moedra @Wiki内検索 / 「忘我の温もり」で検索した結果

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  • 忘我の温もり
    木々が枯れ雪の舞う季節、冬。 長年山奥の洞窟に住んでいるというのに、ワシは毎年この季節になると憂鬱な気分になる。 フサフサの厚い毛皮を身に纏っているとはいえ、吹きつける冷たい風が否応なく体温を奪っていく。 それに、なによりも食料がない。まあ、冬の間食べ物など一切口にしなくても生きていくのには困らぬのだが、食料が減るとなるとつい寒さも気にせず何かを捜し求めに外へ出かけてしまうのは、ドラゴンといえども生物の持つ本能なのだろう。 今日もまた収穫のない雪山の散歩を終えると、ワシはトボトボと住み処の洞窟へと引き返し始めた。 「ふぅ・・・ふぅ・・・」 膝までかかるような深い雪の中を掻き分けながら、僕は雪山に登ったことを激しく後悔していた。 登山を始めて3年、そろそろ冬の山に登ってみようかと思い立ったはいいが、今年の冬はどう考えても異常気象だ。 場所によっては例年の倍近く雪が積もっ...
  • 忘我の温もり2
    ユサッ・・・ユサッ・・・ユサッ・・・ 僕の上で巨大な白い塊がゆらゆらと踊る度に、フサフサの毛皮が擦れる快感とじわっとした熱が擦りつけられていく。 「フフ・・・満足か・・・?」 「ま、まだ・・・もっとあっためてよ・・・」 ただただ温もりを求めるために毛皮の中に自ら体を埋めようとする僕を見下ろしながら、ドラゴンはニヤニヤと笑っていた。 ヌフフフ・・・外は風雪吹き荒れ身も凍る寒さだというのに、この人間のなんと暖かいことか。 できれぱ冬が明けるまでずっとこうしていたい気分だ。 それに・・・人間もこの温もりに虜にされてもう逃げる力も残ってはおらぬだろう。 いつ食い殺されるかわからんというのにワシの体に抱きついて自ら体を擦りつけているのがそのよい証拠だ。 フフ・・・寒さが和らいだら、ゆっくりと味わっていただくとしよう。 快適な寝床と食べ物が1度に手に入るなど、今年の冬は寒さこ...
  • SS便乗者氏
    ...エロ)[絵あり] 忘我の温もり(微エロ) 夢(♀龍×♂竜) 翼の庇護(♂竜×♀人間) 卵を求めて(♀竜×♂人間、♀竜×♂竜) 竜の呪い(♀竜×♂人間、♂竜×♀人間、流血、Transformation) 竜の女王(♀竜×♂人間) 竜の里親(非エロ、流血) 竜達の苦労(♀竜×♂人間)
  • 雪山の暖2
    確かに・・・だがこの心地よさを手放すのは・・・かと言って食ってしまうわけにもいくまい。 どうすればこの人間をここに引きとめておけるのだ? このまま捕まえておけば逃げられることはなかろうが、人間には食料が必要だろう・・・ そこまで考えたとき、私はある妙手を思いついた。 私が食料を獲ってくる間にも人間に逃げられぬ方法がある。 「フフ・・・フフフフフ・・・」 思わず漏れた笑い声に、人間が恐怖に青ざめた顔で私をじっと見つめていた。 不気味な笑いを漏らすドラゴンの様子に、俺は不安に押し潰されそうになった。 結果がどうであれ、このまま無事に逃がしてくれるつもりはないらしい。 先行きを憂えていると、ドラゴンが突然俺の背中側に回した手を首筋に当てた。 そして着ていたスキーウェアの襟に爪を引っ掛けると、ビィーという音を立てながら俺の服を引き裂く。 「な、何を・・・?」 突然の行...
  • 雪山の暖
    相変わらず、冷たい雪が降り続けている。 私は厚い雪に覆われた山の洞窟の中で蹲り、呼吸の度に気管を焼く灼熱の冷気に身を震わせていた。 今年の冬は異常だ。例年よりも1ヶ月早く雪が降り始め、気温は平均で5度下がった。 数え切れぬほどの冬を過ごしてきた私にも、この異常気象ともいえる厳しい冬を乗り切ることができるかどうかは怪しかった。 保護色になるように真っ白な鱗で覆われた手を顎の下に敷きながら、私は先行きの不安を隠せずにじっと洞窟の外を睨みつけていた。 「ったく、今年は早く雪が降ったって言うからスキーにきてみりゃ・・・降り過ぎじゃねえのか?」 真っ赤なスキーウェアに身を包んだ若者が、辺りを見回して呟いた。 膨らんだ雪の結晶がしんしんと降り積もり、彼の通った航跡の溝を次々と埋めていく。 大きなスキーとバッグを担ぎ、彼は仲間と落ち合うために山の中腹にあるロッジへと足を早めた。 ...
  • 真紅の求婚者
    まるで生物が立ち入るのを頑なに拒み続けているような、峻険な岩山。 その切り立った頂に近い断崖の中腹に、ポッカリと大きな洞窟が口を開けている。 どうやってそんな洞窟ができたのかは今以って謎だったが、どうやらその中には目の眩むような大量の金銀財宝が眠っているらしかった。 遠く離れた山の頂から件の洞窟を眺めると、陽光を反射してキラキラと輝く物がいくつも積み重なっているのが見えるという。 だが山の周囲には常に強風が吹き荒れている上に気象も安定していないためヘリなどで近づくこともできず、この洞窟は魅力的な謎を孕みながらもこれまで全くと言っていいほど手付かずだったのだ。 そう、これまでは。 俺は目的地までの険しい道程を覚悟して、登山のための準備を万端に整えた。 これから登るのは、何も寒冷地域の雪山ではない。 標高はそれなりに高いが、頂上付近に薄っすらと万年雪がかかっているだけの岩...
  • ヴォリー
    「ンモオオォォォオオ!」 さんさんと陽光降り注ぐ穏やかな昼下がりの牧草地で突如として上がった牛の悲鳴。 泥棒か、狼か。考えられる原因はそんなところだが、何せこんな真っ昼間である。 人にしろ獣にしろ、白昼堂々と牛を掻っ攫うような真似はしないだろう。 そういう輩は夜を待つものだ。 つまりそれは、招かれざる客がそのどちらでもないことを示唆しているに違いなかった。 芝生に身を放り投げていた農夫は牛の悲鳴にようやく重い腰を上げて、喧騒の中心に視線を投げた。 そして、仰天した。 「ド、ドラゴン…!誰か!誰か助けてくれ!」 ドラゴン。…にしては随分と小さいが、立派な翼と頑丈な四肢はまさしくドラゴンそのもの。 それが手塩にかけて育てた牛の尻にかじりついているともなれば誰だって驚く。 農夫は竜がちらつかせる鋭利な鉤爪にびくびくしながらも、 大切な家畜を放り出して逃げるわけにもいかず、...
