きを増している)…大丈夫です、気にしなくても。これは…私だけの問題、ですから……(そっと瞳を閉じる)」

ジルコー「……(しばらく二人の間に沈黙が走る)……あたしは高校に通っていたの。弾けるような青春を謳歌したくて、毎日学校へ通うんだって決めてたの。…でも、クラスメートのみんなとは波長が合わなくなって、それ以来登校拒否してるんだ~…(沈黙を破るように突然語り出す) 」

ニシル「ふぇ…?……(突然告げられたジルコーの事情に驚きを示し)」

ジルコー「人生なーんにも楽しくなくなってさぁ… そんな時、この『力』が芽生えたんだよね。初めは悪戯とか何とかやってそれなりに人生に楽しさを見出すことができたけど、ある日人を傷つけてしまったことがあって、それからは何か…この能力を持つことに後ろめたさっていうか、罪悪感というか… 後悔してしまったんだよ。そして変な連中につけ狙われて殺されかけたこともあった。だからだんだん人が信じられなくなった。」

ニシル「ジルコーさん…(あの夜、初めて対面した時のジルコーの怯えた表情を思い出すと苦い表情になり)」

ジルコー「…でもね、ニシルと出会って変わったんだ。あんたはあたしのことを受け止めてくれた…初めて、あたしを抱きしめてくれた… (瞳を閉じ、当時の出来事を走馬灯のように思い出す) …この力があったから、ニシルに出会うことができたんだと思う。だから今は、全然後悔なんてしていない。……あれからあたしね、もう一度自分を見つめ返してみたんだ。いつか学校に戻ろうと思う。今はまだ心の準備ができていないけれど…いつか、いつか本当に、最高に弾けるような青春を掴み取ってやろうと思うんだ。(その表情は今までにないくらい眩しかった)」

ニシル「(ジルコーさん…)(出会った当時から変わった彼女を微笑ましく思ったのか、満面の笑みで彼女と向き合った)…ジルコーさんなら掴めますよ、最高の青春…!私、応援しますね…っ!」

ジルコー「……!へへっ…ありがとな…(ちょっぴり照れくさそうに鼻を摩りながら)…でも、ここまで踏み出すことができたのはニシルのおかげなんだ。だからあたしも、ニシルの力になりたい。もちろん部外者のあたしが首を突っ込むことじゃないってことくらい、分かるよ。でも…!なにか…なにか少しでも、あんたの力になりたいんだ。もしこの力が芽生えたことに理由があるとするなら、それを…大切な人を守るために使いたいんだ。(意を決したかのように強い眼差しを見せ)」

ニシル「……! 嬉しいです…!…はい、もし…困ったことがあれば、ジルコーさんに頼りたいです。(ジルコーの力強い目に安堵を覚える)」

ジルコー「力になるよ。(にこりと微笑む)…じゃあ、あたいはもう行くよ。今日は付き合ってくれてありがとな。」

ニシル「い、いえ…!寧ろ私の方こそお礼したい気持ちでいっぱいです…!素敵なところをたくさん見せてくれて、ジルコーさんのことを教えてくれて…本当にありがとうございました!(深々とお辞儀し)」

ジルコー「よせやい、大袈裟すぎるよ…!(汗)機会があったら、また一緒に出かけようよ。それと、もし何かあったらさっき教えた番号にかけてくれよ。いつでも駆けつけるよ、あたしは。(とてとてと小走りでエレベーターのもとへ)…じゃあね、ニシル♪(手を振りながらエレベーターの中へ入っていた)」

ニシル「はい…!さようなら、ジルコーさん。(手を振り返し彼女を見送った。その後再び窓の方へ振り返り、静かに景色を堪能する)……(お母さん、お父さん… いっぱい大切なものが増えました。これからもずっと大事にしていきます。)(遥か先の地平線を見つめながら)」


一樹「違うって…(その一方、ニシルから離れた所の展望台で仲の良い男子高校生たちと会話を交えながら景色を見渡していた)」

男子高校生等『いやいや、やっぱお似合いだって。 ああ、まさか結香ちゃんからアイスクリームを貰うなんて、お前ら仲良すぎだろ。 兄妹みたいだよな。俺もああいう可愛い妹が欲しいなぁ~… お前んとこに妹いただろ、ははっ…!』

一樹「やーめーろー、てめーらー!(例の一件で結香と和解したこともあり、たびたび彼女に話しかけられることも多くなった模様) 変な眼で俺を見るんじゃ――――――?(ふとある方向に目を向けると、いぶかしむ様な目つきで"それ"を観る)」


澄み渡る青い空の果て――――恐らくキュラリアに隣接する別の街の空から、霞む様な灰色の煙が上がっていた


男子高校生等『ひゅーひゅー!ひゅーひゅー! 一樹ロリコン説。俺もロリコンだから安心しろって。 中学ん時から、俺ら5人の中で一番モテてたの一樹だったもんな。ウラヤマー! 陸上部はモテるもんだろ!?なあ、一樹!?……一樹…?』

一樹「……(なんだ…あの煙… あれ、"異常"じゃねえか…?)(遥か先に浮かぶその煙に違和感を覚える)……えっ、あ…ああ… モテるもん…なのかなぁ…?(苦笑) 」



――――――― ヤな予感がする……




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最終更新:2016年08月15日 19:39