  • 常世の寝室
    「ハァ・・・ハァ・・・」 山裾に広がる小さな町の中を、輝くような黄色い毛を靡かせた小柄なドラゴンが懸命に走っていた。 「いたぞ!あっちだ!」 武器を持った数人の男達が、あちらこちらで怒号を上げる。 私はほんの少し、ほんの少しの家畜を奪って逃げるだけのつもりだったのだ。 ここ数年の異常気象のせいで、すでに私の住む山の食料は枯渇していた。 空腹に喘ぎながら人間の街へ忍び込み、放し飼いにされていた鶏を襲ったまではよかった。 そこを運悪く人間に見つからなければ、こんなことにはならなかったというのに・・・ 必死で建物の角を曲がりながら殺気立つ人間の気配から離れようとしているうちに、私はいつしか町の奥深くへと迷い込んでしまっていた。 「こっちに逃げたぞ」 「あそこの道は塞いだか?」 周囲から聞こえる私を探す者達の声。もし捕まれば、まず生きてはいられぬだろう。 私は建物の陰...
  • 受け継がれた救い
    「まあ予想はしていたけど・・・こりゃ相当古い建物だな・・・」 鬱蒼と木々の生い茂る森の中に建てられた、小さな木造の山小屋。 辛うじて家としての体裁は保っているものの今にも崩れ落ちてしまいそうなその様子を目の当たりにして、僕は別荘での一人暮らしを決めたことを既に後悔し始めていた。 家の玄関口にかけられている"アイザック"と書かれた古ぼけた表札が、この家が先祖代々受け継がれてきた遺産であることを物語っている。 アイザック・ヴァルアス・ウィリアム、それが僕の名前だ。 学者の家系の子として生まれはしたものの、僕は正直落ちこぼれだった。 お世辞にも頭がいいとは言えなかったし、こんな隙間風の吹き込んでくるような酷い山小屋で暮らすことを決意したのだって、もともとは両親に勉強を強要されるのが嫌だったからなのだ。 ミドルネームの意味は知らないが、父も祖父も曽祖父までもがVと...
  • 寒風の縁
    ザクッ・・・ザクッ・・・ 膝元までかかるような深い雪の中に足を取られながら、僕は吹雪のせいでほとんどきかない視界の中に風雪の凌げそうな所を求めて真冬の雪山をさ迷い歩いていた。 いつのまにか一緒に登っていたはずの登山隊ともはぐれてしまい、どんどん胸の内に不安が広がってくる。 リュックの中に大きめの毛布は持っているものの、辺りに疎らに生えている枯れ木では体を休めることさえできないだろう。 「ああ・・・僕は今・・・遭難してるんだよな・・・」 すでに冷え切った耳は真っ赤に火照り、厚い手袋をしているはずの手の指が悴み始めている。 早く何とかしないと、このまま雪の中に埋もれて春まで発見されないなんていうことも有り得ない話じゃない。 ハァハァと真っ白な息を吐きながら枯れ木の林を抜けると、少し向こうの岩壁に大きな洞窟が見えてきた。 助かった! あそこなら、奥まで入れば吹雪にさらされること...
  • シグ1
    朝っぱらからインターホンを鳴らしまくる無礼な訪問者に、俺は心底ご機嫌斜めだった。何たって朝の4時である。 普通なら1回鳴らすだけでもはばかられるような時間なのに、こいつは毎秒2回、正確無比なリズムできっちりと鳴らしやがる。 22回目のドアベルが鳴ったときに、堪忍袋の緒が切れた。 場合によっては本気でぶん殴るつもりで、玄関のドアを開けた。チェーンを外してしまったのは、不用心だったかもしれない。 「てめぇ、今何時だと思って………」 扉を開けた瞬間、玄関に飛び込んでくる青い物体。かわす暇もなく俺は突き飛ばされてしまった。 重い。さっきの青いのが俺の上に乗っているようだ。視界がふさがって何も見えなかったが、青いのが俺の上でもぞもぞしているのだけは判った。 ドアが閉まる音、チェーンもかけられたようだ。 「……あっ」 子供っぽい声。青いのが急に軽くなった。いや、軽くなったという...
  • 秘湯
    「ふう・・・ここがこんなに険しい山だとは知らなかったな」 鬱蒼とした森林に埋もれた山の中腹をひたすらに歩きながら、俺は切れてきた息を整えるようにゆっくりと呟いた。 1度山登りを覚えると、いろんな場所の山に登ってみたくなるのが人の心理というものだろう。 俺もそのご多分に漏れず登り慣れた山から離れて新たな頂を求めてみたが、標高が低い割に険しい道程に少し不安を抱え始めていた。 時刻は午後の5時。まだ雪が降るような季節ではないものの、さすがに空は薄っすらと朱に染まり始めている。 「こりゃあ夜は冷えるだろうな・・・」 一応簡易テントと寝袋は持っていたものの、今まで登山は日帰りが多かった俺には山中での宿泊はほとんど経験がないのだ。 分厚く茂った木々のお陰でさほど肌寒さは感じないものの、それでも時折吹き込んでくる風の冷たさに冷え込みを予感させられる。 とにかく、どこか風だけでも凌げる場所...
  • 竜神恋譚
    『竜神様、御願いがあります』 『供え物』を我の前に置いた娘の手が合わさる。紅潮する白い肌、震える唇。 それでも彼女は、言葉を紡いだ。 『私の、はじめてを、もらって下さい』 はじめてとは……処女を捧げる事。我に? わ、我は……どうすればよいのだ? ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― 事の起りは十数年前に遡る。 我は竜神。人の世でいう昭和の時代。古の大河より分かれし瑞々しき流れを守護するモノ として造られた……筈だった。務めを果たさずして、祭られしばかりの我と社(やしろ) はヒトの争いに焼かれ、飲まれたのだ。 願われ報いる、それが我が務めであり存在。 それは失われた。力は無くもう名前すら思い出せない程に衰弱し、神体の鏡と共に錆び朽 ち逝くのを待つばかりの歳月。 我は疲...
  • 龍根奇話2
     【あ、あぁ――我は】  『俺はぁ――あぁっ』  刹那の絶頂には無い、圧倒的な灼熱がゆっくりと、意識を完全に溶かしつくし、て。  【『おおうううっ。……ううっ』】  自然に響き合う嬌声に、僅かばかり互いを取り戻した。  『ハァッ!ハッ。ハァーッ……ハァハァ』  『グオオ、おうっ。フゥーッ……グルルル』  襲い掛かる疲労と脱力感に身を任せるまま、近くのベットに沈みこむ。お互いを庇う様 に、惜しむように抱き合いながら。  【ふ、情、上出来、じゃ……なかなか、スジがある、ではないか】  『お、ほめに預かり、こ、光栄ってヤツかな』  【思っても無い事を抜かし、よって。じゃが良い。ぬしは実に、良い】  『もっと…・・・イケルぜ。そっちはまだ満足していないだろう?』  回復を待つ間も、互いの睦言は絶える...
  • 黒竜の葛藤2
    ペロッ・・・ペロッ・・・ 「う・・・ん・・・」 瞼越しに突き刺さる陽光の眩しさとザラザラした湿った物に顔を擦り上げられる感触に、僕は手放していた意識の糸を探り当てていた。 とても暖かい・・・まるで極上の羽布団に包まっているかのようだ。 ペロッペロッ・・・ 再び顔を擦り上げられ、僕はゆっくりと目を開けてみた。 目の前に巨大なドラゴンの顔が見え、大きな舌が僕の頬を駆け上がっていく。 「ん・・・な、何してるの・・・?」 僕が起きたのに気がついたのか、ドラゴンは舐めるのをやめると少しだけ僕から顔を離した。 その眼に、とても心配そうな輝きが宿っている。 下を見ればドラゴンの柔らかくて暖かい腹が僕の体に絶え間なく擦りつけられていて、僕は氷点下の砂漠の夜を裸で過ごしたというのに全く寒さを感じずに済んでいた。 「僕を・・・心配してくれたの・・・?」 少年から投げかけられた率直...
  • 2つの灯火
    家族を失う悲しみ。2度と味わいたくなかったその悲劇が、再び私の身に降りかかろうとしていた。 真っ白なベッドの上で蒼白な顔に玉のような汗を浮かべ、母がチラリと私の方に視線を向ける。 「お母様・・・」 思わず私の口から漏れた言葉に返事をしようとして、母は枯れた喉から声を出すのも辛そうに目を細めた。 不治の病など、この世にあっていいはずがない。 ましてやその恐ろしい悪魔を、よりにもよって母が患うなんて・・・。 15年前、まだ私があどけなさの残る少女だった頃、この村を取り囲むようにして広がっている森の中に1匹のドラゴンが棲んでいた。 定期的に村を脅かし、家畜や畑を荒らす禍禍しい獣。 それがくると、私達はみな家の扉を固く閉ざして恐怖と不安にひたすら震えていたものだった。 外を歩く重い足音、窓からわずかに覗く青黒い鱗、大地を揺るがすような甲高い雄叫び。 なぜか家の中にまでその...
  • 冷雨の導き
    絶え間なく降り続ける雨。 ザーザーという耳障りな雨音が洞窟の中にまで響き渡り、私は冷たい風の届かぬ岩壁の陰でそっと蹲りながら雨季の終わりをひたすらに待っていた。 洞窟の前に広がる深い森には食料になる木の実も、果物も、そして獣達もが豊富に存在しているが、さすがの私も大粒の水滴に打たれながらそれらを探して回るのは億劫極まりないことだった。 木々の葉から蒸散された水が霧のようになって私の黒光りする鱗の上で凝集し、ポタポタと滴り落ちる水の粒へと姿を変えていく。 まあ、昼間ならば周囲の明るさも手伝ってこの過酷な環境に耐えることも難しくはない。 だが夜になれば厚い黒雲が月明かりを覆い隠し、その暗闇の森を凍えるような寒さが支配するのだ。 「くそっ、せめて雨雲が消えるまで向こうの町で待ってればよかったな・・・」 俺はいつものように隣町で1週間分ほどの食料を買い込むと、雨に濡らさぬように...
  • 卵を求めて2
    時折脱走をはかる仔竜をハラハラしながら捕まえているうちに、俺はほとんど寝ることができずに朝を迎えた。1匹でも仔竜を見失えば俺の命がない。 幾分明るくなった森の中で眠気眼を擦っていた俺に、ドラゴンが口を開いた。 「私は狩りにでかける。わかっているな?」 皆まで言わなかったが、俺はその声に脅迫めいたものが込められているのをひしひしと感じた。 ドラゴンが行ってしまうと、俺は森の真ん中に4匹の仔竜とともに取り残された。 今なら逃げられるかもしれないが、ドラゴンがどこで見張っているかもわからない。 それに、仮に見つからなくても匂いでわかるのかもしれない。 しかたなく、俺は仔竜が逃げ出さないように捕まえたまま辺りに気を配った。 外敵から守るといっても、ドラゴンの子供を狙う奴がいるのだろうか? 人間にしても、卵を盗むのはわかるけど子供を狙ったという話は聞かない。 それじゃ一体・...
  • 砂塵舞う闘技場2
    翌日、朝早くから入り口の戸を叩く者があった。 いつも兄の仕事を手伝っている、あの初老の男だ。 名前は聞いたことはないが、私は彼と兄が親しくしているのを何度も見たことがあった。 「ローリア、いるか?」 「ええ、ちょっと待って・・・」 私は顔についていた涙の跡を素早く拭き取ると、努めて冷静を装って扉を開けた。 「ローリア、一体何があったんだ?アウルスが役人に引き立てられていくところを見たぞ」 「兄は濡れ衣を着せられたのよ。婚礼用だと偽って造らされた剣で皇帝の暗殺を企んだ人達がいて・・・」 「この前入った仕事のことか?」 力なく頷いた私を見て、男は憤りを露わにしていた。 「くそ、なんてことだ!・・・それで、お前は何か言われたのか?」 「あ、兄は死刑だって・・・ああ・・・私どうしたら・・・」 「死刑だと!?無実のアウルスを衆目の中でドラゴンに殺させる気か、あの悪魔め!」 ...
  • 子育て2
    チュルチュルチュルチュル・・・ 「あ、は・・・はぁぅ・・・」 永遠に続くかと思われた"授乳"も、もうすぐ終わりを迎えようとしていた。 俺の周りでは満腹になるまでミルクを吸った仔ドラゴン達が9匹、お腹を抱えるように腹の上に両手を上げてすやすやと眠っていた。 最後に残った白い仔ドラゴンが、1匹で寂しく俺のペニスを貪っている。 チュ~~~チュパッ! 「うっ!」 最後の一滴を吸い尽くし、白い仔ドラゴンはお腹がいっぱいになったのか 俺の腹の上にゴロンと寝転がって昼寝を始めた。 「キュウ・・・」 「はぁ・・・はぁ・・・」 1匹の仔ドラゴンに10分以上ペニスを吸い続けられ、授乳は2時間あまりにも及んだ。 俺はぐったりと首の力を抜いて横たわった。 なんとか気を失わずに耐えることができた。所詮は子供、あのピンク色のドラゴンの本気の責めに比べたらこれくらい・・・。...
  • 竜神恋譚2
    ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― ちゅむっ。 誓約の口付け。互いの意志を確認しあった我と好美は自然と行為に及んでいた。軽く触れ 合った先から甘い情念が染み込んでくる様でなんとも心地良い。 『……っ。ぷはぁ。アタシの初めて……どう?』 (た、たまらぬ……ん? んん?) 我は気が付いてしまった。まさか……これが『もらって欲しい』なのか? 我はてっきり ……む、無論口付けだけでも何とも言えぬ至福ではあるのだが、何故か残念な気持を拭う 事が出来ぬ。 『また余計な事考えてる……このカタブツ』 むーと頬を膨らまして好美が我を睨み付ける。相手を喜ばせるのが自身の務めである筈な のだが、全くここの所不覚続きだ。己の不甲斐なさを恥じるものの、どうしてよいかはさ っぱり分からない。 おろお...
  • 毛か鱗かつるぷにか
    同じドラゴンでも表現の仕方で大まかに3つ分けられます。 けもりぅ 体全体或は一部にでも体毛がありふさふさしている竜の総称。 最低ふさふさポイントは手首や首周り胸あたりたてがみだと思われる。 主に可愛い竜を指す時に用いられる事が多い。 竜を愛でるうちにとある人物のキャラにより生まれたとされる? ひんやりな印象を持つ鱗とは正反対の温かみのある存在で根強いファンが存在する。 =ファードラ(好まれない) つるぷに(ドラゴン) 鱗表現・体毛表現の両者とも違うつるつるでぷにぷにな竜の総称。 毛や鱗は一切或は大半持たないでテカる柔らかい皮膚を持つ事が条件と思われる。 主に可愛い竜を指す時に用いられる事が多いが、特に幼生のものが目立つようだ。 人や時と場合により様々な印象を持つため広く受け入れられている存在だと言える。 =ぷにドラ ≒ショタドラ・ロリドラ (鱗)ドラ...
  • 悠久の欠片
    歴史に残る雄大な伝説と、歴史から忘れ去られてしまいそうな儚い寂寥感・・・ その両方が同居したある小さな村が、緑の森と丘に囲まれながら静かに佇んでいた。 ココット村・・・この村に暮らしている村長は、かつて山のように巨大な龍を片手で扱えるような小さな剣で打ち破ったことがあるという、伝説のハンターだ。 今でこそハンターの仕事からも足を洗って平和なこの村をまとめ上げてはいるものの、あの老人を慕ってこの村にやってくる者は後を絶たない。 だが俺はハンターのような過酷な職業になど興味はなかったものの、こんな村に住んでいるが故にかつてとても奇妙な体験をしたことがあった。 それを、これから話そう・・・ 今から10年程前、まだ俺が20歳になる直前の頃だっただろうか。 そういえば、村に新しく住み込みのハンターがやってきて間もない頃だったと思う。 それまではやたらと武勇伝を吹聴しているいけ好...
  • 常世の寝室2
    「・・・これからどうするのだ?」 ドラゴンが不安と申し訳なさを顔に滲ませながら、細々と声を絞り出す。 「奴らが見張ってるかもしれない。出かける用事があるって言ってしまったんだ」 「では、出かけるのか?」 「すぐに戻ってくるよ。目くらましにちょっと出てくるだけだ」 だが、ドラゴンは一層不安の色を濃くさせていた。 「どうかしたのか?」 「お前が出て行けば、お前のいない間奴らはここに押し入ってくるのではないか?」 ドラゴンにそう言われ、僕はハッと息を呑んだ。 しまった・・・確かに奴らならやりかねない。だが僕が出て行かなければやはり疑われてしまうだろう。 「くそっ、僕の考えが甘かった・・・どうすればいい?」 「もし私が見つかれば、お前もただでは済むまい。だが、そうかと言って他に隠れる場所もない」 ドラゴンの言葉の真意を悟り、僕は背筋に冷たい物が走るのを感じた。 「・・・強...
  • 光と闇2
    ~第5章~村の防衛戦 翌朝、エルガイアの見張りについていた男達から連絡があった。 バローネが突如大勢の騎士達を挙兵し、こちらの方角に向かって侵攻を開始したというのだ。 「奴らが来るぞ!みんな準備はいいか!?」 「おお、来るなら来い!こっちにはドラゴンがついてるんだ。奴らが何十人やってこようが、負けるものか!」 「マルケロス王を裏切ったバローネを追い返せ!」 各々武器を持った男達は士気盛んにそう叫ぶと、遠くから聞こえてくるであろう馬の足音に耳を傾けていた。 「・・・来たぞ」 ドラゴンがそう呟いたのに数瞬遅れて、村人達の耳にも幾重にも重なった蹄の音が聞こえてくる。 やがて、森の中から兵装に身を包んだ数人の騎士達が次々と現れてきた。 そして村人達が武装しているのにも関わらず、高慢な態度で声を張り上げる。 「皆の者、よく聞け!この村は今日よりバローネ様の命により、エルガ...
  • 格子の向こうに映える月
    森の奥にひっそりと佇む、岩壁に掘られた大きな洞窟。 その薄暗い闇の中から、体長2m程の影が燦燦と明るい太陽の降り注ぐ森の中へと飛び出していった。 「いってきまーす!」 洞窟の奥で気持ちよさそうに眠っている母親に向けてそう叫びながら、全身を鮮やかな桃色の体毛に包んだ小さなドラゴンが姿を現す。 一目で雌とわかるほど優しげで可愛らしい顔をしてはいるものの、その頭からはドラゴンらしく乳白色に輝く2本の立派な角が伸びていた。 「今日も丁度いい獲物が見つかるといいなぁ」 全身を覆った桃色の体毛が風に靡くのを感じながら、あたしは遅めの朝食にするべき獲物の姿を探して辺りに視線を振り撒いていた。 長かった雨季がようやく明け、瑞々しい潤いに満ちた木々の葉も久し振りに大地を照らす陽光を受けて嬉しげにその身を揺らしている。 歩く度に左右に揺れるフサフサの短い尻尾が、時折地面に積もった落ち葉を...
  • 翼の庇護2
    かける言葉を失ったのか、ドラゴンは自らの体を仰向けに寝かせると私の心が落ち着くのを静かに待っていた。 大変な状況にいるというのに、不思議と恐怖は感じない。 ドラゴンの眼に、己の身勝手につき合わせられることになった私への気遣いの色が浮かんでいた。 「我はいつでもよいぞ・・・焦ることも、恐れる必要もない」 その言葉に後押しされるように意を決すると、私は地面に横たわるドラゴンの傍へと近寄った。 眼前に聳える漆黒の塔。所々歪に凹凸のあるその肉棒が、呼吸に合わせて前後に緩やかに揺れている。 私はゆっくりとその雄を掴むと、両手に余るドラゴンの性感帯をギュッと握り締めた。 「グウ・・・ウ・・・」 意外なほどに敏感な反応を示したドラゴンの様子に驚き、思わず手の力を緩める。 「あ・・・」 「構わぬ・・・続けてくれ・・・」 言われるままにゴツゴツとした肉の棒を根元から擦り上げると、ドラゴ...
  • ドラゴンレース
    数多くのドラゴン達が平和に暮らす世界。 そこには人間界と同じように山があり、川が流れ、雄大な自然が満ち溢れていた。 世界各地に点在するドラゴン達の町では毎日多くの雄ドラゴンが狩りに出かけ、妻となった雌ドラゴン達が住み処を守り、中には原始的な娯楽にひたすら興じる者達もいた。 ドラゴンレース。 月に一度、腕に・・・いや、脚に自信のあるドラゴン達が一昼夜をかけて荒野を駆け抜ける。 レースの勝者は次のレース開催まで一ヶ月の間その町の長となり、毎日他のドラゴン達から狩り出した獲物を捧げ物として贈られるという名誉を授けられた。 もちろん他のドラゴン達はレースを賭けの対象として一日中熱狂し、その結果に一喜一憂するのが通例となっていた。 「う・・・ごふっ・・・」 「大丈夫か?」 町の外れに、年老いたドラゴンの夫婦が住んでいた。 夫のドラゴンは全身真っ黒な鱗に覆われ、太い手足や尻尾...
  • 15年の渇き
    「ああ・・・いい加減我も新たな相手を探さねばならぬな・・・」 小高い山の中腹にある洞窟の中で、我は誰にともなく独りごちた。 我の夫が亡くなってからすでに15年。 こんな人里に近い山へ他のドラゴン達がそうそうやってくるはずもなく、我は毎日新たな伴侶を探さなければという焦燥と戦いながらこの洞窟を離れられずにいた。 長きに渡る堕落した生活でぷっくりと膨らんだ白い毛に覆われた腹を擦りながら、洞窟の外へと目を向けてみる。 外は今日も雲1つない快晴の天気のようだったが、体と同じく桃色の体毛に包まれた翼を力一杯羽ばたくほどの元気はどこを絞っても出てきそうになかった。 偶然にも雄のドラゴンがこの洞窟を訪れるその時まで、我はこの狭き山での生活を続けることになるかも知れぬ。 だが食欲は山に住む獣達でどうにか満たすことはできるものの、15年もの間蔑ろにされてきた雌としての本能は到底抑えきれるもので...
  • 山中の追跡
    「また行方不明か・・・」 出かける前少しだけ広げてみた新聞の記事に、俺はつい目を奪われた。 といっても、別段珍しいニュースが載っていたわけではない。 極めてありふれた、とはいえ他人事と無視することもできない事実が、白黒の写真つきで紙面に躍っている。 山菜を採りに山へ入った老人が行方不明になったというものだ。 これが他の人であれば夜の寒さに凍えてしまったのだろうとか、道に迷ってしまったのだろうなどと勝手な憶測に終始してしまうのだが、俺にとっては割と身近な問題と言えた。 何しろその老人が消えた山というのは、俺がこれから趣味のキノコ採りに向かう予定の山だったからだ。 確かに年老いているが故の不覚で災難にあったのであれば、若さに溢れる俺には心配することなど何もない。 だがクマや何かに襲われたというのなら、話は変わってくる。 まあ、その時はその時で採取用のナイフでも投げつけてやれば...
  • ティアマット
    聖剣伝説Legend of Manaに登場 火の属性の知恵のドラゴン。 人間換算年齢40~50歳。 ドラゴン戦争が起こる前はヴァディスと恋人関係だった。 世界を支配しようと、戦争を起こした。 その際、金と水の属性の知恵のドラゴン2匹とそれぞれのマナストーン(それぞれの属性の力の結晶みたいな物です)を吸収したが、ヴァディスらによって奈落に封印される。 残された魔力で影を地上に飛ばして、ラルク殺してどうのこうので地上に蘇る計画を実行するに至ったわけだが、この辺はスレ的にどうでもいいと思われるので飛ばす。 このゲームの大筋の1つ、「ドラゴンキラー編」のラスボス。 名台詞「我の糧となれ!」 見た目は、赤い体に、鋭い牙・爪があり、 ゴツゴツした鱗、手足+悪魔の手のような翼の生えた結構ダークなデザインだが、カッコいい為か結構人気。 炎を吐いてくる、炎属性の竜語魔法を使う、丸...
  • 赤月の悪戯2
    Human-side Dragon-side 町での買い物に予想以上の時間を食ってしまい、俺は両手にいくつもの買い物袋を提げたまま暗くなった山道へと入っていった。 2ヶ月もあるという初めての大学の夏季休暇を退屈な家の中で食い潰すくらいならと、俺は数日前からこの山の中腹にある大きな山小屋で過ごしている。 まだ俺が産まれてもない頃に祖父が山の中で暮らすのに使っていたものだそうだが、祖父が亡くなった今では家族にとってのちょっとした別荘となっている。 流石に山に広がる広大な森からは多少外れたところにはあるものの、森を切り取った急な坂の麓に建てられているお陰で緑の山の雰囲気は十分に味わえていた。 それにちゃんと電気もガスも水道も引かれているお陰で生活に苦労はしなかったし、数年後就職して1人暮らしを始める練習としてはある意味最適なのかもしれない。 だがもう慣れた往来とはいえ流石に暗...
  • ドラゴン学者
    ドラゴン。 そう呼ばれる種族の多くは巨大な体を持ち、外見は固い鱗でびっしりと覆われていたり、フサフサの柔らかい毛が生えていたり、はたまたつるつると光沢のある滑らかな肌をしていたりと様々で、太くて逞しい尻尾を持ち、大きく広がる翼や立派な角や恐ろしい爪や牙があり・・・ 驚くべきことに、中には人の言葉を話すことができるほど賢い者もいるという。 僕が若くしてドラゴンに興味を持ち始めたのは、ひょんな偶然からある遊び心たっぷりの書物に出会ったからだった。 その書物には、ほとんど誰も見たことのないドラゴンについての詳しい研究の記録が示されており、ドラゴンという生き物の少なくとも一部を理解するのには十分過ぎるほどの素晴らしいものだった。 ドラゴンが何を主食にしているのか、どんな攻撃方法を持つのか、体の造りはどうなっているのか、中にはドラゴンとの接し方や彼らの特異な習性、住んでいる地域までが...
  • 美女と野竜
    プロローグ バン! 巨大な扉を勢いよく蹴り開ける音で、我は目を覚ました。 暗闇の中に目を凝らすと、腰に長剣を携えた気品の高い人間の若者が、数人の従者を伴って我の寝床にずかずかと踏み入ってくる所だった。 その胸元に、真っ白に輝く細かな装飾の入ったペンダントを身につけている。 「ようやく見つけたぞ!忌まわしきドラゴンめ!」 「・・・人間か・・・我に何の用だ?」 その無謀な若者は、冷たい眼で睨み返す我に向かって白刃を突き付けると大声で名乗りを上げた。 「私の名はアルタス!罪なき人々を襲う邪悪なドラゴンめ、我が父ルミナス王の命により貴様に天誅を下す!」 「愚か者めが・・・後悔することになるぞ・・・」 眠りを邪魔された怒りに我がのそりと首をもたげると、アルタスと名乗ったその若者はけたたましい雄叫びと共に剣を振り上げて飛びかかってきた。 我の頭を目掛けて、鋼鉄の剣戟が思い切...
  • 秘湯2
    「うっ・・・」 相変わらず背中にのしかかるドラゴンの重さに、俺はハッと目を覚ました。 どうやら寝ている間に食われたりはせずに済んだようだが、いつのまにか場所が変わっている。 首まで浸かっていたはずの温泉は跡形もなく消え、いくら辺りを見回しても暗い岩の壁で囲まれているばかり。 「起きたか?」 硬い岩でできた地面の上に俺をうつ伏せに組み敷いたドラゴンが、背後からそっと呟いた。 「こ、ここは・・・?」 「私の住処に決まっているだろう?フフフ・・・貴様が眠っている間に連れてきたのだ」 ドラゴンの顔は見えなかったが、その声にはひどく愉快そうな響きが混じっている。 「ま、まさか・・・いやだ・・・助けて・・・」 知らぬ間に住処へと連れ込まれ、今度こそ食い殺されるかもしれないという恐怖に温泉で温められていた体が内側から急速に冷やされていく。 もぞもぞと必死で巨体の下から這い出そうとす...
  • 湖に漂う羨望3
    お、おじちゃんに逆らうのもなんか怖いし・・・もう少し様子を見てた方がいいかな・・・ 僕は明るい外から半分だけ顔を出して洞窟の中を覗き込むと、今まさに犯されようとしている雌竜の痴態を震えながら見つめていた。 僕に対してもそうだったように、おじちゃんは彼女に対してもそれほど酷いことはしないだろう・・・多分・・・ ズブ・・・ズブ・・・ 「あっ・・・や・・・やぁ・・・」 極太の肉棒に身を貫かれる恐怖と逃げ場のない快感に彼女が暴れる度、おじちゃんのモノが少し、また少しと赤毛の森の中へと沈んでいく。 そしてもはや大声で叫ぶ力もなくなってしまったのか、彼女が切ない顔に大粒の涙を浮かべて喘いでいた。 「あぅ・・・あうぅ・・・・・・」 ハァハァと荒い息をつきながら徐々に突き入れられる肉棒の感触に、憐れな雌竜が成す術もなく身を震わせる。 ジュブ・・・グチュッ・・・ズリュリュッ やがて堪えよ...
  • 翼の庇護
    どんな国でも、町でも、村であっても、これまでに1度も天災に見舞われたことがないという地域は恐らく存在しないだろう。 大風、竜巻、洪水、山火事、落雷、地震、噴火・・・ 程度の差はあれ、人々は昔からこれらの災害から身を守るために知恵を絞ってきた。 家の床を高くし、森を伐採し、堤防を作り、柱を太くし、危険な地域には住まないというように。 だが天災のなかには、どうしても人の犠牲なくしては逃れられないものがある。 そしてついに、私が幼い時から愛してやまなかったこの平和な村にも、その類稀な天災が訪れた。 村の周囲をグルリと囲む山々を包んだ、緑豊かな森。 近頃その森の中から1匹の大きなドラゴンが姿を現し、村に被害を与えているという。 まだ誰かが犠牲になったというわけではなかったが、皆が寝静まった後連日のように畑が荒らされ家畜が奪われていくというのだ。 だがある夜村長が村の力自慢達を集め...
  • 森の主達2
    ジョリ・・・ 「うあっ・・・」 だが予想に反して先に顔に触れたのは冷たく伸びた爪の先ではなく、唾液に熱く湿ったドラゴンの舌だった。 ビクビクしながら薄っすらと目を開けると、ドラゴンの2つの青い眼が俺の顔を覗き込んでいる。 「まだ我を信用しきれておらぬようだな」 「だ、だってあんなことされたら・・・誰だって殺されると思うに決まってるだろ・・・」 「フン・・・勘違いしているようだから言っておくが、我らは決して邪悪な生物などではないのだぞ?」 ドラゴンは少しばかり怒っているのか、組み敷いたままの俺の体にさらにズシッと体重を預けながら先を続けた。 「空腹の時を除けば、我らは誰も殺しはせぬ。月の出ぬ晩に貴様らの村へ鹿を届けるのも、それが契約だからだ」 「じゃ、じゃあ・・・本当は俺を殺す気なんてないのか?」 息苦しげにそう聞き返すと、まるで黙れとでも言うように再び頬を思い切り舐め上...
  • 焼け跡に残った光
    生贄・・・時に縄張り意識の強いドラゴンが近隣にある人間達の町や村に対して、己の力を誇示するかのように理不尽な人身御供を要求することがある。 その生贄の多くはまだ成人も迎えていないような若い処女であり、不幸にもドラゴンに供された彼女達にはその残忍な捕食者の餌食となる運命が待っているのだ。 だがそこが人間の弱さというべきか、或いは逆に子孫を残そうとする生物としての強さなのか、大概の人々は大勢の安全の為に1人の若い命を差し出すという苦々しい決断を下して今日まで存続している。 だが中には、長年にわたるドラゴンの脅威にすっかり衰弱しきってしまった村もあった。 これはそんな滅びの時を間近に迎えた村に生を受けてしまった男の子の、奇妙な人生の一節である。 「長老、今年もまたこの村から生贄を出すおつもりですか?」 「もうこの村には若い女子など1人も残ってはおりませんぞ」 夕暮れの闇の中、...
  • 赤月の悪戯
    Dragon-side Human-side 「む・・・もう日が落ちたのか・・・」 今日はもうこれで4頭目の獲物となる猪にとどめの牙を突き立てると、私は狩りに夢中になり過ぎて気がつかなかった夜の訪れに空を見上げていた。 森の中から見える背の高い木々に囲まれた漆黒の空はキラキラと星々の瞬きを滴らせ、全身を覆った薄い水色の体毛を撫で摩る冷たい風が狩りの終わりを私に告げる。 これだけの食料があれば、この先1週間は寝床の上でゆっくりと甘い惰眠を貪っていることもできることだろう。 私は急所から血を流してぐったりと力尽きた獲物にグルリと尻尾を巻きつけると、夜風の当たらぬ暖かい住み処へと帰るべく森の中を歩き出していた。 森を抜けた先に広がっているウネウネと蛇行した尾根から見下ろす世界は穏やかな静寂を保っており、地平線の向こうから顔を出したばかりの満月が不気味なほどに赤く輝いている。 ...
  • 龍根奇話
     ――朝起きたら、アレがアレになっていた。  (落ち着け俺)  息を吸って吐いて、呼吸を整えこめかみをグリグリと抉り込むように刺激する。  『痛っ!』  少々やり過ぎたが完全に目が覚めた。うん覚めたそうに違いない今度こそ。  ゴソゴソ。  ――パジャマをまさぐり、再度アレを確認。  グネッ。  『……』  イヤな感触。思い切って下着まで引き摺り下ろす。  グネグネグネグネ。  『う、う! うわぁああああああ!』  ――視線の先に確かにソレはいた。今度こそ間違いない現実。  (な、な、何?、ナニが起こったんだぁああああ?)  いや起きては、正確にはおっきしてますが何か? いや何かって俺のナニが、ナニが!  (り、りりりり、龍?になっちまった?)  朝っぱらから丸出...
  • 毛鱗の番い2
    「何だい、この小僧は・・・?」 きっと彼は、私の悲鳴を聞いて駆けつけて来てくれたのだろう。 だが勢いで飛び出してきてしまっただけなのか、自分の何十倍も大きな老竜の姿を認めるや否やあまりの恐ろしさにその場で立ち止まってしまう。 「ク・・・クゥ・・・」 「邪魔するでないよ・・・それとも、お前もこの小娘のようになりたいのかい・・・?」 ギリリリッ・・・ 「ああ~~っ!」 私は見せしめのために突然全身を締め上げられて、老竜の思惑通りに苦痛の悲鳴を上げてしまっていた。 だが仔竜が次に見せた行動は、老竜はもとより私の予想をも裏切るものだった。 産まれたばかりで右も左もわからぬ子供がこんな光景を見せつけられれば必死で逃げ出しそうなものなのだが、彼はこともあろうに薄ら笑いを浮かべて油断していた老竜の顔に向かって突進していったのだ。 ガッ 「うぐっ!」 まだ幼いとはいえ生まれな...
  • 渇望の日々
    深い木々の生い茂る密林の洞窟であのリオレイアと不思議な一夜を過ごしてから数ヶ月・・・ 僕は毎日のように護身用の弓を携えながら、彼女のもとへと足を運び続けていた。 もちろんこれは、巨大な雌火竜に対する警戒のためではない。 季節は暑さの厳しかった温暖期から早くも夜の冷え込む寒冷期へと移り変わり、食料の乏しさから空腹で凶暴化した獣達が森のそこかしこで跋扈しているからだ。 尤もそれは当の彼女も同じであるらしく、僕も最近はポーチの中に詰め込めるだけの生肉を押し込んでいる。 そして冷たい風の吹き込む巨洞の中で蹲った彼女と出会う度、僕はその骨付き肉を彼女の口元にそっと運ぶのだ。 プシュン!・・・ズバッ! 身の丈程もある大弓から勢いよく放たれた幾本もの矢の雨が、僕の周囲に五月蠅く付き纏っていた毒針を持つ大きな羽虫を正確に捉えていた。 その激しい射撃の衝撃で、憐れな的となった獲物が緑色...
  • 森の主達
    直径2キロにも満たぬ、四方を深い森に囲まれた小さな村。 全部で100人程の村人達は皆食料を自給自足し、必要な品々は隣人との物々交換で補っていた。 とはいっても決して文明から取り残された村などではなく、人々は実に近代的で充実した生活を送っている。 だがこの村には、絶対に破ってはならないと言われる1つの掟が存在していた。 それは、村を囲む森の中に入ってはならないということ。 20年程前にこの村が作られた時、村の創始者達は森に住むある者達と契約を取り交わしていたのだ。 そのある者達とは、黒い鱗を全身に纏った巨大なドラゴン達。 元はドラゴン達の物であった森の一部に人間が住むことを許し決して村は襲わないという条件と引き換えに、人間達もまた彼らの領域である森を侵さないという不可侵の契約だ。 村の創始者達はそんなドラゴン達を酷く畏れていて、これまでその掟が破られたことは1度としてなかった...
  • 忘れようとした記憶2
    Hunter-side Lioleia-side 「なぁおっちゃん、これで弓を作ってもらえるかい?」 ようやく、憧れだった念願の武器が手に入る。 僕はそんな期待感に胸を膨らませながら真っ赤に溶けた金属の熱がこもる武器工房へと駆け込むと、いつものように腕を組んでふんぞり返っているおっちゃんにやっとの思いで集めてきた素材と金を差し出した。 「何だボウズ。お前はまだハンターになりたての青二才だろう?」 だがこれまたいつものようにというべきか、僕の依頼を聞いたおっちゃんが意地悪な笑みを浮かべながら僕の頭をクシャクシャと撫で回す。 「かっこつけて弓なんぞ使っても、お前にゃあの鬱陶しい猪どもだって狩れやしないだろうよ」 「うっ・・・い、いいだろ、別に・・・」 確かに、おっちゃんの言っていることにも一理はある。 僕がこれまで細々とでも鍛えてきた片手剣を捨てて弓を使い始めよ...
  • 捨てたはずの剣2
    「さあ、我を満足させるのだ・・・もし爪や牙を立てたりしたら、どうなるかわかっておるだろうな・・・?」 私はその言葉に震える両手で雄竜のモノをそっと掴むと、ゴクリと大きく息を呑んだ。 決して爪を立てないように柔らかな皮膜に覆われた指の腹でゆっくりと極太の肉棒を扱き上げながら、その先端を静かに口に含んでいく。 「ふ・・・ふぐ・・・」 やがて屈辱的な奉仕をさせられているというのに逆らうこともできない悔しさと情けなさに、きつく瞑った目からポロポロと大粒の涙が溢れてきた。 ともすれば抑え切れなくなった激情にまかせて思い切りこの肉棒を噛み千切ってしまいたくなるが、そんなことをすればまず間違いなく恐ろしい目に遭わされた挙句に殺されてしまうだろう。 何とか命を繋ぐためにも、今はひたすらに耐えるしか他に道はないらしい。 レロ・・・ヌチュ・・・シュル・・・ やがて心の中では強硬に反発しながらも...
  • 黒竜の罠
    穏やかな波に揺れる船首の先には、大西洋上にひっそりと浮かぶ小さな島がその姿を現していた。 島の中央には、船乗りの間でダイヤモンドピークという名で呼ばれる深い樹海を従えた山があった。 その樹海の中には至るところに古代の遺跡のようなものが点在し、稀少な鉱石や文化的に価値のあるものが頻繁に出土するという。いわば宝島だ。 普通ならどこかの国が領有権でも主張しだして徹底的な探査のひとつも入りそうなところだが、噂を聞いた人達が次々と島へ押し寄せ、当初無人島だったこの島も今では海岸沿いに多くの民家が立ち並ぶまでになってしまっていた。 島に住む者は週に1、2度樹海に分け入り、そこでの収穫を本土で競りにかけて生計を立てているのだ。 「どうして週に1、2度しか山に入らないんだ?」 俺は乗っていた船の船長に素朴な疑問をぶつけてみた。 かく言う俺も、そんなおいしい話を聞きつけて島へやってきた身...
  • 光と闇
    ~プロローグ~ 時は中世・・・各国の臣民が武力にモノを言わせて自らの領土を広げんと活躍していた時代、北欧のあるところに他国からの侵略も全く受けつけなかった大国があった。 民の声を聞き善政を敷くマルケロス王をはじめとして、彼の国民達はみな争いを好まぬ静かな人々である。 そして周囲の国々の中でもずば抜けて広大な領土を持ちながらも他国と不可侵条約を取り交わす王の器の大きさに、固い忠誠を誓う者達が続々と集まってくるのだった。 だがそんな平和を望む王のもとに仕えながら、心中に不穏な企みを宿している者がいた。 マルケロス王の右腕とさえ言われている大臣、バローネである。 彼は子息のいない王を亡き者にして王位の座につこうと画策し、日夜仲間達とその計画を練っては柔和な物腰を装って王の隙を窺っていた。 ~第1章~エルガイアの式典 「おはよう、起きたか?」 自分自身も眠気眼...
  • パディとバーニー
    「バーニーさん!早く行きましょう!」 パディは緑のやわらかい草の上で寝転がりながら、赤い体毛を揺らしているバーニングに急かすように声をかけた。 かつては敵だったバーニングとあの悪夢の洞窟から2人でずいぶん遠くまで逃げてきたが、 まだパディは追っ手が不安でゆっくりする気にはなれなかったからだ。 しかしそんなパディとは対称的にバーニングは眠そうに顔を上げた。 「ん~・・・ここまでこればたぶん大丈夫だって・・」 バーニングは焦るパディをなだめるように寝転がりながら長い尻尾をフラフラと振る。 「だめですよ!だいたいここはどこなのかわからなんですから!」 パディの言う通り今いる場所は2人ともまったく見当の付かない場所だった。 「大丈夫だって・・・いざとなったらおれが守ってあげるから・・・」 「なっ、何言ってるんですか!とりあえず南西へ向かいましょう。今来たのは東のほう...
  • 我が翼を想いて4
    橙色の夕日が木漏れ日となって降り注ぐ、夕暮れ時の深い森の中。 幾本もの枝を折りながらドオオンという盛大な音を立てて狭い木々の隙間に着地したまではいいものの、僕は眼前に広がっていたその光景に愕然とした思いを抑えることができなかった。 何処までも何処までも続いていくような薄暗い樹木の回廊が、視界の全てを覆い尽くしている。 彼女は一体、この広大な森の何処に落ちてしまったのだろうか? 上手く身動きの取れない首を周囲に巡らせてみても、彼女や蛮族はおろか1匹の獣の姿すら見当たらない。 着地するときに木の幹へとぶつけてしまったのか体のあちこちがジンジンとした鈍い痛みを放っていたものの、僕は不安と焦燥に焼かれ始めた胸に手を当てながら狭い木々の間を縫うようにして歩き始めていた。 一刻も早く彼女を見つけ出したいのはやまやまだが、敵がいるかもしれないこの場所では大声を出すわけにもいかないだろう。 ...
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